1995年にアーケードゲームとして登場した『ゲーム天国』は、ジャレコのキャラクターたちが登場することで人気を集めた“超ハイパーおちゃらけ”のシューティングゲームだ。昨年(2017年)には、過去にセガサターンで発売された移植版をベースとした『ゲーム天国 CruisinMix』がプレイステーション4向けに発売。新たな自機としてクラリスが登場するなど、大きな話題を集めた。そんな『ゲーム天国』だが、新たな追加要素をふんだんに盛り込んだスペシャル版『ゲーム天国 CruisinMix Special』が2018年11月29日に発売されることが決定した。

 ここでは、『ゲーム天国 CruisinMix Special』の開発経緯について、『ゲーム天国』の産みの親ともいうべきディレクターの荒井正広氏、アシスタントディレクターの風穴尚紀氏、そして東亜プラン時代に『TATSUJIN』を開発した弓削雅稔氏(現・株式会社TATSUJIN 代表取締役)にお話をうかがった。さらに、企画・制作を担当するシティコネクションの山邊颯太氏とキャラアニの青野太郎氏にも折に触れ会話に参加していただきつつ、『ゲーム天国 CruisinMix Special』の魅力に迫る。

『ゲーム天国CruisinMix Special』開発陣が語る『TATSUJIN』とのコラボの経緯とシューティングに対する溢れる想い_06

ディレクター 荒井正広氏
(中央・文中は荒井)
アシスタントディレクター 風穴尚紀氏
(左・文中は風穴)
TATSUJIN 弓削雅稔氏
(右・文中は弓削)

スペシャル版は、ジャレコファンの熱量を受けて決まった

――『ゲーム天国 CruisinMix Special』はどのような経緯で発売されることになったのですか?

青野『ゲーム天国 CruisinMix』を開発しているときに、ダウンロードコンテンツなどをまとめたスペシャル版を出そうという話は、もともとありました。『ゲーム天国 CruisinMix』を発売したあとで、イベントやコラボカフェなどを行ったのですが、そこで根強いファンの皆さんの熱意を感じ、『ゲーム天国CruisinMix Special』のリリースを決意しました。また、前作『ゲーム天国 CruisinMix』の限定版の店舗特典としてジャレコゲームのレプリカチラシなどが付属したのですが、ほかのジャレコタイトルの当時のチラシなどがまだまだあり、『ゲーム天国CruisinMix Special』でも店舗特典としてレプリカチラシなどが付属することになりました。

――当時のチラシとは貴重ですね。

山邊弊社がジャレコから引き継いだものですね。

風穴シティコネクションさんが、ジャレコから引き継いだものと、僕が昔ジャレコに在籍していたころにこっそり収集したチラシがありまして(笑)。『ゲーム天国』を作るときに資料として保管していたものもあったので、それもご提供しました。

――そういった資料は散逸してしまうという話もよく聞きますが、ちゃんと残っているのは珍しいケースかもしれませんね。

風穴そうですよね。『ゲーム天国』はジャレコのタイトルをネタにしていますが、1995年に同作を業務用としてリリースしたときに、社内では過去タイトルの基板すらバックアップしていなくて、ほとんど資料が残っていなかったんです。そこで初めて、資料の大切さを改めて認識して、資料などを集め始めたということがありました。『ゲーム天国』を作っていなかったら、チラシなどもゴミとして捨ててしまっていたかもしれません(笑)。

――なるほど。荒井さんと風穴さんは、スペシャル版の『ゲーム天国CruisinMix Special』の企画を聞いていかがでしたか?

荒井『ゲーム天国 CruisinMix』がありがたいことに好調でしたので、単に再販をするのではなく全部入りを出すというお話は、未購入のユーザーの方にはいいのではないかなと思いました。

――かつて手掛けられたタイトルが、時代を経て現代に蘇ることに対する感慨などはありますか。

荒井アーケード版の稼動から20年以上が経ちますから知らない方も多いでしょうし、家庭用版も当時のゲーム機本体を稼動させてる方は多くはないと思いますので、それを現行のゲーム機で遊べるようにするのは、とても意義のあるプロジェクトだと思います。

――若いユーザーに受け入れられるのか、という心配はありませんでしたか?

荒井絵柄もギャグのネタ的にも“時代感”があるので、若い人に理解していただけるのかということで少し不安はありましたが、だからといって受け入れられないという心配はそこまでなかったですね。

――ユーザー層的には、従来からのファンが多かったのですか?

青野基本的には従来のファンの方が多いのですが、こちらで想定したよりも、若いユーザーの方もいらっしゃいました。いま、新作のシューティングゲームは出にくい状況にあるので、ジャレコや『ゲーム天国』を知らない方でも、シューティングゲームファンとして購入している若い方が、思っていたよりも多かったです。

――コラボレーションの企画に対してのユーザーさんの反応はいかがでしたか。

青野ダウンロードコンテンツ第一弾として、自機として “クラリス(真)”をご提供したのですが、絵も描き下ろしで、さらに声優も丹下桜さんに担当していただいて、すごく評判がよかったです。『燃えろ!!プロ野球』もネットでの反応がよくて、バントの構えで攻撃するという表現も好評でした。

山邊『ゲーム天国』は、いまだとレジェンド級の方々が当時のキャストとして参加されているので、「声優が豪華」という意見はありましたね。

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『TATSUJIN』の再現度には注目してほしい

――そういった意見を受けて、今回の『ゲーム天国CruisinMix Special』の発売につながったと思うのですが、『TATSUJIN』さんとのコラボはどのような経緯で決まったのですか?

山邊シティコネクションはクラリスディスクという音楽レーベルを展開しているのですが、東亜プランさんの当時のアーケードゲームのサウンドトラックをリリースさせていただいておりました。その流れで弓削さんと交流がありまして、『ゲーム天国』のコラボタイトルを検討しているときに、サウンドトラックだけではなくて、ほかの形でもお付き合いをさせていただけたら……と、ラブコールを送りました。

弓削お話をいただいたときは、率直に嬉しかったです。ちょうど今年は『TATSUJIN』のアーケード版の稼動から30周年なんです。昨年会社を立ち上げて、社名を“TATSUJIN”にしたのも、私のなかで思い入れの強いタイトルというのがあったからです。このタイミングで『TATSUJIN』をピックアップしていただけたのは、とても嬉しいですね。

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――ゲームに『TATSUJIN』の自機を入れるにあたり、どのような点に注力したのですか?

風穴コラボが決まったときに、荒井やプログラマーと相談して、「こういうふうに使いたい」というのを弓削さんにご相談しました。

荒井『ゲーム天国』はコンセプトとしてジャレコの昔のゲームを扱っているのですが、設定やゲーム中の画像もかなり好き勝手にアレンジを加えているんです。しかし『TATSUJIN』の場合は同じような感覚でいじり過ぎるとファンの方がよく思わないのでは……という心配がありました。ですから当時のままを再現して、そのまま入れたほうがよいのではないかなと発想したんです。『ゲーム天国』も『TATSUJIN』も、アーケード版の解像度が同じだったということもありましてそのまま再現できそうだなと。それで弓削さんにご提案させていただいたんです。

風穴とはいえ、『ゲーム天国』と『TATSUJIN』ではゲームシステムが大きく異なるところがあるので、そこは悩ましいところでした。荒井も「武器チェンジをしなかったら『TATSUJIN』じゃない」と、主張してきて(笑)。そこで『TATSUJIN』の自機だけ、『ゲーム天国』とは違うシステムにして、アイテムの色ごとに3種類の武器が使えるようにしたんです。幸いプログラマーも『TATSUJIN』が好きで、実装にあたっては乗りに乗って作ってくれました。赤ショットのときに弾切れを起こすのもオリジナルと同じですし、サンダーレーザーの点滅も細かく再現しています。

荒井あとは『TATSUJIN』のプレイ感覚を『ゲーム天国』のなかに入れて違和感が出ないように意識してゲームバランスの部分は調整しました。

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――当時『TATSUJIN』をプレイしていた方がすんなり操作できそうですね。

荒井『TATSUJIN』を知っている方だと、「なるほど」と思う部分が多いと思いますよ。あとビジュアルは、元資料がなかったので、ほぼ目視でコピーしています。

風穴ちなみに、サウンドに関しては、弓削さんから実際の音源データを提供していたいたうえに、アレンジまで作っていただけたんです。

弓削アレンジは、当時東亜プランに在籍中に『究極タイガー』などのサウンドを私といっしょに担当していた上村達也に相談したところ、快諾してくれました。

風穴まさに本物です(笑)。達人ボムの爆発音とかの効果音も当時のものをいただけたので、そのまま入っています。もちろん『TATSUJIN』のアーケード版のBGMも入っていますので、そちらに切り替えることもできます。キャラクターのボイスもON/OFFができますので、まさに『TATSUJIN』のアーケード版そのままの雰囲気でプレイできるような設定にもできます。

――ただ単に、『TATSUJIN』の自機を『ゲーム天国』に載せただけではないんですね。

荒井そうなんです。あと『TATSUJIN』の自機イラストを、新規でじじさんというイラストレーターさんに描いていただきました。『艦隊これくしょん -艦これ-』などの公式絵を描かれている方で、メカと美少女どちらも上手すぎて凄いんです。じじさんのアイデアでドクロマーク入りの“TATSUJINボム”を搭載しているデザインがかなり気に入っています。

――じじ氏に依頼されたのはどのような経緯なのですか?

荒井単純に僕の趣味が大きいです(笑)。昔、お絵かき掲示板※というブームがあったとき、じじさんはそのころから別次元なレベルでメカイラストがうまかったんです。ですので、「いつかメカイラストを頼んでみたい」と思っていたのですが、なかなかメカモノのお仕事の機会がなくて(笑)。そこで今回『TATSUJIN』とコラボするということで、迷いなくじじさんにお願いしました。

※……電子掲示板の投稿機能にペイントツールがあり、書いた絵をそのまま投稿できる掲示板サイトのこと。

弓削もとの自機へのリスペクトがうかがえるような、再現度を高く描いていただけたので凄いと思いました。

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――『TATSUJIN』の自機を『ゲーム天国』に入れるにあたっての再現度はいかがでしたか。

弓削サンダーレーザーは大変だっただろうなと思います。でも、オリジナルと遜色ない再現度で、驚きました。

荒井弓削さんにお見せしたときに、自機の左右移動でオプションの回転速度が変わるというご指摘をいただいたんですね。「それは気が付かなかった」ということで、しっかりと直しました(笑)。そのあたりは、ご本人だからこそお気づきになる部分ですね。

――オリジナルに関わられているからこそわかる細部のディテールですよね。だからこそ、皆さんの『TATSUJIN』に対する愛も感じられるのかもしれません。一方で、『ゲーム天国』に『TATSUJIN』の自機を実装するうえで、どうしても変更せざるを得なかった部分などはありましたか。

荒井『TATSUJIN』との違いとして、『ゲーム天国』にはスピードアップのアイテムがないので、自機の移動速度だけは遊びやすいように『ゲーム天国』に合わせた調整をしています。あとはプレイして「“TATSUJINビーム”が弱くないか?」と思われないように、強さは相当意識しました。

風穴実際のところ、バランス調整にはかなり時間を取っています。個人的には『TATSUJIN』の敵の火花を散らしながら弱っていくという表現も盛り込みたかったのですが、なかなかそこまではできなかったです(笑)。あと、TATSUJINボムはそこまで範囲が広くないので、拡大率を上げて威力を少し上げています。

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『TATSUJIN』のサンダーレーザーは弓削氏が見た夢がアイデアの元に

――ここまで再現していると、「このまま『TATSUJIN』をリメイクしてくれ」という意見も出てきそうですね。

風穴そうですね(笑)。改めて『TATSUJIN』は、画期的なタイトルだったなと思います。現在のシューティングゲームの基本的なシステムはこのタイトルでほぼ完成したと言えるくらいのもので、『ゲーム天国』に入れても基本的なプレイスタイルが変わらないんですよ。

荒井いまだからぶっちゃけますけど、『ゲーム天国』のZ-DYNE Mk-IIの攻撃方法は、サンダーレーザーへのリスペクトから生まれたものです(笑)。僕もプレイヤーのときにサンダーレーザーのかっこよさには衝撃を受けましたから。

弓削サンダーレーザーのアイデアは夢に出てきたんですよ。当時は企画から何からすべて自分でやらなくてはいけなくて、枕元にメモをおいて寝ていたんです。それで、朝起きて夢で見たものをメモに書いたりしていました。そのなかにサンダーレーザーがあって、会社に行ってデザイナーといっしょに私が書いた絵を再現してもらってできたものです。当時はテーブル筐体で、5本のレーザーを一気に出すと青い光が顔に反射するのが異様な光景で、対面で見ていて「よっしゃ!」と思いました(笑)。

荒井弓削さんが手掛けられている『究極タイガー』は当時のシューティングの集大成と感じたのですが、そこから『TATSUJIN』へ飛躍したときはどのような思いで作られていたのですか?

弓削『究極タイガー』の制作が終盤に来たときに、デザイナーがSFっぽいアイデアのイラストを描いていて、「こういうのをやったらおもしろいと思います」と言ってきたんですね。それで「だったら今度もいっしょにやろう」という流れで、『TATSUJIN』の制作が始まりました。

――『TATSUJIN』というタイトルもインパクトがありました。どのような由来があるのですか?

弓削シューターと呼ばれる方々を称える意味で付けました。インカムテストのときにワンコインでずっと遊ばれてしまうさまを見て、そこまで研究してやってくれる彼らは達人だなと思って。

風穴僕たちも同じ時代を生きていたのでわかります。インカムは1日で1万円から2万円入らないと製品化されなかったですからね。

荒井いまもロケテストはありますけど、事前にネットで告知しますよね。本来の目的としてはそれではロケテストにならないわけで、イベントなんですよ。私たちの時代は、とあるゲーセンにひっそり新作が置かれて、競合タイトルに対してどれだけ売れるかを見るので、ホントにガチなんです。

風穴競合に対して2倍くらいの売上がないと製品化しても意味がないので、ボツになってしまう。ジャレコでも、開発していたタイトルがけっこうボツになっています。とはいえ、難しすぎては誰も遊ばなくなってしまう。「悔しいけど、もう一回やろう」というゲームを作らないと商品化されないという世界でした。そのなかで、弓削さんのおっしゃったことは、名作を生み出してきた方の言葉だなと思って、いま感動しています。

――『TATSUJIN』は難しくてもやってしまいますからね。

弓削これはアーケード用ゲームの特殊なところで、楽しんでほしいけど、お金もどんどん入れてほしいという作りを考えるのはすごく難しかったです。ただ、それを達成したときは嬉しかったです。プレイヤーの方が悔しがりながらも100円を入れているところを見たときは、感動するものがあります。

荒井サンダーレーザーはすごく強いように見えますけど、なんだかんだで倒されてしまいますよね。でも、あの強力な攻撃をすること自体が快感なので、2度3度やってしまうわけです。『ゲーム天国』も、当時珍しかった“タイムアタックモード”を入れたりしてインカムを上げる工夫をしましたし、アーケード用として同じような思想は根底にあると思っています。

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新録のドラマCDやアレンジサウンドトラックなど、盛りだくさんの内容に

――ところで、おもむろに『ゲーム天国CruisinMix Special』の話題に戻るのですが(笑)、極楽BOX特典“着せ替えゲームジャケット”パッケージイラストが、前作から少しだけ変わっていますよね。

荒井そうなんです。服が水着になっている別バージョン的なもので、夏らしい感じになっています。

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通常版(左)と“着せ替えゲームジャケット”(右)。

――新規要素としてはアレンジBGMも収録されるそうですが、こちらはどのような内容になるのですか?

風穴クラリスや『燃えろ!!プロ野球』に関しては、『ゲーム天国 CruisinMix』でもアレンジBGMが収録されていましたが、もともといたキャラクターたちのアレンジBGMも、今回新曲として追加しています。オリジナルの『ゲーム天国』の音楽を担当している荒川憲一氏に発注して、原曲をモチーフにしたアレンジBGMが、全キャラ分入っていますよ。

山邊あとは、そのアレンジBGMのサウンドトラックCDと新録のボイスドラマCDが付きます。

風穴ボイスドラマは『ゲーム天国 CruisinMix』のときにネット配信という形で公開していたのですが、「やはりモノとして作りたい」ということで、今回CDにしました。あと、『燃えろ!!プロ野球』のキャラクターも出てくる新録のドラマCDもあるので、2枚のドラマCDとアレンジサウンドトラックCDが1枚、さらに前回の『ゲーム天国 CruisinMix』にも同梱した復刻OVAのDVDが1枚で計4枚が特典として付きます。ちなみに、新録のドラマCDの内容はかなり攻めたものになっていますよ(笑)。

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――ほかにもクラリス(真)が使う“極限爆裂クラリスボンバー”で表示されるイラストも新たに追加されましたね。

荒井はい。『ゲーム天国CruisinMix Special』では、新たにイラストレーターの朝凪さんのイラストと、企画としておこなったクラリスのイラストコンテストで1位を獲ったイラストの2種類が追加されています。『Specila』が出るということで元祖ジャレコヒロインのクラリス(真)が強引に自分の追加グラフィックをねじ込んできたというイメージですね。朝凪さんも私の趣味全開でお願いしてしまったのですが、クラリス(真)のあざとい感じを見事に表現してもらえたイラストに仕上げていただけました(笑)。コンテスト作品のひろひろきさんのイラストは原作キャラのイメージ寄りにかわいくにぎやかなものになっていて、何でもアリなクラリス(真)のコンセプトをより強調できたと思います。

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――ところで、『ゲーム天国』は海外でも発売されますが、セガサターン版を発売された当時といまとでは日本のシューティングを海外で売るという事情も変わっていると思います。『ゲーム天国 CruisinMix』をリリースした際に変化を感じた部分はありましたか。

荒井20年前は、『ゲーム天国』のような絵柄は海外では売れないと言われていましたので、そもそも海外展開はあまり考えてなかったんですよ。いまでは日本のアニメへのリスペクトに溢れたインディーゲームもたくさんありますし、状況は変わってきていますよね。『ゲーム天国 CruisinMix』に関しては、ツイッターなどでも海外の方から好意的なご意見をいただきました。

風穴弓削さんにお聞きしたいのですが、当時海外で日本のシューティングゲームは売れていたのですか?

弓削なぜかはわからないのですが、当時から東亜プランのシューティングの売上は7割が海外で、3割が日本だったんです。

風穴なんと! 海外はアップライト筐体で立ってプレイしなければいけないので、ジャレコでは「シューティング自体が海外ではあまり売れない」と言われていたのですが、いまの話を聞いて衝撃を受けました(笑)。

弓削『究極タイガー』にはふたり同時プレイができるツインモードがあって、それが好評で通常より3倍くらい売れましました。

荒井ああ、当時からミリタリーものは海外ウケがよかったですからね。

青野海外展開で言うと、Steam版を出したときに、クラリスが使うボムのイラストを公募したのですが、そのときに海外のイラストレーターの方からの応募もとても多かったですね。

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株式会社TATSUJINとして新たなシューティングタイトルも開発中

――弓削さんにお伺いしたいのですが、今回コラボがありましたが、株式会社TATSUJINとしては今後このようなコラボなども積極的に展開していく予定ですか?

弓削もちろんです。版元は元東亜プランですが、東亜プランの全タイトルのライセンス管理は弊社で行っています。弊社には開発部署もあって、じつは新作のシューティングゲームを開発しているんです。来年にプレイステーション4とNintendo Switchで出せればいいなと思っています。

――ちなみに、今回東亜プランのシューティングの雰囲気とは大きく違う『ゲーム天国』とコラボされましたが、コラボされる際のアレンジの許容範囲はけっこう広いのですか?

弓削そうですね(笑)。当時遊んでいたプレイヤーの皆さんが「こんな作品だったな」と思い出せるくらいであってくれれば。東亜プランはもともと硬派を売りにしていましたが、硬派って言い続けるのも疲れてきて……。周囲が男だらけではなく、たまには『ゲーム天国』のような華やかな世界の仲間に入れていただくのもいいかなと。

一同 (笑)。

――最後にファンへ向けてひとことメッセージをお願いします。

風穴『ゲーム天国 CruisinMix』の発売から約1年後にいろいろな要素を足して商品としてリリースできたのは、20年前のタイトルを支持し続けてくれた方々がいてくださったおかげなので、今回のタイトルはありがたいです。こういう形でゲームを作り続けて来られたのはよかったなと思いました。あとは、『TATSUJIN』とコラボさせていただくことで弓削さんにもお会いすることができたし、30年以上前からゲームを作り続けてきた方と、こうしてコラボという形で同じタイトルを通して仕事ができたのが、感慨深いです。

荒井開発チームとしてのコンセプトは「遊んでいただいた人が、買ってよかったな」と思えるものを作りたいというものです。今回シティコネクションさんとお仕事をさせていただいて、同じような考えを持っていると感じました。『ゲーム天国 CruisinMix Special』は、ゲーム天国を知らなかったという方々にもきっと楽しんでいただけると思いますので、遊んでいただければ嬉しいです。また『CruisinMix』のユーザーの方々へは『TATSUJIN』の単独DLC配信がありますので、このコラボレーションをぜひ楽しんでいただければと思います。

弓削今回のコラボレーションは私自身も感動していますが、その背景には、30年も前の作品を覚えてくださっているファンの方々の後押しもあると思います。ぜひともプレイしていただいて、意見をうかがいたいです。また、安室奈美恵さんは引退されましたが、私は当分その予定はありません(笑)。これから株式会社TATSUJINとして、皆さんに喜んでいただける作品を作り続けていきたいと思いますので、ぜひとも応援をよろしくお願いいたします。

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■撮影/堀内剛