日本国内にてサービスを開始した 5G時代に向けての次世代のゲームストリーミングサービスHatch。その可能性をHatch EntertainmentとNTTドコモのキーパーソンに聞いた。

 2019年2月13日、日本国内にてHatchがサービスを開始した。Hatchは、フィンランドのHatch Entertainmentが展開する、スマートフォン、タブレット、テレビ向けのゲームストリーミングサービス。国内ではNTTドコモがHatchの支援をしており、専用アプリをダウンロードすることで、月額550円[税込]で、140を超えるゲームが楽しめる。次世代の通信規格である5G時代を見据えたと言われるHatchの可能性とは? ここでは、Hatch Entertainmentのキーパーソンと、国内で同社と提携するNTTドコモの細川正人氏に、Hatchについて聞いた。

証言1  Hatch Entertainment

ハードウェアを問わずゲームを遊べる

Hatch Entertainment

コンテンツ担当部長
アンティ・リッコネン氏(文中はアンティ)

マーケティング・ディレクター
橋本詩保氏(文中は橋本)

――始めに、Hatchとはどういうものなのか教えていただけますか?

アンティNetflixやSpotifyのようなストリーミングサービスをイメージしてください。おなじように、Hatchはゲームを配信するアプリです。アプリをダウンロードするだけで、140種類以上のゲームをすぐにプレイできます。

――どういったきっかけで、Hatchは生まれたのでしょうか?

アンティスマホゲームがブームになる中で、無料プレイを謳いながらも完全版は有料だったり、快適にプレイするために大量の課金を要求したりと、ユーザーにとってネガティブな部分も目立ち始めました。そうした要素を取り払って、みんなが安心して気軽にゲームを楽しめる世界を作りたいと思ったことがきっかけです。始まりは約3年前、『アングリーバード』でご存じのRovio Entertainmentに所属していた4人のメンバーが考えだしました。その後、本プロジェクトのための子会社としてHatchを設立することになります。

――ずばり、Hatchを利用するメリットはどんなところにありますか?

アンティメリットは大きく分けて3つあります。ひとつは、個別にハードウェアを購入しなくてもゲームをプレイできること。とくに家庭用ゲームは、ソフトに対応したハードを買わなければゲームをプレイできません。Hatchであれば、これらを揃えずともスマホだけあればプレイ可能です。もうひとつは、値段が安価なこと。通常、ゲームはひとつひとつのタイトルごとに料金を支払う必要がありますが、Hatchは月額550円を支払えば、その後一切の追加料金なしで遊び放題です。また、あくまでもダウンロードするのはHatchのみですので、たくさんのゲームをプレイできるにもかかわらずスマホの容量を圧迫しません。これはストリーミングサービスならではの利点と言えるでしょう。

――Hatchのサービスは、いまのところスマホがメインになるということでしょうか?

アンティ現時点ではそうなります。現在はAndroidを中心にサービスを展開していますが、今後はiOSやPCにも対応させる予定です。

――同様のストリーミングサービスに注目している競合企業もいると思いますが、Hatch独自の強みはどこだと思われますか?

アンティ私たちは、Hatchの直接の競合企業はまだ存在していないと考えています。マイクロソフトさんやソニー・インタラクティブエンタテインメントさんもストリーミングサービスを始めると発表はしていますが、彼らの場合はサービスを自社のゲームハードと関連付けています。私たちは、Google Playに存在するすべてのゲームをひとつひとつ審査し、ジャンルごとにトップクラスのクオリティーを持つゲームだけを厳選していますので、完全に同じサービスであるとは言えないでしょう。もしかしたら今後、同じサービスを提供する企業が現れるかもしれませんが、私たちにはすでに3年間のアドバンテージがあります。私たちがゲームのストリーミングサービスのパイオニアとしてたくさんのユーザーを抱えられれば、後発のサービスにシェアを奪われることはないだろうと考えています。

橋本また、現在は既存のゲームのみを配信していますが、今後はHatchオリジナルのゲームも配信していく予定です。すでにタイトーさんと協力体制を築いており、『アルカノイド』シリーズの最新版をリリースする予定です。オリジナルのタイトルは今後さらに増やしていくつもりです。

――実際にサービスを開始されて、ゲームメーカー各社からの反応はいかがですか?

橋本現在、世界で150社強のメーカーと契約を結んでおります。日本企業で言えば、バンダイナムコエンターテインメントさんやスクウェア・エニックスさんのアメリカ支社ともお付き合いさせていただいていますが、いまのところほぼすべてのメーカーから高評価をいただいています。Hatchに入れるにあたって、彼らが準備しなければいけないことはとくにないので、手軽に追加の収入源を得られるわけです。また、ご存じの通り、スマホゲーム市場にはたくさんのタイトルが溢れかえっていますから、せっかく上質なゲームを作ってもユーザーに見つけてもらえないまま埋もれてしまうこともあります。そういった意味でも、厳選されたHatchのタイトル群に加わることは、彼らにとってメリットになるのです。

――ところで、ゲームメーカーだけでなくNTTドコモとも業務提携をされていますが、これはどのような狙いがあるのでしょうか。

橋本じつはNTTドコモさんだけでなく、世界中いろいろな国の通信会社と提携を結んでいます。カギとなるのは、次世代モバイル通信“5G”です。日本では来年、フィンランドでは今年リリースされました。時期に差はあれど、通信会社はそれぞれこの“5G”のネットワークに向けたビジネスケースを探しています。弊社としても、通信会社がHatchを推奨してくれれば、それだけたくさんのユーザーにリーチできるメリットがあります。

――これからますます事業拡大に向けて動かれるご様子ですね。それでは最後に、そんな今後について改めて展望をお聞かせください。

アンティオンデマンドでゲームをストリーミングして、どこでもゲームがプレイできるというのは新しい概念です。これをユーザーさんに浸透させることが、直近の目標です。そして、ゆくゆくはNetflixやSpotifyのように、「ゲームのストリーミングと言えばHATCHだ」と言われるような存在になりたいと思っています。PCでも家庭用ゲーム機でも、どんなハードウェアのどんなタイトルもHatchでならプレイできる。そんなアプリケーションを提供するのが最大の野望です。