2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。ホール4のピグミースタジオブースには、Nintendo Switch専用タイトル『LUNAXXX/ルナトリプルエックス』(以下『LUNAXXX』)の体験版の試遊台が、ずらりと並んでいた。
 大がかりな企業ブースが軒を連ねるエリアの、人通りの多いホール出入口付近ということもあって、多くの人々が足を止めて、カジュアルなゲームプレイに興じていた。

『LUNAXXX』体験版プレイダイジェスト

『LUNAXXX/ルナトリプルエックス』体験版リポート、ピグミースタジオ“夢工場長”へのインタビューで判明したテーマーは“つながり”【TGS2018】_02
『ルナたん』にも登場した鉄の巨人“ルナ”が登場するオープニングデモ。淡々としたモノローグが、日々漫然と過ごすプレイヤーの心に響く。
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出展バージョンでは5ステージまでプレイできた。各ステージには3つのラウンドが用意されていて、徐々に難易度が上がっていく。
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まずはスタート地点で、地表の動物をありったけキャッチする。テンポよくボタン入力し続けることで、動物たちがわららわとくっついていく。
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ある程度動物を引き連れたら、障害物に当たらないよう上昇するフェーズに。左手に持つJoy-Conをひねって、プレイヤーキャラを釣り上げているロープを左右に動かし、右手側のJoy-Conを回して、釣り竿のリールのような感覚で巻き上げていく。勢いをつけすぎるとコントロールが甘くなり、せっかく確保した動物を落としてしまうのだ。
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プレイヤーキャラの外見は“着替え”によって変えることができる。見た目だけではなく性能面にも違いがあるので、ゲーム中に新たに入手したキャラクターはとにかく試してみよう。
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記者も実際にプレイ。独特の浮遊感と、Joy-Conをフル活用したアクティブな操作法により、思わず身体が動いてしまうことしばしば。友人何人かと交代でプレイすることで大いに盛り上がりそうな印象を受けた。

ピグミースタジオ“夢工場長”ミニインタビュー

『LUNAXXX』の開発状況は?

──『LUNAXXX』は、昨年の東京ゲームショウでも大々的に出展されていたタイトルです。実際のところ、開発状況はいかがでしょうか?

夢工場長あともうちょっとというところまできています。今回は一応“最終版”のつもりで試遊バージョンを持ってきました。これまではただゴールにたどり着けばいい、という内容でしたが、今回は“動物を集めて制限時間内にゴールする”という、製品版に近い内容になっています。

──パブリックデイ1日目を終えてみていかがでしたか?(※インタビューはパブリックデイ2日目の9月23日に行った)

夢工場長試遊の“お子さん率”が高かったですね。このホールの中では異質な空間になっていました(笑)。Nintendo Switchのユーザー層にもマッチしていて、ちょうどいいんじゃないかと。

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各ステージによって入手できる動植物の種類が異なる。大人のプレイヤーは頓着なくアクションゲームとして楽しんでいたが、子供はどの動物を取ったか・取っていないかについて敏感に反応していた……と夢工場長。

──リリース予定は“近日”とのことですが、手ごたえのほどは?

夢工場長周りからは「早く出せ」と言われているんですけど、“煮込み”を必要とするゲームなので……。あと、この作品は全世界同時リリースをしたいと考えています。日本はダウンロード版ですが、海外はパッケージ版なので、その足並みを揃えるための時間も必要なので。それでも来年の早い時期には出したいですね。

──そんな計画があったとは!

キーワードは“つながり”!

──『LUNAXXX』は、『ルナたん~ルナと地底探検~』(ピグミースタジオ開発、NTTぷらら発売のスマートフォン/ひかりTV用ゲーム)の物語世界を共有するタイトルとお伺いましたが、そのあたりについてもう少し詳しく教えてください。

夢工場長ルナたん』は、舞台となる惑星が滅びてからの世界を描く“ポスト・アポカリプスもの”ですが、『LUNAXXX』はその2000年前のお話で、惑星の大気もまだギリギリ残っている状態です。ゲーム中のグラフィックのタッチはやわらかめですが、ポスターなどのイメージビジュアルはシリアス……という絵のタッチ自体も、じつはストーリーに深く関係しています。

──“世界の終末”の前日譚……ということですね。そうしたバックストーリーを意識させない、ポップな雰囲気が印象的です。

夢工場長ゲーム内のイラストを描いているのは、社内の若い女性デザイナーです。彼女以外にも、20歳前後の女の子がスタッフとして多く関わっているのが、『LUNAXXX』の制作上の特徴ですね。

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オープニングテーマは、アイドルグループ“生ハムと焼きうどん”(※現在活動休止中)で作詞作曲を担当していた東理紗さんによるもの。彼女の音楽世界に、夢工場長は絶賛だった。主題歌を歌うのはその妹の東ノエルちゃん。

──そこはあえて狙ったところでもあるのでしょうか?

夢工場長その年代の女性ならではの感性を存分に発揮してもらおうと思いました。今回はアイドルや声優の卵の女の子に声をかけて、ゲームに登場する動物のキャラクターの声の出演をしてもらっているんですよ。全部で200人くらいかな。ゲームの最多CV出演者数を狙っています(笑)。

──200人! あの……いまから私も混ぜてもらってもよいでしょうか?

夢工場長この作品の出演者は基本的に“卵”じゃないとだめなんです。あなたはすでに生まれちゃっているから(笑)。

──むしろ“煮卵”ですね。失礼しました。

夢工場長こうなったのは、制作上の取り組みとして“つながり”を大事にした結果なんです。ゲームをリリースしてイベントをすることで、お笑い芸人さんやミュージシャンといった異業種の方々とのつながりができて、それぞれが活動の場を広げている。最近は「ピグミースタジオに絡んだら何かおもしろいことができるんじゃないかっていう風潮ができて嬉しい(笑)。であれば、これから出る人を応援するプロジェクトにしてみようと。『ボコスカウォーズII』(2016年)では親子二世代のつながりを裏テーマとして意識していましたが、『LUNAXXX』ではそれをさらに突き詰めた形になっています。

──“親子”というキーワードが出ましたが、聞けば本作には、夢工場長の娘さんも動物の声で出演されているそうですね。

夢工場長一応アイドル活動をやっているので、「じゃあ、やる?」と声をかけました。彼女には彼女の人生があるので、これまでも無理やり僕の仕事に寄せないでいたんですけど、今回はたまたまです。以前彼女が所属していたアイドルグループのメンバーも、動物たちの声で出演しています。

──へんな話、より目立つキャスティングも可能だったのでは。

夢工場長ありがたいことに、以前からいろいろとオファーをいただいていますが、まだ修行中の身なのでいまは自分磨きと自分探しを中心に。これを機に人生の視野が広がってくれると嬉しいなあ。

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夢工場長の娘さんで現在ソロアイドルとして活動中の羽咲(はねさき)みらいさん。「自分の声がゲームになるのはドキドキします」と、『LUNAXXX』の出演を振り返った。今回はピグミースタジオのブースの特別スタッフとして、初めてゲーム系イベントに参加したとのこと。ブースを切り盛りする夢工場長の姿を間近で見て「自分の親って意外にすごい人だったんだなと思いました」と、みらいさん。これまでゲームはあまりやってこなかったけれど、今回をきっかけにいろんなゲームをやってみたいです……とも。
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親子でツーショット。