2018年10月30日、スクウェア・エニックスのオフィシャルショップ&カフェ“ARTNIA”にて、『すばらしきこのせかい -Final Remix-』(以下、『すばせかFR』)のクローズドイベントが開催された。本稿ではその模様をリポートする(一部話題に『すばせかFR』のネタバレを含むので、クリアーしていない方はご注意を!)。
『すばせかFR』は、2018年9月27日に発売されたNintendo Switch(ニンテンドースイッチ)向けタイトル。前身となったニンテンドーDS版『すばらしきこのせかい』(『すばせか』)は2007年発売で、11年前の作品ながら根強い人気を誇っている。事前応募による完全招待制だった今回のクローズドイベントには、そんな『すばせか』をこよなく愛する25名のアツいファンが集結した。ちなみに、ARTNIAでの『すばせか』イベントの開催は、2014年8月以来となる4年ぶり!
19時からスタートしたクローズドイベントは、ARTNIAプロデュース担当の松下将人氏によるMCで進行。まずは、『すばせかFR』プロデューサーの平野智彦氏、『すばせか』シリーズディレクターの神藤辰也氏、関連作『すばらしきこのせかい -Solo Remix-』及び『すばらしきこのせかい -LIVE Remix-』プロデューサーの間一朗氏が入場し、最後にシリーズのクリエイティブプロデューサー&メインキャラクターデザインを担当した野村哲也氏が姿を見せると、参加者たちからどよめきが。事前にゲストを公表していなかったため、サプライズでの登場に驚いたようだ。
なお、参加者にはコラボドリンクのほか、コラボフードをワンプレートにあしらったスペシャルメニューをARTNIAよりサービス。食事をしながらのゆったりしたイベントとなった。
冒頭では神藤氏が「『すばせか』に特化したカフェを企画してもらって本当にうれしいです。たくさんの方に愛されているタイトルだと実感しています」とご挨拶。一方で野村氏は、「じつはいま、すごく忙しいんです。皆さん知らないかもしれませんが、自分は『キングダム ハーツIII』というタイトルを作っていまして……」と、開発が佳境を迎えるこの時期のイベント開催に苦笑気味。それでもイベントに来てくれるあたりツンデレ……もとい、開発者としての作品への愛を感じます。
ゲスト陣による最初のトークテーマは、『すばせかFR』の開発秘話。神藤氏は、「一度『Solo Remix』でハードをスマホに移したので、改めてコンソール向けに遊べる環境を作りたいというところから動き出したんです」と当時を回想。そこにニンテンドースイッチが登場し、DS版『すばせか』の手触りを活かせる携帯モードと大画面で遊べるTVモード、さらにJoy-Conでの操作といった機能に「『すばせか』を持ってきたらおもしろいな」と魅力を感じ、対応ハードを決定したのだとか。
『すばせかFR』で追加されたシナリオ“A NEW DAY”についても言及があり、野村氏が“新宿が消滅した”ことはDS版のころから構想にあったと発言。神藤氏始め開発陣も続編を作りたいという思いはつねにあり、内容についても当時から話をしていたのだとか。「企画が立ち上がりそうになっては消えたことが何回もあった。音ゲーのような内容で企画を書いていたときもあった」と野村氏。平野氏によると、そうした中「DS版の発売からだいぶ時間が経ってから何かを出すなら、まずシリーズを知らない方に向けたものを」という流れで、『すばせか』完全版とも言える『FR』の発売が決定したそうだ。
そして改めて、『すばせか』発売が11年前ということに話が移ると、神藤氏が「僕、(この11年で)痩せました。病気で!(笑)」とカミングアウト。当時ラーメンが大好きで、ゲーム内に登場したラーメン屋“らあめんどん”に店主役で出演していた神藤氏(スープは飲み干す派)は、現在は食生活を改善して健康体に。「次回作があるとしたら、ラーメン屋じゃなくなっているかも(笑)」と、ファンの笑いを誘っていた。ちなみに最近は、カレーに凝っているそうです。
イベントの中盤では、松下氏プレゼンツによるコラボカフェの人気メニューランキングが発表された。見事ランクインした“冷製 真・暗黒ラーメン”は、野村氏から「もとの絵にあったように、ステーキも伊勢エビも入れて」とオーダーがあったものの、伊勢エビはさすがにムリだったので有頭エビになったそう。コラボカフェでの麺類の提供は初ということで、松下氏的にも大きなチャレンジだったようだ。
するとここで、参加者のもとに新たなスペシャルメニューが! ゲーム内の“らあめんどん”で購入できる“秘伝のラーメン”を再現したミニラーメンの登場に、参加者から拍手が巻き起こった。このメニューは、松下氏が野村氏に相談して再現を決め、このイベントのためだけに提供されたもの。ゲスト陣への配膳は時間差があったためか、野村氏は「ぬるくない? 伸びてる」と松下氏に苦言&残念そうにしていたが、先に手を付けられた参加者は皆おいしそうにたいらげていた。
ちなみに、松下氏のARTNIAコラボメニューへのこだわりには並々ならぬものがあり、『キングダム ハーツ』コラボでスターフルーツが多数必要になった際は、「沖縄の畑をすべておさえました」というほどの徹底ぶり。なおARTNIAでは11月末までオータムメニューを提供中で、ビタミン豊富な紫人参を使ったパングラタンや、秋らしさ満載のモンブランパンケーキなどが楽しめる(宣伝)。
メニューランキングの後は、グッズランキングの発表……だったが、上位をカンバッジコレクションのVol違いが席巻するという結果に! 「さすがにどうかと思ったので」という松下氏が、すぐさまカンバッジ抜きのランキングを発表するというひと幕もあった。なおカンバッジコレクションは全48種類。会場にはランダム封入を乗り越えて、コンプリートしたというツワモノも!
ランキング4位のにゃんタンのアクションドールは、松下氏によると「今後、(スクウェア・エニックスのグッズとして)アクションドールシリーズを進める予定があって、その第1弾がにゃんタンです」とのこと。第2弾が気になるところだが、野村氏の監修を突破できずにいるようなので続報を待ちたい。また、3位のアクリルジオラマは、ビイトの足元が隠れた1枚絵をモチーフとしていたため、野村氏に相談して新たに描き足してもらい、全身像が完成したという裏話も飛び出した。