ユービーアイソフトより2018年3月15日発売予定のPS4/XB One/PC向けタイトル、『ディビジョン2』。オープンワールドで構成されたワシントンD.C.を舞台に、パンデミックで崩壊へと突き進む世界で戦うエージェントたちの戦いを描くオンラインRPGとして、発表以来、世界中から注目を集めている。
“UBIDAY2018”では国内初の試遊出展が実現し、盛況だった本作だが、開発を手掛けるMassive Entertainmentからふたりのゲームクリエイターが、イベントに合わせて来日していた。しかも、クリエイティブディレクターとゲームディレクターという、開発の中枢を担うキーパーソン。こんな機会はめったにないということで、本作で気になったアレコレ(とくに“UBIDAY2018”のラウンドテーブルで突如発表された“トミーベア”について)を訊いてみた!
――“UBIDAY2018”はいかがでしたか?
ジュリアン 私にとっては二度目の“UBIDAY”でしたが、とても楽しかった! 『ディビジョン』のコスプレイヤーさんがたくさん集まってくれたのもうれしかったですし、来場者の皆さんの情熱も感じました。
マティアス 私は初めての“UBIDAY”でしたが、とても健康的なイベントでしたね。オープンスペースなのでいろいろな人が来てくれましたし、ユービーアイソフトを知らなくても「何かおもしろそうなことをやっているな」という感じで気軽に参加できるので、とてもいいイベントだったと思います。
――試遊もステージイベントも、もちろんコスプレコンテストも盛況でした。中でも気になったのは、ラウンドテーブルで発表された数量限定初回特典の“トミーベア”だったりします。そもそも、トミーベアとは何ですか?
ジュリアン トミーベア! あまり詳しいことはまだ言えないのですが、まずはバックパックにいろいろな要素を詰め込みたかったんです。ゲームの視点では、プレイヤーはつねに自分のバックパックを見ていることになるので、そこで個性を発揮できるようにしたかった。また、元特殊部隊にいた人のバックパックを見せてもらったとき、そのカスタマイズされている様がすごくかっこよかったんですよ。付けているバッジや、任務中に切れたベルトをほかの物で代用している部分などを見ていたら、そこにストーリーを感じたんです。本編では語られることのない物語を、バックパックでも語ることができると思いました。たとえば、アメリカの国旗を付けていれば、その人は愛国心が強いとわかります。同じように、トミーベアを付けているエージェントは、そのマスコットを娘からもらったのかもしれません。彼は家族を愛し、子どもを守ろうと戦う人なのかもしれない。そんなことを、トミーベアひとつからプレイヤーが想像をしてくれたらうれしいですね。
マティアス まさか、あんな大きいものが飾られるなんて思ってもいなかった(以下の写真を参照)ので、もし知っていたらゲーム内にも巨大なトミーベアを用意したかもしれません(笑)。
――バックパックに付けられるアクセサリーで物語を表現するというような細かいディテールにこだわるのも、『ディビジョン』らしいと思います。
ジュリアン 同感ですね。ワシントンD.C.という巨大な都市の“再現(Re-Creation)”だけでなく、小さなディテールを積み重ねることで、大きなストーリーが紡がれていくのだと思います。
――実際にデモをプレイしたら、とにかくあちこちでいろいろなことが起きているし、仲間とより緊密に連携しないと勝利は難しいと感じました。
マティアス オープンワールドの中では、さまざまなイベントが同時に起きています。それがオープンワールドですから。大きなものから小さなものまで、プレイヤーを驚かせるような仕掛けもたくさん用意しています。本作のCO-OPプレイのテーマは、仲間との協調です。プレイスタイルが違う人どうしでも、お互いに刺激し合いながら進められることが重要です。今回用意したデモは4人プレイ用にチューニングしているものなので、4人で協力しないとクリアーできなかったかもしれませんが、製品版ではソロプレイで挑戦できますし、人数が増えるほど、その人数に合わせて難度が変わるように設定しています。
――最初は交わす言葉が少なかったプレイヤーどうしが、進むにつれて徐々に声を出し合って連携を取る様子も見られたのですが、すごく楽しそうでした。
ジュリアン それこそ、私たちが望んでいる姿です。知らないプレイヤーどうしでも、ゲームを通してコミュニケーションを楽しんでくれるようになるのが理想ですね。
――武器のカテゴリーが増えたり、スキルやアビリティがより多様化したのは、カスタマイズでプレイヤーが強力な敵に対処できる方法を用意することが狙いですか?
ジュリアン もちろんです。プレイヤーが自分のスタイルに合った武器やギア、アビリティなどを自由に選んでカスタマイズすることで、状況に合わせた戦略を柔軟に立てられるようにしたかったのです。
マティアス カスタマイズで選択の幅が広がることは、このゲームの中核となる部分です。ゲームが進むにつれていろいろなものを解除できるようになります。経験を重ねることで、自分の選択肢が増えていく。これも本作の楽しさのひとつだと思います。
――デモのステージは議事堂でしたが、ワシントンD.C.にはほかにもさまざまなフィールドが用意されているようですね。
ジュリアン 大きく分けて、6つの環境が用意されています。それぞれに極端な特徴があるというものではなく、郊外の住宅地であったり、自然溢れる公園があったり、商業施設が集まっていたりと、あくまでリアルなワシントンD.C.を再現した結果、そういった環境になったというものです。ルーズヴェルト・アイランド(Rooselt Island)は自然豊かな場所ですが、ほかの区域にもそういった場所はありますから。リンカーン記念堂(Lincoin Memorial)のようなメモリアルな場所も登場しますが、すべて実際のワシントンD.C.を忠実に再現しています。ただ、『ディビジョン2』らしい特色は用意していて、たとえばあるエリアにはエージェントに協力的な勢力がいれば、敵勢力が砦を作って道を塞いでいるようなエリアもあります。環境だけでなく、自分を取り巻く状況のダイナミックな変化を楽しんでほしいですね。
――味方の勢力といえば、ゲームプレイトレーラーの最後でグリーンフレアを打ち上げて応援要請を出すシーンが印象的でした。味方勢力は強化できるのですか?
マティアス 前作では、あのグリーンフレアはダークゾーンで回収ヘリを呼ぶためのものでしたね。あれが緑色なのは、呼びたい勢力によって色を変えていて、エージェントの味方勢力を呼び出す色は緑だったからなんです。
ジュリアン 味方勢力は強化するのではなく、彼らを助け続けることでその生活がよくなれば、それだけ装備がどんどん向上していくというものです。最初にエージェントを助けてくれる勢力を、ミッションなどで長いあいだサポートすると、後半にはかなり強力な装備で支援してくれるようになります。
――敵勢力は“トゥルーサンズ”以外の勢力も登場するのでしょうか?
ジュリアン ……できることならすべてを明らかにしたいのですが、いまはこれ以上は言えません。スミマセン(日本語で)!
マティアス 付け加えるとしたら、前作に登場した勢力は登場しません。すべて新たな勢力を用意しています。
――舞台が夏になったことで世界がよりカラフルになった印象を受けたのですが、そもそも夏を選んだ理由は?
ジュリアン いちばんの理由は、前作とは対極となる状況を用意することで、違いを明確にしたかったという点にあります。そして、地上がどれだけひどい状況でも、空を見れば太陽がさんさんと輝き、世界が健やかに見えるんです。ウィルスが蔓延しようが、自然は何も変わらない。その違いをくっきり見せることで、自分が置かれている残酷な世界を、よりプレイヤーに強く伝えたかったという狙いもあります。
マティアス 植物が生い茂っている環境を、より細かく表現することで、生命力に溢れる世界を伝えたかったこともあります。前作の雪に覆われた世界も美しかったのですが、本作ではさらなるエネルギーを伝えたい。前作は何もかも止まってしまったような状態でしたが、今回の生命が芽生えた世界では、すべてが前に動き出しているんです。
――ちなみに操作感ですが、いろいろと加わってはいるものの、前作と比較して違和感はなかったように感じました。
ジュリアン 基本はカバーベースのアクションなので、ゲーム性が大きく変わるものではありませんが、銃を撃ったときの反動や命中性など、細かい部分まで調整を施しています。敵の動きも含めて、AIも大きく改善しました。それでも違和感がなく遊べたのは、チューニングがうまくいっているということなのかもしれません。
マティアス 新作で新しい要素を追加することは当然ですが、いままであったものをよりよくするためにリファインすることも重要です。前作のファンが「これは違うゲームだ!」と突き放さないよう、細かく気を遣っているつもりです。もちろん、操作に関してプレイヤーのフィードバックを元に改善しているので、ストレスのないよう楽しめると思います。
――時間も迫ってきたので、最後に。ベータテストの時期は発表された通りということで?
ジュリアン もちろん! 2019年の早い時期に実施できると思います。たくさんの日本のファンが前作をたくさん遊んでくれていたことも知っていますので、詳細の発表を楽しみにしてきてください。そして、皆さんの期待に応えるゲームになるべく開発を進めていますので、ぜひ期待してほしいです。トミーベアのことも忘れないでくださいね(笑)。
マティアス 日本のゲームで育ってきた私が作るゲームを、日本の皆さんに遊んでいただけるというのは、とても光栄なことです。ベータテストで皆さんに会えるときが楽しみです。
ジュリアン 最後に“UBIDAY2018に”参加してくれたコスプレイヤーさんの皆さんにも感謝を! あなたたちのこだわりはとてもすばらしかった。また皆さんに会える日を楽しみにしています!