2019年12月17日、東京・新宿バルト9にて、コジマプロダクションの設立4周年を祝う記念イベント“ファミ通Presents KOJIMA PRODUCTIONS 4th Anniversary FAN STRAND NIGHT”が開催された。

 小島秀夫監督がコジマプロダクションを設立した2015年12月16日。それから約4年後となる今年2019年11月8日には、スタジオ第1作となる『DEATH STRANDING』が発売された。この、怒涛とも言える4年間の足跡を振り返りつつ、ファンとともに周年を祝うというのがこのイベントの趣旨だ。

 本記事では、小島監督を始め、アートディレクターの新川洋司氏、シナリオ制作にも携わる矢野健二氏、声優の大塚明夫さんら、『DEATH STRANDING』に深く携わるメンバーが登壇したイベントの内容を振り返っていく。

会場にはキャラクターに扮したコスプレイヤーの方々も。

ファンとともにスタジオの4年を振り返る

 開始を告げるブザーが鳴ると、客席から「待ってました!」とばかりに盛大な拍手が湧き起こり、イベントがスタート。会場が暗転し、スクリーンに『DEATH STRANDING』のローンチトレーラーが映し出される。

 発売から1ヵ月経っていることもあり、会場に集まった人の多くは『DEATH STRANDING』をクリアー済み。それでも、映画館の大画面で 『BB's Theme』の包み込むようなサウンドとともに投射される名場面の数々には、ほとんどの人がただただ圧倒されている様子だった。

『DEATH STRANDING』日本語音声・日本語字幕 / ローンチトレーラー 4K

 トレーラーの映写が終わると、MCを務める松嶋初音さんに呼び込まれ、小島監督、新川さん、矢野さんと、大塚さんが客席の後ろから(!)ステージに入場 。このうれしいサプライズに、会場からは自然と歓声と笑みがこぼれる。

 それから、登壇者一同が会場に向かって挨拶したのだが、その中で大塚さんが「あれだけの作品を発表できたと思うと、また泣いてしまう……(笑)」と、過去のイベントでの出来事を笑いながら振り返る。すると、すかさず小島監督が「この辺は“カイラル濃度”が高いですから」と冗談をはさむといった具合に、本イベントは終始にぎやかな雰囲気で進行した。

 挨拶の後は、松嶋さんの音頭に合わせて会場全員で乾杯し、『DEATH STRANDING』の発売と、スタジオの設立4周年を改めて会場全体で祝福! 会場のあちこちから「おめでとうございます!」という声も上がる。

左から、松嶋さん、小島監督、新川さん、矢野さん、大塚さん。

 その後、2015年のスタジオ設立から4年の歩みをまとめた映像がスクリーンに投影。最初は「(スタジオの)マークしかなかった」(小島監督)ところから、小さな事務所で再スタートを果たしたコジマプロダクションの歴史をファンとともに振り返った。

 スタッフが増えたため事務所を移転し、 2016年の時点で現在のオフィスに落ち着いたとのこと。同年のE3 2016で発表されたトレーラーは、仮のオフィスで制作されたものなのだとか。

『DEATH STRANDING』日本語字幕 / E3 2016ティザートレーラー

 ちなみに、このトレーラーは同年3月にパフォーマンスキャプチャーが行われ、急ピッチで制作されたものだという。

 また2016年は、小島監督らがSIEワールドワイド・スタジオのひとつであるGuerrilla Games(ゲリラゲームズ)を訪問し、『DEATH STRANDING』の開発にも使用されているゲームエンジンDECIMA(デシマ)の提供を受けた年。

 提供を受けた後に7月にアイスランドにロケハンが行われ、DECIMAの性能確認を兼ねたトレーラーの制作が開始。12月のThe Game Awards 2016にて、マッツ・ミケルセン氏とギレルモ・デル・トロ監督の姿が登場する第2弾トレーラーとして公開された。

Death Stranding - Teaser Trailer - TGA 2016 - 4K

 同じく12月にはオフィスの改装も進み、ルーデンスのスタチューが通路に配置されたり、会議室やキッチンが作られるなど、現在のオフィスとほぼ同じ状態に。

 翌年の2017年からは、『DEATH STRANDING』の開発に関するトピックが多くなり、第3、4弾トレーラーや、ヒッグス役の三上哲さんの収録の様子などが映し出された。

『DEATH STRANDING』日本語音声・日本語字幕 / TGA 2017ティザートレーラー 4K

『DEATH STRANDING』日本語音声・日本語字幕 / E3 2018ティザートレーラー 4K

 2019年に入ると、小島監督がGuerrilla Gamesを再訪問し、『DEATH STRANDING』のデモを披露した後、The Game Awards 2019にて“Best Art Direction”を受賞した『CONTROL』(※)の開発スタジオRemedy Entertainmentを訪問。

※ちなみに、小島監督は『CONTROL』に音声でカメオ出演している。

 そして、5月には発売日告知トレーラーが発表。小島監督いわく、これ以降は「記憶がない」と、冗談ながらに当時の多忙さを語っていた。

 それから、ゲームの詳細な内容が明かされた東京ゲームショウ2019でのステージの模様ののち、9月26日の『DEATH STRANDING』マスター承認(完成)時のスタジオの様子が投影。

 その中の、コジマプロダクションのスタッフ一同がGuerrilla Gamesとビデオ通話をつないで労い合う姿に、スタジオ間の親密な関係性を感じさせられた。また、その直後の“お疲れ様デー”の映像では、SIEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏の姿も。

 その後、10月30日のローンチトレーラー公開ののち、11月8日に発売された『DEATH STRANDING』は、The Game Awards 2019で“Best Game Direction”、“Best Score/Music”、“Best Performance”(マッツ・ミケルセン)の3部門を受賞。スタジオにとって大きな第一歩となった。

 映像が終了した後、受賞時のことについて聞かれた小島監督は、「じつは(受賞の直前に)トイレに行きたくて……」と回想。小島監督は受賞を待って我慢していたそうなのだが、同じタイミングでトイレに行きたそうにしていたノーマン・リーダス氏は、受賞したとき、トイレに行ってしまっていたという裏話も披露していた。

 登壇者一同がトークで盛り上がった後、続いてのコーナーとして、スクリーンに『DEATH STRANDING』の秘蔵映像が投影。

 これは、コジマプロダクションのスタッフが旧事務所で撮影した秘蔵のプリビズ映像(※)や、開発時ゲーム内のおかしな挙動をまとめた特別映像で、新川さんが銃の代わりにビニール傘を構えている様子が映されているなど、会場に集まったファンからは大きな笑いが起きていた。

※完成像を思い描くために作成するシミュレーション映像。

開発者ならではの注目テクニックも飛び出した実機プレイ!

 おつぎは、コジマプロダクションのレッツさんこと吉池博明氏による実機プレイのコーナーがスタート。映写室からスクリーンを見ながらプレイし、反物質爆弾をマウンテン・ノットシティへ運搬する配達依頼に挑戦した。

 反物質爆弾は衝撃を受けると爆発してしまうため、転倒したりすれば、そのままサムもろとも爆発が周囲を飲み込んでしまう。そのため、慎重に運搬するのがセオリーなのだが、吉池氏は反物質爆弾をリバース・トライク(バイク)に積んで出撃!

 オドラデクで安全を確認しながら進みつつも、テロリストが放ったセンサーをジャンプで飛び越えて、感知されずにやり過ごしたり、フィールドで入手できる“靴底草”を装備して足音を小さくして敵に忍び寄ったりと、あまり知られていないテクニックを披露し、華麗な手さばきで進んでいく。

 その間、小島監督も画面を見ながらゲーム内の小ネタを解説。なかでも、赤子のゲイザーをボーラガンで拘束すると、一定時間後に大人の姿へと成長して縄をほどくという小ネタは、会場のファンにも知らない人が多かったようで、驚きの声が上がっていた。

 また、カイラル結晶は当初、「じゃんけんをして、勝ったら収集できる」仕様にすることを構想していたそうなのだが、スタッフに「やめましょう」と言われてやめたとのこと。

 そうした『DEATH STRANDING』豆知識で盛り上がっていると、吉池氏がマウンテン・ノットシティに到着。見事Sランクでクリアーして見せ、ファンたちを感心させた。