2019年1月16日に発売され、セールス、評価ともに好調の『龍が如く7 光と闇の行方』(以下、『龍7』)。『龍が如く』いうタイトル自体はかなりメジャーではあるものの、いまだ遊んだことのない人も少なくないだろう。

 そんな人にぜひ知ってほしいのが、じつは今回の『龍7』は、シリーズに触れるべき絶好のタイミングだということ。「ナンバリングの途中から?」という気持ちはわからなくもないが、事実そうなのだ。そこで本稿では、なぜこのタイミングで『龍7』をプレイするべきなのか、そして本作の魅力はどんなところにあるのかを、合わせて紹介していきたいと思う。

なぜ今、『龍7』を遊ぶべきなのか?

理由その1 主人公が変わってキリがいい

 最初に伝えておきたいのは、「本作で主人公が変わった」ということ。これが何を意味するのかと言えば、それはつまり「これまでの『龍が如く』シリーズの知識が無くても、本作の主人公と同じ視点で遊べる」とイコールなのだ。

彼が新主人公の春日一番。もともとは、神室町を牛耳る東城会という極道組織に属する荒川組の下っ端組員だった。

 そもそも新主人公の春日一番は、これまでの『龍が如く』シリーズで起きた出来事をほとんど知らない。なぜなら彼はそのあいだ、ある事情で刑務所にいたから。このあたりは裏社会の物語を描く『龍が如く』らしいところではあるのだが、プレイヤーとしても過去の『龍が如く』シリーズ作を遊んでいなくても問題なし。強いて言えば……

  • 神室町という巨大歓楽街で、これまで極道たちのいろいろな争いがあった。
  • 東城会が関東最大の極道組織で、近江連合が関西最大の極道組織。過去には裏社会の覇権をかけた抗争もしていた。

 この2点だけ知っておけばオーケー。むしろ、その程度の知識で始めたほうが、シリーズ作をずっと遊んでいた人と違った視点で物語が見られて楽しいと思う。遊んでみて楽しかったら、過去作に遡って遊べばいいのだし。言うなれば「『スター・ウォーズ』をエピソード1から観たか、エピソード4から観てきたかの違いでしかない」と思っていただければよいのではないかと。

理由その2 ストーリーが超おもしろい

 好みもあるのであまり断言してしまうのもナンだが、エンディングまでしっかり観た筆者の個人的な感想で言えば、物語のおもしろさはバツグンだ。本稿は『龍が如く』シリーズ未プレイの方にこそ読んで欲しいと思って書いているので、従来作との比較に意味はないかもしれないが、本作のストーリーの面白さはシリーズでもトップクラスだと思う。

 「ゲームライターの言うことなどアテになるか!」と思う方は、ネットには評価がガンガン書き込まれていると思うので、ネタバレに十分注意しながら見ていただきたい。おそらく、物語に対する評価は決して低くないはずだ。

 本作は“どん底からの成り上がりを描く物語”と表現されているが、それはRPGらしく「春日がグングン強くなっていく姿を見る」という意味だけで使われていないと感じる。本作のストーリーを端的に言えば、複雑な生い立ちの主人公がさまざまな事件を経て、自分の生き様を見つけ出す、そんな物語だ。そういう意味合いでの“成り上がり”も描かれているので、物語の終盤にはかなりグッとくる人も多いと思う。

 とは言え、シリアス一辺倒ではないのも本作のいいところ。春日の「ちょっとバカだけどスゲーいいヤツ」というキャラクターがストーリーにマッチして、面白さにブーストをかけている気がする。

 また、仲間の存在も物語にしっかりと噛み合い、コマンドRPGとの相性のよさを引き立たせている。仲間たちのバックボーンを描くエピソードもそれぞれ秀逸なのだが、そんな彼らの背景を踏まえて春日の身に巻き起こる出来事を体験しているうちに、気づけば仲間といっしょに春日を応援したくなる……という構造になっている。

 ストーリーに関してあまり多くを語るのも野暮なのでこのあたりで留めておくが、その評価だけはぜひアチコチでチェックしてみてほしい。

理由その3 仲間と協力して戦うバトルが楽しい!

 本作のバトルはこれまでの『龍が如く』シリーズ作とは異なり、コマンドRPGのシステムが採用されている。この変更によってもたらされた新たな魅力が、“仲間たちといっしょに戦うこと”の面白さだ。

 本作では最終的に、最大で6人が春日の仲間になり、バトルでともに戦うことになる。もちろん彼らはストーリーでも重要な役回りを演じているわけなのだが、それに加えてシステムがRPGになったおかげで“仲間と春日が戦いを通じて成長していく”という過程をしっかりと体験できる。だからこそ、仲間たちの想いが描かれるシーンではプレイヤーの気持ちが入り、心が大きく揺さぶられるのだ。

酒を酌み交わしながら仲間との絆を深めていくシーンも。

 もちろん、純粋にバトルの部分だけを抽出しても、本作のコマンドバトルは楽しい。多くの人が遊び慣れているシステムだからストレスはないし、敵を倒すための作戦を考えたりする楽しさもある。レベルによっては敵の強大さを感じることもできるし、逆にこちらのレベルを上げることで無双感も味わえる。

 また、キャラクターの育成の自由度も高く、春日や仲間たちを自分なりのイメージで育てられるところもRPGならではの部分だ。選択しているジョブやこれまでにどう育成してきたかでキャラクターの能力が変化する。つまり、多少の時間はかかるが、仲間を自分の理想像に近づけるように育てていくという楽しさも堪能できるというわけだ。

 ちなみに、RPGであるがゆえにレベル上げやお金稼ぎと無縁ではいられないのだが、そのストレスは熟慮の末に軽減されているのも本作のいいところ。とくにお金稼ぎは、本作に収録された“会社経営”という遊びがかなり楽しいため、苦労を味わうことなくクリアーしてしまうような人もいるかもしれない。

会社経営はもはや別ゲーム。これが肌に合う人は、みるみるお金が貯まるに違いない。

理由その4 街のリアルさがとにかくスゴイ

 これは本作に限ったことではないのだが、舞台となる街の作り込みは相変わらず緻密。とくに本作のメイン舞台になる伊勢佐木異人町は、リアル横浜の伊勢佐木町近辺をいい感じにデフォルメして作られている。土地勘がある人なら「厳密に言えば違うけど、わかるよ!」とか、「本当はここにこんな場所はないけど、でもそういう雰囲気はあるよね」といった感想を持つことだろう。

伊勢佐木町に行ったことがない人でも、中華街や山下公園などの観光スポットを見たことがある人はいるのでは? 厳密にはいろいろ違うのだが、その記憶だけで街並みを見れば「リアルだ!」としか感じないハズ。

 じつは、こういう現実に近い世界観……しかも現代の日本で戦うというのは、RPGというジャンルにおいてそう多くはない。なぜなら、RPGのお約束である魔法などの存在が違和感にしかならないからだ。しかし本作では現実との近さを逆手に取り、魔法を現実世界であり得なくもないユニークな行動で表現したり、ジョブを実在の職業に当てはめてみたりしている。

 けっこうバカバカしいのだが、それがいい意味でのスパイスとして効いているのも事実。RPGファンの中には「もう剣と魔法は飽きた」という人が少なからずいると思うのだが、そういう人にはけっこうオススメだ。ただし、すごくシリアスな感じは期待しないでほしい。

ハローワークも話題となった、この世界での転職。言語化すると「キャバ嬢やミュージシャンが勇者を助ける」なんてイカれた言葉になるのだが、遊ぶと意外にしっくりくる。

理由その5 キャラクターがみんなイケてる(演技含む)

 ストーリーに絡む部分もあるので、あまり突っ込んでは語れないが、とにかく登場人物が片っ端から魅力的だというところも本作の優れた点のひとつだ。その魅力を演出しているのが、キャストの演技やキャラクターの巧みな描きかたにあると推察する。

 本作の主要キャラクターとして登場している俳優キャストは、中井貴一氏、堤真一氏、安田顕氏の3名なのだが、いずれもその高い演技力がいかんなく発揮されている。平たく言えば「超うめえ!」だ。アニメなどでは芸能人キャストが演じることの賛否が取りざたされることもあるが、「このレベルの人が演じた場合は関係ないんだな」と感じさせられた。

 さらに、それに勝るとも劣らない声優陣の演技も光っている。筆者個人の印象で言えば、春日一番を演じる中谷一博氏、足立宏一を演じる大塚明夫氏、荒川真斗を演じる鳥海浩輔氏の演技が声優陣としては際立っていた気がする。と、3名を挙げておいてナンだが、本作の演技について物申したいことは皆無。マジですべての声優陣が素晴らしい。

 「じゃあ好きなキャラクターがその3人なのか?」と聞かれると、まるで異なる面々になってしまうのも不思議なところ。個人的にはソンヒと趙天佑、高部守が好みなのだが、なぜそうなったかを考えると……各キャラクターに筆者のツボを押さえたシーンが用意されていたからに尽きる。

 そういったツボはプレイヤーそれぞれ異なるので、遊んだ人によって選ぶキャラクターは変わると思うが、少なくとも主要登場人物それぞれにしっかりとした見せ場があり、好きになれるだけの魅力が描かれている点は秀逸だと感じた。

エロいシーンは一切ないのだけど、ソンヒはエロかっこいい。そう感じさせるのは、声優・武田華さんの巧みな演技ゆえか?
まさにこれぞ極道、ともいえる高部も個人的には推し。決して出番が多いキャラクターではないのだけれど、惹かれてしまう魅力があった。

理由その6 イカレた演出があちこちにあって笑える

 歴代『龍が如く』シリーズでもそうだったが、本作にも「バカバカしい、突飛な、笑える」要素があちこちに配されている。これが、プレイするうえでの清涼剤として機能している点も筆者がシリーズを通して好んでいる点だ。

 そもそも、お金を払ってバトルを助けてくれるシステムに“デリバリーヘルプ”という名称を付けてしまい、呼び出せるキャラクターにヤクザやマゾのおじさん、ザリガニが並列でラインアップされている時点で……どうかしている。

 さらに、ヘンテコなモノを武器として使えたり、ボスとして登場する敵に大型重機がいたり、サテライトレーザーで敵を打ち抜いたり……おかしなシーンがちょいちょい入ってくる。そういった場面でニヤニヤしつつも、なぜかストーリーを観ているときにはふつうに感動したりするのだ。

 こう伝えると嘘みたいだし、冷静に考えればメチャクチャなのだが、まぎれもない事実。この不思議な感覚は、『龍が如く』シリーズ以外ではあまり味わえないものなので、ぜひ体験してほしいと思う。

どこの世界に巨大電動マッサージ機を片手に、大立ち回りを演じる主人公がいようか!(『JUDGE EYES:死神の遺言』にもいたが、そこは同じ遺伝子を持つ作品なので……)
現実に近い世界観だからといって、リアル志向なわけじゃないのは、この写真を見れば一目瞭然だろう。

理由その7 プレイスポット(筆者はパチスロ)が楽しい

 とにかくたくさんのミニゲームが収録されていることは、これまでの『龍が如く』シリーズの特徴のひとつとされてきた。もちろん本作にも、レースゲームやリズムアクションなど多彩な遊びが収録されている。だが、本作で筆者がとくにスゴイと思ったのは、パチスロの実機収録だ。

 無料のダウンロードコンテンツを含めると、本作では『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』、『アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-』、『パチスロ蒼天の拳 朋友』、『パチスロ猛獣王 王者の咆哮』の4機種で遊ぶことができる(『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』と『パチスロ猛獣王 王者の咆哮』は無料DLC)。パチスロファンからすればかなり豪勢なラインアップだ。

 しかもこれらはゲーム本編を進めることなく、いきなりメニュー画面からも遊び始められるという仕様(※ただし、メニュー画面から遊んだパチスロで獲得したメダルは、本編には引き継げられない)。パチスロファンなら、真っ先にパチスロから遊び始めてしまうことだろう。

『アナザーゴッドハーデス-奪われたZEUSver.-』/
©UNIVERSAL ENTERTAINMENT
パチスロと同様、『バーチャファイター』シリーズの2P対戦などもメニュー画面から遊び始められる。もはやこれは、対戦格闘ゲームを買っているのと同義では?

 「きっかけはどうあれ、本作に興味を持ってほしい」という気持ちが溢れすぎた結果、このような仕様になったと推察されるのだが……その思い切りかたが清々しい。

 また、あらゆるモノがそういう旺盛なサービス精神で作られているので、ゲームを進めることで楽しめるミニゲームに関しても、作りがガチ。ミニゲーム集として考えても、十分元は取れると思うので、そういう視点で本作に触れるかどうかを評価するのもいいかもしれない。

 と、『龍7』にかけて7つの魅力を解説してきたのだが、琴線に触れるようなポイントはあっただろうか? ひとつでもあればとは言わないが、いくつか気になるポイントがあれば、ぜひこのタイミングで『龍7』に触れてみてはいかがだろう?

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