Epic Games(エピック ゲームズ)といえば、いまのユーザーにとってはきっと『フォートナイト』のパブリッシャーとしての認知度が強いかと思われるが、20世紀末にこの業界に足を踏み入れた記者からすると、断然Unreal Engineの供給元というイメージが強い。それが、Xboxで『Gears of War』をリリースして、「マイクロソフトのファーストパーティータイトルを手がけるのか?」と思っているうちに、『フォートナイト』が大ヒット。さらに昨年からはPCゲームの配信サイトとして、Epic Gamesストアのサービスを立ち上げるなど、こうして考えてみると不思議な会社である。
エピック ゲームズとはどんな会社なのか? そんな疑問に突き動かされて、エピック ゲームズ ジャパンを訪問。同社代表の河崎高之氏と、Unreal Engine 4のテクニカルサポートを担当する篠山範明氏、鍬農健二郎氏にお話を聞いた。まずは、河崎高之氏とのやり取りからお届けする。(聞き手 週刊ファミ通編集長 林克彦)
河崎高之氏
エピック ゲームズ ジャパン 代表
※崎はたつさき
ガレージでのゲーム制作に始まり、ゲームエンジンも手がけるように
――まずは、そもそものエピック ゲームズの成り立ちから教えてください。
河崎創業者であるティム・スウィーニーが、1990年に自宅のガレージでゲームを作り始めたのが、そもそもの最初です。まだ、Windowsもない時代で、いまでも役員を務めているマーク・レインなど少人数で始めたようです。『ZZT』(1991年)や『Jazz Jackrabbit』(1994年)などを作って、いちばん最初に注目を集めたのが、おそらくはゲームの『Unreal』(1998年)。当時『DOOM』(1993年)や『Wolfenstein 3D』(1992年)といった3Dゲームの“シューター”というジャンルが出てきたところに、それまでダンジョンの中だったのが、初めて外に出て広いオープンフィールドで撃ち合えるというのが『Unreal』だったんですね。ゲーム開発という軸でみると、『Unreal』から『Unreal Tournament』(1999年)にいって、『Gears of War』(2006年)をマイクロソフトさんとやらせていただいて、そのあたりで事業として一気に大きくなったという流れがあります。
――『Gears of War』シリーズは、ファーストパーティータイトルとして大好評を博しましたね。
河崎一方で、ゲームエンジンのUnreal Engineの流れがあります。ご存じのとおりUnreal Engineは、『Unreal』に付いていたMOD(パソコン用の改造データ)ツールだったんですね。そのMODツールのデキがすごくよくて、ほかのゲーム開発者の方から、このMODツールを使ったら、もっと簡単に早くゲームができるからライセンスをしてほしいというお問い合わせをたくさんいただいて、「あれ、これはビジネスになるのではないか?」というところから始まったのが、ゲームエンジンのビジネスなんです。
――瓢箪から駒みたいな形で、ほかからの引き合いがあったから始めたのですね。
河崎需要が先に来た感じですね。考えてみるとこれは当たり前の話で、そもそも当時はまだゲームエンジンという概念すらなかったので、「ゲームエンジンを作ろう」という発想もなかったわけです。これはいまも変わらないティムの考えかたなのですが、「ユーザーになるべく利便性の高いものを提供したい」というところから、MODツールもすごく気合いを入れて作っていたみたいで。そのMODツールの評判があまりにもよかったので、ほかの開発会社も使うようになって、いつの間にかそれが“ゲームエンジン”という呼ばれかたをするようになったのが、おそらく1990年代後半ですかね。
――時代の流れといったところもあったのですね。
河崎それで、これはビジネスになるということで、『Unreal Tournament』を始めとするゲーム『Unreal』シリーズの流れがありつつも、Unreal Engineを切り分けて、ライセンスするようになったんです。それが、Unreal Engine 2やUnreal Engine 2.5と呼ばれているころで、それが世代で言うとプレイステーション2のころなんですね。そのころはまだそんなにゲームエンジンを使うという習慣も業界的にはなかったので、わりと細々とやっていた感じですが、Unreal Engine 3になって、我々もゲームエンジンをビジネスとしてやっていこうということで体制を整えたこともあり、開発者さんでも、ゲームエンジンを使った開発というのがかなり一般化してきたように思います。エピック ゲームズとしては、そこからゲームを開発しつつゲームエンジンも提供するといういまの流れが本格的になりました。2003年から2004年のころですね。
――軸となるビジネスが成立したというわけですね。
河崎最近は、『フォートナイト』(2017年)を自分たちでパブリッシングするようになったので、パブリッシャーとしての顔も持つようになりましたね。これは、オンラインが広まったという時代背景の変化もあると思うのですが、それまで25年くらいデベロッパーでやってきたのが、パブリッシャーになった。まあ、厳密に言うと、それまでにも『Infinity Blade』(2010年)や『Paragon』(2016年)などをリリースしていましたが、世間にも認めていただけるようになったのは、『フォートナイト』からだと思います。そこからさらに、Epic Gamesストアが2018年に始まったので、今度はプラットフォーマーや流通のような機能も保持するようになり、さらには開発側向けのバックエンドのオンラインサービスも昨年から始めましたので、相当全方位的と言いますか、川上から川下までいろいろなことをやっている感じですね。
――ゲーム業界のどこにもいるような感じですね(笑)。
河崎そうですね(笑)。ですので、パブリッシャーさんともお話ししますし、プラットフォーマーさんともお話しますし、デベロッパーさんとも流通さんともお話します。いろいろな顔がありますね。
――いま、主軸として捉えているのはどの領域になるのですか?
河崎気が付くとビジネス領域が増えているのでわけがわからない感じなのですが(笑)、僕がエピック ゲームズに入ったのが10年前で、当時はおそらくスタッフが世界中で100人を超えたくらいだったと思うんですよね。いまは正確には把握していないのですが、2000人近いかもしれません。最近は、月に2社くらいのペースでツールメーカーなどを買収しているので、ものすごい勢いで人が増えているんですよ。それだけビジネスエリアが広がってきているということは言えるかもしれません。ただ、ひとつ言えるのは、私たちはゲームの開発が主軸ですし、私たちはゲーム会社だと思っています。
Unreal Engineはプレゼン資料を作るときのパワーポイントのようなもの
――わかりました。では、まずはUnreal Engineのことから聞かせてください。熱心なゲームファンは、Unreal Engineの何たるかを理解していると思うのですが、けっこうふんわりとしかわかっていない人のほうが多いと思うんですね。そんな方のために、そもそもUnreal Engineの何たるかを、わかりやすく教えていただけないでしょうか。
河崎すごく文系的なたとえで言うと、プレゼンテーション資料を作るときのパワーポイントみたいなものだと言うと、わかりやすいかと思います。
――それはわかりやすい(笑)。
河崎パワーポイントなしでプレゼンテーションの資料を作ろうとしたら、一昔前のOHPという透明のフィルムに手書きしたり、自分でアニメーションを作ったりとか、ものすごく大変だと思うのですが、パワーポイントなら決まった機能を選択していくだけで、絵が描けたり、アニメーションが付けられたりする。コンテンツを作るための前作業とか準備段階をパッケージでまとめてご提供することで、道具を作るところから始めなくてもいいんです。いきなりコンテンツを作れるのがゲームエンジンなんですね。
――本当に簡単にプレゼンテーションの資料が作れるということですね。
河崎ご説明するときによく使うアナロジーとしては、“車輪の再発明”という言いかたをします。ゲームには幅広いジャンルがありますが、たとえば3Dのゲームであれば、地面があってコリジョンが貼ってあって、その上にモノが乗れて、ボタンを押したらジャンプして……といった機能は、ほぼほぼどれでも共通です。それをゲームを作る度にいちから作り直そうとなったら、無駄が多いですよね。そういう共通する背骨の部分が、ゲームによって10%なのか30%なのか大小あるにせよ必ずあるので、そこを共通化したパッケージとして提供しているのがゲームエンジンですね。
デジタル配信の隆盛がパブリッシャーになる道を開いた
――パブリッシャーとなった経緯について教えてください。
河崎ゲーム業界のそれまでのビジネスモデルというのは、パブリッシャーがいてパッケージを物理的に作って、流通があって……と、川の流れが長い業界だったのですが、それがデジタルでダウンロード専売ができるようになった。それによりパッケージの在庫リスクがなくなったことがすごく大きいです。返品もないですし。そういった理由から、当時うちみたいに小さかったいちデベロッパーでもパブリッシャーになれるチャンスが生まれてきたのが、2014年から2015年くらいからだと思うのですが、そういう流通の川上から川下まで賄える環境が整ったのが、最大の理由ですね。
――エピック ゲームズ的には、自社でゲームを開発して、それをパブリッシングしていくという流れは今後も継続していく?
河崎はいもちろんです。すでに『Battle Breakers』というスマートフォン向けゲームと、『Spyjinx』というChAIR Entertainmentが作っているストラテジーは発表していますが、それ以外にも開発を検討しているタイトルはありますし、もちろん『フォートナイト』のサービスは継続していきます。さきほどもお話しましたとおり、私たちのコアはゲームデベロッパーだと思っているので。
――Unreal Engineの部署とは連携を取りつつも、ゲーム会社ということなのですね?
河崎そこはいちばんこだわっているところです。ゲームエンジンを作るだけではなくて、自分たちのゲームエンジンでゲームも作っているからこそ、デベロッパーの生の声がゲームエンジンの制作にもフィードバックされて、Unreal Engineのチームも開発者のためにさらに利便性の高い機能を実装して……と、両者として補完し合うというか、お互いにフィードバックし合えるので、“ゲームを開発して、そのゲームを作るためのゲームエンジンを公開しています”というのが、私たちの本質だと思います。
――『フォートナイト』に関しては、日本市場でも大いに盛り上がっていますが、それに対してはどのように捉えていますか?
河崎プレイステーション4の日本語版が2018年3月にローンチして、Nintendo Switch版が同じく6月にリリースされてと、日本市場にお届けするようになってからしばらく経つのですが、1年以上前に出たゲームが、いまでもこれだけ遊んでいただけているのって、なかなかないと思うので、「本当にありがとうございます」としか言えないです。ファンの皆さんには、継続して遊んでくださっていることに対する感謝の思いしかないです。
現状の流通に対するアンチテーゼとしてのEpic Gamesストア
――では、Epic Gamesストアを始めた理由を教えてください。
河崎さきほどお話した通り、オンラインの環境が整ってきて、デベロッパーがパブリッシャーになれる環境ができてきたのが、私たち自身もすごく大きな恩恵だと感じたところが出発点です。もっと小さなデベロッパーやパブリッシャーが自由にゲームを届けられるような環境ができれば、ユーザーさんも選択肢が増えて、業界の活性化につながるだろうというのがきっかけです。さらには、現状の流通に対する大きなメッセージングの意味合いもありました。
――レベニューシェアですね(※)。
※お互いが生み出した利益をあらかじめ決めておいた配分率で分け合うこと。
河崎はい。それまでは、パブリッシャーとプラットフォーマーとでは、70:30というレベニューシェアが慣行的だったのが、Epic Gamesストアでは88対12でやらせていただいています。7対3というのは、もともとパッケージ流通の商慣行から来ている比率で、要は卸値と小売値なんです。パッケージの破損リスクや在庫リスクなども含めて、卸値を70%に設定していたその慣例を引きずって、いつのまにかオンラインでも7対3が大前提になってしまっていた。それに対して、「ダウンロード販売だとリスクがないから、それはおかしいでしょう?」というのが、ティムがずっと主張していたことでした。それで試しにうちでオンラインストアをやったらどれくらいの手数料でできるだろうと計算したら、「12%あれば十分やっていける」という試算が出たんです。それまでは、7対3以外に選択肢もなかったので、皆さんそれを利用せざるを得なかったのですが、私たちがEpic Gamesストアを開始して、もっと安価にサービスを提供することで、競争が生まれれば市場が活性化するだろうし、ユーザーさんにとってはいいゲームをもっと安く入手できる機会も増える。さらに、パブリッシャーやデベロッパーからすると、販売経路の選択肢も拡大するし……というところで、業界の活性化につながるだろうというのが、いちばんのきっかけですね。
――立ち上げてからまだそんなに経っているわけではありませんが、現状の手応えはいかがですか?
河崎手応えはすごくいいです。実際サービスを始める前に立てたフォーキャスト(予測)よりもかなりいい数字が上がっていると聞いていますし、おかげさまでタイトル数も順調に増えています。ユーザー数も好調ですね。
――日本のメーカーからの反響はいかがですか?
河崎ほとんどのメーカーさんからお問い合わせをいただいていて、実際に具体的にお話が進んでいるメーカーさんもあります。日本の場合は、日本国内のPCゲームマーケットはあまり大きくないので、日本のユーザーさんに向けてというよりは、海外ユーザーに向けての販路のひとつとして、ご興味を持っている方が多いですね。
――Epic Gamesストアはいつくらいから準備し始めたのですか?
河崎そんなに前ではないですね。おそらく2017年の始めくらいだったと思います。
――そこから急速に立ち上げたのですね。
河崎最初はもっと早くやると言っていたんですけどね。いろいろと遅れまして。
――それにしてもすごいスピード感です。
河崎うちの会社はだいたいそんな感じですね。ティムは何というか、善意の人というか、理想主義者なんですよ。ずるいこととか間違ったことが許せないので、「これは間違っているけど、いろいろあるからしょうがないよね」というのが通らない人。“正しいことは正しくあるべきだ”という人です。少しこずるく立ち回って儲けようという発想は1ミリもないというか、絶対に許されない。そういう会社なので、とにかくユーザーを大切にしようということが大前提で、“フェアに”というのは徹底しています。
Unreal Engineを最初に公開したときは、最初の1年間はサブスクリプションとして、月19ドルでソースコードを公開していたんですね。それを1年後に無料にすることにしたのですが、無料化した月の料金をすでに支払い済みだった利用者には全額返金しましたね。
――それは徹底していますね。では、Epic Gamesストアの未来図を教えてください。
河崎Epic Gamesストアには、“厳選されたタイトルが並んでいる”というひとつの大きなコンセプトがあります。Epic Gamesストアに行けば、クオリティーの高いゲームだけが並んでいるという状態を目指しています。ですので、むやみにタイトルを増やすということは考えてないです。月に100本リリースされましたというところには行きたくなくて……。
――そこはほかのストアとは明確に違うところなんですね。
河崎そうですね。いま毎週1本から2本のペースでタイトルを増やしていて、年間50~100タイトルのあいだというペースでやっています。その方向性は、これからも変えないつもりです。
――クオリティーコントロールはどうしているのですか?
河崎現状は、私たちがパブリッシャーやIPホルダーの方にお声かけして、タイトルをご提供いただいています。『Detroit Become Human』みたいに、家庭用ゲーム機向けにリリースされている話題作を、PCはEpic Gamesストア限定でリリースしていただくというケースも多いですね。
――日本市場に対するアプローチはどのようなことを考えていますか?
河崎いま具体的なプランはないのですが、『フォートナイト』も含めて、日本でPCゲームを遊ばれる方が増えているという実感があります。いままでだと日本のPCゲーム市場は家庭用ゲーム機に比べてそこまでフィーチャーされてこなかったかと思うのですが、今後光が当たってもいいのかなとは思っています。
ユーザーや開発者に対して還元していきたいという想いは強い
――最後に、エピック ゲームズが目指すところのものをお教えください。
河崎大きな目標といったら、やはり“メタバース”の実現になりますね。
――メタバースですか?
河崎はい。これはティムが以前から提言している概念で、いわゆるUGC(ユーザージェネレイテッドコンテンツ)みたいなものがもっと広がって、誰とでも気軽にいろいろな人と共有できるようになるという。これはティムの人生の上でのミッションみたいなものになっています。そのための環境やツールをどんどん充実させていくというのは、大きな方針としてあります。
――環境やツールの充実ですか?
河崎Unreal Engineは、メタバースを構成するアセット(素材)を作るためのツールなんですね。ハイエンドがUnreal Engineだとすると、ローエンドが『フォートナイト』のクリエイティブモードです。あのクリエイティブモードは、すごくわかりやすいユーザーインターフェースを被せているだけで、中身はほぼUnreal Engineなんですよ。初心者でも触れるUnreal Engineのようなものです。『フォートナイト』に実装しているからと言って、シューターだけしか作れないというわけではなくて、アクションゲームも作れるし、何ならRPGも作れてしまう。ハイエンド(Unreal Engine)とローエンド(『フォートナイト』のクリエイティブモード)からいろいろな人がいろいろなコンテンツを作って、それがメタバースを構成していくというのが、ティムのビジョンです。
――そういった“メタバース”に対する思いは、若い世代を育成したいという思いがあってのことですか?
河崎それもありますね。これもティムがよく言っていることなのですが、ティムが学生のころって、ゲームもまだCOBOLやベーシックなどで作られていたので、プログラムコードを読みながら作り上げていたんですね。日本もそうですけど。それが、エンジンが一般化するプレイステーション2やプレイステーション3のころになると、ゲームがラップされてしまっていて、そもそもソースを見る機会もないので、若い世代の人たちがゲーム制作に興味を持ったとしても、入口がなかったんです。それを、昔のソースが見られた時代のように、若者がゲーム制作に興味を持つきっかけになるような環境を提供したいということで、Unreal Engine4の無料公開を始めたのが2014年でした。彼自身がそういう育ちかたをしてきているので、いまの学生や若者にゲーム制作に興味を持つきっかけを与えたいという気持ちは、すごく強いですね。
――その最初の入り口が『フォートナイト』になりえるということですね。
河崎そうですね。クリエイティブモードもまだまだ始めたばかりなので、機能も限られていますが、ゆくゆくは『Minecraft』のように、広がっていくといいなと期待しています。
――若い層のことを考えているのですね。
河崎あとは、これだけ幅広い事業を展開してビジネスとしても成立してきたので、その分をゲームファンの皆さんだったりお客様だったりに還元していきたい気持ちは会社全体も含めてすごく強いです。その一例が、GDC 2019で発表した“Epic MegaGrants”ですね。これは有望なプロジェクトに、総額100億円を支援するというプログラムです。
――100億円を配布するというのはすごいですね(笑)。
河崎“Epic MegaGrants”は、賞金をゲーム制作にしか使っちゃダメとか、出来上がったものをEpic Gamesストアで出さないといけないとか、縛りはまったくないんですよね。ただ有望なプロジェクトを支援するだけという。そういう意味では本当に還元というか、業界を盛り上げたいという思いから発したものです。
――お話を聞くと、明確な意思は感じられますね。
河崎ティム自身がインディーゲーム開発者の先駆け的存在というか、自分自身が10代のころからゲームを作っていて、いろいろなパブリッシャーとのやり取りの中で、理不尽に感じたり、苦労してきた部分もあるので、あとに続くインディーゲームデベロッパーだったり、若者たちを支援してあげたり、助けてあげたいという気持ちはすごく強いんだと思います。
エピック ゲームズ ジャパン10周年を迎えての決意
――エピック ゲームズ ジャパンが設立されてから今年で10周年となるようですが、この10年はいかがでしたか?
河崎会社が登記されたのが2009年12月なので、今年の12月で10周年を迎えますね。月並みな感想ですけど、一瞬でした。10年も経ったというのが信じられないです。とくに、ここ3年は日々目まぐるしく変わっていますね。
――それは、忙しくありながらも充実した日々ですか?
河崎そうですね。やらなければいけないことが5つあったと仮定して、でもリソース的にはふたつしかできないとしたら、通常ならプライオリティーをつけないといけないじゃないですか。でも、すべてのプライオリティーが1になってしまうのが、エピック ゲームズなんです(笑)。
――(笑)。それはつまり?
河崎とにかくがんばり続けているという感じですね。5つできるリソースが整うころには、やらなければいけないことが10個になっていたりするので。
――さきほどはエピック ゲームズ全体の目標について聞きましたが、ジャパンに特化するとどんな戦略を考えていますか?
河崎おかげさまで現世代機では、とくに家庭用ゲーム機向けの大型タイトルを中心にとてもたくさんUnreal Engineを使っていただけたので、次世代でも同じように使っていただきたいと考えています。ゲームエンジンって、お菓子や飲み物のように気が向いたときに買うものではなくて、1回使うと2~3年はそれにかかりきりになるので、導入していただくハードルも高いですし、一度使っていただいたあとに、「もうUnreal Engineなんて嫌だ」となると、二度と使っていただけなくなる。「エピック ゲームズといっしょに仕事をしてよかった」と思っていただけるようにがんばっていきたいです。