フィンランドのインディーゲームスタジオ“Nolla Games”は、それぞれ受賞歴やヒット作を持つインディーゲームクリエイター3人が集まった、一種のドリームチームのようなスタジオだ。

 だから、というわけではないのだが、開発中のアクションゲーム『Noita』は非常に高いポテンシャルを感じさせる作品だ。ぜひ動画を見てみて欲しい。このゲームが刺さる人なら数秒で圧倒されると思う。

一見よくあるローグライクアクションだが……。

 というのも本作、静止画ではそのスゴさがあまり伝わらない。“ダンジョンが毎回自動生成される探索アクション”という基本コンセプトとスクリーンショットだけでは、Steamに50本はありそうなその手のタイトルをイメージして「あー、そういう感じね」と誤解する人もいるかもしれない。これはきっとその想像を超えるゲームだ。

『Noita』ドット単位の凄まじい魔法世界物理シミュレーションによって駆動する、ローグライクダンジョン探索アクション_01
『Noita』ドット単位の凄まじい魔法世界物理シミュレーションによって駆動する、ローグライクダンジョン探索アクション_04

ドットひとつに命を吹き込む、魔法世界物理シミュレーション

 本作ではC++による独自エンジンを採用しており、ドット絵で流体表現をやったり、パーティクル(粒子)を飛ばしまくって魔法を表現したり、ドット単位で魔法世界の物理シミュレーションを行っている。

 そしてもちろんこれがダンジョン探索に大きく関わってくるのだ。例えば溶岩の上は通れないが、丁度頭上にある給水タンクに攻撃魔法で穴を開ければ水が流れ出し、やがて溶岩に降り注いだ水のドットは岩を作り、プレイヤーキャラクターの足場を作り出す。

 体に火がついたら? 炎で氷の山を溶かせば水になるので消火できるだろう。酸の魔法や貯蔵タンクには要注意。酸はさまざまなものを腐食させ、可燃性のガスは大爆発を引き起こしかねない。地形によっては、さらに爆発で着いた火が氷の溶解を招くこともある。こうして地形がアグレッシブに変化していく。周囲のあらゆるものが冒険に影響を及ぼす可能性を秘める。

プレイヤーとクリーチャーの干渉で変わり続ける魔法世界

 要は『マインクラフト』的なシミュレーションをドット絵ゲームのドット単位でやっていると考えてもらうとわかりやすいかもしれない。そして本作では、そんなシミュレーションで実現される魔法世界のダンジョンに潜れるんである。

 もちろんプレイヤーだけでなく、クリーチャーたちもシミュレーションの対象であり、かつシミュレーションによって世界を変える存在だ。爆薬をぶん投げてくる敵が勝手に連鎖爆発を引き起こして地形が変わってしまったり、流れ弾で酸が発動して床がボロボロになって思わぬルートがひらけたりもする。

 属性攻撃的な概念もあり、炎のクリーチャーに水魔法をかければあっという間に仕留められることも。ただしプレイヤーが引き起こした反応が思わぬ結果を起こすことだってあるので注意されたし。

今後の進捗を要チェック!

 記者は先日サンフランシスコで行なわれた“Day of the Devs”で本作をプレイし、短いデモ時間ながらハードコアなその世界を体感した次第。今回は試せなかったがゲームには自作魔法を作り出すシステムなどもあるそうで、どんなことができるのか期待が高まる。

 ゲームは今の所PCでまずリリースすることを目標に開発が続けられており、アーリーアクセスなども恐らく来年に実施予定。アップデートについてはTwitterの公式アカウント(@NollaGames)や、公式Tumblrで短いクリップなどが定期的に投稿されているほか、Steamの配信ページもすでに存在するので、それらをフォローするといいだろう。

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