『東京魔人學園帝戰帖』発売が待たれる3部作最終作、その第壱話のシナリオを特別公開! 時は1943年、主人公の物語は満洲から始まる

『東京魔人學園伝奇』3部作の最後を飾るタイトルとして企画が進められている、『東京魔人學園帝戰帖』。その第壱話&第弐話のシナリオを特別に公開。

 ゲームクリエイター今井秋芳氏が監督を務める『東京魔人學園伝奇』が、2018年に20周年を迎えた。同シリーズは、いわゆるナンバリング作品に当たる『東京魔人學園剣風帖』(1998年発売)、『東京魔人學園外法帖』(2002年発売)のほか、複数の外伝・移植作品も発売されたほか、アニメ・コミック・小説などでも展開。“ジュヴナイル”と“伝奇”、ふたつのジャンルの魅力を併せ持つコンテンツとして、多くのファンから支持を得た。

 この『東京魔人學園伝奇』は、もともと3部作として考えられている。『東京魔人學園剣風帖』、『東京魔人學園外法帖』に続くゲームとして、『東京魔人學園帝戰帖』なる作品が企画されているのだ。残念ながら、現状、この『帝戰帖』が発売される予定はないが、今井秋芳監督は「いつの日かお届けできたら」と前向きに語っている。シナリオも、なんと第壱話と第弐話については出来上がっているというのだ。

『東京魔人學園剣風帖』発売から20年、今井秋芳監督が語る『魔人』の歩み。「『帝戰帖』を、いつの日かお届けしたい」

1998年に『東京魔人學園剣風帖』が発売されてから20年。『東京魔人學園伝奇』シリーズを統括する今井秋芳監督に、節目の年を迎えて思うことを語ってもらった。

 そこで、『帝戰帖』を待ちきれないファンのために、ファミ通.comで、第壱話&第弐話のシナリオを公開! 時は1943年――『外法帖』と『剣風帖』のあいだに起こった事件とは? 新たな戦いの予兆を、ここから感じてほしい。

『東京魔人學園帝戰帖』第壱話 第1幕

1943年12月―――満洲國南部

雪の降る荒涼とした大地に線路が敷かれ、そこを流線型の列車が走って来る。
列車には「あじあ」と書かれており、貨物車を牽引している。
その列車の中にひとりで座っている主人公の姿がある。

【車掌】
本日は、南満州鉄道特急『あじあ』を
ご利用頂き、ありがとうございます。

【車掌】
ただいま、当列車は華山平原を
通過致しました。

【車掌】
次の停車駅は、終点―――大連。
大石橋には停車致しません。

【車掌】
終点の大連までは、あと2時間程で
到着致します。

【車掌】
ただいま、当列車は華山平原を
通過致しました―――。

車掌が客車を通過していく。

※※※※※
●三択
◇窓の外を見る

【三つ編みをした少女】
見てッ、すごい雪ッ!!

【毛布にくるまった母親らしき女】
本当、綺麗ね。
まるで、白い布を敷いたみたい。

【三つ編みをした少女】
あッ、今何か動いたよ?

【毛布にくるまった母親らしき女】
きっと、この辺りに棲む野生の動物じゃ
ないかしら?

※※※※※
◇乗客の話に耳を傾ける

【白髪混じりの中年の乗客】
おい、聞いたか?

【脂ぎった中年の乗客】
大連にはあと2時間だって?

【白髪混じりの中年の乗客】
違うよ。

【脂ぎった中年の乗客】
……?

【白髪混じりの中年の乗客】
ラバウルが、連合軍に
空襲されたそうだ。

【脂ぎった中年の乗客】
な……ッ!?

【脂ぎった中年の乗客】
ラバウルっていや、日本軍の
東南アジアへの進攻の要じゃないかッ。

【脂ぎった中年の乗客】
まさか、陥落(お)ちてはいないよな?

【白髪混じりの中年の乗客】
陥落(お)ちちゃいないが、
時間の問題かもしれない……。

【脂ぎった中年の乗客】
そんな馬鹿な……。

【脂ぎった中年の乗客】
あそこを失ったら、日本にどれだけの
打撃があるか……。

【白髪混じりの中年の乗客】
ちょっと、耳を貸せ。

【脂ぎった中年の乗客】
……?

【白髪混じりの中年の乗客】
噂だと、南太平洋にある日本の拠点も
連合軍に占領されたって話だ。

【脂ぎった中年の乗客】
なッ、そんな事―――ッ!?

【白髪混じりの中年の乗客】
しッ!!

【白髪混じりの中年の乗客】
今までが上手く行き過ぎたんだよ……。

【白髪混じりの中年の乗客】
だいたい、戦力だって物資だって
連合軍の方が日本軍を上回ってんだ。

【白髪混じりの中年の乗客】
もしかしたら、このまま……。

【脂ぎった中年の乗客】
はははッ、それはないだろ。
連合軍が日本に勝てる訳がない。

【脂ぎった中年の乗客】
この満州鉄道を見ろッ!!

【脂ぎった中年の乗客】
これほどの力を持った国が敗れる道理が
どこにあるというんだ?

【白髪混じりの中年の乗客】
しかし、その驕りが―――、

【新聞を読んでいる乗客】
少し、静かにしてもらえないか?

【白髪混じりの中年の乗客】
――――――ッ!?

新聞をたたむ乗客(紫摩=しま)

【黒い帽子を被った乗客】
車内で声高(こわだか)に風説(ふうせつ)を説くのは、
いささか礼儀知らずじゃないかな?

【黒い帽子を被った乗客】
この列車に乗っているのは、
貴方たち二人だけじゃない。

【黒い帽子を被った乗客】
同じ日本人として、異国での恥ずべき
行動は慎んでもらいたいものだな。

【脂ぎった中年の乗客】
何だとッ?
偉そうに、誰に向かって口を―――、

立ち上がる紫摩。

【黒い帽子を被った乗客】
人は、日本を富める國(くに)だという。
富めるというのは、豊かだという事だ。

【黒い帽子を被った乗客】
身が豊かであれば心も豊かになろう。

【黒い帽子を被った乗客】
すなわち、心が豊かであれば、
真に人として豊かであろう。

【黒い帽子を被った乗客】
『礼儀は富足(ふそく)に生(しょう)ず』―――、

【黒い帽子を被った乗客】
豊かであれば、人は自ら礼儀を
重んじるという事だ。

【黒い帽子を被った乗客】
豊かな日本人であれば、
礼儀をわきまえよ。

【脂ぎった中年の乗客】
ぐッ……。

【黒い帽子を被った乗客】
そこの君。

【黒い帽子を被った乗客】
私のいっている事は
間違っているかな?

※※※※※
●感情入力

【黒い帽子を被った乗客】
博愛―――素晴らしい精神だ。
僕の話に賛同してくれてありがとう。


【黒い帽子を被った乗客】
少し難しかったかい?

【黒い帽子を被った乗客】
そうか……やはり、もっと大衆に
わかるような言い方を考えないとな。


【黒い帽子を被った乗客】
その笑顔の示すものは共感かい?

【黒い帽子を被った乗客】
そういってもらえると、
僕も何だか嬉しくなるよ。


【黒い帽子を被った乗客】
素晴らしい。
君は若いのに実に礼儀をわかっている。

【黒い帽子を被った乗客】
君のような青年なら、
僕は喜んで友となろう。


【黒い帽子を被った乗客】
同意……正に同意だよ。

【黒い帽子を被った乗客】
今この瞬間、君が礼儀ある人間だと
君は僕に示した事になる。


【黒い帽子を被った乗客】
そんな悲しそうな顔をする事は
ないだろ?

【黒い帽子を被った乗客】
君に対していっているんじゃ
ないんだから。


【黒い帽子を被った乗客】
いいね、その冷たい眼差し。

【黒い帽子を被った乗客】
言葉に流されず、冷静に物事を
見るというのは悪い事ではないよ。


【黒い帽子を被った乗客】
少し大仰過(おおぎょうす)ぎたかな?

【黒い帽子を被った乗客】
まあ、怒らないで
聞いてくれたまえよ。


【黒い帽子を被った乗客】
沈黙は肯定と取らせてもらう。

前のページへ 次のページへ