コーエーテクモゲームスの人気シリーズ最新作『真・三國無双8』の開発者インタビュー。ファンからの質問にも答えてもらった。

 2018年2月8日にリリースされたプレイステーション4/Steam用ソフト『真・三國無双8』(以下、『8』)は、広大な中国大陸で一騎当千の新たなアクションが楽しめる作品。シリーズで初めてオープンワールドに挑戦した意欲作で、ゲーム性が大きく変わったために、賛否両論を巻き起こした。

 開発スタッフは、フレームレートの向上やフォトモードの追加・拡張など、さまざまなアップデートを実施してきたが、10月23日にファン待望の協力プレイが実装される。オープンワールドでの協力プレイがどのようなものになっているのか、そして今後はどのようなアップデートが行われるのか、気になるファンも多いだろう。

 今回のインタビューは、週刊ファミ通編集長の林克彦が、鈴木亮浩プロデューサーにTwitter上でインタビューを申し込んだところから実現。“#無双8質問募集”のハッシュタグにて募集した、ユーザーからの質問や意見もぶつけてみた(募集の内容については以下の記事を参照のこと)。

協力プレイの実装にともないメインビジュアルにも変化が。関銀屏が加わり、共闘感が演出されている。

鈴木亮浩氏(すずき あきひろ)

『真・三國無双8』プロデューサー。

宮内 淳氏(みやうち あつし)

『真・三國無双8』ディレクター。

協力プレイの開発を進めるなかでフレームレートの向上も実現

――協力プレイのことをお聞きする前に、改めて、『8』をオープンワールドとして開発しようと思った理由を教えてください。

鈴木 いちばんの理由は、『真・三國無双』シリーズのマンネリ化を解消するためです。新しいシステムをいろいろと検討するなかで、オープンワールドにしたらおもしろくなりそうだと考えました。それと、『無双』シリーズの作品が増えるなかで、食い合うことがないように、一歩先に行きたいという思いもありました。『8』がこれまでにないチャレンジをすることで、ほかの『無双』シリーズへもいい影響を与えられると判断し、オープンワールドで開発することを決めました。

――オープンワールドを採用することで、ゲームシステムが前作から大きく変わりましたが、発売後はどういった意見が多かったですか?

鈴木 ひとことで言うと賛否両論でした。システムを大きく変えたので、前のほうがよかったとおっしゃる方もいましたし、いいチャレンジだね、新しいシステムはおもしろいねと評価してくれる方もいました。どちらが多いと言うよりも、半々ぐらいという印象です。好きになってくれる方が多いのではないか、という希望的観測も持っていましたが、予想よりもきびしいご意見をいただくことが多かったですね。

――『8』のどういったところにきびしい意見があったとお考えですか?

鈴木 私はオープンワールドの完成度だと思っています。三国志のオープンワールドと言うと、三国志の世界に飛び込んで、自由に誰かの人生を体験できると考えた方も多かったかもしれません。しかし、我々が今回『8』で目指したのは、それとは違う形のものでした。また、オープンワールドのゲームが増えて多くの方に浸透し、”オープンワールドと言えばこれ”といったイメージが広がるなかで、『8』は当社オリジナルのオープンワールドであることをきちんとお伝えしきれませんでした。これも大きな問題だったと考えています。

――なるほど。『8』は発売後、フレームレートの向上など、数々のアップデートを行ってきました。アップデートの計画は、ファンの要望を聞いて計画していったのですか?

鈴木 もちろんそれもありますが、チームのなかでもここはもう少し向上できるという認識がありましたし、調整不足だったところをさらによくしていきたいという思いもありました。そこで、ファンの方たちが感じている不満点を解消することと、我々がオープンワールドでやりたかったこと、伝えたかったことを補うということを両輪に、アップデートを進めることにしました。ただ、補っていくほうは新たに作る要素が多く、お届けするのに時間がかかってしまうので、まずは、不満点の改善をできるだけ早くすることに注力したんです。

――“補っていきたい部分”というのは、具体的にどういう?

鈴木 いちばんわかりやすいのは、今回実装する協力プレイやフレームレートの向上です。協力プレイは、多くの『無双』シリーズに実装されているので、本当は最初から実装しておきたい要素でした。オープンワールドに挑戦した『8』だと、ハードのスペック的に難しいと判断し、リリース時は断念することになったのですが、発売後に要望の声が大きくなったこともあり、宮内に改めて対応してほしいと伝えました。

宮内 それで研究を続けた結果、10月23日のアップデートでようやく対応できることになりました。

ファンからの要望が高かった、画面分割での協力プレイがついに実現。

――協力プレイの実装は、それほどハードルが高かったのですか?

宮内 高かったですね。画面分割での協力プレイの場合、簡単に言うと、求められる処理が2倍になります。ですから、ひとりプレイでギリギリの状態だと、画面を分割するオフラインの協力プレイが成立しないんです。そこで、最適化を進めていったところ、それが通常プレイ時のフレームレートの向上につながり、そして時間はかかってしまいましたが、画面分割プレイも可能になりました。

――フレームレート向上のアップデートに、そのような秘密があったのですね。フレームレートが向上したことで、60fpsも実現可能になったのですか?

宮内 PS4 Proでの“アクションモード”では、安定して60fpsを出せています。また通常のPS4でも、戦闘で大量のエフェクトが発生したときや、洛陽などのオブジェクトの多いフィールド以外では、概ね60fpsになっているというのが、我々の計測結果です。画面分割の協力プレイの場合は、先程の処理の問題で、30fps固定となります。また、オンライン協力プレイ時は、PS4版の場合は機種の違い(通常版とPS4 Pro)や設定に応じたフレームレートになります。

――協力プレイは、ネットワークを介して遊ぶこともできるんですよね?

宮内 はい、その通りです。協力プレイでは、それぞれ別のミッションを受注して遊ぶこともできますし、同じミッションに挑んで別のルートで攻略するといったことも可能です。
(編註:オンラインプレイはSteam版でも可能。プレイステーション4とSteamのユーザーがいっしょにプレイすることはできない。プレイステーション4版のユーザーがオンラインプレイを行う場合はPS Plusへの加入が必要)

オンラインでの共闘時にはプレイヤー名が表示される。

――操作できる武将に制限はありますか?

宮内 協力プレイはフリーモード扱いなので、開放されている武将の中から自由に選べます。また、気軽に楽しんでいただけるように、オフラインであれば、協力プレイを選んで2P側のコントローラーのボタンを押していただくとすぐに協力プレイが始められますし、いつでも離脱できる仕様になっています。

――オンラインでは、フレンドではないユーザーとのマッチングもできる?

宮内 はい。フレンドを招待できますし、フレンドでない方とも遊べます。

――2P側が入手した素材などのアイテムは、どちらに分配されるのですか?

宮内 オンラインではそれぞれが入手したものを獲得できますが、オフラインの場合は、1P側のものになります。オフラインでは、アイテムなどはすべて1P側のものを使うので。

鈴木 協力プレイ時は、1P側のゲームに、2P側が乗っかる形になっています。ただ、入手した素材に関しては、オンラインの場合はしっかり分けるようにしようと。

――協力プレイの仕組みをお聞きすると、実装までに時間がかかったのも納得できます。

鈴木 最初は、“操作する武将の距離が離れすぎないように制限する”という意見もありました。でもそれじゃオープンワールドにした意味がないから、別々に行動できるようにしてと、オーダーを出しました。

宮内 これだけ広い世界があるのだから、ふたりで自由に行動できたほうが楽しいですし、行動したいと思う人のほうが多いと考えて、いまの形になりました。

前線で戦うプレイヤーを弓で援護。
劉備は川へ釣りに、孫尚香は山へ熊を狩りに行きました。……というようなプレイも可能。

これから始める人には『無料共闘&体験版』がオススメ!

――今後配信される、DLCの情報もお聞きしたいです。

鈴木 要望の多いところから開発を進めていて、武将の衣装やシナリオ、武器といった、過去作でも人気のコンテンツを配信していきます。DLCは、11月から配信を初めて、そこから半年間にわたって展開していきますので、ご期待ください。それと、11月は本作をまだ購入されていない方のための施策も用意しています。

――施策と言いますと?

鈴木 2018年11月1日に、本作の一部が無料でプレイできる『無料共闘&体験版』を配信します。操作する武将は、全90人の中から最大3人を選べ、序盤をだいたい1~4時間ほどプレイすることができます。また、これを持っていれば、オンライン協力プレイにも自由に参加できるので、お友だちなどと遊ぶこともできます。

――それは、体験版で遊べる序盤のミッション以外にも?

鈴木 はい。入ることができます。また、キャラクターのシナリオを個別に販売する、ということも行います。『無料共闘&体験版』からキャラクターを購入することで、そのキャラクターに関するすべてのシナリオが遊べるようになるという仕組みです。シナリオの長さによって、200円~400円を想定しています。

宮内 個別販売は、武将のシナリオの続きが気になる方にオススメですが、すべての武将を操作したい方は、『8』の製品版を購入したほうがずっとお得になっています。トロフィーに関しても、『無料共闘&体験版』では獲得できないので、とことん楽しみたい方は製品版の購入をご検討ください。

――『真・三國無双』シリーズでは、過去に『真・三國無双7 Empires(エンパイアーズ)』で共闘版が配信されています。これの成功を受けて、本作の『無料共闘&体験版』を考えられたのですか?

鈴木 そうですね。『真・三國無双7 Empires(エンパイアーズ)』の共闘版はとくに宣伝をしていなかったにも関わらず、全世界で280万ダウンロードを達成しました。それと、当社の『デッド オア アライブ 5 ラスト ラウンド』(基本プレイ無料の対戦格闘ゲーム)の成功も大きかったです。無料というわかりやすい引きがありますし、PS Storeでずっとダウンロードできるのも利点です。

Twitterで募集した質問や要望をぶつけてみた!

――今回、おふたりにインタビューを行うにあたって、Twitterで質問や要望などを募集しました。ここからは、いくつかピックアップしたものをお聞きしたいと思います。

鈴木 よろしくお願いします。

――ストーリーに関して、過去作のように“if”の展開が見たかったという意見が多かったです。

鈴木 開発中に“if”の展開を入れることも考えましたが、サブクエストを入れたうえで“if”の展開も実装するとなると、かなりのボリュームになってしまいます。それで今回は、手をつけるのが難しかったというのが正直なところです。

宮内 『8』では武将ごとにシナリオを用意していて、張角のように“if”に近い解釈でストーリーを描いている武将もいます。また、DLCで実装した董白なども、“if”と言えるほどの内容ですので、そういったところを楽しんでいただけるとうれしいです。

鈴木 ifの展開を見たいという皆さんからの要望を受けたこともあり、今後配信する追加シナリオDLCは、ifの要素を入れ込んだものになる予定ですので、ぜひご期待いただきたいです。

――どんな展開になるのか、楽しみですね。DLCの武将と言えば、実装された4人のほかに、新しい武将は増えますかという質問も寄せられていましたが……。

鈴木 直近で新しい武将を増やすことはありません。

――わかりました。あと、武将に関する要望では、平服で戦闘したいといったものや、個別のアクションがほしいといった声が目立ちました。

鈴木 平服で戦闘させることはできるのですが、いまのままだとポリゴンが食い込むなど、見た目がおかしくなってしまうといった問題があります。。

宮内 とくに騎乗アクションが見た目に問題が多くて。見た目を気にしなくてもいいのではないかという意見もありますが、ちゃんとするなら、戦闘に耐えられる平服にデザインをし直して作り直す必要があります。

鈴木 ポリゴンの食い込みに関しては、気にしなくてもいいのではないか、という意見もチーム内にあり、私自身も迷っています。

――アクション関連ですと、武将固有のアクションが欲しいという意見も多かったです。

鈴木 これについては、『6』のときも武器が減って、同じようなご意見をいただきました。そこから数々のタイトルを経て、『7 with 猛将伝』で個別のアクションにできたのですが、武将の数が多いぶん、どうしても時間がかかってしまいます。

――ちなみに、ステートコンボに対する反応はいかがでしたか?

宮内 アクションは概ね好評だったと感じています。ステートコンボの仕組みやリアクト攻撃がわかりやすくて、爽快感があったという声をいただきました。従来の作品よりもコンボが組みやすくなっていますし、協力プレイでは、1Pが打ち上げた敵を2Pが追撃する、といったことも可能になっています。

――協力プレイならではの醍醐味ですね。続いては、オープンワールド関連の質問や要望です。今後、オープンワールドを使った新たな遊びを実装する予定はありますか?

鈴木 そこはもちろん増やしたいと考えていて、すでに企画は上がってきているので、あとはいかに落とし込むかになりますね。今回、協力プレイを実装するので、協力プレイならではの遊びや、ふたりだからこそインセンティブが得られる仕組みも実装したいと考えています。

宮内 今回ネットワークに対応したので、今後はランキングなどを絡めるとおもしろいかもしれません。

――隠れ処の武将との交流方法を増やしてほしいという意見も届いています。

鈴木 そこは拡張できるようになっています。前向きに検討したいですね。

宮内 そうですね。

――フォトモードの機能を拡張してほしいという意見もよく見ました。とくに、撮影時の表情やポーズを増やしてほしいという声が多い印象です。

鈴木 フォトモードは、拡張できる余地があります。

宮内 表情は増やしやすいのですが、ポーズは難しいかもしれません。というのも、本作のフォトモードは、いつでも自由に止めて撮影できるようにしています。たとえば、無双乱舞中にフォトモードを起動して、別のポーズにした後にもとに戻し、戦闘が続く……というのはハードルが高そうです。

――フォトモードと言えば、コンテストを開催していますが、今後も行う予定はありますか?

鈴木 つぎも開催しようと思っています。

宮内 お客様の声を聞くと、大々的なフォトコンテストだけでなく、ちょっとしたものでも楽しんでいただけそうなので、ぜひ開催したいですね。

――公開できる場や評価してもらえる場があるとうれしいですよね。

宮内 送っていただいた作品は、開発スタッフ全員ですべてチェックしていますよ。

鈴木 フォトコンテストは、毎回1000点以上の作品を応募いただいています。どれも力作なので、見ていて非常に楽しいですね。

――最後に、多くのファンが気にしている質問を。いわゆる『猛将伝』や『Empires』のような続編タイトルは登場しますか?

鈴木 これに関しては、現状では、やるともやらないとも言えません。ただ、チーム内でもオープンワールドは『Empires』と相性がいいのではないかという意見は出ていて、検討はしていますが、『Empires』は国取りがベースになるので、広大な中国大陸を表現した『8』の世界で国取りが成立するかどうかの懸念があります。キャラクターをクリエイトして、いろいろな立場で三国志の世界を体験するというコンセプトであれば、国取りよりも成立させやすそうですが……。いろいろ模索しているところです。

――わかりました。今後も『8』のアップデートやDLCが続くということで、多くのファンの方々に楽しんでいただきたいですね。

宮内 『8』が発売して半年以上経っていますが、今後も皆さんの声をできるだけキャッチアップして、アップデートを実施するなど、よい作品にしていきたいですし、長く遊べるゲームにしたいと思っています。引き続きプレイしていただけるとうれしいです。

鈴木 ファンの方の要望に答える形でアップデートを実施してきましたし、今後も実施していきたいです。11月から配信するDLCは、要望の多かったものを用意していますが、出ていないものでこれが欲しいという声が大きければ、追加していきたいと考えています。この機会に、より多くの方に遊んでもらって、たくさん意見を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。