レイニーフロッグより、Nintendo Switch用ダウンロードタイトル『ピクセル カラーズ』が、2019年1月31日に配信された。価格は1200円[税込]。
本作は、日本でも熱心なファンを持つロジックパズルの『ピクセル』シリーズ最新作。パズルのタテヨコに書かれた数字をもとに、それぞれの行と列でいくつのブロックをどの色で塗るかを判断していくことになる。ストーリー要素などもあり、『ピクセルラインDX』のキャラクターなども登場するようだ。パズルゲームを言葉で説明するのはなかなかに難しいが、ロジックパズルに色の要素などが加味された意欲作となっている。
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そんな同作のリリースを受けて、発売元のレイニーフロッグより、開発元であるスコア・スタジオズのジェームス・ケイ氏へのメールインタビューのご提案をいただいた。じつは記者は、東京ゲームショウ2017の会期中にケイ氏には話を聞く機会があり、その略歴がとても印象深かった(2009年に設立されたスコア・スタジオズは、『人喰いの大鷲トリコ』のエンジンとツールセットを製作したほどの実力集団であることとか、いまはプロジェクトに応じてスタッフが参加したり解散したりしているという制作スタイルとか……)。そんな、スコア・スタジオズの新作ということで、気にならないわけにはいかないといことで、思いつくままに質問をぶつけてみた。
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ジェームス・ケイ
スコア・スタジオズ CEO。2001年に日本に来日。2009年にスコア・スタジオズを設立以降、数々のロジック・パズルゲームを手掛ける。
――東京ゲームショウ2017で取材させていただいておりましたが、その後のスコアスタジオズ様のことをお教えください。相変わらずおひとりの会社なのですか?
ジェームス自分の会社を10年間経営していますが、その後半の数年は他社からの受注の仕事をしていました。その後、完全オリジナルのゲーム制作に集中することにしました。小規模な会社ですので、こういったことがやりやすいんです。世界中のゲーム業界関係者といっしょに仕事をしますが、会社としてはひとり経営ですね。
――プロジェクトごとに人を集めるというスタイルを相変わらず貫いていらっしゃるのでしょうか?
ジェームスそういうことです。でも『ピクセル カラーズ』の場合、自分だけで完成までもっていけるかどうか、意識的に見直すようにしました。「どうしてそこまで?」と思われるくらい、徹底して確認しました。
誰にも頼らずに『ピクセル カラーズ』を作った、などとは言えません。ローカライズと品質保証では販売元のレイニーフロッグのお世話になりましたし、Unreal Engine 4を駆使したので、何百人もの優秀なコーダーに助けてもらったことになります。
つぎのプロジェクトはもう動き始めています。次回もひとり経営で進めるのか、あるいはもう少し上を狙ってチームメンバーを増やすのか、まだ検討中です。
――サイトのデータを見るに、海外市場のほうが販売比率が高いような気がしますが、現状と日本と海外の販売比率をお教えいただけますでしょうか。
ジェームスなぜか、日本、アメリカ、ヨーロッパおよびオーストラリア、この3つの市場の売上高が3分の1ずつになっているようです。日本はかなり大きいんですよ! たぶん、日本では論理パズルがよく知られているからだと思います。『ピクセル』シリーズで目指していることのひとつに、「より多くの人々に論理パズルの楽しさを知ってもらいたい」、という点があります。アメリカやヨーロッパでは、その点がまだまだです。
日本のプレイヤーに楽しんでもらえるかどうかは、とても大事な点だと考えています。とくに日本のプレイヤーは、ソーシャルメディアに関連させますよね。ゲームのスクリーンショットを投稿したり、どこまでクリアーしたかを話題にしてくれたりします。素晴らしいことです!
――さて、では『ピクセル カラーズ』の特徴を教えてください。
ジェームス『ピクセル カラーズ』は、『ピクセル ライン DX』とはまったく違う、ロジック・パズルゲームです。以前からあった、カラーのイラストロジックやお絵かきロジックに似ているかもしれません。画像を完成させるためにカラーブロックをどう配置すればよいか、その手がかりが上下に並んでいます。ただし、今回の作品では、ブロックの順番は分からないようになっています。ややこしい、と思うかもしれませんけど、仕組みが分かれば難しく考えずに楽しめます。
また、ゲームに登場するおなじみの『ピクセル』キャラクターにまつわる、ちょっとしたストーリーが追加されています。今回もトロフィーはありますが、どちらかというとおまけ(おみやげ?)のようなものです。さらに、詳細なプレイ統計や3Dモデルビューアなど、目を見張るような追加機能があり、これらはロック解除することで使えるようになります。
――東京ゲームショウ2017で『ピクセル ラインDX』のお話しを聞いたときに、魅力は「罰がないところです。間違っても何度でもやり直せるし、時間制限もありません」とおっしゃっていましたが、本作でもそれはかわらない感じですか?
ジェームス『ピクセル カラーズ』にはタイマー機能がありますが、これは自分の記録に挑戦したいプレイヤーのためのものです。パズルを早く完成させるため、何度でも挑戦できます。これは自分の記録のためのものですから、ペナルティーなどありません。単に楽しく気分転換のためにプレイしたい人もいますから、お望みならタイマーをオフにできます。
パズルの最初にヒントを使うこともできます。ヒントとは、ランダムに選ばれた行と列にスタート前から正解を入れておくことです。でも、ヒントを使わずにパズルを完成させると、コインを稼げます。コインがたまると、追加機能をロック解除できます。
ロック解除できる追加機能のひとつはパズルランダマイザーです。これを使えば、ランダムに生成されるパズルをプレイできます。やり込み要素はたっぷりありますよ!
――なぜ『ピクセルラインDX』のキャラクターであるマトリックス博士、スコアちゃん、Dバグを登場させることにしたのですか?
ジェームス『ピクセル』シリーズでは、ロジックパズルでブランドを作りたいという思いがありました。2010年に
リリースしたiOSで最初の『ピクセル』ゲームの『ピクセルライン』からマトリックス博士とDバグが登場しました。そして2016年にリリースしたiOSの『ピクセルラインJr. (ジュニア)』でスコアちゃんが登場しました。パズルとは別に、キャラクターともつながりを持ってほしかったんです。今後もすべての『ピクセル』ゲームに登場しますよ!
――今後の戦略をお教えください。『ピクセル ライン』シリーズを引き続き継続する感じですか? 『ピクセル ライン』シリーズで、今後やってみたい方向性は? そして、新規IPなども考えていますか?
ジェームス私は本当にロジックパズルゲームが大好きなので、自分がやりたいゲームを作っているだけなんですよね。私の作るゲームを通して、より多くの皆さんに論理パズルを知ってもらえるなら幸いです。じつは、『ピクセル』シリーズの続編となる別の論理パズルゲームの制作が始まっています。もちろん(誰でもそうですが)、ほかにもたくさんのアイデアがあるので、いつかそれらを形にしたいですね。ですが、とりあえずは論理パズルのファンやカジュアルゲーマーの皆さんのために、今後も『ピクセル』のタイトルをお届けしていきたいと思います!
――ところで、なぜそこまでロジック・パズルに心惹かれるのですか? ロジックパズルの魅力は?
ジェームスロジックパズルは、リラックスするいい方法です。クロスワードは多くの知識が必要ですが、ロジックパズルは、脳を働かせ、ほとんどロジックだけで解けます。また、種類がたくさんあるのも魅力です。これからも、ロジックパズルにはこだわっていきたいですね。