発表から約3年。世界中のエースパイロットが待ち望んだ『エースコンバット』シリーズの最新作が、2019年1月17日に発売された。それを記念して、開発の中心人物である河野一聡氏と下元学氏にインタビューを実施した。

 2019年1月17日、人気フライトシューティングの最新作『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』のプレイステーション4版とXbox One版がリリースされた(PC版は2月1日発売予定)。ナンバリングタイトルとしては、じつに12年ぶりの発売となる本作は、“空の革新”をテーマに数々の新要素が実装されている。

 本記事では、本作のオープニング映像に隠されたヒミツや、ミッションを盛り上げる無線でのやり取り、プレイヤーの前に立ちはだかる無人機など、ゲームの見どころをバンダイナムコエンターテインメントの河野一聡氏と下元学氏にうかがった。

『エースコンバット』シリーズ ブランドディレクター ・河野一聡氏(右)と『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』プロデューサー・下元 学氏(左)。

オープニング映像の秘密とダークブルーに込めた意味

――ひと足早く、新規カットが公開されたオープニング映像を拝見しました。“ダークブルー”がキーワードになっているようですが、どのような意味が込められているのですか?

河野 “ダークブルー”は、片渕監督(片渕須直氏。本作の脚本を担当)に最初に出していただきました。ご指摘の通り、この言葉は本作のキーワードで、いくつもの意味をかけ合わせています。たとえばダークブルーのイメージのひとつには、軌道エレベータの上空に広がる空があります。

下元 オープニングシーンでは、冒頭でエイブリルの祖父と、彼の戦友たちの魂が眠る場所をダークブルーと呼んでいますね。

河野 『コレクターズエディション』のブックレットに収録された片渕監督の書き下ろし短編小説にも、ひとつのダークブルーが登場します。短編小説は4本あって、それぞれタイトルが色で決まっているんですよ。複数の色の中でも、ダークブルーは本作のテーマであり、とくに深い意味を持っています。

――なるほど。先ほどエイブリルの話題が出ましたが、オープニングシーンは彼女がメインになっていることが少し意外でした。

河野 オープニング映像にエイブリルの登場シーンが多いのは、彼女がどのような人物なのかをプレイヤーにわかっていただくためです。彼女は、プレイヤーサイドの語り手で、エルジアサイドの語り手はドクター・シュローデルが務めます。本作のストーリーは、ふたりの語り手の視点で進行します。

――それでオープニング映像で、エイブリルの生い立ちが紹介されているのですね。

下元 エイブリルは、前の戦争で父親を亡くしていて、祖父と彼の戦友たちとともに過ごした日々の中で、エンジニアとして育ちました。オープニング映像では、祖父たちと組み上げたF-104Cを彼女が操縦して、空へ飛び立つ様子が描かれています。

――ちなみに、前の戦争と言うのは……。

下元 エイブリルの父親が亡くなったのは、『ACE5』の時代です。祖父が活躍したのは『AC04』や『ZERO』より前の時代になります。

河野 シリーズ作品とのつながりは、全面には押し出してはいませんし、本作だけでも楽しめるように作っています。

――個人的には、『ACE5』で活躍したビンセント・ハーリング大統領が登場してうれしかったです。

河野 本作ではすでに任期を終えているので、元大統領になりますね。彼のほかにも、シリーズファンの方がニヤリとできる要素もたくさん散りばめていますので、お楽しみに。

これまでのノウハウをもとに細部にまでこだわって完成へ

――ここからはネタバレにならない範囲で、ゲームの内容に関していろいろお聞きしていきたいと思います。本作でも相変わらず、無線会話で仲間や敵とのやり取りが楽しめますが、懲罰部隊の面々やマッキンゼイ司令がいい味を出していると思いました!

河野 ありがとうございます(笑)。懲罰部隊のメンバーのキャラクター設定は、片渕監督に考えていただきました。ギャンブル好きなヤツがいたり、情報通だから“タブロイド”と呼ばれていたりと、懲罰部隊なだけあって、とにかく個性的なメンバーが集まっています。

――ミッション中の無線会話も、片渕監督が内容を考えているのですか?

河野 そうですね。“片渕節”も出ていますし、無線のやり取りを担当したスタッフの味も出ています。リアルタイムに進むストーリーをドラマティックに展開させるのは今回も苦労しましたし、最初は少しやりすぎなセリフもありましたが(苦笑)、味があっていいと感じるようになりました。

――やりすぎなセリフと言えば、ブラウニー(主人公が最初に所属している部隊の女性パイロット)の「行きたい店がある」というセリフが印象に残っています(笑)。

河野 そのセリフ、開発中は違うものだったんですよ(苦笑)。

下元 そうでしたね。試行錯誤しているうちに、よく分からない方向へ……。最終的にはシンプルに《行きたい店があります》というセリフだけ残しました。

――ブラウニーのセリフに、そんな秘密があったのですね(笑)。ほかに変更されたり、ボツになったセリフで、覚えているものはありますか?

河野 河野 日本語のセリフを英語に翻訳するとき、気を利かせたつもりで書いたのに、スタッフに意味が通じなくて、結果的にボツになったものはありましたね。主人公機には三本線のマークが入っているので、それを見た人物のセリフとして「1、2、3、4……、いや、三本線だ!」と書いたんです。そしたら、「間違えていたようなので、『1、2、3、三本線だ!』に直しておきました」と言われて。ストレートに数えるよりも、いいと思ったんですけどね。

下元 無線会話を楽しみたい方は、一度ミッションをクリアーした後、フリーミッションで無線を聞き直すことをオススメします。無線のやり取りの中には、意外な事実もたくさんあるので。それと、英語のセリフでもぜひプレイしていただきたいです。日本語と英語でそれぞれの無線会話を楽しむのも『エースコンバット』シリーズらしい楽しみかただと思います。

――何度もプレイする楽しみがあると。そういえば、出撃前のブリーフィングもにぎやかで、『ACE5』に近い雰囲気が楽しめました。

河野 ブリーフィングは、後から要望を出して、わざと騒がしい感じにしています。

下元 彼らは懲罰部隊という立ち位置なので、上官の説明は真面目に聞かないだろうと。そこで、雑談や上官に口答えをするような演出を加えてみました。

――ミッションでは、無人機の動きも印象的でした。有人機とはまた違うようで。

河野 最初は有人機も無人機も、同じ動きをしていたんです。でも、両者に違いがないのはおかしいですよね。コンピューターで制御されていて、人間のように恐怖を感じない無人機なら、機体に多少ダメージを受けていても戦いを続行するでしょうし、無人機どうしでリンクすると、動物の群れのような行動を取ると思います。つまり、有人機が組んだ編隊とは異なるものとなります。そういったことを開発スタッフたちと意見を出し合いながら、無人機ならで動きを作りました。

下元 もちろんゲーム内では、有人機もコンピューター(ゲームハード)が制御して飛ばしていますが、よく観察すると、有人機はパイロットの魂が込もった飛行をしています。開発スタッフがとくにこだわっているところなので、プレイして実際に感じてもらえると、うれしいですね。

――無人機は手強いと感じましたが、有人機よりも強く設定しているのですか?

河野 無人機は強いですが、クセを見抜けば撃墜できるように調整しています。

下元 観察していると、「無人機はこういうプログラム制御で動いているんだな」と、発見する楽しみも感じてもらえると思います。

――戦闘中は観察する余裕がなくても、リプレイ機能を使うと発見がありそうです。

下元 そうかもしれませんね。ちなみに、今回はリプレイでミッション中の無線やBGMを聞けますし、これらのオン・オフが任意で選べるようにしています。また、キャンペーンとフリーミッションでは、リプレイの仕様を変更しました。前者は、テンポ感やプレイヤーの気持ちの余韻を大事にしたいので、ここでリプレイが入るとおかしいと感じるシーンではカットしています。一方、後者はすべてリプレイが観られるようにしました。

河野 最初はキャンペーンモードもすべてリプレイを入れていましたが、感動的なシーンの後に、リプレイで騒がしいシーンを見せられると台なしになってしまうので。

――確かに(笑)。でも、リプレイを眺めているだけでも楽しめるのはいいですよね。

河野 ただ、リプレイの画面には、戦闘中にうまくウソをついて隠している、都合の悪いものが映ってしまう可能性もあります。それで、一時期はなくしてしまおうかという意見も出たのですが、リプレイ機能を望むファンの声が大きかったので、開発スタッフにがんばってもらいました。

下元 ゲームの配信や実況が浸透している中で、リプレイ機能はかっこいい映像を作れる機能としても重要だと考えています。

――あと、新たな機体やパーツを入手できるAIRCRAFT TREEが、とても見やすいです。

河野 AIRCRAFT TREEは、『エースコンバット インフィニティ』のときに開発していたので、改善・改良すべきポイントはわかっていました。前回同様、機体に装備できる特殊兵装をわかりやすくしています。また、ビジュアライズしたことで、視認性が高くなりましたし、新しい機体を入手したときテンションが上りやすくなりました。

――新しい機体を解放して、格納庫にやって来るシーンは、確かにテンションが上ります。

下元 あとは、ルートの先まで入手できる機体やパーツを確認できるようにしているのもポイントです。ルートは大きく日本、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアに分けているので、まずは自分の好きな機体が入手できるルートを進めてもらうのがオススメです。

――架空機体の情報が出ていないので、気になっているファンは多いと思いますが……。

河野 架空機体に関しては、ストーリーのネタバレも含まれますのでここでお話することはできません。

下元 シーズンパスをご購入いただければ、合計3機の架空機を入手できます。今後の続報に、ぜひご注目ください。

新米パイロットにうれしいさまざまな施策も実施!

――2018年12月4日から、機体紹介トレーラーが順次公開されています。この狙いは?

下元 本作は、往年のファンの方はもちろん、シリーズ作品を遊んだことのない方にも手に取ってもらいたいと考えています。その一環として、戦闘機があまり詳しくない方に向けて、機体の紹介トレーラーを作りました。時間を30秒と短くすることで、気軽に視聴できるようにしているのと、Twitterなどでも流しやすくしています。ぜひ拡散して、新たな仲間を増やしていただきたいです。

――推し機体の映像、リツイートしました! 発売日以降になっても新たな機体紹介トレーラーが公開されていることもうれしいです。

河野 機体紹介トレーラーは公開ペースが早かったですね。なんでそうしたんだっけ?

下元 2日に1機というペースでの公開は、プロモーションチームにも「早い」と言われました。ただ本音を言うと、2日に1機紹介するのでは満足できなくて。紹介したい機体が多かったので、僕としては毎日更新したかったです(笑)。

――(笑)。プロモーションと言えば、松島基地や新田原基地の航空祭で実施されたプレイアブル出展も、挑戦的だと感じましたが……。

河野 自衛隊の完全バックアップでという形は、今回が初めての試みです。基地の方々にご支援をいただき、試遊台のモニター越しにF-2やF-15Jが見られる、戦闘機ファンにとっては夢の環境を用意していただきました。

――実際に航空祭を訪れて体験版を試遊できたファンは、一生の思い出でしょうね。

下元 あと1週間お待ちいただければ(※)、製品をプレイいただけますので、できるだけ多くの方に楽しんでもらえるとうれしいです。ナンバリングタイトルとしては、12年ぶりの新作になるので、『エースコンバット』シリーズを遊んでいない方もたくさんいると思います。そういった方たちにも手にとっていただきたいですし、プレイした方は、Twitterなどで感想をどんどん広めてください。

※インタビュー実施時はまだ『ACE7』発売前だった。

河野 ついに発売されると思うと、非常に感慨深いです。シーズンパスの開発も進めておりますので、こちらの配信もご期待ください。