2019年11月23日、福岡県・福岡市で開催された技術カンファレンス“CEDEC+KYUSHU 2019”より、特別招待講演の“誰でもVtuberになれる!-Virtual CastをGEMS COMPANYと一緒に使ってみた-“の模様をお伝えしよう。
この特別招待講演は“CEDEC+KYUSHU 2019”の最終時間帯に行われた、言わば締めの特別セッション。
スクウェア・エニックスの齊藤陽介プロデューサーが、自身がプロデュースするアイドルグループ“GEMS COMPANY”の星菜日向夏さんとともに、新しいデジタルエンタテインメント“Vtuber”の魅力を伝えるという、一風変わった内容となっていた。
齊藤陽介氏がまさかのバーチャルキャラクターになって、楽しさをたっぷり実演!
「Vtuberを知っている人は多いと思うが、どういう仕組みになっていて、どういうことができるかを知っている人は意外と少ないのでは?」と考えたという齊藤氏。
Vtuberというエンタメは、ゲームとは離れた別の分野に思えている人が多いかもしれないが、齊藤氏からすると、じつは親和性が高くて近いものになっているという。
そこで、ゲーム業界を目指す学生にも、Vtuberについてぜひ知ってもらいたいというわけだ。
というわけで……、この日は齊藤氏がステージ上でVtuberデビューをして実演することに!
スクリーンには“GEMS COMPANY”の星菜日向夏さんのいるVRライブ・コミュニケーションサービス『Virtual Cast』の画面が映っていたのだが、そこに齊藤氏もVRのヘッドマウントディスプレイとコントローラーを装着して参加!
画面には現われたのは……2頭身で白い全身タイツ風スーツに青いマント、体の真ん中に“Y”のマークが輝くバーチャルキャラクター“よーすぴ”だった!
まさかの2頭身キャラの登場! しかも登場直後、空中にあるネームプレートを手に取ろうとするも、よーすぴの手が短すぎて取れないというアクシデントが!
「手みじかっ!」っとツッコむ星菜さん!
ステージ上で必死に手を上に伸ばす齊藤氏!
「しょうがないなぁ~(笑)」とよーすぴを子供扱いしつつ取ってあげる星菜さん!
最初からずいぶんカオスになってしまい、そんな様子に会場からは笑いが起きていた。
ちなみに、この“よーすぴ“はこの講演に向けて、齊藤氏のお友達のVR法人HIKKYのさわえみかさんに急遽作ってもらったという。
齊藤氏としては、星菜さんのような頭身のキャラと並ぶことで「いろんな頭身のキャラがいっしょにいる世界もありかな」と感じてもらいたくてこういう頭身にしてもらったそうだ。
ここからは『Virtual Cast』の各種機能を星菜さんと二人で楽しみつつ紹介していった。
まずは、犬を出現させてフリスビー遊びにチャレンジ。
星菜さんは「かわいいー」と女子的な感想だったが、齊藤氏は犬の虚無じみた眼に不気味さを感じて「正面からみると犬こわっ!」と、怖がる場面も。
グラスにビールを注いで乾杯! ……するも、よーすぴは手が短くてジョッキを傾けられず! 「飲めない!飲めない!」と言いながらいろんな角度や姿勢を試す齊藤氏。
飲んだあとは食べる! 肉やソーセージをバーベキューで焼いていく。肉を食べたあと、星菜さんがコーラをラッパ飲みするという場面も。
飲み食い後は「もっとゲーム的なものをやりましょう」ということで、弓矢を取り出した星菜さん。
おもむろによーすぴの頭の上にりんごを置き「くらえー!」と言いながら矢を放って、思いっきりよーすぴの頭を撃ち抜いていく!
「これは……快感!」という星菜さんのひと言に会場は爆笑だった。
キャンバスを出現させて絵を描くことも。何を描いているかを当てるというような遊びがVR内でできるわけだ。
ちなみにこのときよーすぴが描いたのは“ピカソが描いたスライム”という絵だった。
ちょいちょいコーラをラッパ飲みするアグレッシブな星菜さんと、釣りをはじめようと準備するよーすぴ。
釣りで見事にサンマを釣り上げたので、こちらもバーベキュー台で焼いておいしくいただいていた。
場面も変えられるということで、教室に空間を変更。おもむろに始まる机&イス投げバトル開始……! 「ストレス発散!」と嬉しそうな声をあげつつ、よーすぴを攻撃する星菜さん。そのちょっと闇を感じる様子に場内から笑いが漏れる。
2頭身のよーすぴでは手が届かないことが多くて不利だということで、齊藤氏が禁断のキャラクターチェンジする場面も! まさかの“バ美肉(バーチャル美少女受肉の略語で、男性が女性の声やアバターを使うことを指す)”に、会場からは大きな笑いが起きていた。
最後はボーリングにチャレンジ! だが、やはりよーすぴの腕は短くて腕を振って玉を投げるのが難しい!がんばって投げようとしたものの、足元にボトッと落ちてゆっくりと転がっていった玉に会場は大爆笑!
なんとか上手く投げられないかと苦闘する齊藤氏と、そのもどかしい様子に会場からは応援の空気が。良い感じの投球ができたときには自然と拍手が起きていた。
“新しいテクノロジーから新しい遊びが生まれてくる”
というわけで、自ら“よーすぴ”というバーチャルキャラクターとなって『Virtual Cast』の魅力を実演した齊藤氏。
現在の『Virtual Cast』では7人まで一緒に遊べるということだが、将来的にもっと大人数が同じ世界で過ごせるようになって発展して、世界も広がっていけば、映画『レディー・プレイヤー1』のようなものがいつの日か実現するはず、と期待を語った。
とくに、学生の人をはじめとした“モノ作り”を目指す人にとって“新しいエンターテイメントに触れる”ことは重要だと思うと勧める齊藤氏。
VR環境を整えるのには、それなりにお金が掛かってしまうので、いますぐにとは言わないまでも、チャンスがあれば触れてみてほしいということだ。
齊藤氏は
「新しい遊びやエンタメはそうそう生まれなくなってきているが、それでも新しいテクノロジーから新しい遊びは生まれてくる。最近ではスマートフォンの位置情報の技術が新しいゲーム性を生んだことがまさにそのひとつ。
VR空間を活かした新しいゲームやエンタメも、みなさんのような若い世代が積極的に触れていくことで、新しいクリエイティブの誕生に繋がっていくと思います」
と、ゲームという枠に縛られず新しい技術に積極的に触れていって欲しいと語って、講演を締めくくった。