2019年2月21日、『逆転裁判123 成歩堂セレクション』の発売を記念して、『逆転裁判』好きで知られる弁護士、小林航太氏にインタビューを実施! 『逆転裁判』がきっかけで弁護士を志したという氏の『逆転』愛について訊いた。

小林航太(こばやし こうた)

小嶋総合法律事務所所属の弁護士。鍛え抜いた肉体美を活かし、多数のテレビ番組やイベントに出演。初の著書『東大卒筋肉弁護士のもう後がない状況でも確実に結果を出せる超効率勉強法』(主婦と生活社)が発売中。(文中は小林)

「『逆裁』が実務に役立つこともあるんです」――弁護士を志したきっかけは『逆転裁判』だった!? 話題の“筋肉弁護士”にモリモリインタビュー!_05

ピンチのときほどふてぶてしく! 法廷に立つ姿はまさに成歩堂龍一

――うわあ。やっぱりスゴイ筋肉ですね。

小林いやぁ、最近忙しくて……もっとトレーニングをして、筋肉にキレを出したいのですが。あっ、そうだ、タンクトップに弁護士バッジつけて撮影しますか?

――ぜひ、お願いします。

小林取材のときはいつもそうしているんですよ。バッジの裏側が胸の筋肉に直接当たって、少しチクチクするんですけど(笑)。

――(笑)。弁護士バッジの実物は初めて見ましたが、思った以上に存在感がありますね。ところで小林さんは、弁護士になったきっかけが『逆転裁判』だったとお聞きしました。

小林そうなんですよ! 中学生のころにプレイして、ハマってしまいました。そこから法曹、弁護士の職業に興味を持ったんです。

―― 好きなキャラクターっているんですか?

小林やはりいちばんは、主人公の成歩堂龍一ですね。彼に魅力があるからこそ『逆転裁判』シリーズにハマり、弁護士を志すきっかけにもなったので。このゲームに出てくる弁護士や検事って、なんかみんなガタイがいいですよね? デスクワークがメインで、筋肉は使わないはずなんですけど(笑)。やっぱり『ストリートファイターII』のカプコンさんだから、自然とキャラクターもムキムキになるのでしょうか。それに、ちょっとセクシーな華宮霧緒や、威圧感のある巌徒海慈も好きですねえ。

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弁護士・成歩堂龍一(左)と、弁護士・小林航太氏(右)
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『逆転裁判2』、『逆転裁判3』に登場する華宮霧緒(カミヤ キリオ)。メガネでノースリーブでドジっ子というてんこもりさが人気の秘密!?

――シリーズ全作品の中で、とくに印象深いエピソードを挙げるとしたら?

小林逆転裁判2』の第4話“さらば、逆転”ですね。弁護士としての信念を根底から覆すような展開になって、究極の選択を迫られる感じがすごく新鮮で、印象に残っています。

――弁護士として法廷に立たれる際、『逆転裁判』をプレイしていたことで役に立った知識や経験なんてあるでしょうか? なるほどくんばりのハッタリとか。

小林ふたつあります。ひとつは、綾里千尋がなるほどくんに伝えた「弁護士はピンチのときほどふてぶてしく笑うものよ」というアドバイス。実際の法廷で笑顔を見せたりはしませんが、つねにそれくらいの余裕をもって臨むようにしています。

 依頼人はものすごく不安な精神状態の中、僕たちを頼ってくれているので、そうした気持ちを少しでも払拭できるよう、つねに堂々と振る舞うよう心掛けています。それと、物怖じせずに大きな声でしゃべるところも、なるほどくんから影響を受けたポイントですね。ハッタリはしません(笑)。

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――『逆転裁判』に出てくるセリフが裁判でも現実でも活用できる! ちなみに、実際の裁判でも、「異議あり!」って言うんですか?

小林不適法な質問をされたときに、異議を申し立てることはありますね。たとえば、相手方が意図したにしろしないにしろ、間違った事実を前提にした誘導尋問は、すぐに止めないといけません。そういうときには発言を遮りつつ立ち上がって「異議あり!」と唱えることはよくあります。さすがに、ゲームのように指差しはしませんが(笑)。

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―― 素早い「異議あり!」にも筋トレの成果が活かされているのかも? そんな、小林さんも多分に影響を受けている『逆転裁判』ですが、多くのファンに支持されている理由はどこにあると思われますか?

小林 ゲームそのもののおもしろさに加え、一度見たら絶対に忘れない個性的なキャラクターが多数登場するところではないでしょうか。それと、シリーズを重ねるたびにシステム面も改善されていって、快適性が格段に向上したのも、ずっと遊び続けているファンからするとうれしいポイントですね。

――『逆転裁判』未プレイの人に本シリーズの魅力を伝えるとしたら、どんなところをオススメしますか?

小林 やはり、“さまざまな証拠品を集めて真実を導き出し、犯人のウソを暴く”ことの楽しさ、気持ちよさ……という点に尽きますね。そこにハマって、弁護士を目指すようになった僕が言うのだから、間違いないです(笑)。じつは僕も、最初は公式サイトのWeb体験版で本作を知ったんですよ。一度体験すれば、ウソを暴く爽快感が癖になると思います。

――小林さんに続いて、『逆転裁判』をきっかけに法曹界を目指す人が、これからますます増えてきそうですね。

小林 先日もそういった方がTwitterで話題になっていましたし、じつはすでに、何人かそういう方もいらっしゃるみたいです。弁護士だけでなく、裁判官や検事にもいると思いますよ。

 しかし、裁判官や検事は公務員で、TwitterなどのSNS活動もあまり積極的には行えないと思うので、あまりオモテには出てこないのだと思います(笑)。

自慢の筋肉&コスプレで、弁護士のイメージ一新を目指す!

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コスプレイヤーとしても活躍する小林弁護士。自身はなるほどくんのコスプレで、“『逆転裁判』あわせ”を行ったことも!

――ところで小林さんといえば、NHKの『みんなで筋肉体操』(※)に出演されたり、コスプレイヤーとしても活躍されています。なるほどくんのコスプレをするときに、気をつけているポイントは?

小林 なるほどくんは髪型が特徴的なので、ウィッグの造形にこだわりました。なかなか納得いくものが作れなくて、何度もやり直しましたね。スーツの色も、あえて濃い目の青を選んで、なるほどくんらしさを表現しました。1作目から順に見ていくと、よくわかるんですけど、初期のなるほどくんってめちゃくちゃガタイがいいので、そのころの彼をうまく再現できたんじゃないかな……と思っています。

※『みんなで筋肉体操』……2018年~2019年初頭にNHKで放送されたトレーニング番組。わずか5分間の放送時間で、負荷の高い効果的なトレーニングを行う。一見、老若男女が楽しめるかのような体操番組の体裁を取りながら、そのトレーニングの過酷さや、俳優の武田真治氏や庭師の村雨辰剛氏が出演するインパクト、「筋肉は裏切らない」という合言葉も話題となった。

――自慢の筋肉が、コスプレにも活かされているわけですね。弁護士としての活動も含め、小林さんが抱いている今後の展望などはありますか?

小林 昨年は紅白歌合戦にも出演させていただいて、少しずつですが、“筋肉弁護士”としてのイメージが世の中に広まりつつあるように感じています。その前日にはコミックマーケット95にも参加して、筋肉体操のセルフコスプレをしたら、こちらもTwitterでバズり、大勢の方に見ていただけたみたいで。

――(現実の)弁護士というと、“お固い職業”というイメージが強くありますが、メディアに出て活動されていることに対して、苦情というか、「不謹慎だ」みたいな意見は届いたりはしなかったですか?

小林 『みんなで筋肉体操』の出演オファーをいただいたときも、じつはその点を懸念していました。「弁護士なのにふざけている」みたいなことを言われるのかな……と思っていたんですけど、意外とすんなりと受け入れてもらえて。

 僕自身も“弁護士=固い職業”というイメージを捨てきれていなかったので、意識しすぎていたのかもしれないですね。せっかく、広く受け入れてもらえたので、これからもいろいろと挑戦していきたいです。

――そんな小林さんにあえてお伺いしますが、もしも筋肉(筋トレ)と弁護士のどちらかをやめなければならないとしたら、どちらに一本化しますか?

小林 いや~その質問、考えたんですけど……やっぱりどちらもやめられないです! ゴメンナサイ!! というのも、やっぱりいまの僕を形作っているのは“弁護士”という職業、そしてこの“筋肉”、ふたつあって初めて小林航太だと思うので、どちらもやめられないですね……。

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筋肉と弁護活動。ふたつ揃って小林弁護士なのだ。

――(笑)。小林さんのような、フレンドリーな弁護士がいてくれると心強いですね。続いてお聞きしたいのですが、小林さんにとっての筋トレのように、“何かを毎日続け、大きな目標を成し遂げよう”とする際、何か独自のライフハックというか、コツのようなものはあるでしょうか? 毎年、お正月に「今年こそは!」という目標を立てるのですが、やっぱり2月とか3月になると、すべて忘れちゃって……。

小林 いやいや、わかりますよ(笑)。そうですね、1年がかりで何か大きい目標を達成したいのであれば、まずは数ヵ月単位で、いくつか細かい目標を設定することをオススメします。2月の時点でこうしよう、4月の時点でこうしようと決めておけば、たとえば2月末の時点でつまずきそうになっても、そこから軌道修正することができます。

 また、3月までにこれができていないとまずい……といったように、月ごとに乗り越える課題を設けていると、年間のスケジュールも組みやすいですよね。なかなか目標を達成できず、あきらめかけていた人は、いまからでも、月ごとや週ごとの細かい目標を設定するといいと思いますよ!

――ありがとうございました!

最後に小林弁護士の筋肉写真をお届け

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ラストは、小林弁護士が“もっとも自信がある筋肉”というバックショットを。ちなみに、小林弁護士は『逆転裁判』以外にも『星のカービィ』シリーズも好きで、ゲームセンターでぬいぐるみも集めているとのこと。「いま僕のベッドにはたくさんのカービィがいて、抱いて寝ていますよ(笑)」とのこと。