1990年代のゲームシーンを体験できる“あそぶ!ゲーム展”の見どころをゲームの神様、遠藤雅伸氏に聞く

デジタルゲームの歴史を期間ごとに区切り、多角的に展示・紹介する企画展“あそぶ!ゲーム展”。その最終章となる“ステージ3”が、埼玉・SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザにて絶賛開催中。本企画展の見どころなどを、企画・監修を手掛けたゲームデザイナー、遠藤雅伸氏に聞いてみた。

 実際にプレイできるゲーム機の展示を中心に、当時の流行やハードウェアの仕組み、使用されている技術などを、楽しみながら学ぶことができる企画イベント、“あそぶ!ゲーム展”。2018年10月6日より、1991年〜2001年のデジタルゲームを特集した“ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム”が開幕した。今回で3回目となる本企画イベントの見どころはどこにあるのか。企画・監修を手掛けたゲームデザイナーの遠藤雅伸氏に話を聞いてみた。

本稿の最後では、“あそぶ!ゲーム展 ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム”の招待券プレゼントを実施。ファミ通読者15組30名に、招待券をプレゼントします。プレゼント応募の詳細は、本稿の後半をチェック。


1990年代の懐かしいゲームシーンが蘇る!

“あそぶ!ゲーム展”は、これまでに“ステージ1 デジタルゲームの夜明け”(2015年開催)と“ステージ2 ゲームセンターVSファミコン”(2016年開催)を実施。今回の“ステージ3”は、本企画展の最終章となっている。

プロフィール

遠藤雅伸(えんどうまさのぶ)

シューティングゲームの名作『ゼビウス』(1983年)やアクションRPGの先駆け的作品『ドルアーガの塔』(1984年)など、デジタルゲーム黎明期から革新的なヒット作を世に送り出してきたゲームデザイナー。その実績から、“ゲームの神様”とも称されている。これまでの知見を活かし、日本デジタルゲーム学会・副会長、東京工芸大学芸術学部ゲーム学科教授などを務める傍ら、“あそぶ!ゲーム展”では企画・監修を担当している。

――“あそぶ!ゲーム展”はステージ1から始まって、今回で3回目を迎えています。遠藤さんは企画監修という肩書きで参加されていますが、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?

遠藤 この企画展をやるにあたり、どのようなゲームを用意すればいいのかとか、これだけは外せないんじゃないかといったことを口出しさせてもらっています。今回のステージ3では、対戦格闘ゲームと音楽ゲームを軸に、現在に続くゲームの源流を探るというテーマの元に、タイトルを決めていきました。

――コンシューマータイトルでは、どのようなタイトルを助言されたのでしょうか?

遠藤 『ときめきメモリアル』は入れるべきだと主張しました。PCエンジンのCD-ROM2という、どちらかというとニッチ向けハードのタイトルだったのに、大ヒットを記録した作品ですからね。あと、『スーパーマリオ64』もこの時代を象徴する作品として入れるべきだとプッシュしました。

――反対に、これは入れたかったのに実現できなかったものはありますか?

遠藤 今回の“ステージ3”ではとくにないですね。ほぼ、思った通りのラインアップが揃えられたと思います。前回のステージ2のときは、実現できなかったものがひとつあったのですが、それはセガさんの『R-360』(※1)です。僕は『スペースハリアー』でも気持ち悪くなっていたので、『R-360』を見たとき「これは絶対に無理」って怖じ気づいて乗らなかったのですが、今にして思えば吐いてでも乗っておけばよかったと後悔しています。

※1……R-360:セガが1990年にリリースしたアーケード向けの大型筐体。その名の通り、360度回転するコックピットが特徴的な体感マシンとして注目を集めていた。
(C)SEGA

――展示物の中に、同人ゲームとして名を馳せた『東方Project』の初期作品も展示されていました。これはどういった経緯で採用されたのでしょうか?

遠藤 あれは、別の担当者が絶対に外せないと主張して実現したタイトルで、僕の推しではありません(笑)。とはいえ、制作者のZUNさんも実機はお持ちではないとのことでしたので、ほうぼうを探して何とか展示にこぎ着けました。当時を表す作品のひとつとして展示ができて、よかったと思います。

――PC-98の実機とともに展示されていて、実際に遊べることは驚きでした。

遠藤 PC-98が当時のままに動いているというのは、それだけで感動ものですよね(笑)。

同人サークル、上海アリス幻樂団の“東方Project”の初期3作品も、当時の環境のままプレイすることができる。

――ずばり、その中でこれはぜひ触れてもらいたいというタイトルは何でしょう?

遠藤 “あそぶ!ゲーム展”では毎回、いちばん最初のコーナーでコンセプトがはっきりとわかるようにしています。1990年代といえば対戦格闘とポリゴンなので、今回はなんと言っても対戦格闘ゲームです。2Dタイプ・3Dタイプともに、この作品だよねっていうものを揃えました。あとは音ゲーですね。僕が衝撃を受けた『DanceDanceRevolution』(『DDR』)をぜひ楽しんでもらいたいです。

――音ゲーのコーナーには『beatmania』も展示されていましたが、それよりも『DDR』のほうが、印象深かったんですか?

遠藤 断然そうです。『DDR』は、それまでにあったスコアーを競い合うというゲームとは、まったく異なる遊びかたを具現化したところが斬新でした。『DDR』を後ろ向きでプレイするスタイルがありましたが、あれって完全に見せるプレイですよね。こういったプレイが定着した、最初の作品じゃないでしょうか。また、いっしょに展示している『太鼓の達人』も、複雑化を極めていく音ゲーの中にあって登場から約17年間、基本システムを変えずに人気を博し続けています。これは、日本人が古来より持っている太鼓を叩くという文化的な要因もあるのかもしれませんね。

格闘ゲームコーナーには、往年の名作を多数プレイアブル展示。代表的なタイトルは、対戦台も用意されている。音ゲーのコーナーには、流れてくるリズムに合わせてボタンを叩くという、音ゲーの基本を確立した『beatmania』の筐体も展示。

――今回いち推しされている格闘ゲームと言えば、いま“esports”として世界中から注目を集めています。遠藤さんはいまのesportsの流れをどのように捉えていますか?

遠藤 僕が講義を行っている学校でもその話はよくするんですが、“esports”って純然なスポーツではなく、“esports”というまったく別の存在なんです。

――いまは国体でも正式種目に採用されたり、オリンピックでも採用が検討されていますが……。

遠藤 それはナンセンスだと思いますよ。学校の講義でもよく話をしているんですが、“esports”=“スポーツ”として捉えると、違和感を感じられる方が多いですよね。そう思う人がいるということは、“esports”≠“スポーツ”なんです。ですので、無理にスポーツとして運営しようとして色物のように見られるよりは、“esports”としてオリンピックを超える規模の大会にすればいいんです。現に欧米でやっているesports大会って、既存のスポーツ大会と組み合わせなくても、それだけで大きな盛り上がりを見せていますよね。

――無理やり既存のスポーツイベントの枠に組み込む必要はない、というわけですか?

遠藤 そうです。だからといって、“esports”そのものを否定しているわけではありませんよ。“esports”は“esports”としてのプライドを持ってやるべきだというのが、僕の考えかたです。たとえば、KONAMI提供の『ウイニングイレブン』という種目や、カプコン提供の『ストリートファイター』という種目があり、それぞれに何十万人ものプレイヤーが参加している。そういったものが集まって、全体として“esportsグランプリ”といった大きなイベントがあってもいいですよね。“esports”ってふつうのスポーツとは異なり、ネットを利用することで何十万人も参加できます。基本的にふつうのスポーツとはスペクテーター(見物人・観客)の存在が違うんですよ。そういった“esports”ならではのおもしろさといった部分をもっとアピールしていくべきだと思っています。

――“esports”としての強みを活かし、盛り上げていくべきということですね。つぎに、本企画展でも触れられているゲームセンターについてお聞きします。1980年代は全国に約2万店以上も営業していたゲームセンターですが、年を追う毎に店舗数は減少しており、その勢いは止まることがありません。これから先のゲームセンターはどうなっていくのでしょうか?

遠藤 昔のゲームセンターは24時間営業が当たり前でしたが、店舗数が大きく減少したいちばんの理由は(1985年に施行された)風営法(風俗営業法)の影響です。この風営法は2016年に改正が行われ、若干規制が緩くなりましたが、家庭用ゲーム機がアーケードマシンと同じようなスペックを備えるようになったいま、あの混沌としたブームが戻ってくることはないでしょうね。

風営法改正でゲームセンターの立入規制が変更、6月23日より一部ナムコ直営店舗でも16歳未満が最長22時まで在店可能に

“風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律”(風営法)の一部改正にともない都道府県施行条例改正により、ナムコ直営ゲームセンター対象98店舗でも、2016年6月23日から、保護者同伴の16歳未満の来店者が、最長22時まで在店することが可能となる。

遠藤 これからのゲームセンターは、ますます大都市型のテーマパーク化が進んでいくと思います。いま、それをいちばん具現化しているのはVR系のものじゃないでしょうか。

――バンダイナムコアミューズメントが運営している“VR ZONE”のようなものですね。

遠藤 そうです。かつては“ナンジャタウン”や“ジョイポリス”のようなテーマパークをゲームメーカーが手掛けるようになり、複数人が搭乗するような筐体まで出てきました。しかし、あまりに激しい動きを伴うマシンはリスクを伴いますし、そこまでやるなら遊園地でいいじゃないかという話にもなります。でも、VRであればそういったリスクもないですし、これまで体験できなかった、想像を超えるおもしろいコンテンツを提供することもできます。また、VRの環境を家庭で整えるのは大変なので、体験するにはアーケード施設が最適なんですよね。いまはVRの本質がどこにあるのか……というのを作り手側が理解してきているので、かなりいいコンテンツも生まれてきていますよ。

――今度はゲームのアーカイブについて話を聞かせてください。遠藤さんは10年ちょっと前のファミ通で「ゲームのアーカイブに関しては、今後ずっとやり続けなくてはならないと思っています」と語られていました。この“あそぶ!ゲーム展”もその一環と言えるかもしれませんが、いまその活動についてはどのように取り組まれていますか?

遠藤 じつは、明治大学が予定している“東京国際マンが図書館”(現在は米沢嘉博記念図書館として、開設の準備中)という中に、ゲームを収蔵する計画があります。僕はいま、明治大学の客員教授も務めているんですが、その中でゲームをどういった形で、資料も含めてどうやってアーカイブ化していくのかというところに力を入れています。

週刊ファミ通2006年6月16日号に掲載した特集“ファミ通20年の歴史”内で、時代の予言者として寄稿いただいた遠藤氏の記事の抜粋。遠藤氏は同記事の中で、ゲームのアーカイブ化に関する必要性について訴えていた。

――ゲームのアーカイブ化を進めるうえで、どのような部分が大変ですか?

遠藤 ゲームのアーカイブには、遊べればいいという考えかたと、完全にオリジナルのままでないとダメだという考えかたがありますが、オリジナルのプレイアブルとなると非常に難しいんです。“あそぶ!ゲーム展 ステージ1”で展示したマシンの中には、パーツを交換しなければ動かないものもありました。でも、当時のものじゃないパーツを使ってしまったら、その時点でオリジナルではなくなるという考えかたもあります。でも、新しいパーツを投入しないと動かせない。どちらが大事なのかという議論はいつも起こりますね。

――パーツを交換しないと動かせない、旧車のコレクションと考えかたが近いですね。外観はオリジナルだけど中身はいまのパーツを使っている場合、それをオリジナルモデルと言えるのか……といった話はクルマでもよく耳にします。

遠藤 考えかたは似ているところもありますが、クルマとゲームで決定的に違うところは、ゲームは基本がデータなのでエミュレートできる点になります。私は、ビデオゲームのアーカイブはきちんとしたエミュレーターを作りさえすれば、解消できると思っています。いまのPCのスペックからすれば、当時のゲームはラグを気にすることなく動かせますからね。ただ、当時の盛り上がりや環境はエミュレーターでは再現できないので、その辺りの資料をどうやって用意できるかが、いちばん悩ましいところです。

――“あそぶ!ゲーム展”は今回のステージ3が最後になります。会場を見たところ、2000年代から急速に広がり始めた携帯電話のゲームについてはとくに取り上げられていなかったのですが、それについては何か理由があるのでしょうか?

遠藤 携帯電話のゲームはパッケージ作品ではないので、作品をそのまま持ってきて展示することができないんです。携帯電話の端末は用意できるかもしれませんが、ゲームそのものはサービスが終わっていて、もう動かせないんですよ。

――たしかに当時の携帯電話ゲームはダウンロードタイプではなかったので、サービス終了後は遊べなくなりましたね。

遠藤 携帯電話が登場して以降、スマートフォンのゲームやMMOなど、どの時点を以てアーカイブするべきなのか、これは正解がわからないんです。

――今回展示していた『東方Project』の作品は、スタンドアローン型のゲームなので、機材とソフトを用意すれば遊ばせられるけど、オンラインタイプのゲームはそうもいきませんね。

遠藤 そうなんです。2000年代に入ってきてからの作品はそうなってきています。ですので、この企画展を行うという話があったときから、「この“ステージ3”までが限界だよね」という話はしていました。

――ファミ通の読者には、今回のイベントで展示されている時代のゲームを遊んできた人がたくさんいると思います。最後に、読者に向けて今回のステージ3の見どころ、楽しみかたを教えてください。

遠藤 今回のイベントは、現在のゲームシーンに続くというコンセプトのもと、その起源を探るというテーマを持っています。ですので、いまに続くゲームの源流を感じながら遊んでください。また、開催期間中に展示している対戦格闘ゲームの大会を開催するべく準備を進めています。こちらは詳細が決まり次第発表するので、楽しみにしていてください。

1990年代、街中にあるゲーセンで行われていた対戦格闘ゲーム大会のような、小規模ながら熱気あるイベントを計画中とのこと。

あそぶ!ゲーム展 ステージ3:デジタルゲーム ミレニアムの招待券をプレゼント!

 今回紹介している“あそぶ!ゲーム展 ステージ3”の招待券を、ファミ通読者15組30名様にプレゼントします。
プレゼントが欲しい方は応募フォームに必要事項を記入のうえ、ご応募ください。応募締切は2018年11月18日23時59分まで。賞品の発送は11月下旬頃を予定しています。

<注意事項>

  • 応募期間は2018年11月18日23時59分までとなります。
  • 郵便番号、住所、氏名、電話番号は必須項目です。入力漏れや誤入力がある場合は、応募を受け付けられません。
  • 当選者の発表は、賞品の発送(2018年11月下旬予定)をもって代えさせていただきます。
  • 賞品を譲渡(転売、オークション出品含む)しないことが応募・当選の条件となります。譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され賞品をお返しいただく場合があります。
  • ご応募に際しお客様よりご提供いただいた個人情報は、弊社のプライバシーポリシーの定めるところにより取り扱わせていただきます。

あそぶ!ゲーム展 ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム 開催概要

展覧会名:あそぶ!ゲーム展 ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム
会期:2018年10月6日(土)〜2019年4月7日(日)
会場:SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム 開館時間:9:30~17:00 (入場は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
料金:大人510円/小中学生250円(常設展示もご覧いただけます)
企画監修:遠藤雅伸(ゲームデザイナー)/馬場 章(学校法人 滋慶学園 名誉教育顧問)
イラストモデル制作:オガワコウサク(チームグリグリ)
協力:秋葉原ナツゲーミュージアム/株式会社SNK/株式会社ensoku/おにたま(OBS Live)/オープンブック株式会社/株式会社カプコン/株式会社コナミアミューズメント/株式会社コナミデジタルエンタテインメント/株式会社ケイブ/酒缶(ゲームコレクター)/株式会社三栄書房/上海アリス幻樂団/株式会社スパイク・チュンソフト/株式会社セガ・インタラクティブ/株式会社セガゲームス/ソニー・インタラクティブエンタテインメント/株式会社タイトー/高井商会/株式会社バンダイ/株式会社バンダイナムコエンターテインメント/株式会社ポケモン/ローリング内沢(ゲームライター)/他
主催:埼玉県
後援:埼玉県教育委員会/川口市/川口市教育委員会
企画:株式会社デジタルSKIPステーション
お問合せ:映像ミュージアム 048-265-2500

“あそぶ!ゲーム展 ステージ3”がいよいよ本日(2018年10月6日)開催! 1990年代の興奮が蘇る企画展の見どころを紹介

デジタルゲームの歴史を期間ごとに区切り、多角的に展示・紹介する企画展“あそぶ!ゲーム展”。2015年10月3日〜2016年2月28日に開催した“ステージ1:デジタルゲームの夜明け”、2016年9月10日〜2017年3月12日に開催した“ステージ2:ゲームセンターVSファミコン”に続く“ステージ3:デジタルゲーム ミレニアム”が、2018年10月6日〜2019年4月7日の期間、埼玉・SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザにて開催。本企画展の見どころを紹介する。