『ファイナルファンタジーXIV』の大規模ファンイベント“ファンフェスティバル 2018-2019 in Paris”の1日目終了後、同作のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏がプレスカンファレンスに応対。その模様をお届けする。

 2019年2月2日、3日(現地時間)の2日間、フランス・パリで開催される『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)の大規模ファンイベント“ファンフェスティバル 2018-2019 in Paris”。1日目が終了後、同会場内にてプレス向けのカンファレンスが開催された。ヨーロッパはもとより、世界中から集まったメディアと、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターとの質疑応答の模様をお届けしよう。

会場に集まった150〜200名のメディア。話題は『漆黒のヴィランズ』に集中するかと思いきや、さまざまな質問が飛び交っていた。

Q.『紅蓮のリベレーター』の最初のほうではボス戦でQTE(『FFXIV』での呼称はアクティブ・タイム・マニューバ)が使われていましたが、今後の拡張パッケージでもQTEを活用したボス戦は考えていますか?

A.いきなり濃い質問ですね(笑)。ないとも言わないですし、あるとも言わないです。それには理由があります。バトルでのQTEは、そのシステムがあるから使うというわけではなく、バトルを通じてプレイヤーにどんなゲーム体験をしてほしいかを考えたうえで、必要なら使うし、そうでなければただゲームプレイが途切れるだけなので使いません。

Q.『漆黒のヴィランズ』のテーマ曲は植松伸夫氏に依頼する予定ですか?

A.正直、お答えできない明確な理由があるのですが、植松さんのご体調が悪いというニュースはご存じでしたか? 最近、快復宣言を出されていましたが、いきなり全開でお仕事をされるわけではないと思います。また、我々スクウェア・エニックスは『ファイナルファンタジーVII』のリメイクという大きな仕事が待っていますし、そのバランスを考えて、最高のコンディションで植松さんに曲を書いていただけるのであれば、そうしたいと思います。

Q.旧『FFXIV』から続く開発の歴史の中で得た“もっとも大きな学び”と、“達成できたと思っていること”は何ですか?

A.すごく難しいですね(苦笑)。『FFXIV』がというよりは、当時を振り返るとスクウェア・エニックス全体のことだと思うのですが、世界中でゲームを待ってくれているファンの皆さんときちんと向き合ったうえでゲームを作るということ、それを続けていくことがつねに大事であると改めて学びました。少なくとも僕はそのつもりでいますし、会社全体の空気もそうなったと思います。それは、いまでも『FFXIV』が続けていることなので、開発チームにも、ファンの皆さんにもとても感謝しています。

MMORPGに終わりはないので、何かをいま達成したという感覚があるかというと……『新生エオルゼア』をリリースしたときに、それまでのひどい状態だったファンの皆さんとの信頼関係をいったん取り戻せたということ以外に、何かを達成したという気持ちはないです。達成感を持ってしまうと、チャレンジャーでいられなくなるような気がしているので。これからもチャレンジを続けていきたいと思っています。

Q.『漆黒のヴィランズ』のアライアンスレイド“YoRHa:Dark Apocalypse”が発表されましたが、『NieR:Automata』を題材にするというアイデアは、齊藤陽介さんやヨコオタロウさんのものだったのでしょうか? それとも吉田さんのアイデアだったのでしょうか?

A.そもそもの発端は、世界中で「『NieR』に登場するキャラクターたちのコスチュームが欲しいのでコラボレーションしてほしい」という声がものすごく多かったのがまずひとつです。ただ、先ほどMMORPGにエンディングはないと話をしましたけど、同時に変化もとても重要なことだと思っていて、同じスタッフ、同じゲームデザイナーで作り続けていると、どうしても似たパターンのコンテンツが多くなってきてしまう。ただし、設営隊を大きく変えるのはリスクが高すぎる。そういったときに、僕とは違う考えを持っているクリエイターの方をお招きして、いっしょにゲームを作ることで、僕だけでは考えつかなかった新しいゲーム体験が届けられると思っています。アライアンスレイドというものを使って、『FFXIV』だけではできないことをプレイヤーの皆さんに届けたいという思いから、今回のようなスペシャルゲストクリエイターのコンテンツを作ろうという風に考えています。

 今回に関して言えば、『NieR:Automata』の発売時期に、プロデューサーの齊藤さんのほうから「何かコラボレーションできない?」という話があったんですけど、『FFXIV』はものすごく先の予定まで決まっているタイトルであるのと、あと、それだけインパクトがあることであれば、どうせだったら中途半端なコラボレーションではなく、ヨコオさん含めて我々で世界中に驚いてもらえるコンテンツを丸ごとひとつお届けしたほうがおもしろいんじゃない? という話をお酒を飲みながらしたのがスタートですね(笑)。こういった驚きのある瞬間には、お酒は欠かせないかなとは思います(笑)。

Q.今後もアライアンスレイドなどでゲストクリエイターをお迎えしてコンテンツを作っていく可能性はありますか? また、コラボレーションしたい相手も合わせて教えてください。

A.わからないですね。“YoRHa:Dark Apocalypse”も何も始まっていないので、いま言えることは何もないです(笑)。ちょっと待って。何年先の話まで、僕はしなきゃいけないの?(笑) そもそも、アライアンスレイドというコンテンツを使って、ずっとゲストクリエイターでやるかと言われると、それは本当にわからなくて。また同じパターンで来るだろうと思われちゃったらおもしくないので。きっと、また別の驚きを考えると思います。その予想のつかないところが『FFXIV』のいいところでもありますし、ぜひいろいろと想像してもらえるとうれしいです。

Q.『オクトパストラベラー』というゲームが発売され、昔ながらの『FF』を彷彿させるターン制のRPGになっていましたが、『FF』シリーズでもこうしたターン制のタイトルが出てくる可能性はありますか?

A.それは僕には答えられません(笑)。

Q.『FFXIV』は過去の『FF』作品にインスピレーションを受け、オマージュしている部分が多いように思いますが、吉田さんはオマージュの重要性についてどうお考えですか?

A.オマージュ自体が重要だとはそんなに思っていなくて、別の考えかたをしています。僕は『FF』シリーズの原点である『ファイナルファンタジー』からずっとプレイしているオールドファンでもあります。ただ、『FFVII』以降の作品が毎回世界観もキャラクターも極端に変わってきたというところが、いい面もあれば悪い面もあると思っています。『FFXIV』を『新生エオルゼア』で作り直すと決めたときに、ファンサービスが『FF』シリーズに足りていないと考えて、これまで30年以上続いているシリーズだからこそ、『FFXIV』を『FF』のテーマパークにしようと。僕みたいなオールドファンも、つい最近『FF』を知った若いファンの皆さんでも、いっしょに遊べる『FF』の世界を作ろうと思ったことが、オマージュの理由のひとつでもあります。

Q.青魔道士の専用コンテンツ“マスクカーニバル”のような、ウィークリーで条件付き攻略に挑むようなシステムが入る可能性はありますか?

A.まったく同じ仕組みではありませんが、似たようなアイデアはあります。

Q.“リターン・トゥ・イヴァリース”では、エオルゼアとは別の世界に連れて行かれたように感じられましたが、“YoRHa:Dark Apocalypse”では物語的に『NieR』にフォーカスしていくのか、それともヨコオさんが『FFXIV』に『NieR』の世界を展開していくことになるのでしょうか?

A.少なくとも『FFXIV』という世界の中に“YoRHa:Dark Apocalypse”という物語が入ってくるので、当然『FFXIV』の中にあって自然になるように作ります。そのふたつの世界観がクロスオーバーしたときにどうなるかは、ぜひその目で見てもらいたいです。これ以上の情報はヨコオさんがどう書くかにもよるので、詳細については齊藤さんとヨコオさんと3人でお話する機会を作ろうと思います。それを楽しみにお待ちください。

Q.“リターン・トゥ・イヴァリース”や、新種族のヴィエラなど、『FFXII』の要素を取り入れた理由、いきさつを教えてください。

A.“リターン・トゥ・イヴァリース”は、そもそもゲームデザイナーの松野泰己さんにスペシャルゲストクリエイターとして参加してほしいというところがスタートで、そこからディスカッションの中で松野さんが構想されたストーリーです。その中に『FFXII』の世界観が一部出てきたというだけで、僕がチョイスしたというよりも、松野さんが考えた、ということのほうが“リターン・トゥ・イヴァリース”に関しては大きいです。

ヴィエラが新種族に選ばれた理由は、“リターン・トゥ・イヴァリース”があったからではなく、世界中から「ヴィエラはいつだ?」と言われたからです(笑)。

Q.以前のインタビューで、ヴィエラの実装について“高いヒール”の表現がMMOでは難しいという話をされていました。『漆黒のヴィランズ』での実装であたり、デザイン面での工夫や、『FFXIV』の仕組みに沿うように何か手を加えたりしたのですか?

A.『FFXIV』のベースシステムを変えずに“かかとが高い”という表現ができないか、長い期間テストしてきたので、工夫はかなりしています。その細かい僕らの苦労をお話しすると、たぶん開発パネル1本分くらいになってしまうので割愛しますが、うまく表現できるという状態になったので、ヴィエラの実装に踏み切ったというところもあります。ぜひ、キャラメイクの公開タイミングで触ってみてもらえるとうれしいです。

Q.男性のヴィエラが確認できていません。NPCとして登場するのか、それとも東京のファンフェスまで情報を待たなければいけないのでしょうか?

A.ファンフェス、まだ東京が残っているんだよね……(苦笑)。

Q.『漆黒のヴィランズ』では、これまで活躍してきたキャラクターたちがなぜ闇の戦士になるのでしょうか?

A.それは最大のネタバレになってしまうので、ぜひプレイヤーの皆さんの目で確かめていただきたい最大のポイントです。パッチ4.56のメインストーリーの中で明かされますので、ぜひ見ていただきたいです。

Q.新ジョブ“ガンブレイカー”の名前の由来を教えてください。タンクロールながら、敵を破壊していくイメージですが。

A.その質問に答えるにはコージ(マイケル・クリストファー・コージ・フォックス氏。『FFXIV』ローカライズディレクター)が必要だなあ(笑)。正直なところを言うと、僕はどちらかというと“響き”で決めています。ただ、ガンブレードを使って誰よりも先頭に立って、その状況をブレイクしていくというようなニュアンスがあるから、この名前がいいねと最終的にチョイスしたのは確かです。ゲーム内でその通りに使われるかは別問題ですが、僕は少なくともそういうニュアンスでオーケーを出しました。

Q.『FFXIV』のディレクターとして、『FFXIV』ではできなかったことを、たとえば今後の『FFXVI』や『FFXVII』でお客様に届けようという要素はありますか?

A.えええ!(思わず困惑) 皆さん、今日本当に難しい質問をされますね(苦笑)。まず、『FF』シリーズの新しいMMOがすぐに出るかというと、『FFXIV』が元気なうちは会社としても予定していないと思うので、可能性は低いと思います。ここから先は、個人的な話ですけど、あまりメカが登場しない、直球のファンタジーの『FF』が見たいなとは思います。僕らも、ガレマール帝国が強すぎて困っていますしね(笑)。

Q.『漆黒のヴィランズ』で既存のコンテンツのアップデートや、ついにブリッツボールが実装されるみたいな情報はありますか?

A.いまあるディープダンジョンや、エウレカのような探索型コンテンツのつぎのバージョンは、当然考えています。とくにエウレカは、あえてTime to Winのコンテンツとして開発しているところがあって、世界中からいろいろなフィードバックをいただいています。エウレカタイプのものに関しては、新しいチャンレジをしたいと思っていて、それが発表できたときはちょっと驚いていただけると思います。