2019年12月20日より現在公開中の映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。2020年2月12日に東京の新宿ピカデリーでプレミアトークイベントが開催された。

 本イベントには、テル役花澤香菜さんと監督の片渕須直氏が登壇。そのイベントの模様もお届けする。

以下、リリースを引用

“ここではひとりぼっちと、思ってた” 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』 大ヒット拡大公開記念プレミアムトークショー テル役・花澤香菜&監督・片渕須直初2ショット登壇!

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』テル役・花澤香菜さん&片渕須直監督トークショー! 語られた収録秘話とは?_01

 第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向き、日々の暮らしを紡いでいく女性・すずの深い感情を、新たなエピソードを盛り込むことで描き出す新作劇場アニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が大ヒット上映中。

 全国での拡大公開を記念して、本作でテル役を演じた花澤香菜と監督の片渕須直がプレミアムトークショーを行いました。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』テル役・花澤香菜さん&片渕須直監督トークショー! 語られた収録秘話とは?_02
テル役、花澤香菜さん
映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』テル役・花澤香菜さん&片渕須直監督トークショー! 語られた収録秘話とは?_03
片渕須直監督
  • 日時:2/12(水)22:35~舞台挨拶 
  • ゲスト:花澤香菜、片渕須直(監督・脚本)

 国内外で70以上の賞を受賞したアニメーション映画『この世界の片隅に』に、250カットを超える新たなエピソードを追加した新作。第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前を向き、日々の暮らしを紡いでいく女性・すず(のん)の姿を描く。

 昨年12月20日からロングランヒット中のアニメーション映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。公開から約2ヶ月が経った2月12日には東京の新宿ピカデリーで大ヒット御礼プレミアムトークイベントが行われ、声優の花澤香菜と片渕須直監督が参加した。

 すずが遊郭で出会う“もうひとりの女性”テルの声を務める花澤は

「素敵な作品に関われる人たちはいいなぁとオリジナル版は観ていたので、そこに新キャラとしてお声がかかるとは思わず、ビックリしました」

 と、今作での大抜擢に嬉しそう。

 じつは片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』のオーディションも受けていたそうで、片渕監督は

「そのときはごめんなさい……でしたけど」

 と、恐縮も、花澤は「こうして巡り巡って……うれしいです」と、シミジミしていた。

 そもそも花澤に白羽の矢が立ったのは、花澤が出演したラジオ番組『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)を片渕監督が偶然聴いていたことから。

「そのときに素で話す花澤さんの雰囲気がテルちゃんのイメージに近かった。素の感じが、まさに“テルちゃんがいらっしゃる”だった」と、抜擢理由を説明。

 ただ、テルは病に伏せる設定だけに

「九州弁でかつ、風邪をひいて喉が枯れ咳が出っぱなし。それを表しながらきちんと芝居をしてくれることが大事だと思ったので、これは並大抵のことではないぞと思った」と不安もあったという。

 花澤は収録時に片渕監督から

「もっと死にそうになってくれ!」との演出があったことを明かし、

「そんなディレクションは初めてで、どうしようかと思った」

 と、思い出し笑い。しかし収録を重ねる中で片渕監督は

「いたいけないテルちゃんが存在しているのが見えたときに、僕はのんちゃんに“すずさんはどうするの?”と言うことができた」と、花澤の演技に納得の表情だった。

 また、のんとの共演に花澤は

「初めての参加で緊張しましたが、収録現場でののんさんは、まるでそのまますずさんが隣にいるような感じで。すんなりと作品の世界に入り込めたのは、のんさんのおかげです」と感謝しきり。

 これに片渕監督も

「ふたりのアンサンブルはとてもよかった」と、相性のよさを称えていた。

 同作の舞台挨拶にこの日初めて参加した花澤は

「テルちゃんとして作品に関われてとても光栄。また舞台挨拶の機会があれば呼んでください」と、再登壇を期待し、

「別作品で昨年の東京国際映画祭のレッドカーペットに参加したら、『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』のファンの方も沢山詰めかけていて、“テルちゃん!”と呼ばれたときには、深く愛されている作品だなぁと実感。この作品がもっともっと広がっていくことを願っています」

 とさらなるヒットを祈願した。片渕監督は

「新しいキャラクターとして大事な役割を演じてもらい、花澤さんは今では仲間内という感じです」と信頼を口にし、

「すずさんたちが本当に存在しているように描けたのは、花澤さんをはじめ沢山の人の力のおかげです。それをこれからも大きなスクリーンの中で味わってもらいたいです」と客席に呼びかけていた。

 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、1/31(金)から東京・新宿ピカデリーを始め、全国67館が拡大公開された。片渕監督は、2/13(木)川越スカラ座(埼玉)、2/23(日)福知山シネマ(京都)、2/24(月・祝)出町座(京都)&塚口サンサン劇場(兵庫)にて舞台挨拶行脚を敢行。

 日本各地の観客へ感謝の思いを伝え続けている。さらに広がりを見せる『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。どうぞご期待ください。

Story

 誰もが誰かを想いひみつを胸に 優しく寄り添う

 広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19 年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。

 ある日、迷い込んだ遊郭でリンと出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。

 昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。 そして、昭和20年の夏がやってくる――。

  • 声の出演:のん 細谷佳正 稲葉菜月 尾身美詞 小野大輔 潘めぐみ 岩井七世 牛山茂 新谷真弓/花澤香菜/ 澁谷天外(特別出演)
  • 原作:こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊) 企画:丸山正雄 監督補・画面構成:浦谷千恵 キャラクターデザイン・作画監督:松原秀典
  • 美術監督:林孝輔 音楽:コトリンゴ プロデューサー:真木太郎 監督・脚本:片渕須直 

製作統括:GENCO アニメーション制作:MAPPA 配給:東京テアトル 
製作:2019「この世界の片隅に」製作委員会