2015年に発売され、恐怖をあおる演出や巧みなシナリオ展開が話題を呼んだ『Until Dawn(アンティル ドーン) -惨劇の山荘-』(以下、『Until Dawn』)。

 その開発を担当したSupermassive Gamesがバンダイナムコエンターテインメントとタッグを組んで手掛ける『DARK PICTURES MAN OF MEDAN(マン・オブ・メダン)』(以下、『MAN OF MEDAN』)は、今後数年かけて複数本のタイトルをリリース予定というホラーアンソロジーシリーズ『THE DARK PICTURES』の1作目。

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 幽霊船“マン・オブ・メダン号”に迷い込んだ5人の若者たちを主人公に、恐怖に満ちたミステリアスな物語が描かれる。

 先日ドイツで行われたプレビューイベントでは、本作を手掛ける開発の中心人物たちにゲームについて話を訊く機会があったので、本記事ではその内容をお届けする。

ピート・サミュエル氏

Supermassive Games・CEO

ピエール・トワドースキー氏

バンダイナムコエンターテインメントヨーロッパ・マーケティングブランドマネージャー

ギャレス・ベッツ氏

バンダイナムコエンターテインメントヨーロッパ・プロデューサー

トム・ヒートン氏

Supermassive Games・ディレクター

ロバート・クレッグ氏

Supermassive Games・アートディレクター

ジェームス・スカルペロ氏

Supermassive Games・マーケティングディレクター

ホラー映画ファンが作る映画的なホラーゲーム

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左から、ピート・サミュエル氏、ギャレス・ベッツ氏

――『MAN OF MEDAN』が生まれたきっかけについてお聞かせください。

サミュエル アイデアの原型はいまから5年前くらい、ちょうど『Until Dawn(アンティル ドーン) -惨劇の山荘-』の開発作業が終わったころに思いつきました。分岐のある物語を体験するシネマティックなホラーゲーム、という大枠の部分は変えずに、どうにか『Until Dawn』とは違ったことに挑戦できないかと考えていたんです。これまでとは異なる“何か”を加えたいな、と。

――その“何か”として思いついたものとは?

サミュエル ふたつのことをほぼ同時に思いつきました。ひとつがオンラインでのふたり協力Co-opプレイ。そしてもうひとつが、アンソロジーというスタイルを取り、短いスパンで新作をリリースするという構想でした。

――定期的かつ、早い間隔でリリースされていくのですね。

サミュエル ええ。そのために、これまでリリースしてきたタイトルに比べると、ゲーム1本のボリュームはわずかにではありますが少なくなっています。

 それでも、『Until Dawn』で評価していただいた、独特なストーリー性を損なわないように細心の注意を払ってますし、物語の分岐はかなりの数を盛り込んでいます。

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――アンソロジーという形を取った理由についても教えていただけますか?

サミュエル ユーザーの皆さんに物語を体験していただくのは、私たちにとって非常に重要なことであり、好きなことでもあるんですよ。

 そこで、できるだけ多くの物語をユーザーの皆さんにお届けするためにはどうするべきか考えた結果、アンソロジーというスタイルを取るのが最善だと判断しました。

――なるほど。その1作目として発売される『MAN OF MEDAN』に対して、ギャレスさんはどのような第一印象を抱かれましたか?

ベッツ 最初に『MAN OF MEDAN』の最初のPCビルドをプレイしたときは、とても驚かされ、感銘を受けました。というのも、1回シングルプレイをクリアーするだけでは、すべての内容を見ることができないくらいゲームの内容が濃いのです。

 私自身、もとからSupermassive Gamesの大ファンでしたが、今回ビジネスパートナーとして手を組めたことはとても幸運だったなと思いましたね(笑)。

――確かに、試遊で体験できた範囲の中だけでも、分岐の幅はかなりのものでした。

ベッツ もちろん、シングルプレイだけでも楽しくプレイできますし、物語も満足のいく内容になっています。それでも、本作には膨大な分岐が盛り込まれているので、すべての結末を目撃するにはくり返し遊ぶ必要があるでしょう。

 その点、“シェアストーリー”、“ムービーナイト”の2種のマルチプレイはすばらしい機能で、家族や友だちといっしょに遊べば自分ひとりで遊んだときには選ばないような選択肢にもスポットが当たります。1度シングルプレイでクリアーした後でも、ぜひ遊んでいただきたいです。

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――1本のソフトで3通りの楽しみかたがあるというわけですか。開発にはそれだけ時間もかかったと思うのですが、どのくらい前から取り組まれていたのでしょうか?

サミュエル 『Until Dawn』の開発が終わってから1年後に着手したので、いまから4年前ですね。最初はプロトタイプとして、オンラインでふたりのプレイヤーがそれぞれキャラクターを操作しながら別々の場面を体験する、という仕組みを構築することから取り掛かりました。

――舞台が幽霊船のホラーといえば、映画『ゴーストシップ』(2003年公開)などの作品が思い浮かびますが、本作の制作で影響を受けた作品はありますか?

サミュエル 多くのホラー作品から魅力的な要素を抽出しています。おっしゃる通り、『MAN OF MEDAN』は幽霊船が舞台ということで、『ゴーストシップ』や『トライアングル』(2011年公開)といった映画の影響も受けていますよ。

 ただ、もっとも大きく影響を受けているのは、“Home Invasion”(※)というジャンルの映画です。私たちはたくさんのホラー映画のフォーマットを『MAN OF MEDAN』に踏襲するために、気に入っている映画について議論を行い、その魅力をゲームに落とし込むべく努力しました。

※Home Invasion……家などの閉鎖的空間に襲撃者が現れるというホラージャンルのひとつ。『パージ』(2015年公開)や、『ドント・ブリーズ』(2016年公開)、『インサイド』(2018年公開)などがある。

 今後発表する予定の『DARK PICTURES』シリーズの2作目となるタイトルは、『MAN OF MEDAN』で影響を受けた作品とはかなり違ったジャンルの作品を参考にしたので、ユーザーの皆さんからどういった反応をいただけるのか、いまから楽しみにしています。

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――このゲームを通じて、ユーザーに何を感じてほしいですか?

ベッツ 開発期間の多くを費やしたので、物語を楽しんでほしいですね。我々が仕掛けた恐怖をたどっていってほしいです。私たちが『MAN OF MEDAN』の制作中に得た楽しみと同じくらい楽しい時間を過ごしていただけることを願っています!

サミュエル キャラクターの“生”あるいは“死”に対する責任を感じてほしいですね。本作をプレイ中、主人公たちの命はユーザーの皆さんの手に委ねられています。彼らに死が迫るとき、皆さんはきっと恐怖を感じるはずです。責任こそが、恐怖の源泉となるのです。

味わい深い物語はすべてのモードに説得力を持たせる

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左から、ピエール・トワドースキー氏、トム・ヒートン氏

――『MAN OF MEDAN』の最大の魅力、特徴はどのようなところだと思われますか?

ヒートン 『MAN OF MEDAN』は、豊かなストーリー展開を楽しめるシネマティックなホラーゲームです。開発では、ひとつの完成された“体験”を作ることを目標に設定していました。まるで映画を見ているときのように、作品の世界に自然と引き込まれるような体験を提供したいと考えたんです。

 その目標を達成するため、体験する物語や登場キャラクターたちは、深みのある表現を意識し、魅力的に感じていただけるように工夫しています。また、映像表現においても映画のような雰囲気を目指しました。ぜひご注目ください。

トワドースキー ふたりプレイ用のシェアストーリーモードはこれまでに前例のないスタイルのオンラインCo-opなので、いい意味で破壊的で、先進的と言えます。それこそが、本作の最大の魅力だと思いますね。

ヒートン 本作にはシングルプレイモードと、これまでお話してきたシェアストーリーモード、そして最大5人プレイ可能なオフラインCo-opモードの合計3種のモードがありますが、どのモードでもフルでストーリーを遊ぶことができます。それらすべてのモードに説得力があり、いずれにおいても問題なく物語を楽しんでいただけるはずです。

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――ストーリーがある程度共通しているとはいえ、3つのモードの開発作業は苦労もあったのでは?

ヒートン ええ。すべてのモードを満足のいく内容に完成させることは難しく、開発中には数々の困難もありました。しかし、3つのモードを高いクオリティーに仕上げることは、どれだけ苦労しても成し遂げなければならないことでした。

 そのために我々がまず注力したのは、ゲームの核となるストーリーのクオリティーアップです。開発初期の段階では、ゲームのシステムや分岐のことはあまり考えず、映画やテレビドラマを作るのと同じように、とにかくストーリーを魅力的なものにすることに集中していました。

――このゲームを通じて、ユーザーに何を感じてほしいですか?

ヒートン やはり、恐怖ですね(笑)。ストーリーをしっかりと味わい、キャラクターに感情移入し始めると、突然、本当の恐怖が襲ってきます。ですので、ユーザーの皆さんには、本作のストーリーを余すところなく体験してみてほしいですね。

トワドースキー 私は、家族や友だちといっしょにプレイすることの楽しさを感じてほしいです。ときには、ストーリーを進めていくなかで、主人公を死なせてしまって悲しい気持ちになることもあるでしょうが、そうした体験も、みんなでプレイすればきっとすばらしいものになるはずです。

キャラクターどうしの関係性が物語に変化を及ぼす

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左から、ロバート・クレッグ氏、ジェームズ・スカルペロ氏

――本作の開発でとくに力を入れられたところはどこでしょうか。

クレッグ 主人公たちの関係性ですね。本作では閉鎖的な状況の中でゲームが進行していくので、5人の主人公たちがお互いに対してどういった感情を抱いているのかといった、キャラクターどうしの関係性は、物語を描くうえで大きな部分を占める要素でした。

――試遊中、キャラクターの関係性を可視化したメーターがありましたが、あのメーターはゲームにどういった影響を及ぼすのでしょう。

クレッグ 物語の展開に影響を及ぼす要素のひとつです。本作では、主人公たちがお互いのことをどう感じているかによって、キャラクターどうしの会話の内容や、物語の展開が変化していくんです。

 ゲーム中のいたるところに主人公たちの関係性を変化させるシーンがあり、そのシーンでの行動、選択によって物語は分岐し、プレイヤーの体験は変化していきます。ですから、そのメーターを確認しながらキャラクターの関係性に注意すれば、さまざまな展開を楽しむことができるでしょう。

スカルペロ 物語を体験するなかで、あるキャラクターを好きになったり、あるいは、嫌いになったり、選択で生まれる分岐によって、登場キャラクターにいろいろな感情を抱いていただけると思います。

――先日、次世代プレイステーションや次世代Xbox“Project Scarlett”といった最新ハードが発表されましたが、今後のシリーズではそうした次世代機種にも対応されていくのですか?

クレッグ 現時点では『DARK PICTURES』シリーズは、プレイステーション4、Xbox One、PCに向けて開発しています。

 しかし、ユーザーの皆さんは新しいハードに関する情報をチェックされているでしょうし、期待もされているはずです。それに、私たちとしても将来のテクノロジーの可能性に興奮していますし、より夢中になれるような体験を皆さんに届けたいと考えているので、新しい技術はつねに研究していきます。

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――このゲームを通じて、ユーザーに何を感じてほしいですか?

クレッグ 本作ではゲームプレイを通じて、楽しさや、怖さ、孤独感など、さまざまな感情が喚起されますが、それらの感情のつながりを感じてほしいですね。

 また、ゲームアートや映画的な映像表現でプレイヤーを『MAN OF MEDAN』の世界に引き込む仕掛けを作り出すことに注力したので、その没入感も味わっていただきたいです。マン・オブ・メダン号で皆さんにスリリングな体験をしていただけることがいまから楽しみです!

スカルペロ ジェットコースターのように緩急のある緊張のなかで、映画の中に入り込んだような気分を味わっていただきたいです。

 それから、本作には3つのモードがあるので、それぞれのモードをプレイして、ひとりでプレイしたときと、オンラインCo-opでふたりでプレイしたとき、ムービーナイトモードで5人でプレイしたときとで、体験がどのように変化するのか、ぜひ試してみてください。