カナダのゲームメーカーBehaviour Interactiveは、同社がPCやプレイステーション4向けに展開する非対称対戦型ホラーサバイバルゲーム『Dead by Daylight(デッドバイデイライト)』をスマートフォン向け(iOS/Android版)に展開することを正式に発表。2019年内に全世界でリリースすることを明らかにした。モバイルアプリ版リリース発表を記念して、日本市場向けに特別に制作された日本限定スペシャルトレーラーが公開されているので、まずはそちらをご覧いただこう。

 『Dead by Daylight』は、キラー(殺人鬼)と呼ばれるキャラクターひとりとキラーから逃げながら協力して脱出を試みるサバイバー(生存者)4人で対戦する “鬼ごっこ型” の非対称対戦アクション。2016年の発売から今年で3周年となり、全世界プレイヤー数約1200万人を誇る人気タイトルだ。この6月19日には最新チャプター“Ghost Face”が配信されたばかり。

 これまで、PCとプレイステーション4で展開され、先日Nintendo Switch向けに展開されることが発表された同作だが、この度スマートフォン版のリリースも決定した。

 今回、スマートフォン版の発表に合わせて、『Dead by Daylight』を手がけるBehaviour Interactiveのゲームディレクターであるマシュー・コート氏とモバイルアプリ担当アレクサンダー・ロゴム氏が来日。お話をうかがうことができた。さらに、モバイル版を先行プレイさせていただいたので、その触り心地も交えお届けする。

モバイル版ならではの操作方法も

 PCやプレイステーション4版に比べて、モバイル版では画面を切り替えることなくサバイバーやキラーを選ぶことができたり、プレイを開始するまでの時間を短くするような工夫が随所に見受けられた。肝心の操作性もタッチで直感的にプレイできるようになっており、快適。モバイル版ならではの操作方法としては、サバイバーは自動的に走れたり、画面を押しているあいだだけ、カメラが180度反転する機能を搭載し、遊び心地を良好にする配慮がなされているのがうれしいところだ。

より多くの人に『Dead by Daylight』を楽しんでほしい

 というわけで、期待も高まるモバイル版『Dead by Daylight』だが、マシュー・コート氏とアレクサンダー・ロゴム氏に、モバイル版開発の経緯などを聞いた。

マシュー・コート氏

Behaviour Interactive Dead by Daylight ゲームディレクター パートナーシップ部門統括。いつは怖がりで、キラーでばかりプレイするのは怖がせられないからというのは知られた話。 (写真左)

アレクサンダー・ロゴム氏

Behaviour Interactive シニアプロダクトマネージャー Dead by Daylight モバイルアプリ担当。かつて数年間日本に住んでいたとのことで、日本語がとても堪能。 (写真右)

――モバイル版をリリースするにいたった経緯を教えてください。

アレクサンダーどんなプラットフォームでも『Dead by Daylight』のおもしろさは変わらないという思いがあったのが大きいですね。開発の段階で、スマートフォンでもPC版やプレイステーション4版と同じように提供できると手応えを感じたことも、プロジェクト推進のための自信となりました。

――PCやプレイステーション4版でリリースされた『Dead by Daylight』をスマートフォン向けに調整するのはたいへんでしたか?

アレクサンダーそうですね。移植するにあたってのポイントは3つありました。スマ-トフォンでの操作とUI(ユーザーインターフェース)、それにオプティマイゼーション(物事をもっともよく対応できる状態に改良すること)です。

――ほう。操作性に関してはどうだったのですか?

アレクサンダー『Dead by Daylight』以外にも、PCやプレイステーション4などのコンソールからモバイル版に展開したゲームは数多くあるので、そういったタイトルの操作方法は参考にしました。コンソール版にはなかったサバイバーが自動で走り続けられる機能の実装は、その研究の成果と言っていいかもしれません。

マシューさらに、キラーがサバイバーをフックに吊るすときや、サバイバーが脱出するときのために、画面の中心に“コンテクチュアルボタン”というものを表示しました。新しい機能とは少し違うのですが、キラーもサバイバーもひとつのボタンでほとんどのアクションがこなせるようになっています。

――よりシンプルに操作できるように心がけたということですね?

アレクサンダーそうですね。UIに関しては、コンソール版ではいろいろなメニューがあるのですが、モバイル版ではひとつの画面に表示して、プレイを開始するまでにかかる時間を短縮できるようにしています。ひとつの画面に多くのメニューを表示するので、テキストの大きさなどのバランス調整がたいへんでしたね。

――UIの調整はたいへんそうですね。

アレクサンダーじつはBehaviour Interactive は、もともとモバイルゲームの開発を数多く手がけていて、ノウハウは豊富なんです。モバイル版にはルールがありまして、何がよくて何がダメなのかというのを考えました。

――へえ。具体的には何がよくて、何がダメなのですか。

アレクサンダーたとえば、ひとつの画面に項目を入れすぎると、テキストやボタンが見えにくいので、サイズを変えたりなどしています。とくに日本とアメリカとではモバイルゲームのUIは違うので、どちらにも対応できるためにリサーチをして作っています。

――それは興味深いですね。日本とアメリカとでは、そんなにモバイルゲームのUIが違うのですか?

アレクサンダーそうですね。日本のゲームは縦持ちが多く、テキスト量も多いですね。アメリカなどの西洋のユーザーは、メニューまわりに要する時間が長かったり、ゲームを始めるまでに時間がかかりすぎると、すぐにやめてしまうんです。そのバランスをとるようにしました。

――つまり、西洋の人と東洋の人のどちらも楽しめるようなバランス調整をしたということですね?

アレクサンダーその通りです。『Dead by Daylight』は世界中で楽しんでもらえるゲームだと思うので、UIのバランスがよくなるようにしました。

――3番目がオプティマイゼーションということですが、それって何です?

アレクサンダー古いスマートフォンの機種でも遊べるように開発しているということです。

――ーーああ、どこまで古い機種で遊べるようにするのかは、悩みどころかもしれませんね。

アレクサンダー我々にとっていちばん大切なのは、当たり前のことですが、“ゲームを楽しんでもらえる”ということです。プレイ中に動作が遅くなるのは嫌でした。基準はフレームレートですね。30fpsを下回ったら、その機種での対応は止めることに決めました。

――国によって通信環境が違っているということもあると思うのですが。

アレクサンダーそれはあまり気にしていません。PCやプレイステーション4で快適に遊べているので、モバイル版も問題なくいけると考えています。

――お話をうかがっていると、Behaviour Interactiveは、スマートフォン向けのタイトルを数多く配信していて、自然な流れで『Dead by Daylight』のモバイル版のリリースがあったようですね。

マシューそうですね。モバイル版をうまくやれるだろうという自信は持っています。満を持しての投入ということは言えますね。

――ゲームの中身について、聞かせてください。モバイル版のコンテンツはPC版やプレイステーション4版と同じなのですか。

アレクサンダー内容はPC版やプレイステーション4版と同じものを提供するというのは当初からの前提だったので、そこは厳守しています。ただ、PCやプレイステーション4ではひとりのキャラクターを時間をかけて育てていきますが、モバイル版はプレイする時間を短くすることを想定していますので、そこは少し変えています。

――それは、具体的にはどの点を?

アレクサンダーそれはまだ秘密です(笑)。

――今後配信されるダウンロードコンテンツの配信スケジュールも、モバイル版もいっしょなのですか?

アレクサンダーそうですね。3周年記念の配信番組で発表させていただいた“アーカイブ”は少し違いますが、新しいチャプターは同じタイミングでリリースする予定です。

――今回のモバイル版のリリースで、プラットフォーム展開はひと区切りついた感じですか?

マシューまだまだです(笑)。ほかにもいろいろなプラットフォームで展開していきたいと思っています。次世代機の話もありますので、今後も対応させていきたいと思っています。どんなプラットフォームにもファンはいるので、そういった方のためにも対応していきたいですね。

――“より多くのファンのために”という姿勢は一貫していますね。たとえば、次世代機で展開すると仮定したときに、グラフィックなどを改善していくのでしょうか?

マシューこれからも人気が続くと仮定して、続編という形にするのか、アップデートを続けていくほうがいいのかを判断したときに、いまでも熱狂的なファンがいるということを考慮すると、続編というよりは、いまあるものをアップデートしていくほうがいいのかなとは個人的には考えています。

――モバイル版はどれくらいの国でリリースする予定ですか?

アレクサンダー具体的な数はちょっと言えないのですが、2019年に世界同時にリリースしたいと思っています。それまでにβテストも行いたいと考えています。

――βテストは日本でも行う予定がありますか?

アレクサンダー日本のユーザーには完璧な状態でプレイしてもらいたいと思っているので、いまのところ日本でβテストを実施する予定はないですね。

――モバイル版も含めた『Dead by Daylight』の今後のコンテンツの予定を教えていただけますか。

マシューこれまで同様に、3ヵ月ごとに新しいチャプターを配信することを続けていきますし、背景のストーリーなども充実させていきたいです。インフラの面で言えば、新しいサーバーも設置していきたいですね。

――せっかく日本にお越しになったので聞いてしまいますが、日本をモチーフにしたチャプターを配信する予定はありますか?

マシュー具体的なことは言えませんが、2018年9月に配信した“断絶した血脈”がとても好評なんです。ストーリーが完結していないので、その続きには期待していただきたいですね。

――あら!日本のファン向けに嬉しい情報も用意してくれていたのですね。

マシュー日本には熱狂的な『Dead by Daylight』ファンが多いので、私たちもうれしいです。また、いろいろな国の会談や民俗学を研究する中で、日本にはとてもおもしろい怪談があるとも認識しています。クリエイティビティをそそられますね。

――それは楽しみにしています! では最後に、モバイル版のリリースを楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。

マシュー私たちは、日本に『Dead by Daylight』のファンが多くいることをうれしく思っています。日本のファンを重要視している証として、日本専用のコミュニティマネージャーやサポートを充実させていきたいと思うので、今後も日本の皆さんに『Dead by Daylight』楽しんでいただけたらうれしいです。

アレクサンダー私も日本のファンに受け入れてもらっているがうれしいです。私はかつて日本に住んでいたこともあったので、余計にうれしいですね。日本のファンの皆さんには、PC版やプレイステーション4版同様に、Nintendo Switch版やモバイル版も楽しんでもらえたらと思います。

サービス精神旺盛なマシュー・コート氏と日本語がお上手なアレクサンダー・ロゴム氏。日本市場に対する熱意がひしひし伝わります。