2020年2月6日、東京・新宿のバルト9にて、『Death Come True』(以下、『デスカムトゥルー』)の制作発表会が行われた。当日の発表内容は下の記事をチェック! 本記事では、イベントのリポートをお届けしよう。
制作発表会には、プロデューサーの梅田慎介氏(イザナギゲームズ)、シナリオ&ゲー ムディレクターの小高和剛氏(TooKyoGames)、映像監督の安藤隼人氏のほか、本作の出演俳優陣である本郷奏多さん(カラキマコト役)、栗山千明さん(サチムラアカネ役)、森崎ウィンさん(クジノゾム役)、梶裕貴さん(ホテルのフロント役)、山本千尋さん(クルシマネネ役)が登壇。本作の魅力や撮影の裏話などを披露した。
『デスカムトゥルー』は、イザナギゲームズプロデュースによる、フル実写動画アドベンチャーゲーム。『ダンガンロンパ』シリーズを手掛けた小高氏によるディレクション&シナリオのもと、全編実写の動画で展開するアドベンチャー作品となっている。
イベントではまず、本作のシナリオとディレクターを努めた小高氏が本作の特徴について「キャッチコピーである“これは、映画なのか?ゲームなのか?”の言葉どおり、ゲームでもあり、映画でもあるのが、この作品のいちばん大きな特徴になります」と説明。続いて、約5分に及ぶ紹介映像が上映された。
紹介映像上映後は、登壇者によるトークセッションへ。『デスカムトゥルー』は“実写インタラクティブムービー”という新たなジャンルに挑戦した作品になっているが、本郷さんはそんな本作について「プレイヤーの選択によって、大きく物語が変わっていく作品ですが、これを実写(映像)で作るというのはすごく労力のかかることですし、いままで、思いついた人はいても、やらなかったことだと思います」と本作のチャレンジ性を語る。
栗山さんは本作の撮影について、台本を受け取って内容を確認したときから“これってどうやって撮影するのかな?”と疑問に思ったそうで、「いままで経験した撮影現場とは違った感覚の撮影でした」と語っていた。
森崎さんも同じく、当時の撮影について「過酷でした」と振り返りつつ、「台本をページを飛ばして読むということが初めてで、選択によって話がどちらに飛んでいくのか、という読みかたがすごく書いてありました」と、本作ならではの脚本について明かしていた。
梶さんも本作の脚本について、森崎さんに同意するように「ゲームブックのような感覚で、台本を読んでいるだけで楽しくなりました」と語りながら、「それが実際に映像となり、ゲームになったときに、本当におもしろいものになるんだろうなと、先ほどの映像を見て改めて感じました」と、作品への期待を寄せていた。
そんな、ゲームブックのような手法が取り入れている台本であったゆえ、山本さんは「台本を読んだときも撮影期間中も、“どういう作品になるんだろう?”と考えながら撮影していました」と、戸惑いながら撮影に臨んでいだというエピソードを明かしていた。
続いて、小高氏による本作のシナリオについて話題が移ると、本郷さんはシナリオのネタバレに配慮しつつ「小高さんは、こういうジャンルのものを書かせたら、日本一の天才だと思っています。そんな小高さんらしさ全開の脚本を、すごく楽しく読ませていただきました」と、興奮気味にコメント。また、本作のゲーム内の演出については「ただ映像を観る、ノベライズとして読むのとは違い、“プレイヤー”であることがギミックとなり、(プレイヤーは)衝撃を受けることがあると思います」と語っていた。
栗山さんも「いろんな(物語の)分岐がある中で、キャラクターたちの背景も見えますし、そのひとつひとつが本当におもしろいです」とシナリオの完成度の高さについて語りつつ、「正規ルートとは別に、登場人物たちの素顔が垣間見えるルートもあり、とにかくおもしろいシナリオになっています」と小高氏のシナリオはもちろん、本作のゲームデザインについても紹介。
森崎さんは「台本を読んでこんなにワクワクしたのは初めてです。まるで子どものときの自分に戻ったような、マンガを読んでいるような感覚で楽しんでいました」とシナリオの魅力を、梶さんは「選択肢によっていくつもストーリーが存在していて、登場人物の魅力が深堀りされていくという、ゲームとしてとことんやり込める作品となっていて、まるで映像作品をひとつのタイトルで何本も楽しめる作品になっています」と、映像作品でありゲームでもあるという本作ならではの魅力を語っていた。
山本さんは、これまでの出演陣の発言に触れながら「たくさんの選択肢があるので、さまざまなおもしろさを体験できると思います」とアピールしていた。
続いて、トークのテーマは、出演陣が演じた役柄について。まずは本郷さんが、自身が演じたカラキマコトについて、“目覚めたら何も記憶がない状態で、とんでもないことがつぎつぎとおこっていくキャラクター”と説明。役を演じるにあたっては、“記憶がないキャラクター”であったことから、とくに考え込まず、そのまま役に飛び込んでいた、ということが語られた。
そんなカラキマコトとゲーム内でタッグを組むことになる、女性捜査官のサチムラアカネを演じた栗山さんは「カラキの記憶がない部分を、私が引き出すような役割をいただけたと思います」と、改めてゲーム内でのサチムラアカネの姿について話していた。
森崎さん演じるクジノゾムは、正義感に溢れ、難事件をいくつも解決しているエリート捜査官という役柄だが、森崎さんは自身の役柄について、“チャーミング”な一面もあり、演じていてとても楽しかったキャラクターだったとコメント。
梶さんは「役名の“ホテルのフロント”からして、ひとりだけ名前がないというのも引っ掛かるところではあるかなと思うのですが(笑)」と会場を笑わせつつ、自身の役柄が“表情が乏しく、人間味が薄いキャラクター”という点に触れ「普段お芝居をしていて、感情を出す部分が演じていておもしろかったり、醍醐味であったりするんですが、今回は感情を消すというお芝居をすごく楽しみながらやらせていただきました」と自身の役柄、そして撮影時の心境について語った。
殺人マニアであり、連続殺人鬼として指名手配されたカラキマコトの大ファンであるクルシマネネを演じた山本さん。「台本を読んだときに、一度ページを閉じたくなるぐらい、狂気のあるキャラクターで、さらに衣装合わせのときにあの格好になって、どうしようかなと思いました」と、カラフルな衣装のクルシマネネを演じることとなった当時の心境を明かす。一方で「こんな狂ったキャラクターを演じるのは初めてだったので、すごく楽しく、新しい自分を見つけられた気がしました」と、役を演じてみての感想を述べていた。
ここで会場では、プロデューサーの梅田氏より、本作についての最新情報が届けられた。その内容については、前述の通り、別記事でまとめているので、そちらをチェックしてほしい。なお、驚くべきは1900円という、映画の大人料金と同じ価格。出演者陣全員が驚きとともに、「この値段でいいんですか!?」と小高氏に詰め寄ると、小高氏は「じゃあ……」と価格を変更する素振りを見せるものの、梅田氏から「変えません!」と力強い価格変更の否定の声が挙がっていた。
その後は、ミノウケンイチ役を務める佐藤二朗さんからのメッセージが公開。「新しい試みということですごく興味をそそられて、喜んで参加しました。どんなふうにできあがるのか、とにかく楽しみです」と、本作への期待を述べていた。
佐藤二朗さんからのメッセージ動画の後は、本日の出演俳優陣たちがイベントの感想を語り、最後に本郷さんが「プレイヤーの選択によって物語が変わっていく。これはいままでの映画などでは得られなかったような、とにかく没入できる作品になっています。この脚本のまま、ゲームとして作ることもできたと思いますが、それをあえて実写で作ったということは、我々キャスト陣が、いまのCGでは表現できないレベルのお芝居をするしかないと思ったので、魂を込めて演じさせていただいております。本当にすごい作品となっていますので、ぜひ完成を楽しみにしていてください」とコメントしたところで、イベントは締めくくられた。
続いて、制作発表会の後に行われた、キャスト陣を対象とした囲み取材の模様をお届けする。
──撮影において、苦労した点を教えてください。
本郷奏多(以下、本郷) 先ほどのイベントでも、皆さんおっしゃっていましたが、通常の映画の台本とは違って、いろんなページを飛ばしながら読んでいくのが大変でした。実際の撮影でも、同じ現場で同じシーンを続けて撮るのですが、“このシーンのときはどこまで知っていて、どういう状況なのか”という情報を整理するのにとても苦労しました。ですので、しっかりみんなで確認しながら、作品を作っていきました。
栗山千明(以下、栗山) 私の場合は、物語がゼロから始まるので、“またゼロに戻った”という感覚になっていくんです。ネタバレが怖くて丁寧に説明できませんが、キャスト陣それぞれにも情報の整理が必要なので、ほかのドラマ、映画の撮影とは違い、頭を使う撮影でした。個人的には、撮影中に走ったりすることがあったので、日々筋肉痛が耐えなかったです(笑)。
森崎ウィン(以下、森崎) おふたりがおっしゃったように、いろんな選択肢があるので、情報の整理がすごく難しかったのですが、選択肢があるぶん、ふつうの台本と比べて、演じるうえでのキャラクターのヒントがすごくたくさん得られたような気がします。ですので、自分のキャラクターと向き合うときは、自分なりにキャラクターのバックボーンを想像するのですが、いろんなヒントがもらえたおかげで、演じるときはよりキャラクターに入りやすかった部分もありました。後は、1900円というのは、すごい安いなと感じました(笑)。
梶裕貴(以下、梶) どこまでがネタバレになるのか難しいところではあるのですが、そう考えると、もしかすると、皆さんとはちょっと違う立ち位置なのかなということがあります。当たり障りのないことを言うと、説明のセリフが膨大にありまして。しかも、『デスカムトゥルー』の世界観に即した造語とかもあったりして、「それをわかりやすく説明してもらうために声優さんにお願いしました」というお話もうかがったので、そこはキチンとやらなければなという思いの中で演じさせていただきました。
山本千尋(以下、山本) 私は、演じていて苦労したというよりは、楽しいのほうが勝っていたのですが、逆に本郷さん、栗山さんと違って、選択されたときにどれだけ印象を残せるかと、演じるうえで意識していたので、衣装に負けないようなキャラクターが出せていたら嬉しいです。
──撮影で印象的なエピソードはありますか?
森崎 撮影場所が新潟のスイートホテルだったのですが、台本を読んでいるときに自分が想像していたロケ地とは、印象がすごく違ったものでしたので、驚きました。
本郷 すごい素敵なリゾートホテルだったんですよね。僕も台本を読んでいたら、最初は簡素なビジネスホテルでのお話かなと思っていたのですが、めちゃくちゃ絵になる、雰囲気のあるホテルが撮影場所でしたので、びっくりしました。
森崎 セットなんじゃないかなと思うぐらい、素敵なホテルでした。
──皆さんはふだん、どんなジャンルのゲームをプレイされていますか?
森崎 僕は、飛行機が好きなので、フライトシュミレーターのゲームをプレイしています。
山本 私は3歳のころから中国武術を学んでいたので、子どものころは格闘ゲームがすごく好きで、ゲーム内に登場する技を見ながら、もしかしたら実践で使えるかな、ということを想像したこともありました(笑)。最近は自分のゲームのセンスがあまりないということがわかったので、育成ゲームをプレイしてます。
梶 声の出演をさせていただくことが多いので、関わらせていただいたゲームはけっこうプレイしたりするのですが、昔から好きなのは、RPGですかね。やっぱり、非日常の世界に入れるというのが素敵だなと思います。
栗山 なんでも好きではあるんですが、とくに好きなのは、デスゲームです。
本郷 僕も『ダンガンロンパ』とか、自分が作品に関わる前から発売日に買ったり、発売前の作品の体験版もプレイしたりするぐらい、こういったデスゲーム、推理アドベンチャーが好きです。たぶんこの作品は関わっていなかったとしても、本作はプレイすると思うほど、好きなジャンルです。
──制作発表会で、栗山さんは梶さんの大ファンとお話をされていましたが、現場で共演されて抱いた、梶さんの印象を教えてください。
栗山 私は現場で憧れの人に出会っても、しっかりお芝居に集中しないといけないという意識がありますので、現場では平然とした態度でお芝居に取り組んでいました(笑)。梶さんの印象は、イメージどおりで優しく、素敵な方でした。
梶 現場の栗山さんからは、全然そういった感じはなかったんですよね。僕のほうも“女優さんに気軽に話しかけてはいけない”と思って、真摯にお芝居していたのですが、さっきファンという言葉を聞いて、衝撃を受けました。
''──先ほど梶さんからはお話がありましたが、改めて、ゲームに実写で出演されることとなったときの心境をお聞かせください。”
本郷 映画でもあり、ゲームでもある作品を実写で作る、ということで、すごく新しいプロジェクトだなと企画書をいただいたときに感じました。そんなプロジェクトに、ゲーム制作のノウハウはもちろん、お芝居の脚本にも携わっていた経験のある小高さんが参加されているいうことを聞いて、いちばん“実写インタラクティブムービー”というジャンルに適した方が作っていると感じ、安心して受けられるなと思いました。
栗山 私は単純に“おもしろそう!”という印象で飛びついたのですが、もともと自分の好きなジャンルのものに、自分が吸い寄せられたような形で、今回の新しいプロジェクトに参加させていただくことになったという印象を受けました。
森崎 最初に台本をいただいて、この作品が“映画でもあり、ゲームでもある”ということを聞いたときは、本作がゲームだという意識はなくて、1本の映画の作品のように感じました。本作に役者として向き合うという意味では、すごくワクワクしたのを覚えています。
山本 私は、小高さんをはじめとするすごいクリエイターの皆様と、こんなに豪華なキャストの皆様の中に入らせていただけるということにすごく衝撃を受けて、うれしい気持ちを抱えながら撮影に臨んだことを覚えています。撮影期間中も、もちろん皆様のエネルギーと熱量もすごくて、すごく新しいジャンルのプロジェクトに参加させていただいているということにワクワクもしましたし、撮影を通じて、新しい自分も見つけることができたと思います。映画の世界やゲームの世界に入るということは、一度は憧れるシチュエーションでもあると思うので、そんな世界観に入らせていただいたことが、演者としてありがたく感じました。
梶 僕はふだん、声優としてゲーム等に声の出演をさせていただいている立場なので、また皆さんとは違った角度の感じかたをしていたと思いますが、そもそも、ゲームと映画の融合という企画自体が魅力的で、我々にとっても、プレイヤーの皆様にとっても、いままでにない体験になるのだろうという感覚はありました。先ほどもお話しましたが、なぜ“ホテルのフロント役”という立ち位置を、声優である僕にお願いしてくださったのか、という理由が、ゲームの根幹にも関わる部分ではあるかもしれない、ということがあったので、僕自身はお芝居をする上で、ゲームだから、映像だから、ということはなく、自分の役を一生懸命演じさせていただいたので、完成したものを僕らも早く見てみたいなという気持ちです。
──最後に、発売を楽しみにしているユーザーに向けて、メッセージをお願いします。
山本 私自身もまだプレイしていないので、とてもワクワクしています。皆様にも、たくさんいろんな選択をして、プレイしていただいて、感想が聞けたらうれしいです。
梶 おそらく、いままでにない経験を、ゲームを通して体感していただける作品になっていると思います。やり込み要素もたっぷりあると思いますので、ひとつのルートだけでなく、いわゆる、バッドエンドと呼ばれるものも含めて、隅々まで楽しんでいただけたらなと思います。発売を楽しみにお待ちください。
森崎 こうした新しい試みというものは、前例がないからこそ、逆にどうなるのか、発売日まではわからない状態なので、新しいおもちゃを買ってみるような感覚で、買って、楽しんでいただけたらなと思います。絶対に作品は裏切らないと、自信を持って言えるので、プレイしていただけたらなと思います。なんといっても、1900円なので(笑)。よろしくお願いします!
栗山 くり返しになりますが、本当に全ルート、すべてのお話がおもしろく、楽しいと感じていただけるものとなっていますので、一度と言わず、何度もプレイして、楽しんでいただきたいと思います。ぜひ、6月の発売を楽しみになさってください。
本郷 素敵なキャスト、優秀なスタッフとともに、この作品を作りました。撮影を通して、すごく手応えも感じていますし、間違いなく、皆様を後悔させない作品に仕上がっていると思います。ひとりでじっくりプレイしても楽しいし、誰かといっしょにプレイしてみるのも楽しい作品だと思いますので、ふだんゲームをプレイしない方とかも、ぜひこの機会にプレイしていただければと思います。発売、完成を楽しみにしていてください。今日はありがとうございました。
[2020年2月8日17時15分修正]
価格の表記について誤りがあったため、該当の文章を修正いたしました。読者並びに関係者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。