この効果なら今度こそ痩せられる(と思う)

 2019年10月18日に発売される、Nintendo Switch用ソフト『リングフィット アドベンチャー』(価格は8778円[税込])。本作をいち早くプレイする機会を得たので、実際にプレイしたレビューをお届けする。

 本作は、ソフトに加えて、専用のコントローラー“リングコン”と“レッグバンド”を同梱。これらに左右のJoy-Conをセットしてプレイする。

任天堂の新たな挑戦『リングフィット アドベンチャー』レビュー。攻撃方法がフィットネスのRPG!? ゲームが主体の新機軸フィットネスソフト_01
レッグバンド(左)とリングコン(右)。

 リングコンはその名の通り丸い輪っか状のコントローラー。柔軟性のある素材でできており、左右にあるグリップ部分を握って、上下に上げたり、左右に振ったりといった操作に加え、リングコン自体をググーッと引っ張って広げたり、逆に押し込んだりもできる。このリングコンの引っ張る動作や押し込む動作がこれまでのゲームになかった操作でおもしろいのだが、これだけでもくり返していると腕に来る……。

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ゲームプレイ時に、リングコンを押し込む力の強さを測定する。これによって、リングコンを押し込んだと判定されるために必要な力を判定。力が強いプレイヤーと力が弱いプレイヤーも、どちらも対応できるようになる。

 一方、レッグバンドは足の太ももに装着する伸縮性の高いバンド。バンド内にJoy-Conを収納するスペースがあり、Joy-Conのジャイロセンサーで足の動きを感知する仕組みだ。

 本作には、大きく分けて4つのモードがある。それぞれの簡単な解説は下記の通り。本記事では、その中でアドベンチャーモードを中心にお届けする。

  • アドベンチャーモード:ファンタジー世界を冒険しながらフィットネスを行う、RPGのようなモード
  • お手軽:サクッとできる、ミニゲーム形式のフィットネスを楽しめるモード
  • カスタム:ゲームに収録されているフィットスキルとミニゲームを自由に組み合わせて、じっくり楽しめるモード
  • ながらモード:ゲーム画面を見ずに、テレビなどを見ながらリングコンだけを使ってトレーニングするモード

じつは体感型RPGのアドベンチャーモード

 これは、闇のオーラを放つドラゴン“ドラゴ”を追って、不思議な力を持つ“リング”といっしょに冒険をするモード。このモード、設定や画面を見ると、ファンタジーRPGのようなのだが、じつはプレイをしても、本当にファンタジーRPGを遊んでいる感覚になる。

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ドラゴ。何やらリングと因縁がありそう。
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リング。「がんばろう!」と励ましてくれるのはうれしいが、しんどいときでも容赦なく励ましてくる。

 フィールドがいくつものステージに分かれているのだが、そのステージを進んでいくと敵とエンカウント。ターン制のバトルが始まり、バトルをくり返せばレベルアップする。また、ステージの要所要所には強敵が出現し、体力が減ったら回復アイテムを使う。この説明をされたら、多くの人はRPGの解説だと思うだろうし、実際にプレイの流れは簡易RPGと言えるものだ。……ただし、プレイの方法はすべてフィットネス!

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 プレイヤーは実際に走っているように足を上げて(その場でのもも上げのような動作。ちなみに、階下に配慮するサイレントモードもある)ステージを進み、バトルではスクワット×20セットなどでダメージを与えていくという、攻撃方法がフィットネスじゃなければ、RPGの世界に入り込んで実際に身体を動かして体感するような構造になっている。

 ただ、足を上げて移動している最中も、ステージに突如出現する崩れる床をダッシュで駆け抜けたり、ステージの左右にあるアイテムをリングコンを使って拾ったり(リングコンを広げることで目の前のものを吸い込める)、リングコンを下に向けて押し込んでブースターのようにジャンプをしたりと、なかなかアクロバティック。これを走りながらやるのだから、ステージ後半になれば息が切れてくるのもしようがない。

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 ステージの途中途中には敵が待ち構えており、衝突するとバトルに突入する(ジャンプで敵を避けるようなテクニックもある)。バトルはターン制のRPG。選んだフィットネスメニューが攻撃手段になって敵へダメージを与えるのだが、そのフィットネスもしっかりやらないと与えるダメージが減る仕様になっている。というのも、たとえばスクワットならば腰をしっかり落とせば、プレイヤーの攻撃力で出せる最大値に近いダメージを与えられるのだが、腰の落とし具合が甘ければ与えるダメージが若干減り、敵を倒すのが長引いてフィットネスをする回数が増えてしまうわけだ。

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 トレーニングやフィットネスを行う中で、疲れてくるとどうしても体勢が崩れたり、しっかりとした姿勢を取らない瞬間が出てくる。しかし、このゲームでそれを行うと、結果的にフィットネス時間が長引いてより疲れるという、自分への甘えがみずからに返ってくるという、ある意味恐ろしいゲームになっているのだ……!

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左上に表示される、人間のような“ミブリさん”のポーズを参考にフィットネス。

 また、RPGのバトルだけあって、敵も攻撃を仕掛けてくる。このときは、リングコンをお腹に押し当ててグッと腹筋に力を入れる“腹筋ガード”でダメージを軽減する防御ターン。この力の入れ具合が甘ければ大ダメージを食らうし、しっかりガードをしていても、徐々にHPは削られてしまう。バトルをくり返してHPが減った状態で、さらにバトルが長引けばHPがゼロになってやられてしまうため(やられるとステージの最初からやり直し)、経験値を溜めてレベルアップをして最大HPを上げてから再度挑むような状況になる。まさにRPG!

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 ステージの移動で実際にジョギングのような動きをし、立ちはだかる敵とのバトルで、スクワットや床に座って足をお腹に引き寄せるニートゥチェスト(キツイ!)などのフィットネスをくり返していけば、それはもう汗はダラダラ。本当にいい運動になる。

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これがニートゥーチェスト。マジでキツイ。

 ちなみに、ステージで走っているときやバトルの最中には、相棒のリングが「その調子!」、「キレてるよ!」と応援する掛け声をくれるのが、うれしいところ。ボディビル界隈ではよくある掛け声で(最近だと、アニメ『ダンベル何キロ持てる?』のオープニング曲などにもあった)、こういった掛け声があると「もうちょっとだけ……」と本当にがんばれたりする。本当にキツイときに「輝いてるよ!」と言われると、「適当なこと言いやがって!!!」と思ったりするが、その怒りをバネにがんばれるなら、リングの狙い通りなのかもしれない。

 なお、アドベンチャーモードは進んでいくと、攻撃コマンド(フィットネス)に属性が付加され、敵の弱点属性の攻撃を選ぶなど、戦略を考えるようにゲーム性が上がっていく(バランスよくフィットネスをしたい人は、つぎつぎとフィットネスが自動的に選ばれるランダムを選択すればいい)。

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敵と同じ色のコマンド(フィットネス)を選べば、弱点属性での攻撃になる。

 従来の家庭用ゲーム機で登場したフィットネスゲーム、たとえば、任天堂で言えば『Wii Fit』などは、あくまでフィットネスが主体であり、そこにゲーム性が付加されているというものだった。だが、本作のアドベンチャーモードはまさに体感するRPGであり、戦闘の手段、移動の手段がフィットネスに置き換わった、ゲームの一部がフィットネスになった作りになっている。これが本作の最大の特徴であり、魅力だろう。

 ゲーム的にフィットネスをやりたいけれど、途中で飽きてしまうので、飽きないモチベーションが欲しいという人には本作は最適だろうし、それだけでなく、そもそもRPGの成長要素が好き、ステージを探索するのが楽しみ、ストーリーの先の展開を知りたい、などなど、本作のゲーム要素をモチベーションに、自然とフィットネスを楽しむ人もいるかもしれない。

 ちなみに、筆者はWiiの『Wii Fit』で一度ダイエットに成功したのだが(10kg弱落ちたので本人的には成功)、Wii U版の『Wii Fit U』では長続きがしなかった。これは、内容はパワーアップしても、『Wii Fit』の延長線上にあった影響で、あまり新鮮味が感じられず飽きてしまったのだと分析している。が、今回の『リングフィット アドベンチャー』なら、また新鮮味のある体験ができるので、きっと痩せる……と思っている(希望的観測含む)。そもそも、『Wii Fit』からリバウンドしてなければよかったじゃんという話はさておき。

 なお、今回の記事ではあまり触れていないが、“お手軽”などで体験できる本作のミニゲームもただのミニゲームではなく、リングコンやレッグバンドを活かした、本作ならではのゲームになっていておもしろい。……が、調子に乗って何度も遊んでいると、本当に動けなくなるくらい筋力を使っているので要注意だ(体験談)。

 そのミニゲーム、そして、前述のアドベンチャーモードについては、ハロー!プロジェクトのアイドル“アンジュルム”の室田瑞希さんと佐々木莉佳子さんにプレイしていただき、ファミ通TUBEの動画企画でもお届けする。この記事だけでなく、動画と合わせてご覧いただくとよりわかりやすいので、こちらもご覧いただきたい!