インディーゲームを追っていると、インタラクティブなストーリーテリングの新たな手法としてゲームを選ぶ作品にしばしば出会う。ボストンで開催中のゲームイベント“PAX EAST”で出会った『If Found…』は、そんなタイトルのひとつだ。

 本作の物語は、日記に記されたとある若き女性の憂鬱な日々と、迫りくるブラックホールから地球を守ろうとしているらしい宇宙飛行士の話が交互に展開される。

 ゲーム的な選択はなく、プレイヤーはマウスで消しゴム状のカーソルを動かし、クリックして画面上に描かれたものを“消す”ことで進んでいく。友達との会話を消し、母親との口論を消し、浮かない顔の自分のイラストを消し、星々を消し、ふたつの物語が淡々と進んでいく。

 最初は「モノを消した下から新たな情景が出てくるのがなんか綺麗だな」ぐらいにしか思わないのだが、次第にこの「消す」という行為の重みが、そしてどうやらこのふたつの物語が奥底で繋がっているらしいことがうっすらと伝わってくる。

 この作品は、1993年の暮れの大晦日に日記を抹消しようとしている“カシオ”という名前の若いアイルランド人女性の引き裂かれるような心象風景が、「消す」という行為と“破壊的なブラックホールに孤独に対峙する”というふたつの描写が重なり合って描かれているのだ。

 本作は、海外インディーパブリッシャーのAnnapurna Interactiveにより2020年にPC/Mac/iOSで配信予定。Steamの製品ページでは現時点で日本語対応の記載はないものの、ページ自体は日本語化されている。気になる人はウィッシュリストに入れておいてはいかがだろう。