ヘルメッツは、クラシックアーケードゲームの稼動時の姿を12分の1サイズのミニチュアで再現するミニチュアメーカー。
そんなメルメッツの今後の事業に注目し、兒玉徳行氏にその想いを聞いた。
さらにミニチュア筐体の試作品として、イベントなどで展示されている2点を紹介。
クラシックアーケードゲームの稼動時の姿を保存する!?ミニチュアメーカー“ヘルメッツ”の事業に注目!!
クラシックゲームの復刻が相次ぐ昨今、 かなりの数の作品が現行ハードでプレイ可能となっている。
当時を知る方であれば、 その筐体の姿を思い出せるだろう。 ただし、 当時を知らない方にとっては未知のもの。
作品に付随する記憶としての筐体。
それを12分の1サイズで再現するミニチュアを、 つぎつぎとリリースするメーカー、ヘルメッツの兒玉氏に、その想いを聞いてみた。
兒玉徳行(こだまのりゆき)
アーケードゲームと模型、ふたつの趣味が昂じてヘルメッツを起業。徹底した取材を行い、数々の資料を集め、ミニチュア筐体の完全再現を目指す。
――ヘルメッツはいつごろ、どのようなきっかけで創業したのでしょうか?
兒玉5年ほど前に創業しました。もともと、自分は趣味でゲーム筐体のミニチュアを作り続けていました。当時は渋谷などにレンタル工房がありまして、レーザー加工機や3Dプリンターで物を作ったりしていたんですよ。実際に触ってみて、少し自信がついてきたことが、会社を起業したきっかけになっていると思います。
――趣味を活かした会社なのですね。
兒玉ただ、そういうところに出入りしていると、ものすごく時間を消費するのです。そこで、「じゃあレーザー加工機を買おうか」となりました。加工機を買ったら、もう後戻りはできないですよね(笑)。奥さんと相談しまして、この道でゴハンを食べていこうと決めました。
――奥様の協力があって、成り立っているのですね。つぎにミニチュア筐体の、製作過程をお聞かせいただけますでしょうか。
兒玉まずは情報収集です。モデルとなる筐体の整備マニュアルやチラシを集めまして、つぎに実機取材による写真撮影や採寸などを行います。その後PC上で設計、レーザー加工機や3Dプリンターで試作品を作って、量産の検討をします。
――これだけの工程ですと、かなりの時間がかかりそうです。“1/12 テーブル筐体(※1)”は、開発にどのくらいかかりましたか?
兒玉最初に発売の告知をしたのが2018年の夏ごろでしたが、内部の再現をどうするかなどはその年の5月ごろから製造会社に相談していましたね。今年の8月に、ようやく発売できました。
――イベントなどでは、液晶画面の付いたものが展示されたりしていますね。
兒玉最終的に“Raspberry PI ZERO(※)”を内蔵できる仕様にしましたので、さらに液晶部品やスピーカーを追加すれば、この状態になります。画面はイラストレーター・マンガ家のRIKIさんに描いていただいたオリジナルです。
――公式サイト“ヘルメッツストア”では、液晶部品の通販も準備中ですよね。
兒玉はい、組み込み手順書やテスト用のデータもセットにして販売いたしますので、楽しみにしていてください。
――つぎに“X68000”関連のグッズについてお聞かせください。最初に“Raspberry PI”ケースをリリースされていましたね。
兒玉そうです。初めはレーザー加工機で作ったキットで、木製でした。
――塗装が必要でしたので、少し敷居が高い印象でした。後のプラスチックモデルでは、塗装しなくてもリアルにできあがる仕様ですね。
兒玉根強い愛好家の方々がいらっしゃいますので、いい手応えがありました。
――11月発売予定のショルダーバッグ(※2)も、兒玉さんのコダワリが詰まっていますよね。
兒玉製造会社さんがワガママを聞いてくれて、細部も再現できました。ほかにTシャツなども商品化していますので、よろしくお願いいたします。
※1 1/12 テーブル筐体
3980円[税抜]
8月に発売されたばかりのプラスチックモデルキット。天板が開くギミックなども、実機さながらに再現。
※2 X68000ショルダーバッグ CZ-600Bag
19800円[税抜]
ゲーマーの憧れ、シャープ製PC“X68000”のフォルムを模したショルダーバッグ。実機とほぼ同じサイズだ。
ヒミツの試作品! チョチョット、ショーカイ!!
ここでは、ミニチュア筐体の試作品として、イベントなどで展示されている2点を紹介しよう。
まずは『ナイトストライカー』。1989年に稼動したタイトー作品で、3Dタイプのシューティングゲームだ。
「タイトーさんから試作品公開の許諾をいただきまして、各種イベントで展示しています。
『ナイトストライカー』と言えば、“ライトストリームシステム”(筐体内の電飾)も再現しないと。画面も液晶部品を使用して、『URBAN TRAIL』(本作のBGM)が流れたら最高じゃないですか?」(兒玉氏)。
もう1点は『オペレーションウルフ』。
1987年に稼動したタイトー作品で、ガンシューティングゲーム。
こちらはすでに液晶画面が内蔵されており、ハーフミラーで表示するギミックも再現。
本作のデモシーンが流れるが、ユーザーからは「実際にプレイしたい」と言われるそうだ。
※Raspberry PI ZERO……教育用に開発されたシングルボードコンピュータ、Raspberry PIのモデルのひとつ。安価で販売されているため、趣味や業務など幅広く使用されている。