『デビル メイ クライ』(以下、『DMC』)シリーズの11年ぶりの新作として、2019年3月8日に発売された『DMC5』。2019年3月7日の発売前夜には東京都内にて、その発売を記念するイベント“SSS Devil Night”が開催された。
本記事では、『DMC5』に楽曲を提供するアーティストのHYDEさんや、声優の森川智之さん、石川界人さん、さらにプロデューサーの岡部眞輝氏、ディレクターの伊津野英昭氏らも登壇したこのイベントの模様をお届けする。
なお、本イベントはカプコンの公式生放送番組“カプコンTV!”(毎月第1・3水曜日夜8:00~生放送)のスペシャル枠という扱いで、会場の様子はYouTube、Twitchで生配信もされていた。
“SSS”ランクの実機プレイでゲームの魅力が引き立つ!
二部制となっていた本イベントの第一部では、『DMC3』以降のダンテのモーションアクター・英語版声優を務めるルーベン・ラングダンさんが颯爽とステージに現れ、「Let's Rock!」と会場に向けてお約束のセリフを放つというサプライズでスタート!
ルーベンさんがセリフを披露して風のように去った後、“カプコンTV!”でおなじみの出演者であるお笑い芸人の平井善之さん(アメリカザリガニ)、ザ・たっちのおふたり、グラビアアイドルの池田ショコラさんらが登壇。さらに平井さんに呼び込まれ、岡部眞輝氏と伊津野英昭氏も壇上に登場した。
左から、池田ショコラさん、平井善之さん、ザ・たっちのかずやさん、たくやさん。
その後、『DMC5』のオープニング映像が放映。『バイオハザード7 レジデント イービル』の開発にも使用されたゲームエンジン“RE ENGINE”で表現された圧巻の映像美に、来場者たちはただただ息をのむばかり。実写と見まごうほどのリアルなグラフィックで描かれるド派手なアクションシーンに見入っていた。
映像が終わると、今度は大きな歓声と拍手が会場を包む。スローモーションの演出のなかでネロが華麗に敵を倒すシーンに、平井さんは「スタイリッシュ指数が高い」と、興奮した様子でコメントしていた。
ちなみに、当日放映されたのは日本語版のものだったのだが、本体設定の使用言語を変えることで、英語版の音声でも見られるとのことだ。
オープニング映像で会場の熱気が高まった後には、本作からの新要素である“デビルブレイカー”などの紹介を交えながら実機プレイ! プレイヤーを務めたのは、東京ゲームショウ2018でも華麗なプレイを披露したゲームデザイナーの吉田亮介氏。実機プレイでは下記の“デビルブレイカー”が紹介されていた。
吉田氏(写真中央)は『DMC5』では最初のボスと、最後のボスを手掛けているそうだ。
戦闘ではプレイヤーが選んだ8種の“デビルブレイカー”を使える。
“ヘルタースケルター”
ドリルのような形状のデビルブレイカー。突進攻撃には無敵時間が発生するため扱いやすい性能になっているそうだ。
“トムボーイ”
使用中はロックオンできなくなる代わりに重い連撃を叩き込める。ネロが使う銃“ブルーローズ”の弾を使って射撃を行うことも可能。
“ラグタイム”
その名の通り、敵の動きを遅くする。溜め攻撃“ブレイクエイジ”では敵全体の動きを遅くでき、発動中には銃弾も遅くなっているという細かい演出も。
“ローハイド”
範囲の広い攻撃を連続で行えるムチのようなデビルブレイカー。使用中には、敵を引き寄せる“スナッチ”が強化された“パワースナッチ”をくり出せる。
“ガーベラ GP01”
空中でのアクションに特化した性能で、空中コンボを決めた後に敵を斬り下ろして着地したりと、機動力に富んだアクションが楽しめる。
“パスタブレイカー”
使用するとつぎのスロットに組み込まれているデビルブレイカーをいちばん後ろのスロットに移動させられる。攻撃にはあまり役に立たないが、敵を倒すことも可能。粉チーズやタバスコもセットされているという外見のこだわりようにも注目だ。
“スイートサレンダー”
使用中徐々に体力を回復する効果を持つ。デビルブレイカーを強制的に切り離すアクション“ブレイクアウェイ”を使うと、好きなタイミングで体力を3000回復できる。
“ロックバスター”
『ロックマン』のように弾丸を発射できるというもので、3段階のチャージショットを放てる。ジャンプや回避などのモーションも『ロックマン』風になっていた。
巨大なボス・ゴリアテとのバトルではスリリングな場面もあったが、最後は“ロックバスター”のチャージショットで華麗にとどめを刺してクリアー。緊張をものともしない吉田氏の見事なプレイに、大きな拍手が会場から沸き起こった。
有終の美を飾った実機プレイの後には、最初に登場してそのまま姿を消したルーベンさんが再び登場し、モーションキャプチャーなどについてお話を聞くコーナーに!
前述の通り、『DMC3』から英語版のダンテ役を演じているルーベンさん。当時ハリウッドで行われたオーディションでの演技が伊津野氏の目に留まったのだという。『DMC5』でもオーディションが行われたそうなのだが、前々作から積み重ねてきたものが役立ったのか、引き続きダンテ役を勝ち取っている。
貴重なモーションキャプチャーの様子も公開。当たり前だが、動きがダンテそのものだ!
ルーベンさんいわく、モーションキャプチャーは前身タイツのようなスーツを着て行うため「戦隊ものと同じような感じ」とのこと。また、お気に入りのセリフは「Rest in peace little chickin」と「Adios(アディオス)」なのだそうだが、伊津野氏が言うには「まだ言えない最後のほうのシーンのセリフ」だという。
ちなみに、「Rest in peace little chickin」は直訳で「ヒヨコよ安らかに眠れ」。「Adios」と同じく、別れの言葉のようだが、敵に言うのか、それとも……? どのようなシーンで使われるのか気になる方は実際にプレイしてみてほしい。
ルーベンさんは「これまで長いあいだダンテを演じてきて、ダンテを私の一部のように感じます。ファンの皆さんからの愛もたくさん感じていますが、ついに明日(イベント当時)には発売されるので、ぜひ楽しんでください!」と語り、トークコーナーを締めくくった。
その後、開催中のコラボカフェや、操作キャラクターのひとり・Vを主人公にしたコミカライズ展開、カラオケ・JOYSOUNDでの楽曲配信などの情報が公開された。
トライアンフとのコラボバイクのプレゼントキャンペーンの当選者は3月8日に発表。
最後に無料アップデートで4月に追加予定のコンテンツ“ブラッディパレス”の新映像が解禁され第一部は終幕。伊津野氏が「力試しのような感じで楽しんでほしい」と語ったこのコンテンツはフルパワーアップした状態のプレイヤーを想定して作られたもので、現在は最終調整を行っている段階だそうだ。
HYDEさんとの相思相愛で完成したコラボトレーラー
休憩をはさんで始まった第二部は、第一部に引き続き、平井さん、岡部氏、伊津野氏、そして日本語版のダンテの声を演じる森川智之さん、ネロ役の石川界人さん、イメージソング『MAD QUALIA』を手掛けたアーティスト・HYDEさんという豪華なメンバーでのトークショー。
HYDEさんが「(HYDEさんの)隣に座っていいものか」と恐縮していた伊津野氏の緊張をほぐす場面も。
トークショーが始まると、さっそく平井さんからHYDEさんに「『MAD QUALIA』のコンセプトは?」という質問が。これに対しHYDEさんは「『DMC』ですよ」と即答。続けて、この曲に限らず、よく『DMC』をイメージして曲を作っていると明かした。
さらに、『DMC』が大好きだと語り、それゆえにほかの人が作るよりも想いの強いものになっているとコメント。また、イメージソングとゲームが互いに高め合うような「相乗効果のある音楽」を目指して作曲したとのことだった。
『DMC5』とのコラボレーショントレーラーでは、ゲームの映像とHYDEさんが歌う映像が交互に展開。
そうして作られた曲が使用された『DMC5』とのコラボレーショントレーラーについて森川さんは「曲とゲームのシンクロ率が高すぎて、どちらの映像なのかわからない」と絶賛! その完成度の高さに「(HYDEさんがゲームのキャラクターのように見えて)マイクが武器みたいですよね」と語っていた。
あまり音楽に詳しくないという石川さんも「すごくかっこいいと思いました! 曲を聴くたびにこのトレーラーを思い出すと思います」と、トレーラーのクオリティーを絶賛。おふたりの言葉どおり、非常にすばらしいデキに仕上がっているので、まだ見ていないという方は要チェックだ。
そこから話題は移り、『DMC5』での声優のおふたりの演技についてのトークに。森川さんは日本語版のすごいところとして「日本の吹き替えを専門にしている会社が台本を吹き替え用の台本として作っている」ことを挙げ、「口の動きも原音にマッチするような言葉が選ばれているので、口元を見ても楽しめると思います」とアピール。
また、いわゆる“やられボイス”は連続で複数のボイスが収録されたため、苦労も多かったようで、石川さんは「“腹を貫かれた感じで”と指示されても、それがわからないんですよ(笑)」と冗談交じりに振り返っていた。
HYDEさんから声優陣に「何かやってください」という無茶ぶりも。石川さんは「Let's Rock!」、森川さんは「Jackpot!」と、それぞれ生で演技を披露!
最後には森川さん、石川さん、HYDEさんから締めコメントがあり、発売前夜イベントは幕を閉じた。3人とも、コメントの中でアクションの爽快感を高く評価していた。ぜひとも発売された『DMC5』を体験して、その気持ちよさを味わってほしい。
“中二感”満載の『DMC5』はシリーズ未プレイでも楽しめる!
イベント終了後には伊津野氏と岡部氏への囲み取材が行われ、『DMC5』の魅力などについてうかがうことができた。下記にまとめているので、購入を検討している方はぜひお目通しを!
――前作から11年ぶりの新作ということで、初めて『DMC』に触れる方も多いと思うのですが、そうした方に対する工夫などはありますか?
伊津野 配信している体験版を遊んでいただくと“レッドオーブ”が手に入るので、これを使ってキャラクターの体力などを増やしていただくとスムーズに遊べるのではないかと思います。
岡部 それから、ゲーム中にも新規ユーザーの方に向けた要素を盛り込んでいます。
伊津野 そのひとつが“オートマチックアシスト”というもので、攻撃ボタンを連打するだけで、スタイリッシュなアクションを楽しめるようになっています。また、ログインすると1日に1回、“ゴールドオーブ”というアイテムを獲得できます。このアイテムを使うと、戦闘中に倒れてしまってもその場で復活できるようになっているので、エンディングまでは問題なくプレイしていただけるかと思います。
岡部 これまでのシリーズのストーリーも、ゲーム中に収録している『History of DMC』で確認できますし、YouTubeでも過去のストーリーを紹介する動画をアップしているので、そちらもあわせてチェックしていただけるとより楽し目るようになっています。
――初心者ユーザーがプレイするときには、どんなことに気を付ければいいでしょうか?
伊津野 まずは、敵の攻撃を食らわないように意識することですね。ジャンプの最初に無敵時間があるので、ふつうに動いて避けるよりも、ジャンプを使うと避けやすいです。
岡部 回避の感覚がつかめると、ゲームをより楽しんでいただけると思います。
――『History of DMC』など、ゲーム中ではシリーズの世界観設定を総まとめしているような印象を受けたのですが、どのようなきっかけでそういった作りになったのですか?
伊津野 最初はファン向けにと考えて作っていました。でも、このビジュアルならばファンだけでなく全ユーザーに興味を持っていただけそうだと思いまして、できるだけ『DMC』の世界を理解していただけるような要素をゲーム中に盛り込みました。
岡部 過去に出している小説なども含め、あらゆるものを『DMC5』の中に詰め込んだので、『DMC』のすべてを味わえるようになっています。
伊津野 これまでお待たせしていたぶん、しっかりとフォローしているつもりです。
――『DMC5』ではダンテ、ネロ、Vと3人の主人公がいますが、それぞれのアクションの魅力を教えてください。
伊津野 ネロは性能の異なるいろいろなデビルブレイカーを持っているので、全部試してみるとすごく楽しんでいただけると思います。ダンテは“真魔人”にただ変身するのではなく、スタイリッシュランクを上げていくとおもしろい使いかたができます。そちらをぜひ体験していただきたいですね。Vでのプレイは、ほかのふたりとはまた違った頭の使いかたをすることになるので、新しい刺激を感じていただけると思います。
――ちなみに“真魔人”はスタイリッシュランクを上げるとどうなるのですか?
伊津野 一瞬だけ“真魔人”になっても、ゲージを消費せずにもとに戻れるというアクションができるようになるります。これを活用すれば、コンボの中に“真魔人”の技を組み込むことができます。
――『DMC』シリーズの魅力はそうしたスタイリッシュなアクションと、“中二心”をくすぐられるようなところだと思うのですが、『DMC5』でおふたりのお気に入りの中二的な要素はありますか?
岡部 僕は『バイオハザード』シリーズの開発も担当しているのですが、『バイオハザード』は銃の持ちかたなどのミリタリー的な実際の動きを忠実に再現するんですね。でも、『DMC5』のアクションではとにかくかっこよさを追求しているので、ダンテが腕をクロスして銃を撃ったりします。そういうアクションを見て、「かっこいい!」と思っていただけるとうれしいです。
伊津野 物語の終盤にすべてをかけたので、そこを楽しみにしてください!
岡部 (笑)。中二感が爆発する瞬間があるんですよね。
伊津野 中二しかないと思います(笑)。
――最後に公開されたPVではバージルらしき人物が登場していましたが、彼は……?
伊津野 ……バージルみたいですよ。ご期待ください。
岡部 メチャクチャかっこいいです!
――『Dx2 真・女神転生リベレーション』とのコラボも発表されましたが、そちらについて何かお聞きできることはありますか?
伊津野 カプコンのスタッフがかなり細かいところまで監修しているので、グラフィックとアクション、テキストと、ご期待いただければと思います。
岡部 すごくいいデキだと思います。
――トライアンフとのコラボもありましたが、思い切ってバイクゲームを作るなんてことは?
岡部 中二というところではすごく親和性があると思います。
伊津野 バイクが好きな人も多いので、たくさんのリクエストがあれば、作るかもしません(笑)。
――今後のDLC展開について何かお聞きできることはありますか?
岡部 DLCの展開は考えていますが、あと少しでお伝えできると思うので、もうしばらく続報をお待ちください!
――これから『DMC5』をプレイするユーザーに向けてひと言お願いします。
伊津野 いま作れる最高に燃えるゲームを作ったつもりです! ハンカチを用意して楽しんでいただければと思います。
岡部 E3 2018で発表したときにも言ったんですけど、本当に平成最後の最高峰のアクションゲームができたと思います。これを買って損するということはないと思いますので、ぜひ楽しんでください
※一部、配信番組からキャプチャーした画面を使用しています。