2019年11月23日、福岡県福岡市でCEDEC+KYUSHU2019が開催された。

 福岡に本社を持つデベロッパーサイバーコネクトツーが、福岡、東京に次ぐ3つ目の拠点として設立したカナダ・モントリオールスタジオを設立した経緯とその実情を語った講演“2年で現地スタッフ30名!カナダ・モントリオール現地開発スタジオ設立とその経過”をリポートする。

 セッションでは、サイバーコネクトツー取締役副社長の宮崎太一郎氏と、サイバーコネクトツー業務部広報課所属で、カナダ・モントリオールスタジオに約3年間勤務をし、ゼロから現地法人を立ち上げた山之内幸二氏が登壇した。

 現在、サイバーコネクトツーでは福岡本社に151名、東京スタジオに30名の社員がおり、そしてモントリオールスタジオでも東京スタジオと同規模の30名が働いているという。

モントリオールスタジオ

 上の写真に映っているのがモントリオールスタジオだが、映っているのはすべて現地採用したスタッフだそうだ。

 そもそもなぜ、サイバーコネクトツーがモントリオールにスタジオを設立したのだろうか?

人材確保の難しさ

 2010年に東京スタジオを設立した際も、宮崎氏は松山洋社長に「なぜ東京にスタジオを?」と尋ねたという。

 答えとしては、やはり人材の確保が難しくなっていることが第一に挙げられ、新卒採用はともかく、中途採用での人材確保が狙いだったという。

 それでも採用活動は難航し、その理由のひとつには、「中途採用の人は技術を身に着けたり、チャレンジということで、ひとつのプロジェクトが終わると会社を辞め、別の会社に行くことも多い」という風潮もあるのだという。

 国内での採用活動に行き詰まりを感じる中、採用の目を海外に向けた。

 サイバーコネクトツーにはそのときすでに外国人社員が複数名働いており、彼らに「なぜ日本に来たの?」とヒアリングを行った。

 その結果、

  • 「日本は憧れの国だ」
  • 「日本のコンテンツで育ってきた」
  • 「『.hack』や『NARUTO』はいいゲームだ」

 という反応を得たそうだ。

 「ということは、日本で働きたいという希望を持った外国人は多いんだね?」と聞くと、答えは「NO」だったという。

 “日本や日本のコンテンツには憧れがあるが、日本で働くことは考えない”。

 「それはなぜ?」と、さらに尋ねたところ、「日本に住むということが未知数すぎる」という返答。

 つまり、言葉の壁はもちろんあるし、玄関で靴を脱いだり、鴨居に頭がぶつかったり、食べ物やお店、働きかた、日本に対しての言語や文化のハードルが非常に高かったのがネックになっているとわかったのだそうだ。

 そこで宮崎氏が考えたのは、「じゃあ、日本のゲームを作れるスタジオが海外にあればいい」ということ。

モントリオールに決めた理由とは

 “海外に制作スタジオを作る”という方針が決定された後、10ほどのエリアが候補に挙がった。

  • トロント
  • バンクーバー
  • モントリオール
  • 上海
  • オーストラリア
  • ユトレヒト
  • 北アイルランド
  • シンガポール
  • ニュージーランド
  • 北欧地域

 その中でモントリオールが選ばれたのは、現地でミックスというCEDECのような催しがあり、そこに参加した松山社長が直にモントリオールの熱を感じたのが大きかったという。

「モントリオールすげえいいよ!」と松山社長が語った理由は、その当時すでに、モントリオールにはゲーム開発スタジオがあり、多くのゲーム開発者が暮らしていたのだそうだ。

 すでに、ユービーアイソフトが1000人規模のスタジオを持っており、さらにエレクトロニック・アーツ、ワーナーブラザースが500人規模のスタジオを設置していたとのこと。

 というのも、モントリオールがあるケベック州は、ゲーム産業に対して助成金を出しており、企業を誘致していたのだ。

 

 世界には同様に助成金制度などがある地域もいくつかあったが、その中でもモントリオールに決めたのには理由があったという。

 ひとつは、とくに“ゲーム”を手掛けるクリエイターが多かったこと。

 同じカナダのバンクーバーも候補に上がったが、バンクーバーはハリウッドと時差がないため、むしろ映画業界、映像のクリエイターが多いのだそうだ。助成金も“デジタル産業”としてゲーム・エンターテイメントとして設定されているが、モントリオールではゲーム産業に特化しているのだという。

 実際、非常に多くの開発者がモントリオールに住んでいると言い、厳密なデータがあるわけではないが、

「いま現在、世界でもっともゲームクリエイターが住んでいる街はモントリオールなのではないかと思います」

 と宮崎氏は語る。

 ふたつめの理由は、バイリンガルな土地柄。英語と仏語が公用語として使用されており、英語圏からもフランス語圏からも採用できるメリットがある。

 みっつめは、30%~最大で38%くらいの助成金制度があること。

 これらの理由で、モントリオールに設立することが決められた。

サンブリッジの山口晶氏が、現地での契約などエージェントとして非常に役立ってくれたという。

モントリオールでの採用活動

 続いてマイクは山之内さんにバトンタッチ。現地採用のより具体的な話に。

 山之内氏は2016年の10月に家族、子どもと猫2匹を連れてカナダに赴任。スタジオの内装工事に立ち会いながら、並行して採用活動を始めたという。

 最初は求人を公式サイトに掲載し、プレスリリースを発信したところ「ファミ通などに取り上げられ、それが英語やフランス語に翻訳されて、現地のメディアにも掲載された」という経緯があったという。

 

 初月に応募が92件、それからコンスタントに毎月数十件の応募があり、累計で1723件の応募があるという。

 面接の方式は、ほぼ日本と同じ形式で行っており、スカイプをつないでカナダの応募者に対して、日本の面接官が面接をするという体制を取っていたそうだ。

 応募者の割合としては、映像系のアーティストが多く、つぎにゲームデザイナー、最後にプログラマーになるという。

 最近ではGoogleやAI系の企業もモントリオールやトロントに進出しており、エンジニアやプログラマーは奪い合いになっている実情だそうだ。

 中でもプログラマーは激戦区という状況で、宮崎氏から

新卒のエンジニアで年収が最低500万円から。これはなかなか、出せないですよね? 出せないのはウチだけじゃないですよね?」

 と、聴講生に問いかける場面も(笑)。人件費が高騰しているからこそ30%以上支払われる公的な助成金が効いてくるというわけだ。

 アーティストのジュニア、1~2年目のスタッフに関して言えば、日本よりも少し低いくらいの年俸だそうで、さらに3割くらいの助成もあるため、日本よりも低コストで採用が進められる面もあるという。

日本とカナダ、採用の違いとは?

採用で感じた違い 1

 山之内氏が日本とカナダの採用で違うなと感じた点について、

  • 日本:新卒採用→適正に合わせて配置
  • カナダ:ポジションを決めて募集→ボジションに応じてエントリー

 というポイントをまず挙げた。

 面接にきた応募者に

「あなたはどのような仕事がしたいのですか?」

 と聞くと、逆に

「サイバーコネクトツーは私に何を期待しているのですか?」

 と、質問で返されるということが続いたという。

採用で感じた違い 2

 また、意識が異なるところとして、日本では“企業に(長く)務める”という意識が強いが、モントリオールでは“プロジェクト単位”だと強く感じたとのこと。

「このプロジェクトに関わりたいから、僕のこのスキルが役にたつから採用してくれ」

 とアプローチをしてくる応募者が多かったと言い、

「プロジェクトが終わったらどうするの」

 と聞くと、

「そのときまた魅力的なプロジェクトがあれば続けるし、なければ別の会社に行きます」

 と答えられることが多いそうだ。

 企業側からは、会社どれだけ魅力的なものがあるか、あなたにとってどういったメリットがあるのかというのを提示するのが大事であるとコメントした。

採用で感じた違い 3

 違いを感じた3つめのポイントは、“ジョブスクリプション”。職務詳細が必ず必要だという。

 それまでサイバーコネクトツーでは「こういった仕事をやります」というのは、まず大まかに提示して、入社したあとに仕事を割り振っていくというスタンスを取っており、応募する段階では細かい業務内容が明確ではなかったのだそう。

 しかし、カナダのほかの企業を見てみると

「今回の採用では、このプロジェクトのリードプログラマー管理職で、仕事はこれをやります、何人くらいのチームを管理します、それ以外にタスクの割り振りはやりません、この条件でよければ年俸いくらで採用します」

 と、じつにこと細かく載っているのだという。

 その時点では、サイバーコネクトツーの応募内容はかなり曖昧すぎ、面接で事細かに質問されるということが続いてしまったとのこと。

 また、宮崎氏がマイクを取り「カナダの人はすごく自分を売り込む」と付け加えた。

 実際にあった例として、面接で超ハイグラフィックな映像を見せられて、これは自分がCGカットをやらせてもらい、監督からも「お前のおかげでこの作品に味が出た」と褒められた……とアピールしてきた応募者がいたが、よくよく話を聞いてみると、実際にその人が作ったのはその映像の中で転がってくる空き缶ひとつだったといい、最終的にはお断りしたという。

 ただし、それは応募者も嘘をついているわけではなく、本当に熱意を持って作ったとアピールしてくるのだが、日本人はつい相手の意図を汲み取りすぎてしまう傾向があるので、「きちんと相手の話を聞くことは大事です」と重ねた。

2017年、初採用

 そうして2017年5月に3名を初採用した。

 最初に採用したのは、日本が大好きで、日本のゲームやアニメで育っていて、いつかは日本のゲームを作りたいという3人が集まったという。この中のひとりは、現在福岡本社で働いているとのこと。

「それくらい日本への思いの強いメンバーを採用しました」とのことで、その結果、スタッフが日本の文化や、日本の本社の思いを汲み取ろうとしてくれ、非常に助かっているという。

 最初のスターティングメンバーがスタジオの文化・空気感を作っていくことになる。「日本に対してのポジティブなイメージを持っているメンバーを集めたことが、今回のスタジオがうまく回る大きな要因になっているなと思います」と評価した。

スタジオ運営における注意点

 カナダの働きかたは、ワークライフバランスを非常に重要視しており、就業時間が終わったらさっと帰るといったスタイルが多いそう。

 山之内氏が聞いたところでは、カナダは9時にスタートして17時に終わるところが多く、16時45分くらいになるとPCを片付け始めて、17時なった瞬間に席を立って帰っていくという感じなのだとか。

 サイバーコネクトツーモントリオールスタジオのスタッフもおおむねそのように働いているという。しかし

「彼らもクリエイターなので、日本からのフィードバックやダメ出しがあったり、クオリティーが満足できないというメンバーは自主的に残って作業をしている」

 という。

 また、スタッフの男女比率についてもカナダは進んでおり、女性の仕事への参加率や役職への採用率への意識が非常に高いとのこと。面接でも

「男女比率何%ですか、女性はポジションにつけますか」

 という質問が多く出され、それが採用にも影響してくるということだ。

 そして3つ目はフランス語対応が必要なこと。スタッフが20名の雇用を超える場合は、フランス語への対応が必須なのだ。

 たとえば雇用契約書やドキュメント、社内のウィキページなど、求められたらフランス語を提示しないといけないからと、法律で定められているのだという。“ランゲージポリス”というのがいて、フランス語に対応しているかどうかを抜き打ちでチェックしているのだそうだ。

 必ず英仏の2言語を用意して置かなければならず、実際に、サイバーコネクトツーモントリオールスタジオも、英語版のウェブサイトしかなかったときに、一度警告を受けたという事例を紹介。

「政府から電話がかかってきて“フランス語版が見当たりません。一週間以内に対応しないと罰金です”と。なので急いで準備して翌日にはフランス語版を公開しました」

 という事態があったとのことだ。

“日本”を理解してもらうために

「活動を続けていく中で、日本の企業としての強みが重要になってきました」と、山之内氏は語る。

 最初はカナダの文化に合わせた採用スタイルを取っていたが、続けていく中で差別化しないと他社に勝てないと感じるようになったという。

 そこで、全面的に日本企業であることをアピールする方針に切り替え、「サイバーコネクトツーは、モントリオールで日本のゲームを作れる事実上唯一のスタジオです」と謳い日本のゲームが好きなスタッフを集めるようにしたという。

 スタジオでは、日本語レッスンなども開催。そもそも日本文化を好きな人たちを採用しており、みんな日本語を覚えたいということで、山之内氏がひとつずつ、数字の書きかたからひらがなまで教えているとのこと。

「現在は、簡単な漢字くらいなら読めるというメンバーも出てきていて、着実に効果が出てきているな」と山之内“先生”も効果を実感しているという。

 おにぎりを作るという社内イベントも行い、宮崎氏は「出張へ行くたびに“おにぎりのもと”をいっぱい持たされた(笑)」と思い出を語っていた。

コミュニケーション課題

 日本とのやり取りでは多くの課題が表出した。

 当初、日本にリード、シニアのスタッフが多く、モントリオールにはジュニアスタッフが多かったため、ジュニアスタッフに仕事を割り振る日本のスタッフに負担が集中してしまった。

 次第にモントリオールにもシニア級のスタッフを増やし、日本のリード・シニアスタッフと連絡を取り合いつつ、現地のタスク管理を歩いていど現地でできるように体制を整えたという。

 そして、やはり13時間の時差の壁、また、言葉の壁も大きい。

 トランスレーターを配置しているものの、細かいニュアンスなどは削ぎ落とされたりしてしまい、とくにアニメーターは苦戦したと苦労を語る。

 いちばん苦戦したのは、キャラクターのモーションで“ずっこける動作”という指示だそうだ。これは日本のお笑い文化で、カナダのメンバーには、“ズッコケ”の動きがまったくイメージできなかったという。その際は、YouTubeでお笑いを検索したり、イメージをつかんでなんとか作ってもらうが、細かなニュアンスが違ったりしたという。

 また、同じ“リアル”という言葉でも、日本人とカナダスタッフでイメージするものが異なり、カナダメンバーは“実物と遜色ない物”をリアルというが、日本人スタッフは“マンガ表現ではないものはリアル”だと思ってリアルという言葉を使っている傾向があるという。

 そのため、日本の“リアル”な描写をカナダスタッフに見せると「これはアニメスタイルがかかっているよね」と指摘されてしまったことがあったそうだ。

 そういった言葉のニュアンスを伝えることに苦労したと言い、その解決のため、翻訳・通訳チームを最重要視。

 モントリオールに5人、日本側にひとり通訳・翻訳者を置き、すべてのやり取りを全部翻訳しているという。

 最初はたいへんだったものの、いまではだいぶ慣れて、専門用語や細かいニュアンスを通訳チームが汲み取って翻訳できるようになってきて、かなり効率が上がっているとのこと。

 その際は、指示する側も明確に指示を伝える、はっきりとした表現をすると意識することも重要だという。

 そのほか、定例ミーティングを毎週実施していたり、宮崎氏や山之内氏がモントリオールに出張し、状況の確認や、日本文化をレクチャーしたりと、コミュニケーションは継続して重視しているという。

 その際は、「ハチマキを巻いたり、たこ焼きを作ったり、スタッフとの交流を図って文化の壁を取り払っています」と、単なるビジネス上のやり取りだけではない工夫も行っているとのことだ。

 また、本社の副社長である宮崎氏が、2ヵ月に1度モントリオールに行き、基本的に全員と面談するようにしているという。“本社の役員が来て自分の話を直接聞いてくれる”というのは、海外スタッフから非常に評価されている点だそうだ。

 通常はチャットツールでやり取りをしているが、定期的に現地に足を運び「会社の方針などの情報は早くモントリオールに落とし込むようにしている」と宮崎氏は語った。

これからの外国人スタッフ採用

 最後に、再び宮崎氏がマイクを引き取り、講演のまとめとしてサイバーコネクトツーの今後の外国人スタッフ採用方針を語った。

「発表を見て、たいへんそうじゃんって思ったかもしれませんが、今回は大変なところだけをピックアップしてお話した部分があります。実態としては非常に優秀な人間が採用できています。

 コミュニケーションの問題や価値観の違いもありますが、彼らは日本のマンガやアニメが我々と同じくらい好きでいてくれたりします。『ドラゴンボール』とかこういったものはもちろん知っていますし、この中におけるかっこよさはズレないんですね。

 我々はこだわって作ってしまう会社で、いつもスケジュールを守れなくて怒られていたりするんですけども、彼らは非常に効率化にもこだわり、この表現をするにしてももっとこうしたらとか、このツールを入れたらもっと作業効率上がるじゃんみたいな提案がばんばん出てくるんです。

 非常に優秀なスタッフを獲得できています。とくに新卒社員のクオリティーは、日本で優秀な人を取れた場合を10点満点の7点だとした場合、モントリオールで採用している新卒は10点くらいあります。

 なぜなら彼らは長く勉強しているんですね。大学に行ってからアートの勉強をしているとか、勉強の仕方を知った上で勉強している人が多いと感じています。ジュニアは非常に優秀な人が採用できます。日本人がダメだというわけではないですが、勉強にかけてる時間と、そのステップの違いにより、優秀な人が採用できます。

 いままでは、日本のキャラクターチームのリーダーが、キャラクターモデリングの3人をそれぞれ指導するというのをやってきたんです。でもいまはスタッフが30名までに増えて、それぞれにシニア・リードっていうポジションが設定できるようになってきました。

 背景班とモーション班にはリードもシニアもあたっていまして。この人達が優秀です。以前は別のゲーム会社で働いていたのですが「リアルな戦争のゲームとかを作りたくなくて、日本のアニメやマンガみたいなものを作りたい」と、給料が大手の3割減くらいでも、それがやりたいと来てくれるんですね。

 来年はスタッフ50人の体制にして。弊社のオリジナルタイトルを1本回せた上で、大型タイトル制作を担えるスタジオを目標にやっていこうと思っています」

 と、さらにモントリオールスタジオでのスタッフ増員を目指していると語った。

さらに日本での採用も

 続けて宮崎氏は「日本でも外国人スタッフを採用したいと」との考えを語る。当初、“日本での外国人採用が難しいからいっそ海外にスタジオを”という発端だったが、モントリオールスタジオでの経験が、自信につながっている面もあるという。

「モントリオールスタジオの運営を行ってきて、時差の問題などもあり思った以上に大変だったんです。でも、問題を少しずつ乗り越えてきて、であればもう、日本で外国の人を採用しようというのを打ち上げてやっています」

 そう語る宮崎氏は、すでに各国で講演をしているとのことで、韓国、台湾、パリ、ドイツ、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルスという地域で「日本でゲームクリエイターを採用しますよ」と話しているそうだ。

 ただし、冒頭に話した通り、何も知らずに日本にくるのは敷居が高いため、講演では「給料がこのくらいで税金はこのくらいで、給料はアメリカと比べたら格段に安いけど生活コストが格段に安い」など、かなりリアルなプレゼンをしているという。

 さらに、日本語ができなくても採用する方針だとのことで、「おはようとありがとうだけを覚えてきて、あとは日本に来てから教えるから」とアピールしているとのこと。

 週に2回日本語の先生が会社に来て、個別対応で日本語のレッスンをしているのだという。すでに韓国人、アメリカ人、フランス人が日本語をまったくしゃべれない状態で採用しており、外国人スタッフの採用に力を入れている点を強調した。

 そのくらい手厚いフォローを行ってでも、即戦力、情熱を持って物を作れる有能なスタッフに入ってほしいというスタンスだ。

 そして、モントリオールにスタジオを出していることが、そんな外国人スタッフにとって安心感につながっているという。

「私たちはこの(モントリオールの)文化を受け入れているんです。その上で日本でも採用できるしモントリオールでも採用できる」という紹介をするため、注目度が高くなるという効用があると語った。

 海外では、自分たちが思っている以上に会社の知名度が高く、100人集まって講義をすると、サイバーコネクトツーという会社名はだいたい9割くらいの人が知っており、タイトル名を出すとほぼ100%が知っているという。しかし、講演前に「日本で働きたいって考えたことある人は?」と聞くと、2人か3人程度しか手が上がらないという。

 だが、講演後に改めて聞くと、80~90%が手を上げ、実際に20~30%の応募があるそうだ。

 そういった経験を通じ、宮崎氏は「こういう状況は私たちだけではないと思います。日本のゲームデベロッパーは海外に対して情報を出してなさすぎるんですね」と感じたとのこと。

 宮崎氏は最後に、

「現在、採用で困っている会社は多いはずで、こういった新しいところに目を向けると採用のチャンスは大きく広がり、思いもしなかった優秀な人もいる。ここは本当に獲得のチャンスだと思います」

 と、海外スタジオの設立、外国人スタッフ採用の大きな可能性を語り、本講演のまとめとした。