吉岡茉祐さん、永野愛理さん、青山吉能さん、奥野香耶さんのインタビュー完全版

 2019年3月8日(金)にさいたまスーパーアリーナにてラストライブ“Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~”を行う、声優ユニットWake Up, Girls!(吉岡茉祐さん、永野愛理さん、田中美海さん、青山吉能さん、山下七海さん、奥野香耶さん、高木美佑さん/以下、WUG)。このFINAL LIVEで6年間に及ぶ活動の集大成を見せる彼女たちの特集記事を、本日2019年3月7日(木)発売の週刊ファミ通2019年3月21日号にて18ページにわたってお届けしている。

 同特集記事では、吉岡茉祐さん&永野愛理さん&青山吉能さん&奥野香耶さんの4人と、田中美海さん&山下七海さん&高木美佑さんの3人、ふたつのグループでのインタビューを実施した。しかし、誌面のページに限りがあるため掲載しきれなかったエピソードも多数あるため、ファミ通.comにて完全版を掲載! デビューから苦楽をともにしてきた彼女たちが、何を想い、ファイナルライブの舞台に立つのか? 本誌撮り下ろしの写真は誌面で確認してほしいが、インタビューに関してはぜひ多くの人にFINAL LIVE前に読んでほしいとの想いから、このタイミングで掲載。なお、インタビューは『ファミ通presents WUGちゃんねる!』のスタッフが担当させていただいた。

Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.1「いままで見た中で、いちばんいいWUGちゃんだった!と思ってもらえるように」_01

 また、週刊ファミ通2019年3月21日号(2019年3月7日発売号)には、Wake Up, Girls!特集記事用の写真撮影時の裏側で、WUGメンバーに自由に撮影してもらったオフショット写真を多数収録した、特典ダウンロードコンテンツ“Wake Up, Girls! 今日のオフショット”のシリアルコードを封入。誌面未掲載写真なども多数収録して、全46ページで構成された大ボリュームの特典写真集となっているので、ぜひこちらもお見逃しなく! 永久保存版です!!

Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.1「いままで見た中で、いちばんいいWUGちゃんだった!と思ってもらえるように」_02
Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.1「いままで見た中で、いちばんいいWUGちゃんだった!と思ってもらえるように」_03
カメラマンがWUGちゃんたち自身だからこそ見られる表情が満載の特典DLC「Wake Up, Girls! 今日のオフショット」。

【田中美海さん、山下七海さん、高木美佑さんのインタビューはこちら】
※Wake Up, Girls! FINAL LIVE直前インタビューvol.2「強い、笑顔のWUGちゃんで」
https://www.famitsu.com/news/201903/07172746.html

吉岡茉祐(よしおか まゆ)

11月7日生まれ。大阪府出身。愛称はまゆしぃ。出演作は『Wake Up, Girls!』(島田真夢役)、『Tokyo 7th シスターズ』(鰐淵エモコ役)など。ニコニコ生放送『吉岡茉祐のマユ市立 吉岡高校 通信科』でパーソナリティーを務める。(文中は吉岡)

永野愛理(えいの あいり)

1月19日生まれ。宮城県出身。愛称はあいちゃん。出演作は『Wake Up, Girls!』(林田藍里役)、『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』(ミーア役)など。『かな&あいりの文化放送ホームランラジオ! パっとUP』でパーソナリティーを務める。(文中は永野)

青山吉能(あおやま よしの)

5月15日生まれ。熊本県出身。愛称はよっぴー。出演作は『Wake Up, Girls!』(七瀬佳乃役)、『きかんしゃトーマス』(ニア役)など。『大坪由佳・青山吉能の週末、何してる?』でパーソナリティーを務める。(文中は青山)

奥野香耶(おくの かや)

3月1日生まれ。岩手県出身。愛称はかやたん。出演作は『Wake Up, Girls!』(菊間夏夜役)、『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』(タマ役)など。『西田望見・奥野香耶のず~ぱらだいす』でパーソナリティーを務める。(文中は奥野)

7人に出会えてよかった。「WUGは家族」

――WUGとして活動してきて、いちばん思い出に残っていることを教えてください。

青山 はいはーい!

吉岡 はい、青山さんどうぞ!

青山 みんなで海外のいろいろな場所に行ったことがものすごく印象に残っています。なかでもロサンゼルスに行ったことが……。

吉岡 (さえぎって)ロスなんだ?

永野 (Anime Central 2014で訪れた)シカゴじゃないの?

青山 あ! シカゴのことがすごく思い出に残っていて。やっぱり、アメリカってすごく大きな国だなと実感しました。

永野 自分が海外に行くとは思っていなかったからね。

青山 その後に台湾や上海にも行かせてもらったんですけど、身近というか、日本と距離が近いので、近いからこそわかり合えるというか。もちろん知らない文化もあったんですけど、アメリカというのは、日本とまったく違っていました。シカゴでいまでもよく覚えているのは、当時『アナと雪の女王』が大流行していて、エレベーターホールに向かうときに、みんなで『レット・イット・ゴー』を日本語で歌いながら歩いていたんですよ。そしたら後ろにいた現地の方が、私の後に英語で続けて歌ってくれたんです。

永野 すごーい、めっちゃ感動するー!

青山 「めっちゃすご!」みたいな。即興ミュージカルみたいになっちゃって、私の心も解放されたというか、日本では考えられない光景がたくさん広がっていたのがすごく印象に残っています。じゃあ、つぎの人どうぞ。

永野 でも、いちばんって難しいね。

奥野 難しいね~。

吉岡 私はやっぱり、(ワンダーフェスティバル2013[夏]の)お披露目かな。

青山 2013年7月28日。

奥野 よく覚えているね。

吉岡 後にも先にもあれがいちばん緊張したかも。

永野 そうかも。ステージで何をしたか覚えていない。

吉岡 お客さんの顔がいっさい見れなかったうえに、下からプシューってスモークが出てきて。そんなことになるとは聞いていなかったので、「なにー!?」って驚いたのを覚えています(笑)。

永野 わかるー!

吉岡 リハーサルで出してなかったから、本番で急に出てきて「何これ!?」って。

青山 あと、お客さんの曲中の「オイ! オイ!」も不思議。

永野 自分がされる側というのが慣れていなかったよね(※永野さんはアイドルファンであることを公言しています)。

――なるほど(笑)。

奥野 私はもっとさかのぼって、お披露目前の合宿があったんですけど。

永野 にゃー、それはもう。

奥野 それぞれ苦手な分野がある中で、切磋琢磨しながら、「みんなに置いていかれるかも」、「私どうなるのかな?」という不安と、「本当にアニメやるのかな」という不安もあって。

永野 めっちゃわかる。

奥野 1年後にちゃんと放送するのかな、私たちは声優としてやっているのかなって。そういう話をみんなでしていたんですけど、あるとき、初めて自分の演じるキャラクターをちゃんと見られる機会があったんです。ホワイトボードにキャラクター表がバンと貼られて、そこで初めて自分たちが演じるのがどんなキャラクターなのかを詳しく知ったんですけど、そのときのことが印象に残っています。「(アニメを)やるんだー、よかったー」って。

青山 確かにー(笑)。

――オーディションのときに、このキャラクターをやるっていうのは、ある程度決まっていたんですよね?

奥野 ある程度は決まっていました。

吉岡 でも、そのとき見た絵とは、ぜんぜん変わっていたよね。

永野 変わっていたねー。

青山 そのとき初めて、自分が演じるキャラクターの下の名前が自分と同じだと知ったり、私がリーダーですということを言われて。

永野 そうだよね。懐かしいー。

吉岡 アカデミーのちょっと暗めの照明のところで。

永野 私もちょっと被ってしまうんですが、合宿が後にも先にもいちばんつらくて印象に残っています。いまもちろんつらいこととか、モヤモヤすることはたくさんありますが、合宿のときの“前が見えない感じ”というか。それでもみんなで毎日ホテルに泊まって、朝起きてランニングして、声優レッスンやってダンスやって歌やって。そのくり返しを10日間ぐらい延々やったんです。たしかにレッスンはやっておかないといけないし、後々、自分のためになると思うんですけど、明確にこういうアニメをやるよという具体的なビジョンが見えていなかったし、WUGは7人のユニットですと言われても、どんなユニットになるんだろうという不安がすごくて。当時は、みんなのことを知らなかったこともありますが……。いまだったら10日間がんばろうぜってなれるんですけど、よくわかっていないから、急に集まった7人でどうやっていくんだろうっていう不安がいちばん大きかったです。だから合宿は、やっぱりいちばん記憶に残っているかな。

――合宿の中で絆が深まるというか、お互いの性格がわかってくるんですか?

永野 わかったつもりになっていただけな気がする。

吉岡 みんなのキャラがわかったのは、ニコ生とか生放送系ですね。

永野 そうかも。

青山 私はニコ生とかで逆にブレました。

――ブレたというのは?

青山 当時のWUGちゃんって、人前に出るとマジでキャラが変わったんですよ。

永野 でも、しょうがないよね。

青山 個性の出しかたがわからないというか。人前での自分の出しかたがみんなわからなくて。

――変なことをしちゃいけないというプレッシャーもあるでしょうしね。

永野 そう! 「マネージャーに怒られる!」みたいな。

青山 そうそう。“マネージャーに怒られる”が強すぎて、みんなぜんぜんおもしろくなかったよね。

永野 おもしろくなかったです。テンプレートのことしか言えなくて。これしか言えませんみたいな。ロボットになっていた。

青山 言っちゃダメみたいな。

吉岡 めっちゃ縛られていたよね。

青山 当時はミーティングを毎晩やっていたよね? 覚えてる?

永野 反省ノートみたいなものを書かされて。

吉岡 日記、日記。

永野 そう日記を書かされて。

吉岡 私はまだ家に日記は残してあります。

永野 そういう意味で、いちばん思い出に残っているかも。いい思い出や楽しい思い出は、逆にWUGの活動を始めてからたくさんあるんですけど、苦い思い出があるのは合宿なのかな。

――皆さん、合宿の話はよくされていますよね。

永野 本当につらかった。けっこうしんどかったよね。

奥野 寝る時間もなくてね。

永野 ホテルに戻ったら今日やったダンスの振り返りをして。翌日までに覚えておかないといけなかったんです。

青山 いま思えば、ダンスは難易度が高すぎだった。

永野 歌もね。明日までにこれを覚えてきてくださいとか。声優レッスンもこれをやってきてくださいという宿題があって。なおかつ、1日のことをまとめた日記を書いてくださいと言われて。

青山 日々怯えて生きていたね。

永野 あのころがいちばん怖かったかも。

――では、そのままの流れで、活動を振り返ってきつかった思い出は?

一同 合宿かなー。

永野 WUGの活動を始めてからは、ファンの方がいるし、がんばれる糧があったんですけど、合宿のときはもちろんファンの方がついていないので、自分との戦いというか。何度自分のことを嫌いになったことか。

吉岡 デビュー前で具体的な目的がない中、とりあえず基礎だけを上げようという期間だったからね。

永野 でも、みんな声優をやりたかったり、歌をやりたかったりという気持ちはあって。

青山 香耶も言っていたけど、私は置いていかれるのがいちばんしんどかったな。私はダンスが苦手で、それをやる意味もわからなかったんです。声優になりたいのに、なんでダンスレッスンをやらなきゃいけないのって。しかも、置いていかれるし……。ダンスは、できる組とできない組に分けさせられたんですよ。できない子は端っこに座って見ていて、できる子だけで進めようって。

奥野 そうー! つらかったー。

青山 私たちはそれを泣きながら見ているんです。できる子たちだけのダンスを。

奥野 自分の過去を悔やみました。なんでダンス習ってなかったんだろうって。

青山 本当に思った。なんでバレエやめちゃったんだろうって。

――それほどつらかったと。……うーん、合宿の話題は、暗い話にしかならないですね(苦笑)。

吉岡 ヤバイヤバイヤバイ(笑)。

永野 でもですよ! そんな子たちが、6年後バキバキに歌って踊っているというのが、やっぱりエモいなって思います。

青山 実際、こんな未来は、当時見えていなかったです。

――ただ当時は、お披露目されていないからこそ、自分たちのがんばりを見ている人もいないし……。

青山 そうです。しかも怒られてばっかりで。

永野 怒られるのはしかたないにしても、もうちょっと褒めてくれていいじゃないかって。

奥野 スタッフさんたちは、「がんばるのは当たり前じゃん」という空気だったんですよ。もちろん、そうなんですけど!(苦笑)。未来も見えていないし、不安なまま何とかあがいて何とかやっています、みたいな期間でした。

吉岡 よく挫折しなかったよね。

奥野 ホント誰も欠けなかったのは、すごいと思う。

青山 さっき日記を書いていたって言ったじゃないですか。毎回返事が返ってくるんですよ。当時のマネージャーから。

――へー!

青山 私はダンスレッスンが嫌だったんですけど、マジメにがんばっていたんです。でもそれまでダンスをやっていなかったので、振りを覚えるという作業がわからなくて。ただ、当時マネージャーからの日記の返事で「吉能、なんで今日のダンスレッスンは不真面目だったんだ」みたいなことが書いてあったんです。「一生懸命やらないから、置いていかれるんですよ」って。それを見て号泣しちゃいました。一生懸命やっても、相手にそう見えないんなら、一生懸命やる意味なんてないんだって思ってしまって。

永野 やさぐれたんだな。

青山 やさぐれました。

一同 (笑)。

永野 でもみんな1回はやさぐれた時期があると思う。私もあったわ。

――よし、合宿は暗い話にしかならないので、つぎは楽しい話をしましょう! 活動を通してうれしかった出来事を教えてください。

吉岡 たくさん褒めてもらえる機会が増えたことかな。もともと私は歌が嫌いだったし、「人前で歌うなんて」と思っていました。WUGに受かって、合宿でボロボロになり、お披露目からしばらくは歌を披露する機会はそんなになかったんですが、回を重ねていくうちに歌を評価してもらえるようになって。パフォーマンスを褒めてもらえるようになって、だんだん自信がついたんです。特定のこれ、というわけではないんですけど、それが大きいかな。だからいまはすごく歌が好きで、趣味・特技に“歌”と書けるようになりました。でも、最初は大っ嫌いだったんですよ。歌っていても、ダメ出ししかされないから。

――それは意外ですね。

奥野 私は“わぐらぶ”というWUGのファンクラブで、5周年ライブをやったときのことが印象に残っています。サプライズでワグナーさんがロウソクを持って、「WUGちゃん5歳おめでとう」みたいにやってくださったときに、ロウソクをかざしてくれているワグナーさんたちがすごく純粋な笑顔でこちらを見てくれていて。それがとても印象的で、純粋にうれしかったです(笑)。お誕生日のお祝いってうれしいですよね。自分の誕生日じゃないけど、自分の誕生日みたいな。7人みんなの誕生日を祝ってもらえたことがとてもうれしかったです。

永野 あれは確かによかったよね。私はちょっと幅が広くなってしまうんですけど、皆さんからいただくお手紙ですね。自分は出したことがなかったのでわからないんですけど、いまって時代的に、手書きで手紙を書くことが減ってきていると思うんです。そんな中で、ワグナーさんは自分の気持ちを自分の文字で伝えようとしてくれる方がすごく多くて。手紙を読んでいても、皆さん何枚も書いてくれますし、先週も書いてくれたのにって人がまた送ってくれていたりして。直接思いを伝えようという気持ちがうれしいですし、手紙を読むたびにWUGをやっていてよかったなと思います。

――2日連続でイベントやライブがあるとき、前日のライブの感想が翌日には届いていて驚くという話をよく聞きますよね。

永野 本当にすぐ来ます。だからモチベーションにつながりますよね。失敗したなと思っていても、すごく褒めてくださるし、これがよかったと教えてくれるので、明日もがんばろうって思えるし。そこはやっぱりやっていてよかったなぁって思います。

青山 私がうれしかったこと……うーん(沈黙)。

――(沈黙)……ないということで(苦笑)。

一同 (笑)。

青山 いっぱいありすぎるんですよ! だからいちばんが決まらない。

永野 じゃあ、パッと思い浮かんだのにすれば?

青山 (沈黙)。

吉岡 ないということで(笑)。

青山 あー……。この活動を始めてうれしかったこと……WUGのみんなに出会えたこと?

一同 (笑)。

青山 ぶっちゃけると、最初、みんなのことがそんなに好きじゃなかったんですよ。でも、いまとなってはこんなにわかりあえるというか、私のことをすごくわかってくれる人って、この先現れないんじゃないかっていう不安もあって……。

吉岡 え? 結婚式のスピーチなの……?(笑)。

――(笑)。

青山 それこそ私も最初のスタートがあまりよくなかったから。みんなと出会ったころって、志がみんなバラバラだったんです。歌手になりたいとか、女優さんになりたいとか。よくわからないけどオーディション受けたとか。そういうことを聞くたびに、私としては「は?」って思うわけですよ。こちとらね、何年も声優になりたくて、オーディションを受けまくって落ちまくって。藁にもすがる思いで受けたのにって。ホントに最初はバラバラで、未来も見えないし、みんなも超不安だし、でもみんなのことを考えている余裕もないし。急にリーダーとか言われて、「しっかりしなきゃ!」というのもあったりして、最初のころは「もう無理ー」みたいな感じになっていたんです。でも、やっていくうちにいろいろな出会いがあったり、みんなの志も定まってきたりして、WUGでいる時間がめちゃくちゃ居心地がよくなって、本当に家族みたいで。家族って、たまにいっしょにいたくないときがあるじゃないですか。「ひとりにさせてくれ!」って。そのへんもリアルなんです。

一同 (笑)。

青山 みんなといたくない時間がね。

永野 ナーバスになったりするからね。

青山 そういうときが2時間ぐらいあったりしたときは、帰りの電車で「ひどいことしちゃったな……」って反省したりして。

永野 それめっちゃおもしろい(笑)。

吉岡 かわいいな(笑)。

青山 すごくリアルな家族になっちゃって。(ファイナルライブを開催する)3月までの2ヵ月は、絶対にそういう時間を作らないようにしようと思っています(※インタビューは2019年1月中旬に行われた)。ひどいことしちゃったって思っている時間ももったいないから。いまはとにかく毎日が楽しいし、そういうことを思えるみんなに出会えて、結果的によかったなと思います。

――7人の絆を感じたタイミングって、いつくらいなんですか?

吉岡 ひとつ、このタイミングで仲よくなったんだろうなっていうのは、ちょうどアニメがなかった時期で、タイアップの曲をこなしながら自分たちでライブを作ろうってなったタイミングかな。

永野 私も4thライブツアー。

吉岡 そうそう。

永野 けっこう最近だけど(苦笑)。

吉岡 ちょうど4thで、いままではアニメのスタッフさんたちがWUGのライブを作ってきてくれていたんですけど、私たちががっつりセットリストを組んでみたり、衣装の話にまで関わらせてもらったりしたタイミングが、そこだったと思います。

青山 私は2014年に秋葉原のUDXで行ったイベント後ですかね。WUGフェスをやる前の年末にやったイベントなんですが、そのときステージが終わってから、初めてダンスの先生に怒られたんです。「こんなライブじゃダメだ」と。そう言われたときに、「ダメなんだ……」と思って。確かにそれまでは、わりと自分がどうやるかばかり気にしていたんです。ショーケースイベントでも、いかに私が目立つかということを考えていた感じで。

永野 協調性はなかったよね。

青山 そう。わりとそれぞれでやっていて。というか、いっぱいいっぱいすぎて、それぞれでやるしかなかったんだと思います。そのツケが12月に出ちゃって、もっとがんばらなきゃと思ったイベントでした。

吉岡 あのイベントはよく覚えているな。

永野 私もよく覚えている。

青山 美海が『天城越え』を歌っていた。

永野 ね。

吉岡 WUG単体のイベントで、トークもやって、ライブもやってというイベントがなかなかなかったからね。初めてに近いんじゃないかな。

永野 みんな一生懸命なんだけど、それぞれが違う方向を向いてがんばっちゃっていて、いま思うと、まとまりがぜんぜんなかったなって。

――ダンスの先生に言われて、みんなが目指す方向を定めて、同じほうへ向いたんですね。

永野 でも、正直、それでもまだ1本になっていなかったと思います。

青山 絶対に怒らない先生だったので、怒られたのがけっこう衝撃でハッとしたという感じですね。いつもライブの後に、「よかった」、「すばらしかった」と言ってくれる先生が、すごく苦い顔をしながら控室に入ってきたのが初めてで。泣きましたもん、私。

――青山さんは、泣いているエピソードが多いですね。

青山 ええ。涙もろいんです。

吉岡 よく泣くよね。

永野 初期のころは、よっぴーと美佑がよく泣いていた印象。

青山 美佑は毎ショーケースイベントで泣いていた。

永野 かわいかったけどね。

――また暗い話になっちゃう(苦笑)。

永野 これからです(笑)。WUGってそういう物語だから。

――そうですね。ではつぎは、いまだから言えるやらかしたことがあれば教えてください。

吉岡 最初の“アニサマ”(Animelo Summer Live 2014)のリハーサルに、盛大に遅刻して行ったのを覚えています。

青山 確かにいなかった(笑)。

吉岡 しかもあのときは、バックヤードで動画撮影が入っていて。密着みたいな感じで。

奥野 オフショットみたいなやつだよね。

吉岡 そう。映像を見返すと、私ひとりだけいないんですよ。6人だけで説明を受けていて。

永野 ぜんぜん忘れていた。

吉岡 形にも残っちゃったし、いちばん最初の“アニサマ”のリハーサルで盛大に遅刻して。しかも住んでいるところが遠かったから、到着するまでにすごく時間がかかってしまって。

永野 いまは笑えるね。

青山 言うか、そしたら。

永野 お?

青山 うなぎ事件。

奥野 あー。

青山 それは昔、『素顔でKISS ME』という曲のレコーディングがありまして。その日に、私が寝坊するという大事件が起きたんです。レコーディングが始まる時間に起きてしまって。私もレコーディングする場所からすごく遠い場所に住んでいて、5分で支度して家を出て電車に飛び乗りました。そしてなんとかスタジオに着いたら、作曲家の広川恵一さんと田中秀和さん、それにスタッフさんたちがうなぎを食べて待っていたんですよ。

永野 あ、その話聞いた!

青山 寝坊をして起きた瞬間、私、もう「切腹だな」って思ったんです。なんだったら、「これでWUGをクビになってもしかたない」くらいの気持ちでスタジオに向かっていて。そしたら、みんな幸せそうにうなぎを食べていて……。

永野 しかも、それ超高いやつでしょ。

青山 そう。「やっほー」みたいな呑気な感じで迎えられて。混乱しますよね。こっちは切腹するくらいの気持ちできているのに。あまりに混乱して涙が出てきちゃったんです。「ええ?」って。

永野 お金はよっぴーが全部払ったの?

青山 払われた後だったの。みんなでうなぎ食べていて、「これ食べ終わったらレコーディングしよう」って。そんな感じで準備の間もなく収録したのが、『素顔でKISS ME』でした。これまで広川さんや田中さんが、「レコーディングで思い出に残っている曲はありますか?」と聞かれると、必ず“うなぎ事件”って言っていたんですけど、「私は絶対に言わないでください」と止めていたんです。でも解散しますし、もういいでしょうということで。お待たせしました、これが全貌になります。

――なるほど(笑)。ほかにやらかし事件があるという人は……。

永野 有名な話ですが、初期のころ、香耶と仲が悪かったのはもったいなかったなって。

奥野 あー、もったいなかったねー。

永野 お互いの誤解とスレ違いのもとに生まれた関係だったので、もっと早く仲よくなれたなって。

青山 当時、その話はよくあいちゃんから聞いていて。

奥野 え、そうなの?(笑)

永野 「かやたんと話せないんだけど、どうしよう」って。

青山 そういう話をあいちゃんが言っていて。

永野 香耶も苦手なんだろうなってなんとなく感じていたから、何を話していいかわからなかったんですよ。

奥野 あいちゃんは実家が仙台で私は岩手だったので、同じ新幹線で帰るんですよ。でも、新幹線に乗った瞬間、ふたりともイヤホンで音楽を聴き始めるという状況でした。仙台に着くころに、あいちゃんが準備をし始めて、それを察してイヤホンを取って「バイバイー」って挨拶したら、すぐにまた音楽を聴き始める、みたいな(笑)。本当にひと言もしゃべらなかったよね。

永野 しゃべらなかった。

青山 あのときの香耶の心境はどうだったの?

奥野 私は、なんだったんだろうね。よくわかんなかった。

永野 お互いにね。よくしゃべってもいなかったのに勘違いしちゃって。こういう人なんだって思い込んでいたから。

奥野 そうそう。人見知りだしね、どっちも。

永野 いまとなっては、朝の4時までしゃべります、みたいな関係になって。

奥野 ンフフフフ(笑)。

青山 当時は深夜までしゃべるのが流行っていたよね。いまはもう、一刻も早く寝ようってなったけど。

永野 WUGちゃんも歳をとったんだよ。

――(笑)。続いては、“自分しか知らないWUGのヒミツ”を教えてください。

青山 ないよー!

永野 誰かのヒミツ? それともWUGちゃんのヒミツ?

――誰かのヒミツは、言ってもいいなら……。

永野 WUGちゃんは包み隠していることがそんなにないからなぁ。

奥野 なんだろうなー。

吉岡 私、よっぴーのレコーディングには何回か立ち会っていて、『言の葉 青葉』のレコーディングのときに……。

青山 あ!

吉岡 覚えてる?

青山 覚えてる。バタって。

吉岡 そう、死んじゃったんですよ(笑)。

――え! 死んだんですか?

吉岡 まじで救急車を呼ぶくらいのレベルでした。

永野 緊張してたの?

青山 いや、自分を追い詰めていた。

吉岡 私、モニター越しに見ていたんですけど、よっぴーがスタジオの中でうずくまっちゃって。「あれ、これはやばいんじゃない?」と思って、「吉能さんやばいです」ってスタッフさんに伝えて。急いで中に入ったら倒れていたんです。結局、しばらく休んでから再開したんですけど、それを経て収録したのが、『言の葉 青葉』です。

永野 ぜひCDで聞いていただきたい。(そういうエピソードがあって)いいなぁ逆に。私はないんだよなぁ。

吉岡 よっぴーはレコーディングスタジオに何かあるの?

永野 歴史を作っているよね。すごくうらやましい。

奥野 ヒミツ……。え、あいちゃんのあれは言っていいの?

永野 あはは、いいよ別に(笑)。1回も言ったことがないし、使ってもらえるかもわからないけど。

奥野 あたしとあいちゃんと、よっぴーが3人部屋のときに……。

青山 あ! よくわかったね、“あれ”で。

永野 わかったわかった。“あれ”ぐらいしかない。

奥野 金縛りにあっている最中の愛理を目撃した(笑)。

一同 (笑)。

青山 愛理が、やけに早く寝たんですよ。

永野 そう、眠くて。寝ちゃったんですよ。

青山 そしたら急に奇声を上げながら、バタバタバタって。急にですよ、急に!

奥野 うつ伏せのまま。

青山 苦しそうにもがいている。

――こわ!

奥野 私とよっぴーで顔を見合わせて、やばいぞって。

青山 「あいちゃん、あいちゃん」って言っても。

永野 聞こえないんですよ。ぜんぜん聞こえない。

奥野 やばかったね。

青山 やばかった。

永野 このエピソードを書けるかどうかわからないんですけど、私はぜんぜん大丈夫なので。海外とかでも、たまに何人か連れて帰ってきちゃうんですよね。

青山 あいちゃんは、けっこうそういう系。

――お祓いとかはしているんですか?

永野 お母さんもそういう体質なので、数珠を持っています。

奥野 初めて見た。

青山 でも、あれ以来見ていないよね。

奥野 私もあれ以来は見ていない。

青山 あと、寝る系だと美佑が……。

永野 あ、美佑のかわいい話をする?

青山 美佑は目を開けたまま、しかも座ったまま寝るんですよ。

吉岡 一度、『囚われのパルマ』をやりながらこうやって(スマホを見ている様子で)寝てたよ。「美佑、ゲームしているの?」って聞いたら、「うん、してるー」って。

青山 あぐらかいてうつむき加減に寝ていたんですよ。「美佑、明日何時だっけ?」って目覚ましをセットした時間を聞いたら、「8時ー」って返事があって。でも、美佑にはそのときの記憶が全部なくて。そのまま寝ていたという。

永野 でも急に起きるよね。

青山 「お風呂空いたよー」って言ったら「わかった、入るー」ってすっと起きるんです。でも全部覚えてないの。この話は、しても大丈夫!

永野 本人オーケーがもらえる。

青山 以上です。本当にヒミツがない。