2019年11月8日に発売が予定されているプレイステーション4用ソフト『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』に登場するキャラクター、クリフを演じるデンマーク出身の俳優マッツ・ミケルセン。

 『007 カジノ・ロワイヤル』や『ドクター・ストレンジ』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの大作映画でも重要な役どころを演じている人気俳優であるが、その活躍や魅力をよく知らないというゲームファンは決して少なくはないだろう。

 まず、どうしてもお伝えしたいことがある。それはマッツ・ミケルセンが“北欧の至宝”と呼ばれるほどに素晴らしい俳優であることと、『デス・ストランディング』の監督である小島秀夫自身がマッツ・ミケルセンの大ファンであるということだ。

 ここで、なぜマッツが北欧の至宝と呼ばれているのか。以下から具体的な説明を記していこう。

小島秀夫監督のマッツ・ミケルセンへの愛情と敬意は本物! その思いを“つなぐ”強い意志とは?

 『デス・ストランディング』の内容について発表されている情報はごく少なく、大部分がベールに包まれている。しかしながら、小島秀夫監督のマッツ・ミケルセンへのあふれんばかりの愛情と敬意は、そのインタビュー映像や記事はもちろん、仲良くツーショット写真を載せているインスタグラムやツイッターのイチャイチャっぷりからも大いに伺い知れるだろう。

 例として、以下のリンクから映像を見てみて欲しい。こちらのスペシャル対談映像では、小島監督がマッツ・ミケルセンとの趣味や知識などの相性の良さを嬉々として語っているほか、(映画とは違うゲームならではの撮影エピソードから)その俳優としての能力を褒め称える小島監督の笑顔を見ることができる。

 さらに、以下の動画では小島監督がマッツ・ミケルセンとの出会いや印象をこれまた嬉しそうに語っているほかに、オススメのマッツ出演作品をたっぷりと紹介している。こちらで小島監督が宣う「(ゲームで)世界中のマッツファンの人を喜ばせ、新しいマッツさんを見せる、引き出す! そして僕も喜ぶ!」という言葉を聞けば、その愛情が本物であることが間違いなく伝わるだろう。

hideo tube(ヒデチュー)第06回:北欧の至宝 マッツ・ミケルセン特集

 また、小島監督は『デス・ストランディング』について「“つなぐ”ということをゲームでやる」作品であるとも語っている。

 その“つなぐ”にはオンラインならではの遠く離れた誰かとのコミュニケーションだけでなく、“親と子”や“生と死”といった物語上の要素のほか、出演俳優のノーマン・リーダスやマッツ・ミケルセンのファンなども“つなぐ”ということも意味しているのだそうだ。

 詳しくは、以下のインタビュー記事を読んでみて欲しい。

 乱暴かつ勝手に言い換えてしまえば、小島監督には「マッツ・ミケルセンをもっと知って欲しい! ゲームファンにもマッツの魅力をわかって欲しいし、マッツファンや映画ファンにもこのゲームを遊んで欲しい! みんな“つながれ”!」という強い意思があるのだ。

 ここでは、その小島監督の強い意志(推し俳優を愛する熱い気持ち)にならい、映画ファンの筆者が特にオススメしたい、“マッツ・ミケルセン入門”のために厳選した主演映画5作品を紹介しよう。

マッツ・ミケルセン入門にオススメの主演映画5作品はコレだ!

1:『偽りなき者』

偽りなき者
監督:トマス・ヴィンターベア
出演: マッツ・ミケルセン, トマス・ボー・ラ―セン
(C)2012 Zentropa Entertainments19 ApS and Zentropa International Sweden.

 男性の幼稚園の先生が、女の子の作り話が原因で性犯罪者扱いされてしまい、周りから敵意と憎悪の目で見られてしまうというサスペンスドラマ。その“大人が子どもの作り話を信じる過程”は下手なホラー映画よりも恐ろしい。

 女の子の作り話にはおかしなところがあり、彼女自身も大変な事態になっていることに気づき嘘だったと告白もするのだが、何しろ性的虐待という決して許されない問題が提示されているため、大人たちはその真偽を十分に確かめることなく主人公を“断罪”しようとするのだ。

 排他的な村社会ならではの悪意の噴出、それによる悲劇の連鎖、そして最悪の状況に追い込まれてしまう恐怖は、誰にとっても他人事ではないだろう。主人公が精神的も肉体的にも疲弊していく姿は観ていて辛く苦しく、衝撃的なラストシーンも含め強烈な印象を観客に与える内容であるが、だからこそ得られる“教訓”もあるはずだ。

 小島監督もマッツ・ミケルセン主演作の中でも特にお気に入りの一本として、この『偽りなき者』を挙げている。

2:『悪党に粛清を』

悪党に粛清を
監督:クリスチャン・レヴリング
出演:マッツ・ミケルセン, エヴァ・グリーン, ジェフリー・ディーン・モーガン
(C)2014 Zentropa Entertainments33 ApS, Denmark, Black Creek Films Limited, United Kingdom & Spier Productions (PTY), Limited, South Africa

 こちらの作品では、マッツ・ミケルセンは妻と息子を殺されてしまった男に扮している。映像はシックで格調高く、一瞬の判断が生死を分ける攻防戦はスリリングで、92分というタイトな上映時間の中に“復讐もの”と“西部劇”の魅力が詰まっている1本だ。

 ハリウッドの大作映画にはあまり見られない、良い意味であっさりとした“死”の描写も印象に残るだろう。

 主人公は妻と息子を殺した男を早々と殺害するのだが、町を牛耳る悪漢がその男の兄だったためにさらなる復讐の種が撒かれることになる。主人公にも信頼している兄がおり、それが悪漢との対比になっているのも皮肉的だ。

 復讐の痛快さと、その虚しさという相反するものが同居している、“復讐の連鎖”を描いたドラマとしても秀逸と言える。

3:『ポーラー 狙われた暗殺者』

ポーラー 狙われた暗殺者
監督:ヨナス・アカーランド
出演:マッツ・ミケルセン, バネッサ・ハジェンズ, キャサリン・ウィニック
(C)1997-2019 Netflix, Inc.

 この作品はNetflixのみでストリーミング配信されている映画となっている。マッツ・ミケルセンが演じるのは、2週間後に定年を迎える凄腕の殺し屋であり、その内容を端的に言えば“エログロてんこ盛り”。

 鮮血がブシャブシャ飛び散りまくり、人の命は紙切れのように安く散っていき、マッツが“絶倫”ぶりを見せつけるシーンもある。言うまでもないが、お子様には絶対にオススメできない。

 コミックが原作であることをうかがわせる画の数々はスタイリッシュかつポップで、主人公が命を狙ってくる同業者に返り討ちにしていく様はエンターテインメントとしても面白く痛快だ。そして、終盤には凄惨な“拷問シーン”も待ち受けている。

 先ほどの『悪党に粛清を』もそうなのだが、マッツは捕らえられたり拷問を受けたり傷だらけになる役柄も多くこなしており、その姿も魅力的というか輝いて見える(?)というのは、小島監督も推しているポイントだ。

4:『アダムズ・アップル』

アダムズ・アップル
監督:アナス・トーマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン, ウルリッヒ・トムセン, パプリカ・スティーン
(C)2019 by アダムズ・アップルLLP

 こちらは現在、東京の新宿シネマカリテで上映中で、2019年11月1日からはアップリンク吉祥寺でも上映が開始される映画作品(以降も順次全国で公開予定)。

 その最大の特徴は、マッツ・ミケルセンが“過酷な現実から逃避して神を妄信する聖職者”に扮しており、その言動が「何言ってんだこいつ?」と思わざるを得ないほどに滑稽だったりすることだろう。

 不謹慎ギリギリのボケが噴出しまくり、突発的に不条理なバイオレンスも飛び出すという、黒い笑いに満ちた、はっきりブラックコメディと言える内容となっているのだ。

 舞台はほぼほぼ田舎の教会のみと限定的であるが(だからこそ)、くせ者を通り越してクレイジーな登場人物たちによる一触即発の関係性はスリリングで、先の読めない展開は驚きの連続、そして「え?なにこの状況?」なギャグが全て面白い。

 それでいて、「壊れた人生をやり直せるのか」「本当に求める希望や幸せはどこにいるのか」などと、普遍的な問いに迫った感動作にもなっているのだ。物語は旧約聖書の「ヨブ記」と「アダムの林檎」をベースにしているので、そちらを軽く調べておくとさらに楽しめるだろう。

 ちなみに、この『アダムズ・アップル』のデンマークでの公開年はなんと2005年。この作品のためだけに新たに配給会社が立ち上がり、14年越しの日本公開が実現したのだそうだ。史上もっとも胡散臭い(しかし同時に可哀想な)マッツ・ミケルセンを堪能するためにも、ぜひ劇場に足を運んでいただきたい。

5:『残された者 北の極地』(2019年11月8日公開予定)

残された者 北の極地
監督:ジョー・ペナ
出演:マッツ・ミケルセン, マリア・テルマ・サルマドッティ
(C)2018 Arctic The Movie, LLC.

 こちらは2019年11月8日より公開となる映画だ。内容は“マッツ・ミケルセンが北極でずっとサバイバルする”……と、一行で表せるほどにシンプルなものではあるが、実は序盤からとある急展開が起こる。

 これは公式サイトの文言やあらすじ、予告編でも示されてはいるのだが、できれば知らないまま観てほしい。ただ衝撃的というだけでなく、それは主人公の“希望”であり、そのい一方で“絶望”にもなり得る要素であるからだ。

 その撮影現場は、マッツが「今までで一番過酷だった」と振り返るほどに、肉体的にも精神的にも厳しいものだった。気温は実際に平均マイナス30度、刻々と天気が変りゆくため30日間予定だった撮影期間は19日間に短縮せざるを得ず、よりにもよって撮影2日前にこの50年で最大の降雪を記録してしまったりもしたため、脚本も常に書き換える必要があったのだそうだ。

 マッツ・ミケルセンは一瞬の動き、うめき声、視線移動に至るまで、極限状態の男を見事に演じきっている。人間の“生きたい”というシンプルな行動原理に迫ったサバイバル映画としても、最高峰と言える完成度を誇っていると断言していいだろう。

 ちなみに、『デス・ストランディング』の劇中では雪山のシーンがあり、小島監督によると「雪山が病みつきになるくらいすごい」、「雪山から離れたくなくてストーリーが進まないかも」と語っているほどに雪山が魅力的(?)に作られているのだとか。

 その『デス・ストランディング』の発売日と同日(2019年11月8日)に公開となる、同じくマッツ・ミケルセンが出演し、同様に雪に覆われた場所(でのサバイバル)を描いている、この『残された者 北の極地』を観てみるのもまた一興だ。

おまけ:ゴッホの伝記映画にもマッツ・ミケルセンが出演!

 上記の作品の他、全編ほぼセリフなしで展開するバイオレンス映画『ヴァルハラ・ライジング』(これは上級者向けかも?)や、娘を亡くした画家の男がパラレルワールドに迷い込むSF映画『ザ・ドア 交差する世界』も、マッツ・ミケルセンの魅力を堪能できる映画としてオススメしておこう。

 さらに、『デス・ストランディング』の発売日であり、『残された者 北の極地』の公開日でもある11月8日には『永遠の門 ゴッホの見た未来』というウィレム・デフォー(『BEYOND: Two Souls(ビヨンド:ツー ソウル)』の主人公ジョディの育ての親、ネイサン・ドーキンス役)が主演を務め、マッツ・ミケルセンが牧師を演じた、画家フィンセント・ファン・ゴッホの伝記映画も公開される。

 2019年秋は“秋のマッツ・ミケルセンまつり”という文言が出るほどに、マッツの魅力を堪能できる作品が日本で続々とリリースされているのだ。この機会をぜひ逃さないで欲しい。

まとめ:マッツ・ミケルセンの魅力を改めて語る

 マッツ・ミケルセンは、理不尽な出来事に翻弄されてしまったり、前述したように拷問を受けたり、はたまた愛する者を失ってしまうといった、端的に言って可哀想な役柄を演じることがとても多い(その一方で『ドクター・ストレンジ』のように悪役を演じることもある)。

 それは俳優としての演技力はもとより、その顔に刻まれたシワ、憂いを帯びた普段の表情からも、人生の苦労を感じさせるからだろう。そこには「この人の支えになりたい」「守ってあげたい」な母性本能をくすぐるものもあり、それは“イケおじ”が好きな女性だけに独占させておくのはもったいないほどの、マッツだけにある魅力とも言えるのだ。

 なお、『デス・ストランディング』でマッツが演じるキャラクターは、小島監督によると「(ネタバレになるので詳しくは明かせないが)ドラマのピークをさらっていく」ような役であり、マッツ本人によると「コインの表裏のような二面性を持つ複雑なキャラクター」なのだとか。

 また、小島監督は「撮影の合間にマッツがタバコを吸っている姿がカッコ良かった」ということで、劇中で印象的なタバコのシーンを取り入れたりもしているのだそうだ。

 『デス・ストランディング』で具体的にマッツがどのような役を演じているのか、マッツファンとして興味は尽きない。ぜひ、皆さんにも小島監督の強い意志(推し俳優を愛する熱い気持ち)に乗っかって、この機会にマッツの魅力を知ってもらい、上記に挙げた作品群に触れてみて欲しい。

『デス・ストランディング』
2019年11月8日発売
通常版:6900円[税抜](パッケージ版・ダウンロード版)
スペシャルエディション:7900円[税抜]※
デジタルデラックスエディション:8900円[税抜]
コレクターズエディション:20900円[税抜]※
プレイステーション4Pro DEATH STRANDING LIMITED EDITION:44980円[税抜]※

※数量限定