『魔界ウォーズ』のサービス開始1周年を記念し、日本一ソフトウェアの代表取締役社長・新川宗平氏と、クローバーラボのプロデューサー・きゃん氏にインタビューを実施した。

 日本一ソフトウェアとクローバーラボのタッグで開発、運営された『魔界ウォーズ』が、2019年2月15日にサービス開始から1周年を迎えた。“永遠の次回作の主人公”と言われた、日本一ソフトウェアの名物キャラクター“アサギ”が、嘘偽りなく主人公を務める本作は、どのようにしてスマホ業界の荒波を乗り越え、1周年を迎えたのか。

 開発のキーマンである日本一ソフトウェアの代表取締役社長・新川宗平氏と、クローバーラボのプロデューサー・きゃん氏にインタビューを実施。前編では、思い出や開発、運営のやり取りを振り返ってもらった。

新川宗平(にいかわ そうへい)

日本一ソフトウェア代表取締役社長

きゃん(きゃん)

クローバーラボ『魔界ウォーズ』プロデューサー

何より、ほっとしています(新川)

――『魔界ウォーズ』が配信開始から1周年を迎えましたが、まずはご感想を教えてください。

新川 サービスを1年間続けられてホッとしているのと、『魔界ウォーズ』を遊んでくれたユーザーの皆様への感謝の気持ちが大きいです。長い年月を経て、クローバーラボさんといっしょに『魔界ウォーズ』を形にして配信したのに、サービス開始早々、サービス終了お知らせみたいな流れになると、ネタにしかならないので(苦笑)。

きゃん 新川社長と同じですが、現在の厳しいアプリ市場の中で、なんとかサービスを一年間続けられたことにホッとしています。プレイしていただいているユーザーの皆様には感謝していますし、プロデューサーの立場からは、運営を支えてくれたプロジェクトの仲間に「ご苦労さま」と伝えたいです。

――この1年を振り返って、とくにうれしかったことをそれぞれ教えてください。

きゃん サービスを続ける中で、『ゆるドラシル』のキャラクターにボイスがついたことですね。思い入れのある子たちにボイスがつくのは感慨深かったですし、声優さんたちのボイス収録に参加できたのは、貴重な体験になりました。

新川 私は、とにもかくにも、アサギを主人公にしたゲームをちゃんと世に送り出せたのがうれしかったです。「出す出す」と言いつつ、長年形にできなかった『魔界ウォーズ』とアサギは、私が死ぬまでに何とか形にしたかったので。

――アサギと言えば、去年の6月末にボイスが実装されたのも印象的でした。

新川 弊社のタイトルにアサギをゲスト出演させるとき、毎回声優さんを変えていましたが、『魔界ウォーズ』のアサギは、新たに声優の八島さららさんが演じてくれています。前向きで元気なアサギのキャラクターが、八島さんの声や明るい性格と一致していると思います。こうしてアサギを世に送り出せたのはよかったのですが、サービスが始まる前は、正直、ファンの反応がちょっと心配でもありました。

――プレッシャーを感じていたと?

新川 そうですね。リリースしたのはいいけれど、じつはファンがぜんぜん望んでいなくて、
まったく売れなかったらどうしようって(苦笑)。リリースするまでは不安でしたが、ふたを開けてみると、我々の予想をはるかに上回る人数とペースで遊んでいただき、もともとサービス開始から10ヵ月をかけて回収しようと思っていた売上を、1ヵ月半で達成できました。

――それはすごいですね。うれしかったことがある一方で、苦労もされたと思いますが……。

きゃん もちろん、苦労はいろいろしていますよ(苦笑)。いま話題に出た売上で言うと、初動がものすごくよかったぶん、売上が落ちたときに、どのように立て直すかを考えるのもたいへんでした。

新川 売上をキープするのは難しく、最初調子がよかっただけに、売上が落ちてきたときに何もできないもどかしさはありました。

 その一方で、サービス開始から時間が経てば経つほど、アップデートを重ねてゲームがどんどんよくなっているという手応えもあったんです。新しいユーザーの方を増やしつつ、一度離脱してしまったユーザーの方に戻って来てもらうにはどうすればいいのか。それを考えるのもたいへんでしたし、なかなか結果につながらないところが苦しくもありました。

きゃん いろいろと施策を行いましたが、直近ですと昨年10月末のハロウィン、11月の『魔女と百騎兵』のコラボ、12月のクリスマス、1月のお正月と立て続けにキャンペーンを行い、一定の評価はいただけたと思います。

新川 キャラクターの着せ替えや、能力の高いキャラクターなど、ファンの方たちが欲しがっているものを提供できたのではないでしょうか。きゃんさんたちのがんばりのおかげで、また盛り上がっていると強調しておきます!

――この1年、両社で『魔界ウォーズ』の共同開発や運営を行ってみて、いかがでしたか?

新川 家庭用ゲームを中心に開発してきた弊社と、アプリで活躍されてきたクローバーラボさんとでは、やはり会社のカラーは大きく違いましたが、それぞれの知見を集めてよい取り組みができていますし、今後もこの協力関係を続けていきたいと思います。ただ、我々は、どちらかと言うとファン目線で「ここはこうしてほしい」、「こんな機能も作ってください」と無茶なお願いをしたので、開発をしているきゃんさんたちには、何かとご迷惑をお掛けしたかなと……(苦笑)。

きゃん そんなことはないですよ(笑)。新川社長たちが指摘されることは、我々も「なるほどな」と納得できることばかりなので、スケジュールの都合などで取捨選択はしますが、基本的にはできるだけ実装するようにしています。

――いい関係が築けているのですね。1周年のこの機会に、お互いに言いたいことはありますか?

きゃん ではせっかくなので……。開発などにもうちょっとお金が使えるとうれしいですね(苦笑)。

新川 ああ、もっと好きに使いたい?(笑)。

きゃん 好きにではないのですが、もっと人を入れられたり、広告費に使ったりできると、さらにやりやすくなるのかなと……!

――わりとガチな意見がでましたね(笑)。

新川 2社で協力して開発・運営を行っているぶん、お金の管理はしっかりやるようにしているので、おそらくクローバーラボさんだけで運営するよりも、予算管理は厳しいのかなとは思います。

――今後、検討してみようかな、というお気持ちは……。

新川 いや、変えません(笑)。

――(笑)。日本一ソフトウェアさんにとって、運営型のゲームを手掛けるのは初めての経験だったと思いますが、体験してみていかがでしたか?

新川 弊社としては、もっと規模の小さいものは多少やったことがあったのですが、『魔界ウォーズ』のように本格的なものは初めてでしたし、私自身、運営型のタイトルに関わるのは初めてでした。

 パッケージのゲームは、基本的に開発してそれを遊んでくださいというやりかたなのですが、運営型のゲームは24時間年中無休のテーマパークをやっているような感覚で、ビジネスとしてはまったく異なるものだと思います。ただ、ゲームを楽しみたいというお客様の気持や、おもしろいものを提供したいという我々の気持ちは変わらないので、ビジネスモデルが異なることさえ分かれば、コンシューマーゲームメーカーでもやれないことはないと手応えを感じました。

――運営型タイトルのノウハウをしっかり得ていると。きゃんさんは、日本一ソフトウェアさんとお仕事をして、発見や驚きなどはありましたか?

きゃん 『ディスガイア』シリーズのファンを大切にしている日本一ソフトウェアさんだからこそ、チェックがすごいなと思いました。とくにテキストまわりのチェックが細かくて、苦労はもちろんあったのですが、そのぶん勉強にもなりました。

新川 運営がスタートしてからは、弊社の担当スタッフにチェックを任せていますが、初期段階は私自身もチェックを行っていました。

 『魔界ウォーズ』には、『ディスガイア』シリーズと『ゆるドラシル』のキャラクターが登場しますが、やはり原作を知らないと、ついていきにくいと感じました。そこでキャラクターを紹介するテキストをゲーム内に入れてほしいと提案し、私もテキストを書きました。あとは、アサギの出番をもっと増やしたかったので(笑)、アサギのイベントを自分で書いてきゃんさんにメールで送りました。おかげで、アサギの出番は増えています。

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