サービス開始4周年を記念したリアルイベント“FGO Fes. 2019 ~カルデアパーク~”で、無料で手に入るフレンドポイントでの召喚で入手できる星1~2(以下、低レア)の新サーヴァント7騎の実装や、聖晶石召喚の実質的な値下げなど、『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)の新情報が多数発表された。筆者含むファンたちを歓喜させたこれらの新要素はどのようにして生まれたのか。経緯や裏話、新規低レアの排出率など、個人的に気になったことを聞いてみた。

 本インタビューは中国・上海で開催された簡体字版3周年イベントFGO EXPO Shanghai 2019で実施。写真は大型クルーザー並の巨大な虚数潜航艇シャドウ・ボーダーと天井まで届く高さが壮観な空想樹の前で撮影した。

カノウヨシキ 氏

進行管理を行うプロジェクトマネージャーとして『FGO』に参加。第2部の制作にあたり、塩川洋介氏からディレクション業務を引き継ぎ、開発現場のトップとして指揮を執る。

TYPE-MOONはつね日ごろから“ユーザー還元”を重視

――フレンドポイント召喚用の新規サーヴァント7騎は、いつから準備していたのですか?

カノウ3周年の後に武内(崇)さんと、来年の周年ではよりユーザーさんにサプライズを提供したいという話をしている中で、「低レアサーヴァントを追加したい」と提案がありました。3周年から発表までに実装したサーヴァントと同時並行で開発を進めたのですが、6~7月は水着や新規ぐだぐだイベントと重なっていたため、「たいへんだろう」と思いながらも開発担当者たちにがんばってもらいました。

低レアサーヴァント7騎は無料のゲーム内ポイントで召喚可能。新規低レアが実装されたのは、約2年ぶりのこと。

――奈須きのこ氏からサーヴァント1騎の制作期間は半年~9カ月とうかがっていましたが、よく間に合いましたね。

カノウギリギリでした。私も不安だったため、おもしろい提案だったのですが、武内さんからお話をいただいたときには「持ち帰ります」とお答えだけして、可能なかぎり社内確認をしたうえで、ムリを承知で最終的にGOをかけました。

――新規の低レア7騎は星1~2とは思えないほどモーションが豪華ですし、開発がたいへんだったのでは?

カノウ実装担当者たちがギリギリの状況の中でがんばってくれたので、発表時に大きな歓声が沸くほど皆さんが喜んでくださったのだと思います。その場にいた担当者たちも、きっと皆さんの声を聞いてやってよかったと感じてくれたはずです。ただ、TYPE-MOONさんとつぎの話をする中で、「もしかしたら、今年やりすぎちゃったかな」というのが共通見解としてあります(笑)。

――新規7騎の中でカノウさんのイチオシは?

カノウイアソンです。「あれは宝具なの?」と首をかしげてしまうほどの演出や、サーヴァントがいっぱい登場することから「実質、星3!」と言われていたりして興味深いです(笑)。彼がらみでメディア〔リリィ〕、陳宮がらみで呂布奉先のバトルモーションをリニューアルしたのですが、じつは4周年イベントのときの発表順に悩みました。7騎を発表した後にモーションのリニューアルを発表したほうが、もっとわかりやすかったかもしれませんが、トリは陳宮やイアソンら新サーヴァントに飾ってもらうことにしました。

星1セイバー“イアソン”。自身は攻撃に参加せず、仲間の攻撃に巻き込まれるコミカルな宝具演出が話題に。

――低レア7騎の中で陳宮だけ排出率が低く設定されていないでしょうか?

カノウレアリティごとに確率は一定です。シミュレーターを回して確認していますし、しっかり確率が収束するようにしています。

――安心しました。続いて“コマンドカード強化”の実装意図を教えてください。

カノウ3周年では、コマンドカード選択時に戦略を持たせるというコンセプトで、“指令紋章(コマンドコード)”を実装しました。4周年では、1年経って新規のユーザーさんも増えてきたので、「つぎのステップを考えたほうがいいかもしれない」とTYPE-MOONさんと話をして、“コマンドコード”よりもわかりやすいものを作ろうと考えたんです。今回は、コマンドカードの攻撃力を上げる単純なものですし、今後はログインボーナス以外の取得機会も増やす予定なので、自分の好きなサーヴァントの好きなカードにどんどん使ってください。

ログイン7日ごとに1つ入手できる“獣の足跡”。現状の配布間隔では、1騎を限界まで強化するのに3年弱かかる。

――最後に聖晶石召喚のピックアップ確率を上げた理由を教えてください。素人考えですが、確率を変えずに新規の低レアを聖晶石召喚で実装したほうが売上が上がったのでは?

カノウ10連を11連に増やしたこともそうですが、召喚に関しては、例年ユーザー還元していきたいというのが、現在までの方針です。こういった変更はTYPE-MOONさんとアニプレックスさん、弊社の3社協議になるのですが、つね日ごろからTYPE-MOONさんも「ユーザーさんに還元したい」という想いがあり、皆さん快く了承してくださるので進めやすかったです。石倉(『FGO』スタジオ スタジオ長の石倉正啓氏)が「11連はどうでしょう?」と提案したときも、すぐに満場一致で決まったほどでした。