『ロケットリーグ』高校生の頂点に立ったのは、大分・鶴崎工業!

 2019年12月28日ならびに29日、毎日新聞社とサードウェーブが主催する“第2回全国高校eスポーツ選手権”が開催された。

 28日には『ロケットリーグ』、29日には『リーグ・オブ・レジェンド』部門のオフライン決勝大会が行なわれた。本記事では、全国高校の100を超えるチームが参加した『ロケットリーグ』部門の決勝大会についてお伝えしていく。

毎日新聞社が主催するということで、高校球児や若きラガーたちの大会を連想する人も多いだろう。eスポーツにも同じように、高校生たちによる熱い舞台を用意してもらえた!

 すべての試合が名試合となった決勝大会。中でも決勝戦の盛り上がりはすごいものだった。2019年内の、いや日本における『ロケットリーグ』大会史上、最高クラスに盛り上がったと言っても過言ではない。それほどに観客席が震えた。

 もっとも手に汗握ったのは決着の瞬間だ。同点のまま決着の時間が迫り、多くの人が延長戦に突入すると思った矢先、ラスト1秒どころか、ラスト0秒でゴールが決まったのだ。いわゆる“ブザービーター”である。熱すぎる展開で決勝戦を制したのは大分県立鶴崎工業高等学校だった。

『ロケットリーグ』はラジコンのような車でサッカーを行うゲーム。ジャンプしたり壁を登ったりと、高速かつ立体的な動きが特徴だ。NBAも真っ青のブザービーターが決まったのだから、感動せずにはいられない。
この優勝カップを彼らが手にする瞬間までに、どれだけのドラマがあったことか!

 この瞬間に至るまでにも、さまざまなドラマがあった。今大会の決勝戦は、前回の第1回大会の決勝と同じカード。優勝した鶴崎工業は対戦相手の佐賀県立鹿島高等学校に、昨年は敗れていた。そんな因縁と雪辱もまた、試合を彩る要因となった。

 ドラマを見せてくれたのは、決勝戦で激突した2校だけではない。準決勝の相手校にも、さまざまなドラマがあった。以降は、最高のクライマックスに至るまでの、すべてが最高すぎた決勝大会の模様をリポートしていこう。

 試合の模様をまとめたダイジェストムービーはこちら。

eスポーツニュース「第2回全国高校eスポーツ選手権 ロケットリーグ部門」

高校の青春を燃やしきる大会がまぶしい

 まずは本大会の概要を説明しよう。本大会の主催者は毎日新聞社とサードウェーブ。“eスポーツを日本の新しい文化にしたい”という想いから誕生している。

 毎日新聞社といえば、先述のとおり、春の選抜高校野球や全国高等学校ラグビーフットボール大会の主催者としてもおなじみ。スポーツ文化を盛り上げるべく、それに打ち込む高校生たちを奮い立たせる大舞台を用意している。

 その毎日新聞社に、若者たちへのeスポーツ支援プログラムも手厚いサードウェーブが加わり、協賛各社の支援を受けたうえで、eスポーツに打ち込む高校生のために用意されたのが本大会なのだ。

競技に青春を燃やす高校生を応援する毎日新聞社と、高校に向けて“eスポーツ部 発足支援プログラム”を実施するサードウェーブのタッグで大会を主催。

 決勝大会の舞台では、MCをOooDa氏、アナリストをValtaN氏が務め、試合の実況をkokken氏、解説をdore52x氏が担当。

 さらに、本大会の応援サポーターとしてアイドルグループ“22/7(ナナブンノニジュウニ)”から海乃るりさんと倉岡水巴さんが、さらにスペシャルサポーターとしてケイン・コスギ氏が会場に駆けつけてくれた。

総合MCを務めたOooDa氏。
アナリストを務めたValtaN氏。
実況・解説を務めた、kokken氏(左)とdore52x氏(右)。
応援サポーター“22/7”の海乃るりさん。
応援サポーター“22/7”の倉岡水巴さん。
第1回大会から引き続き、スペシャルサポーターを務めるケイン・コスギ氏。
ケイン・コスギ氏は前大会と同じく、開幕宣言を担当。「e-sports!」の掛け声とともにトロフィーの除幕を行った。

 今回の『ロケットリーグ』部門大会に参加した高校の数は106校にも及ぶ。予選大会での激戦を勝ち抜いてきた4校は、いずれも圧倒的な強さを見せてきた強豪だ。解説陣にも「どのチームが優勝するかまったくわからない」と言わしめるほど。

予選大会を勝ち進み、このオフライン決勝大会の場に立った4校。
前大会の覇者、佐賀県立鹿島高等学校“OLPiXと愉快な仲間たち”。
N高等学校“Cat A PuLT”
大分県立鶴崎工業高等学校“雷切”。
北海道釧路工業高等専門学校“VTuberすこすこ隊ver2”。

 準決勝戦と決勝戦の試合形式は、3対3のBO5(3本先取で勝利)。1ゲームの試合時間は5分と短めだが、高速展開がくり広げられる『ロケットリーグ』の試合は濃密だ。5分の間に激しく攻防が入れ替わるので、短いとは感じられない。

 試合を観ていると、選手たちはこともなげに車を操っているように見える。当然、そんなに簡単な話ではない。ふつうにシュートやジャンプをするくらいなら難しくないが、自由自在に操るとなると話は別だ。

 華麗なボールコントロールの裏側には相当の練習が必要。勝敗には運の要素がほぼなく、練習量が実力に表われるストイックなタイトルなのである(とはいえ、わいわい遊べる対戦ゲームとしても秀逸)。

ステージでは『ロケットリーグ』のルール解説のほか、22/7のメンバーが本作に挑戦した模様も上映。各メンバーともに初歩的に見えて難しい課題に奮闘し、本作が単純明快だが奥が深いということを実証してくれた。

 操作系に関するポイントとして、スピードを一時的に上げる“ブースト”の使いこなすのも重要だ。ブーストをいくらでも使えるようならひとりで敵をかわしてシュートすることもできそうだが、使用できる量は限られている。

 仲間がそれぞれの役割を果たしてくれると信じつつ、目まぐるしい展開の中でボールの位置や試合の展開を先読み。高度なチームワークが要求されるのはサッカーやフットサルとも同じだ。

ただひと言「おもしろかった」と伝えたい。最高の試合が展開

 ここからは試合の内容を、ダイジェストでお伝えしていこう。決勝戦のみならず、準決勝戦の段階から一瞬も目を離せない試合ばかりだった。

準決勝第1試合 釧路高専(北海道) vs 鶴崎工業(大分)

 1ゲーム目は、オフライン大会初参加ながら釧路高専が果敢な攻めを見せて先制点を獲得したものの、負けじと鶴崎工業も連続でシュートを決めて、そのまま逆転勝利。2ゲーム目ではさらに鶴崎工業の連携が冴え渡り、0-5での勝利を収めた。

 鶴崎工業がリーチをかけた3ゲーム目、釧路高専は先制点こそ譲ったが、諦めずに2点をもぎ取って逆転。このまま勢いに乗るかと思われたが、鶴崎工業の巧みな連携がそれを許さなかった。相手のブーストのガス欠を誘うなど、解説陣も「完璧」と舌を巻く立ち回りを見せ、2-3で3ゲーム目も勝利。3タテを決めて決勝戦に駒を進めた。

準決勝第2試合 N高 vs 佐賀県立鹿島(佐賀)

 鹿島は前回大会の優勝校。強豪ではあるが、温まりきる前のディフェンスの隙をN高に突かれ、立て続けに3失点。そこから焦りを徐々に克服し、残り2分半で1点、さらに残り13秒のところで2点目を返した。1ゲーム目は譲りつつも、流れを持ち直していく結果となった。

 2ゲーム目と3ゲーム目では、鹿島が先制点をもぎ取ってペースを握った。守りを固める黄金パターンに持ち込み、無失点で連勝。鹿島が王手をかけた4ゲーム目は、両チームともにすばらしいセーブを見せ、残り時間35秒まで両者とも無得点という展開になった。その均衡を破ったのは鹿島だった。バンプ(※)で生む一瞬の隙を見事に連携シュートへとつなげて4ゲーム目も勝利。当初は目立っていた緊張をほぐしつつ、決勝戦に進出した。

※バンプ:最高速度の体当たりで約3秒相手を行動不能にするテクニック。

決勝戦 鶴崎工業(大分) vs 佐賀県立鹿島(佐賀)

 第1回の決勝戦と同じカードとなった決勝戦。解説陣の見立てでは、両チームとも前大会のときと比べて明らかに成長しているという。どちらが勝ってもおかしくない、因縁の再戦が始まった。

 まず1ゲーム目、開始後わずか7秒で先制点を決めたのは鶴崎工業。その後も絶妙なドリブルワークでの突破や、味方のボール運びを信じた事前のポジショニングで、得点を4点まで重ねた。鹿島は途中で1点を返し、さらに残り7秒で2点目を獲得。敗れはしたものの、一方的になる流れはきっちりと断ち切っていく。

 2ゲーム目も鶴崎工業が先制。だが、1-0のリードを守ち続けることはできず、残り47秒で鹿島が同点に追いついた。試合は延長戦に入る接戦となったが、鶴崎工業がシュートを決めて勝利。2本先制し、早くもリベンジ達成に王手をかけた。

 流れは鶴崎工業にあり、と思われた3ゲーム目。鹿島は先制点を取り、守りを固めつつも要所の攻めでペースを崩していく。準決勝でも見せた黄金パターンで勝利した。

 4ゲーム目は鹿島が先制に成功。鶴崎工業が猛烈な追い上げを見せるが、両チームともに焦りから守りが崩れ始める。そんな中、2-4で鹿島が4ゲーム目を制し、イーブン状態にまで追いついた。

 いよいよ最後の試合となった5ゲーム目。開始15秒で先制点を決めた鶴崎工業は、開始後40秒までに3点を奪う速攻を見せた。

 だが、鹿島は圧力に屈しない。そこから20秒という短時間で2点を取り返していく。以降はお互い果敢に攻め込に乱打戦の様相を呈したが、得点にはつながらなかった。

 焦りと緊張が最高潮を迎えても、鹿島は絶えず攻め続けた。相手の守りを少しずつ崩していき、試合残り時間42秒でついに3点目を獲得。同点に追いついた。

 そのまま試合はタイムアップ。決着は延長戦に持ち越されたと誰もが思っただろうが、選手たちは諦めなかった。『ロケットリーグ』では、タイムアップ後にボールがフィールドに落ちた瞬間に試合が終了するのだ。

 残り時間がゼロ秒になったとき、ボールは宙を舞っていた。両校ともに果敢に食いつき、最後にねじ込むことに成功したのは鶴崎工業。ボールへの執念にも似た思いが優勝を引き寄せたのである。

 見事なブザービーター。あまりに熱すぎた決着に、観客席からは大きな拍手と声援が飛び、解説陣や登壇者の全員が「本当におもしろかった!」と称賛を惜しまなかった。解説のkokken氏をはじめ、目を潤ませる登壇者もいたほどだ。

 試合直後、壇上では鶴崎工業からは「緊張というより、楽しくて仕方がなかった」と、鹿島からも「GG(グッドゲーム)でした!」とコメントが聞けた。その場の全員が『ロケットリーグ』の魅力を改めて知る、最高の試合でもって本大会は閉幕となった。

出場校にインタビュー

 最後に、試合後に行なわれた各校のインタビューもお届けしよう。選手たちは限られた高校時代の時間をまっすぐに『ロケットリーグ』にぶつけ、仲間たちとお互いに信じあってここまで来た。

 そんな彼らの熱意や悔しさなどのさまざまな想いを、少しでも感じ取っていただけたなら幸いだ(文中では敬称略)。

釧路工業高等専門学校

――まずは試合を終えての感想を聞かせてください。

Yotsubq 勝つつもりだったのですごく悔しかったですが、来年へのモチベーションにつなげられればと思っています。

Lambchan 味方とのローテーションがうまく回せなくて、圧倒されてしまったので、悔しいのひと言です。

HRKmur (自分は)リザーブメンバーだったんですけど、最初はよく攻めれていたけど惜しいところもあって、そこを今後直していければいいかな、と思いました。

Poriko1496 さっきYotsubqが言っていたように、勝つつもりでやっていたのに、声かけしながらもフォーメーションを崩されたのが悔しいところです。

――圧倒されたとのことですが、相手の鶴崎工業はどの辺が強いと感じましたか。

Lambchan 出してくる球が想像以上に強いものが多くて、そこら辺で動きを崩されて負けたという感じでした。

――3ゲーム目には、それまでの固さから見違えるような動きを見せてくださいました。皆さんの間でどのような変化があったのでしょうか。

Lambchan 1、2戦目はがむしゃらに「勝つ、勝つ!」みたいな感じだったんですけど、3試合目は本当に負けられないから冷静にいこうと思って。建前を変えてみた結果、けっこういい感じに戦えました。

――今日の試合を通じて、これから修正していきたいと考えた点などはありましたか。

Lambchan 相手がどれくらいの球を返してくるのか想定の幅を広げて、より広く立ち回れるようにしていきたいです。

――この大会全体を通して、チームとして成長できた点はありますか。

Lambchan 『ロケットリーグ』は本当に連携が大事なので、声がけとか味方がどれくらい動けるかを把握して動くとか、連携を深めたのが成長できた点だったと思います。

――負けて悔しいかとは思いますが、皆さんの表情を見ると、やりきったようにも見えます。この大会は、皆さんにとってどんな大会になりましたか?

Lambchan 雷切(鶴崎工業)に前の大会のリベンジをするつもりで毎日練習してきた結果、負けたけどいい試合はできたと、やりきった感はあります。来年もがんばります!

N高等学校

――前回チャンピオンに先制し追い詰める、見事な試合を見せていただきました。今回の試合でよかったと思えたところを教えてください。

tetu よくも悪くも僕たちの地力で戦ったというか、3人とも少しの緊張と乱れはあったと思うんですけど、全員の力を発揮できました。

――2ゲーム目以降はかなりの苦戦となりましたが、その原因はどのように考えますか。

tetu 地力の差だと思います。個人技であったり、そういった部分が根本的に負けていたのが試合の負けにつながったんだと思います。

――試合中、会場に響くくらいの声でリーダーから声がけがされていましたが、どんなことを話したのでしょうか。

tetu とにかく切り替えるようにと、声をかけていました。少しでも負けを意識してしまうと勝ちの可能性もなくなると思っていたので、ただただ「勝てる!」ということを伝えていました。

――熱いチームワークを見せていただきました。このチームで過ごした今回の大会に至るまでの時間は、どのようなものでしたか。

tetu 本当に、惜しかったですね。皆でゲームに本気で打ち込んで、大きな舞台にまで出られて、本当に楽しい時間でした。

――ディフェンディングチャンピオンのチームと戦ってみて、どのように感じられましたか。

tetu ただただ個人技のレベルが高いと感じました。逆に、チームワークは僕らに分があると感じて、そこを活かして戦っていこうとしました。とくに個人技でハイレベルと思ったのは、高いボールに対しての安定した精度。決めるところで決められるというシュートの技術などです。

――再戦するとして、ここをもっと強化すべきだと思った点などは?

yayo256 ひたすら個々の個人技を磨いていくべき、と思いました。鹿島が強い理由が戦ってみてわかり、地力の差がはっきりしましたので、あのレベルにまで行きたい、と思いました。
 
――今後卒業などを経た後も、eスポーツに関わっていきたいですか?

clockei0516 自分はそこまでeスポーツにはこだわっていなくて、進路はまだ決めていないんですけど、今回で最後かも知れないし、またどこかで再燃するかも知れないです。

tetu 自分は中学生のころからeスポーツに触れて、プロゲーマーへの道を歩みたいと思っていたんですけど、中高とゲームをやってきてなかなか実力が付かずにここまで来てしまいました。できればやっていきたい気持ちはあるんですけど、大学のことも考えています。もう少しがんばりつつ、たとえ離れてしまっても、eスポーツに関する仕事には就きたいと思っています。

yayo256 eスポーツの大会に出ているという実感より、いまは『ロケットリーグ』というゲームが楽しいからその大会に出ている、という意識が強いです。当然、ゲームとして続けていきたいですし、実力さえあればプロ選手になれるかな、とは思っています。生半可な覚悟で行ける世界ではないので、行けるなら行きたい、という感じですね。

――yayo256選手以外のおふたりは、2年生の今年で“全国高校eスポーツ選手権”に出るのは最後と伺いました。おふたりにとって、本大会はどんな大会でしたか。

clockei0516 来年は出られませんが、このチームで今回やれて楽しかったですし、やれることはやりきったかな、と思います。

tetu いい経験になったと思います!

――yayo256選手からの、来年に向けての意気込みを聞かせていただけますか。

yayo256 来年も自分は出ると思いますし、N高にはほかにも強い選手がたくさんいますので、その選手たちともまたこの舞台に来たいです。当然優勝する気で出場するかと思います。

佐賀県立鹿島高等学校

――優勝候補として今大会に出場したことで、特別な緊張などはありましたか?

OLPiX08 優勝へのプレッシャーも合わせて、緊張は多少ありました。

Morix 終始ありました。試合を重ねても、最後まであったと思います。

Ron-nex 2回目なので緊張はさほどなかったですけど、不安は大きくて、勝ちたいけど負けるかもと思ってしまっていました。

――今回もまた対戦してみて、鶴崎工業の印象はいかがでしたか。

OLPiX08 去年より格段にうまくなっていて、とくにチーム力が上がっていたのが差になったと思います。

Morix 選手全員が強くて、ふたりだけが強いチームよりは皆が強いチームの方が上を行ったんだと思います。

Ron-nex 自分たちが前の大会のときと比べて個人個人のプレイになってしまっていて、チームプレイと総合力で上回られ、個人では対応できませんでした。

――最終ゲームでは開幕に3点先制され、そこから追いついていましたが、どのように気持ちを切り替えていたのでしょうか。

OLPiX08 勝っても負けてもこれが最後だと、やり切ろうという想いでがんばりました。

――決勝戦の試合を終えて、連覇が叶わなかったことへの想いを教えていただけますか。また、敗因はどのようなところにあったと思いますか。

OLPiX08 練習時間があまり取れなかったことと、最後まで集中力が続かなかったのが敗因になったと思います。試合にうまく入れなかったかなと。

Morix 自分はオフライン大会は初出場だったので、オフラインの環境に慣れていなかったのと、ふだんの自分の動きができなかったのがよくなかったかと思います。

Ron-nex 操作感覚が家でプレイするのと違い、それに対応しきれなかったところがありました。

――そんな中でも、2本先制された後に、見事な盛り返しを見せてくれました。この盛り返しができた理由は何だと思いますか。

OLPiX08 諦めなかったからだと思います。

Morix ふたりの得点力があって、雰囲気も悪くならなかったのがいい状況になったんだと思います。ふたりにばかり、任せきりでしたが……。

Ron-nex 先行された後の声がけで、お互いがんばろうという形が作れていたからだと思います。

――106校の戦いを勝ち抜いて、ここまで来られた力の源は何だったと思いますか?

OLPiX08 いままでの練習量ですかね。ほかのチームよりも、そこで勝っていたんだと思います。

Morix ふたりと比べると期待されていなかったとは思いますが、そんな自分も応援してくれた人たちがいたので、がんばれました。

Ron-nex 学校の友達だけでなく、オンライン上で仲よくしてくださってる人たちが期待してくれていて、前向きな気持ちになれました。

――今大会のような場ができたことで、周囲で変わったと思われた点はありましたか?

OLPiX08 このアジア地域は『ロケットリーグ』の世界大会への参加がまだできていないんですけど、今回の大会は海外のいろいろな人も観てくださったみたいで、世界の皆さんにアジアでも『ロケットリーグ』が盛んだということが伝えられたかと思います。

Morix 高校生プレイヤーのレベルが上がってきて、1年生、2年生とは思えないほどの実力がある人が出てきているように感じます。

Ron-nex いままで『ロケットリーグ』はプレイヤーが少なくて小規模のコミュニティーだったんですけど、大会のおかげでプレイヤーもどんどん増えてきて、盛り上がってきていると思います。

――皆さんにとっての、『ロケットリーグ』の魅力とは何でしょう?

OLPiX08 今回Morixも新たに始めてくれたんですけど、どんな人でも熱中できるし、すぐに楽しさが分かるし、観ててもやっても楽しいという、全員に楽しい部分があるという点です。

Morix まだ自分は300時間くらいしかプレイしていませんけど、自分がやったプレイ時間が実力に直結してくるゲームで、運要素がかなり少ないゲームという点だと思います。

Ron-nex Morixが言ったように、ふつうのスポーツと同じで、自分がやったぶんだけ上達するし、できないところは練習を重ねて克服できて、実力がついていくところだと思います。

――将来、eスポーツに関わる仕事に就きたいと考えていますか?

OLPiX08 将来についてはまだわからないですけど、まずは大学に進学してから、eスポーツにも携わっていけたらと思っています。

Morix 引き続きプレイヤーとして参加はしていきたいですけど、盛り上げる側、企画する側にもなってみたいと考えています。

Ron-nex 来年は大学生になりますけど、大学生をしながらでも大会などで、eスポーツのよさを広めていきたいです。

――2回に渡って“全国高校eスポーツ選手権”を戦い抜いてきた中で、高校生活にどのような変化があったと思いますか。

OLPiX08 熱中できるものがひとつ増えたところが、よかったと思います。

Morix 大会があったことで高校の他の部活と変わらないくらい、むしろそれ以上に力を注いで、熱中できました。

Ron-nex 受験生で練習との両立が難しかったんですけど、そのがんばったことが誇りになりました。

鶴崎工業高等学校

――この度は優勝おめでとうございます。まずは優勝した感想を聞かせていただけますか。

イソR まさか優勝できるとは思っていなくて、優勝できてよかったです。ありがとうございました!

AroDra 本当に優勝できるとはまったく思っていなかったんですが、皆が一丸になれていい雰囲気ででした。本当に最高の仲間とゲームができました。

mcRENTO 勝った瞬間に、自分はじつはまだ1セットあると思っていたんですよ。何でまだ1セットあるのにみんなこんなに喜んでるのかなぁ、と思っていたら優勝してて、まだいまも実感が湧いてないんですけど(笑)。

GORIRA 僕は準決勝に出て、決勝戦は控えに回っていたんですけど、本当にすばらしい仲間たちでよかったと思っています。

――mcRENTO選手は気が付かなかったと仰っていましたが、優勝した瞬間、ほかの皆さんはどんなお気持ちでしたか。

イソR 喜びしかなかったです。「やったー!」って感じでした。

AroDra 優勝を決めたシュートを撃つ前は「ここで外したらどうしよう」と心配だったんですけど、もう思い切って、ここまで来たらやるしかない、と撃ったらすごくきれいなシュートが入って、最初は実感が全然なかったです。

GORIRA 裏でスタッフさんとかと大盛り上がりしていました。裏のみんなも、一体になってた感じでした。

――去年悔しい準優勝となり、この一年雪辱に燃えてきたと思いますが、どのような練習を積み重ねてきたのでしょうか。

AroDra 個人としては、これまで得意だと思っていた個人技があまり通じない場面が多かったので、それをひたすら磨いて得意な部分を伸ばしてきました。

 仲間全体としては、イソR君が積極的に『ロケットリーグ』をプレイして成長してくれたので、僕とイソR君のいいコンビネーションが作れました。あとのふたりも『ロケットリーグ』ひと筋というわけじゃなかったですが、誘ったらしっかり乗ってきてくれました。

――最後のブザービーターの劇的なゴールの瞬間は、どのような想いでプレイされていましたか。

AroDra 一矢報いてやろう、ここで取れなかったら(延長戦に入っても)負けると思っていました。イソR君も、いつもはああいう場面では前に出ないんですが、ここで彼が前に出ているということは自分も出なきゃと思って、前に出たらあのシュートが決められました。

――ここで取らないと負けると、気持ち的に追い込まれていたのでしょうか。

AroDra そうです。2セット取っていい感じだったのに逆に2セット取り返されて、かなりテンションが落ちていたんですけど、最終ゲームの1シュート目で自分がいいシュートを決められたので、そこでテンションが戻ってきました。あの開幕のゴールがなかったら、危なかったかもしれません。

――決勝での勝因や対戦相手の鹿島の印象を教えていただけますか。

AroDra 前大会では自分はあまり仲間を信用せずに、自分だけで行ってやろうという気持ちが強く出てしまっていたと思います。でも今回は、味方を信頼して任せて立ち回った結果、すごく連携がうまく取れて、勝利につながりました。

 鹿島はひと言で言うと、OLPiX08選手とRon-nex選手の2トップがとにかく怖くて。1ゲーム目と2ゲーム目は3人でローテーションを回していく作戦だったんですけど崩されてしまったので、「ディフェンスが強い」というゲームの基本に返って、引き気味でディフェンスを重視したら防げてきました。それでも防ぎきれないボールがいっぱいあって、きつかったです。 

――ちなみに、皆さんの『ロケットリーグ』の総プレイ時間はどれくらいでしょうか。

イソR 980時間くらいです。

AroDra 自分はPS4でもやっていたので正確な時間は分かりませんが、PCでは1300時間になっていて、それにプラス700時間で2000時間くらいにはなっていると思います。

mcRENTO 自分もPS4からちょっとやっていたんですけど、PCだと250時間くらいで、合わせて500時間くらいだと思います。

GORIRA 僕は高校生になってから始めたので、350時間くらいです。

――前大会で悔しい想いをしてから、練習の内容など、変わったところはありましたか。

イソR AroDra君が勧めてくれたおかげで楽しく『ロケットリーグ』に打ち込めて、気が付けばいつの間にか900時間という感じでした。

AroDra 前回の大会では「楽しむことがいちばん」という感じでしたが、今回は楽しむことも大事だけど、皆で勝ちに行く気持ちも強くなっていて、このみんなで集まらないと『ロケットリーグ』はやらない、くらいの気持ちでした。

mcRENTO 各自就職試験とか進学とかがありまして、前回よりは練習時間が減っていたんですけど、いざ集まると短期集中できて、少ない時間の中で多くのことを学べたと思います。

GORIRA 身内にトッププレイヤーがいると、周囲の上達も早くなるのかな、と感じました。

――今回の決勝大会では、決勝まで無失点で勝った試合はなかったわけですが、決勝戦後半では神がかったディフェンスが見られました。そのときの心境は?

イソR ふだんはカスタムトレーニングモードで空中に浮いたボールを取る練習をひたすらしていたので、特別意識はしてなかったんですけど、とにかく相手より先にボールに触るようにやっていました。

――決勝で前回と同じ相手との対戦になるとわかった瞬間、どのようなお気持ちでしたか。

AroDra 正直に言うと「まずい、負けるかなー」と思いました。前の試合のN高“Cat A PuLT”との試合が本当に熱い試合で、“Cat A PuLT”と僕らが戦っても勝てるかどうかわからないと話していたので、そこに勝ったチームにさらに勝てたのは重ねて嬉しいです。

――それなのに勝てた、その理由はなんだったと思いますか。

AroDra 今回の試合でいちばん大事だと感じたのは“雰囲気”でした。雰囲気が下がると士気も下がり、チームが弱くなっていくと感じました。eスポーツでのキモは、雰囲気作りなんだと思います。

――では最後に、皆さんが考える『ロケットリーグ』の魅力とはなんでしょうか。

イソR やればやるほど上達するところです。

AroDra ゴールを決めたときの爽快感と、自分が得意とすることを相手にぶつけていくことで得られる達成感が魅力的ですね。

mcRENTO いろんなゲームの中で、『ロケットリーグ』が“いちばんeスポーツしてる”ゲームだと思っています。ルールもゲームを知らない人でもわかりやすくて、観ていて飽きないおもしろさもあって。

GORIRA みんなでひとつの目標を持って、それに向かってがんばっていくゲームだと思いますので、eスポーツに向いているというのはその通りですね。

蛇足だけど、おっさんゲーマーたちから感謝の言葉などを!

 大会終了後、筆者と編集部のミス・ユースケは、会場に観戦に来ていた『ロケットリーグ』のプレイヤーの方々と、当日の大会についてひとしきり歓談した。

 ちなみにこのおっさんたちは、とにもかくにも最高におもしろい試合をやってくれてありがとう! と、揃って泣きそうになっていたりした。

優勝したチームだけではなく、みんな『ロケットリーグ』が好きだからこそ楽しんでプレイしてここまで上達してくれたとわかり、本当に嬉しい。『ロケットリーグ』勢は涙もろいのだ。

 筆者としては謝りたい点がひとつある。当初は高校生のeスポーツと聞いて、

「高校時代って3年間しかないじゃん!」
「プロゲーマーの寿命が短くなっているって最近言われてるけど、それ以上に短いからそりゃ必死にもなるわ!」

 と、このように考えていた。だが、それは勘違いのうえに色眼鏡を通した視点だった。大会を直に観戦し、インタビューで話を聞いてみて、その間違いに気付かせてもらえた。

 まず、期間は3年ではない。高校生でいられる時間は当然3年間しかないが、3年生になれば受験勉強などもあり、大会に参加できなくなるチームメンバーも多いのだ。1年生ではまだ練習量が足りない場合もあり、実質、2年生のときの1回のみの参加となる人だって多いだろう。

 出場者たちは全員、そんな限られた時間の中で、学生としてさまざまな悩みや将来への展望を抱えつつ、青春を燃やしてきた。その熱意は特別なもので、一瞬一瞬が特別なもの。ほかのシーンと比べようとしたこと自体がおこがましかった。

おっさんたちがここまで応援したくなるのも、その“特別”さをひしひしと感じているからなのだろうか、と考えた。

 そして、もうひとつの間違い。それは、短い限られた時間だからこそ必死になる、という点だけが彼らの原動力ではないということ。

 実際のところインタビューしてみると、彼らがここまで熱中できるのは、『ロケットリーグ』がおもしろいゲームだからこそだった。

大会の最後にケイン・コスギ氏からは、最高の一日でしたとの称賛と、「スポーツといっしょで、楽しくやるのがいちばんなんだと思えました」との感想がいただけた。まさにその通りだ。

 ほぼすべてのチームへのインタビュー内で、プレイ時間がそのまま実力つながると触れられていた通り、『ロケットリーグ』は彼らが楽しいと打ち込む時間と、その熱意を裏切らないタイトルだ。

 高校生がその若きエネルギーを、この『ロケットリーグ』に集中したらどれほどに成長できるのか。ほかに楽しいゲームや趣味もいまどきはたくさんあるだろうに、ひと筋で打ち込んでくれた結果、大きな感動が生まれた。今大会こそが、その証左がだったのだと思う。

大会の幕間には、各チームが学校でゲームに打ち込む模様のスライドショーを上映する演出があった。楽しそうに皆でプレイしている姿に心が震える。短い期間で、特別で、だけどそれとは関係なく、おもしろいからこそ熱中できるのだ。

 受験や将来への展望など、高校時代は悩みも抱えつつ過ごすことになるだろう。そんな中でも、楽しいと思ったことはとことん全力でやってみてほしいと思う。熱意を同じくする仲間と出会えれば最高の友人になれるだろうし、その熱意の対象がたまたまゲームであれば、おっさんゲーマーたちとしてはこれ以上に嬉しいことはない。

 今大会に続き、第3回の全国高校eスポーツ選手権が開催される際には、今度はどれほどの想いがそこに集うのだろうか。出場を決意し、練習を決意するほどに高まったその熱意と雄姿を、ぜひまた我々に見せつけてほしい!

倉岡水巴さんもいっしょに、はいポーズ。