ツインスティックを自分で作る出資者向けプログラムをついに実施

 健康機器メーカーによるゲーム周辺機器の製造ということで話題を呼んだ“タニタ ツインスティック”プロジェクト。

 クラウドファンディングで出資を募ったことも話題に拍車をかけたが、今回は第2回の支援者募集時の支援プログラムとして用意されていた“ツインスティックを自分で作る”プログラムを実施。2019年11月23日、都内三和電子本社に支援者2組が訪れ、実際の組み立て作業が行われた。

こちらが第2回クラウドファンディング時に公開されていた、ツインスティック組み立て支援の情報。10万円という高額な支援額にも関わらず、瞬く間にOUT OF STOCK(支援受付終了)となっていた。
組み立てイベントが行われた三和電子。アーケードゲーム機のパーツ製造メーカーとして、知る人ぞ知る老舗企業だ。

 10万円を支援して権利を獲得した参加者は、藤田さん(VOXカラーのシャツ)、Tさん(なんと親子で参加)の2組。

 当日はあいにくの小雨模様となったが、自分が使うツインスティックを組み立てて持ち帰れるとあって、両氏の表情は晴れ晴れ! 製造を受け持つ三和電子スタッフのレクチャーの元、組立作業が行われていった。

 組み立ては大きく“グリップ”、“レバー”、“ケース”の3工程からなる。実際の製品とまったく同じ組立工程となるだけに、支援者の目の前には多数のパーツと組立工具がズラリ。

 組立難易度としてはラジコンカー程度に思えるものの、やはり慣れない作業となるため時間はかかったが、三和電子スタッフのフレンドリーなレクチャーもあり、和やかなムードの中で着々と作業が進められていった。

グリップの組み立て

 最初に取り掛かったのが、両手で握るグリップ部分。左右に分割されたグリップの中にスイッチを取り付け、配線を行っていった。

 ちなみに、参加した両名に支援の理由を聞いてみたところ「こんな機会は滅多にないから!」と、ほぼファンド開始直後に即決したとのこと。これが『バーチャロン』愛というものか。

トリガーの取付作業中。スイッチやバネを取り付けた場所を電動ドライバーを使ってネジ止めしていく。藤田さんは、自作のTシャツ&メロンの被り物で挑むという気合いの入れよう。
グリップが完成したところで正常に動作するかをチェック。検査器のランプの点灯は、正常に動作している証。

レバーの組み立て

 三和電子スタッフをして「最難関です」と語るレバーの組み立て。ツインスティックの心臓部であるだけに、扱うパーツは全工程中でもっとも多く、その分組み立ても難しそう。

 支援者たちの表情も真剣さを増し、工程に漏れがないかを確認しながら、慎重に作業が進められていった。

組み立て途中のレバー。中央には、作業をしやすくするための治具も用意。
基本的な構造はレバーを倒した方向のスイッチが押されて信号が入力される。写真はスイッチに配線をしているところ。
レバーが完成したらこちらも検査器を使ってチェック。上下左右の入れ違いがないか、厳重に確認。

ケースの組み立て

 最終工程は、ケースにこれまで組み立てたパーツを取り付けて完成させるまで。完成形が見えてくるにつれ、みんなのテンションが上がっていったのが印象的だった。

 「せっかく自分で組み立てるのだから」と、ボタンの色を自分で選ばせてもらえるという三和電子さんからのステキなサービスが。

ピカピカな天板の裏側に写った自分の姿を見て思わずニンマリな藤田さん。いい表情!
天地をひっくり返したケースにレバーを取り付けている様子。赤い液体はネジの緩み止め“ネジロック剤”。
ケーブルをすべて接続し、ケースを閉じれば完成。と同時に社内には拍手の音が響き渡った。ものづくりって本当に素晴らしい!
最後はUSB端子を検査用のPCに接続し、正常に動作しているかをチェック。
完成後はみんなで記念撮影。藤田さん、TさんともにOMG(初代『電脳戦機バーチャロン』)からプレイしているという熱烈な『バーチャロン』ファン。自分だけのツインスティックを組み立てたとあって、感動もひとしおな様子だった。

梱包

 組み立て完了後は、ツインスティックをダンボールへと梱包。自分で組み立てたモノだけに、愛おしそうに箱詰めする様子がとてもステキだった。これにて全工程が終了!

梱包用のダンボールを組み立て、ツインスティックをパッキングして箱詰め。傷をつけないように慎重かつ丁寧に。

プロジェクトスタッフにインタビュー

 最後に、本プロジェクトをメインで担当したタニタの久保彬子氏、設計・開発を担当された三和電子の齊藤邦男氏、清水雄貴氏にお話をうかがった。

久保彬子氏

タニタ ツインスティックプロジェクト担当

清水雄貴氏

三和電子 製造担当

齊藤邦男氏

三和電子 開発・設計担当

――組み立ての企画を終えての感想を聞かせてください。

清水こうしてユーザーさんに組み立てていただくというのはまずない機会ですし、僕自身も初めての経験なので勉強にもなりました。

齊藤小さいお子さんがお父さんと一緒に参加してくれて、自分で遊ぶものを自分で作っていくという経験をしてもらえたのがよかったですね。

久保チャロナーの方って40代の男性がボリュームゾーンで、ちょうど小学生くらいのお子さんがいらっしゃる方が多いんです。東京ゲームショウのときも親子でブースに来てくださる方がいて「親子で一緒に楽しめたらいいな」と思っていたので、今回はTさん親子に参加していただけて本当によかったです。

――最初にツインスティックの企画を聞いたとき、どう思われましたか?

清水最初は完成までのイメージが湧かなくて、本当にできるのかな? という気持ちでした。弊社はパーツ制作がメインで、コントローラーの完成品までを組み上げるということがほとんどないので。

齊藤同じく「これ本当に形になるのかな?」という気持ちでした。タニタさんとの話し合いが進むにつれ不安は減っていきましたが、ツインスティックということで通常のジョイスティックとも機構が異なる部分もありましたし、なにしろ弊社ではやったことがないことばかりでしたからね。

――ついに一次申し込み分の出荷が行われましたが、いまのお気持ちは?

清水まずは、初期出荷分の1000台が無事、組み終えられてよかったです。最初にお話を聞いたのは約1年ちょっと前で、組立作業が始まったのがこの夏。途中、想定をしていない出来事もあって最初の1台が完成したのが9月の東京ゲームショウの直前でした。そのときに支援者の皆さんにブースに来ていただいて、お話ができたことは感激しました。個人的には、大量のパーツや完成品を会社と倉庫の間で持ち運びしたので、体重が3、4キロ落ちたのが思い出です(笑)。

齊藤開発が始まった直後は最終的な形もなくてふんわりしていて、セガさんと協議しながら詰めていってましたね。そうこうしているうちに時間だけはどんどん過ぎていってしまって(笑)。途中躓くこともありましたが、無事に納期に間に合ってよかったと、いまはホッとしています。

久保プロジェクトを通してユーザーの皆さんとお会いする機会が多く、それが励みになりました。3月までお届けが続くので、まずはお申し込みいただいている皆さんに届けることが最優先ですが、将来的にこのツインスティックを使った大会ができたらいいなと思っています。

齊藤その際は(タニタと三和電子のある)板橋区でね。大山駅前の板橋グリーンホールとか(笑)。

――最後に、支援者の皆さんへのメッセージをお願いします。

清水今日来ていただいたお二方のように、にこやかにゲームを楽しんでいただければそれだけで満足です。二次出荷分の作業がまだまだ残っていますので、お待ちいただいている皆さんのために、これからも頑張って作っていきます。

齊藤クラウドファンディングという、お金を先にお預かりしている状態でずいぶんとお待たせをしましたが、その分楽しんでいただけると思います。存分にゲームを楽しんでいただけたら嬉しいですね。もし壊れてもフォローできるサポート体制は整っていますのでご安心ください。

久保プロジェクトが始まって足掛け2年が経過しました。やっとここまで来たのだという思いが強いです。支援者の皆さんからの支え、セガゲームスさん、三和電子さんのご協力があった上でお届けができるというのは、本当に感謝しかありません。齊藤さんもおっしゃってますが、今後は補修用のパーツの販売を予定していますので、壊れるくらい思いっきり使っていただければと思います。

――ありがとうございました。大会の実現も期待しています!

 なお、ツインスティックが完成した直後の様子と、『バーチャロン』の生みの親でもあるセガゲームスの亙重郎氏も参加している関係者インタビューは、以下の記事にて紹介しているので、あわせてチェックしてもらいたい。