プレイステーション4/Xbox One/PCでいよいよ発売される、ミリタリーFPSシリーズ最新作『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』。

 2007年の名作『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』(CoD4MW)と同じサブタイトル&現代戦テーマで蘇る新生“モダン・ウォーフェア”は、どんな仕上がりなのか? 本作のキャンペーン部分をひと足先にプレイしたので、紹介していこう。

衝撃的なシーンに満ちた現代戦テーマのキャンペーン、その後の土台となったマルチプレイ。すべてを変えたCoD4MW

 さて本作を語るにあたって、まずCoD4MWについて振り返りたい。CoD4MWは、それまで第二次世界大戦をテーマに展開されてきたシリーズを“現代戦”(モダン・ウォーフェア)テーマに移した革命的な作品だった。

 トム・クランシーブランドの『レインボーシックス』や、ややマニアックな所では『Soldier of Fortune』など、それまで現代が舞台のミリタリー系FPSがなかったわけではない。それらのゲームも一定の成功を収めていたが、それ以上にCoD4MWが圧倒的で、大ヒットにより新たなスタンダードを築き上げたのだ。

 さまざまな思惑が渦巻くストーリーと後述する画期的な演出で満ちたキャンペーン、その後のシリーズのマルチプレイの土台になったと言っても過言ではない、脳が焼けるように感じるほどハイテンポなマルチプレイ対戦、果てはステージ間のローディング中のブリーフィング画面や、暗視ゴーグルをイメージした画面演出や“キュイーン”というサウンドアイコンなどの細かな部分に至るまで、CoD4MWはすべての完成度が高く統一されていた。

 その影響力の大きさは、後に『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』に至る三部作に発展したことや、近年になってリマスター版が展開されたことからもうかがえるだろう。

 キャンペーンの内容をもう少し掘り下げると、CoD4MWにはFPS史に残る名ステージが多数収録されていた。核爆発を目撃して死んでいく“アフターマス”(リマスターでは“黄泉の平原”)、AC-130による対地攻撃が行われる“空からの死”(同“空の脅威”)、そして放射能汚染されたプリピャチへと潜入する“オールギリードアップ”(同“擬装完了”)などがそれだ。

 これらは最前線で盛大に弾をばら撒いて戦うはずのミリタリーFPSのアンチテーゼ的な内容になっていて、“アフターマス”では一発も撃たずにただ死んでいく事になるし、“空からの死”ではかつて“ビデオゲームのような”と形容された一方的な遠距離攻撃が静かな白黒画面の上でシニカルなジョークを交えながら展開され、“オールギリードアップ”と続く“ワンショットワンキル”では撃つべき最高のチャンスまであえて撃たないプレイを強いられる。10年以上経った今でも記憶している人も多いのではないだろうか?

“オールギリードアップ”のオープニングで、ムクッと音もなく立ち上がるマクミラン大尉。
究極の破壊兵器を前に死んでいくしかない“アフターマス”。ここでの悔しさが核ミサイル攻撃阻止という終盤へのモチベーションになっていく。
脱出ポイントに向けて進む眼下の友軍を眺めながら進行していく“空からの死”。

 “現代戦のリアリティの中でものすごい光景を見せる”事に成功したCoD4MWの影響はシリーズ内部に留まらなかった。ある意味、業界を“狂わせた”と言っても過言ではないだろう。

 まず“モダン・ウォーフェア”自身が、続く2でさらにその方向性を押し進めることとなり、空港テロを実行する側になる“ロシア語厳禁”や米露全面戦争によるホワイトハウス陥落(“自らの意思”)を経て、3では第三次世界大戦を描くことになって、現代戦で革命を起こしたはずが今度は近未来フィクション化していくことになる。

 これは記者の見立てに過ぎないが、業界でもこの流れに呼応するかのように、より破壊的なシーン、より凄いシーンの追求が増していき、同様に近未来化が促進していったように思える。2020年の架空兵器が登場する『バトルフィールド4』や、“北朝鮮占領下のアメリカ”を舞台とした『ホームフロント』などはその例と言えるのではないだろうか。

 さて、ミリタリーFPS史の上ではやがてその近未来化すらもマンネリとなり、“逆に新しい”テーマとなった第一次世界大戦(『バトルフィールド 1』)や第二次世界大戦(『コール オブ デューティ ワールドウォーII』)への先祖返りも起こった。

 その間にグラフィック技術なども格段に進化し、さらにフォトリアル(写実的)な描写が可能に。一方で現実の時間はかつて近未来として描かれた年へと差し掛かり、第三次世界大戦は起こらなかったものの、複雑な事情と大国の思惑がうごめく地域紛争の時代が到来した。

 となれば再び現代戦を描く意味が出てくるのは必然だ。舞台は整った。“Going Dark”の指令とともに暗視ゴーグルを被って再び潜入する時間だ。

2019年現在のリアリティへの帰還

 というわけで前置きが大分長くなったが、このように満を持して現代戦テーマに帰還する『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』は、CoD4MWからの旧モダン・ウォーフェア三部作を一旦リセットして“Re-imagine”(再構築/再創造)した、新たなモダン・ウォーフェアとなる。

 舞台は2019年現在。イギリス・ロンドンのピカデリーサーカスで起きたテロ事件を発端に、化学兵器をめぐる米露の公式/非公式部隊と中東の軍事組織が入り乱れた戦いが展開される。“プライス大尉”などの象徴的なキャラクターが、旧作とは別人の扱いながら、現在を生きる兵士として登場し、混沌とした現代の戦場を戦うのだ。

通常難度でもハードコア! 撃たれてから敵を探すな

 具体的なネタバレを避けつつキャンペーンの方向性について触れると、“ハードコア”の一言に尽きる。本作、キャンペーンモードでもマルチプレイ並みに命が安いゲームバランスとなっており、撃たれてから敵を探しているようでは比較的低難度でも撃ってきた敵を見つける前に死ねる。

最高難度では、ただでさえ少なめに抑えられているUIがさらに削られて厳しいことに。
ガスマスク被って明かりがフラッシュライトのみという、最高に視界が悪い状態で進まなければならない最序盤ミッション。

 そこで重要になってくるのが新アクションのマウントだ。これは壁や柱のフチに銃を沿わせて覗き込む動きで、遮蔽物にできるだけ身を隠しながら狙いをつけることができる。誰がいるかわからない先の部屋に進む時などもマウントを使ってクリアリング(敵の存在確認)を行いつつ、銃撃戦になった際も瞬時に撃ち返したほうがいい場合を除き、できるだけマウントからの応戦をオススメしたい。

敵味方の判別が難しい恐怖感

 そしてキャンペーンのもうひとつの特徴は、敵味方がすぐにわからない恐怖感だ。ストーリー中では市街でのテロや民兵との戦いがフィーチャーされており、目の前にいるのが無実の市民なのか、それともテロリストや敵兵士の偽装なのかが瞬時に判別できないというシーンに頻繁に直面する。

 今回のキャンペーンの全体を覆うテーマのひとつとして“交戦規定”があり、基本的に正規部隊として戦うプレイヤーは、市民や友軍はもちろん、交戦許可が出ていない組織への攻撃は許されない。それがもっとも顕著に現れているのが、ロンドンでテロを起こした組織のアジトに踏み込むミッションだ。

 このミッションは一軒のアパートに踏み込むだけなので、エリア的にも敵の数的にもかなり限定された戦いだ。しかし緊張感は全ミッション中で一番高く、今作を象徴するミッションとなっている。

 というのも、このミッションでプライス率いる捜索チームはアパートに踏み込んで一室ずつクリアーしていくことになるのだが、テロリストはどの部屋にどれだけいるかわからないし、“攻撃の意思を明確にしたテロリスト”は射撃可能なものの、“テロリストの家族”などは撃ってはいけない。なのに相手は人質を偽装したテロリストの一味だったりすることもあるし、逆に(夫はテロリストだけど)本当に子供を守りたいだけのお母さんだったりもする。

 従って、ドアをゆっくり開けてクリアリングしたりフラッシュバンを投げ込んだりしつつ、暗視ゴーグルの限られた視界の中で(銃を手に取るなど)相手に攻撃の意志があるかを判断して行動しなければならないのだ。

 すでに書いたように一発が重いバランスの本作では、これはなかなかキツい。「やべ、なんか死角から撃たれたな」と感じてから狙い直して撃つような時間はあまりなく、相手が銃を手にしているのを確認した瞬間に撃つぐらいではないと間に合わないことが多いのだ。

人を見つけるたびにめっちゃ焦る。

 その他、ぞろぞろ押し寄せてくる民兵への恐怖や、逆に大国に蹂躙されるしかない人々を描くシーンなどもあって、感情的にはいろいろと突き動かされるものが多い。

ケシ畑の中の逃避行。前後の凶悪な描写との景色の対比がヤバい。

過去作への目配せ的シーンも多々

 先に書いたように、旧三部作の世界観からは一回リセットされているので、それぞれのキャラクターの背景や性格などはイチから語り直されるし、旧作をまったく知らない人も何も問題なくフレッシュに遊ぶことができる。

 しかし具体的にどんなものかここでは明かさないが、旧作キャラクターの“再登場”に留まらず、モダン・ウォーフェア三部作やそれ以外のCoD作品のキャンペーンミッションを想起させるようなシチュエーションも仕込まれているので、知っているとニヤリとできるのは保証する。まずはリマスターを遊び直してからプレイするというのもアリだろう。

“空からの死”を想起させる、アパッチヘリのサーマルビューからの対地攻撃。

新たなモダン・ウォーフェアがここからはじまる

 「じゃあお前が散々語った“現代戦のリアリティの中でものすごい光景を見せる”って奴は今回どうなんだよ」とお思いの人もいると思うので、その点についても軽く触れておこう。

 正直に言ってしまうと、ショッキングなシーンや印象的な場面はあるものの、今回は“アフターマス”のような現実を超越するような事は起きず、あくまで現代モノとして起こりえそうな範疇に収まっているという感じだ。

 これは悪く言えば物足りないかもしれないが、良く言えば(ホラ吹き合戦みたいにならずに)現代のリアリティに即した新たなモダン・ウォーフェアを築こうとしているとも考えられる。

 ストーリーや設定に不満がないわけではないが、これは間違いなく新たなモダン・ウォーフェアの始まりにふさわしい作品だ。協力プレイモード“スペシャルオプス”へと繋がっていくキャンペーンモードのエンディングパートでもそれは実感できるはずだ。旧作を知っているプレイヤーならこう言うだろう。「そう来たか」と。