『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』を最新作とする『アトリエ』シリーズや、『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』、『よるのないくに』、『サージュ・コンチェルト』など多様なタイトルでファンの心をつかんできた、コーエーテクモゲームス・ガストブランド。先日公式発表があった通り、2020年4月より新たなガストブランド長として、『ライザのアトリエ』などのプロデュースを手掛けてきた細井順三氏が就任することになった。

 そこで当記事では、細井氏の就任決定後、初めてとなるインタビューを実施。さらに、同じくガストブランドのクリエイターにして、自社通販サイト“ガストショップ”の統括も担う土屋暁氏にもご同席いただき、来年度の展望などについてうかがった。

細井順三(ほそいじゅんぞう)

これまでに、『ライザのアトリエ』プロデュース、『BLUE REFLECTION』プロデュースなどを担当。もともとは2007年に広報職としてガストに入社し、数々のタイトルに携わってきた。『サージュ・コンチェルト』では土屋氏とタッグを組み、さまざまな宣伝企画などに奔走した。

土屋暁(つちやあきら)

1998年にサウンド職としてガストに入社し、『エリーのアトリエ ~ザールブルグの錬金術士2~』など初期のシリーズ作品でサウンドを担当。バンプレスト(現・バンダイナムコエンターテインメント)と共同開発した『アルトネリコ』シリーズではディレクターを務め、以降、『サージュ・コンチェルト』、『拡張少女系トライナリー』でも並々ならぬ重厚な物語をユーザーに届けてきた。

――まずは細井さん、ガストブランド長への就任決定おめでとうございます。

細井ありがとうございます。

――さっそくですが、これからはガストブランド全体を率いていくことへの意気込みを聞かせてください。自信のほどはいかがでしょうか?

細井自信があるか無いかで言えば、今から確固たる自信があるわけではないですよ(笑)。これまでガストブランド長を務めてきた鯉沼(久史氏。コーエーテクモゲームス代表取締役社長)や、副ブランド長として引き続き支えてくださる菊地(啓介氏。『よるのないくに』シリーズなどのプロデュースを担当)の仕事ぶりは見てきましたから、これから自分にどんなタスクが待っているのか、ある程度想像はしていますが、当事者になって初めて見えてくる大変さもあるでしょうし。その点は実際にやってみないと何とも言えないですね。ただ、やるからには、しっかりとやり抜く覚悟です。

――頼もしいお言葉です。ブランド長になると、開発現場との距離感はどうなるのでしょう?

細井現場に任せられるところは任せていきますが、これからも責任をもって、開発にも携わっていきます。今も複数の未発表新作が動いておりまして、そのなかには土屋と組んでいる作品もあります。

――土屋さんは、昨年から開発に加えてガストショップの統括も担うようになって、最近ますますお忙しいのでは……?

土屋えぇ、そうですね(笑)。仕事の量もさることながら、私の場合、作品のことを考えるときと、商品企画のことを考えるときでは、人格を変えるレベルで頭のスイッチを切り換えないといけないので、それが大変です。

――なるほど……。新作を楽しみにしているユーザーにとって、土屋さんが相変わらず忙しそうにしているのはある意味朗報かもしれませんが、お体には気を付けてください。

土屋はい、ありがとうございます。

――それと、細井さんにも前々から伝えたかったことがありまして。細井さん、ぶっちゃけ僕(記者・川島KG)のこと、『アトリエ』シリーズには全然興味が無いだろうって思っておられますよね?

細井はい。だって、川島さんは土屋の作品ばかり担当されているので、私の作品は遊んでないですよね?(笑)

――そんなことないですよ! 『ライザのアトリエ』はしっかり最後までプレイさせていただきました。

細井えっ、本当!? 初めて聞いた。ありがとうございます!(笑)

――『アトリエ』シリーズは、その醍醐味である“錬金術”がややこしそう……というイメージが何となくあったんですけれど、『ライザ』はすごく分かりやすくてビックリしました。バトルシステムも、テクニカルに戦えば味方が低レベルでも勝てるような開拓性があるし、とはいえ物語中盤でさすがに苦戦したときも錬金術でしっかり装備を整えたらサクッと勝てて気持ちよかったり。このゲーム楽しいじゃん! って思いました。

細井そう言っていただけると嬉しいですね。まさに、錬金術がややこしそうだからという理由で、『アトリエ』シリーズをこれまで敬遠なさっていた方も少なからずいらっしゃいます。『ライザ』はその点も意識して調合のシステムをさらに分かりやすくしましたので、『アトリエ』シリーズを今から始めようという方には『ライザ』をぜひオススメしたいです。

『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』

――あと、『BLUE REFLECTION』(以下、『ブルリフ』)も遊びましたよ!

細井おぉ、ありがとうございます。

――『ブルリフ』も、女の子たちがめっちゃかわいいし、音楽も雰囲気サイコーだし、個人的には学園ものが大好物なので楽しませてもらいました。ただ、あえて言わせていただくなら……

細井はい。

――もっともっと、15人の少女それぞれのドラマを見てみたかったなぁ……! 女の子たちがあんなに個性豊かで魅力的だったぶん、さらに深掘りできそうな余地も感じました。その点、開発者としてはいかがですか?

細井仰りたいことは、すごくよく分かります。『ブルリフ』は私にとって初めてのプロデュース作品で、(キャラクターデザイン・監修を務めた)岸田メルさんたちといっしょに試行錯誤しながら作った、完全新規のタイトルでした。岸田さんとは今もいっしょに仕事をしていて、『ブルリフ』で培ったノウハウは着実に活きていると思います。こちらにもぜひご期待いただければと……!

――楽しみです。ちなみにピンポイントな質問なんですけれど、『ブルリフ』では主人公(白井日菜子)が家でお風呂に入るかどうかの選択肢が毎日のように現れますが、あれって、お風呂に入るか入らないかで物語に影響はあるんですか?

細井影響はまったく無いです。

――やっぱり無いんかーい!(笑) …何度か入っているうちに、「もしかして攻略的には必須じゃないのかしら…?」と薄々感じつつ、女の子がお風呂に入らないという選択肢は自分的にありえなくて毎回入りましたよ。

細井あれは、攻略的な要素というよりも、日菜子がいま何を考えているのかを描写する情緒的なものですね。

――ああ、なるほど。そういうところにこだわるのが『ブルリフ』らしいなぁとは思いました。

細井ついでに言うと、“お風呂に入って、選択肢を思い浮かべる”というあの仕組みは、じつは当社が特許を出願しているんですよ。

――えっ、そうなんですか!?

細井当社は以前から、何かユニークなことをしたら積極的に特許を取ることにしていて、『ブルリフ』の入浴シーンもそのひとつなんです。

土屋拡張少女系トライナリー』でも、“ヒロインといっしょにアニメを観る”という仕組みについては特許が取れました。

――へぇ~~!

『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』
『拡張少女系トライナリー』

――ところで、おふたりは『アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~』と『拡張少女系トライナリー』のコラボでもタッグを組んでおられると思いますが、昨年の東京ゲームショウでコラボが発表されて以来、いつ始まるのか予告がありませんね……?

細井楽しみにしてくださっている方には、お待たせしてしまっており申し訳ありません。計画は進行中で、どのタイミングで始めるのが良いかを検討しているところです。こちらも準備が整いしだいお伝えしますので、今しばらくお待ちいただけると幸いです。

――わかりました。土屋さんは今も、地下室にこもってお仕事されているんですか?

土屋それ、いまだに皆さんからよく言われるんですよね。どうしてそう言われるようになったのか、正確なルーツは定かではありませんが……おそらく以前、ガストがグッズとして文鎮(クリスタルペーパーウェイト)をよく作っていた時期があって、その工場がガストの地下室にあるとか無いとか言われていたのが発端でしょうか。でもまぁ、仕事だけに集中できる環境に身を置くのは確かに好きですよ(笑)。

――『拡張少女系トライナリー』に関しては、僕もイラストレーターさんの仲介や異世界観測などのお手伝いをさせていただいているご縁があり、来月にアプリ配信3周年を迎えるにあたってのグッズ企画などを提案させていただきました(トライナリー公式Twitterにて随時告知中)。土屋さんとは意見交換や監修などで密にやり取りをしていますが、正直、ご迷惑を掛けていないでしょうか……本当にいつもお忙しそうなので……;

土屋いえいえ、大丈夫ですよ。むしろ、いろいろとアイデアをご提案いただけて助かっています。

――いつも恐縮です……。こういった展開も含め、作品が世に出てからも継続してグッズなどの企画をお届けしていくことで、IPの“灯を絶やさない”というのは、ガストショップのコンセプトでもありますよね。

土屋はい。作品の中だけではなく、マスコットキャラクター(がすとちゃん)が商品をどしどし紹介してくるガストショップや、公式Twitterなどの場を通じて、皆さんにお楽しみを提供したいという思いは、これからも大切にしていきます。

――引き続き、楽しみにさせてください。最後におふたりから、来年度に向けてのひと言をいただけますか?

細井くり返しになりますが、ガストブランドの未発表の新作は複数ありますので、いずれも楽しみにしていただけると嬉しいです。また、土屋に関して言えば、ゲーム開発と商品企画の両面で、これからもガッチリ連携していきます。

土屋私も、来年度のことは毎日のように、どうしようかと考えています。大変なこともありますが、チャレンジし続けていくしかないと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました!

 
 
【取材後記&予告】
 個人的にもガストブランドのこれからが楽しみになった、今回のインタビュー。じつは、細井氏のブランド長就任決定のほかに、ガスト長野開発部では今月中にとある大事な予定が控えており……。その模様を、以下の各誌で順次お伝えしていきますので、ガストファンの方はぜひご注目ください!(※ちなみに新作発表の類ではありません)

掲載号(発売日順)

  • 週刊ファミ通2020年4月2日増刊号(3月19日発売)
  • 電撃プレイステーションVol.686(3月28日発売)
  • 週刊ファミ通2020年4月16日増刊号(4月2日発売)