2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。最終日の9月23日、プレイステーションブースにて行われた、『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』ステージの模様をお届けする。

 2018年9月20日(木)から9月23日(日)まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。最終日の9月23日、プレイステーションブースのステージイベントのラストを飾ったのは、小島秀夫監督が手掛ける『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』(以下、『DEATH STRANDING』)。

 本記事では、小島監督のほか、キャスト陣より津田健次郎さん、大塚明夫さん、井上喜久子さん、水樹奈々さん、三上哲さんら豪華メンバーが集結したステージの模様をお届けする。

 イベント開始時間になると、今年のE3(※)で公開されたトレーラーの日本語音声版がスクリーンに流された。

E3……エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ。毎年6月ごろにアメリカ・ロサンゼルスで開催される世界最大級のゲーム見本市。

 トレーラーが終了すると司会を務める、お笑いコンビ“ハライチ”の岩井勇気さんの呼び込みで、小島監督がステージに登壇。2年ぶりの東京ゲームショウ参加となった小島監督を大歓声が迎えた。そして、いきなり気になる制作状況の話題へ。

 小島監督は、オフィス、エンジン、スタッフを探すところから始まった2年半を振り返りながら、現在はゲームの組み込みを行っている段階で、みずからが朝から晩までコントローラを持ち、操作感や演出などを確認している状況だと報告。制作のスケジュールについては、2016年の俳優組合のストライキの影響で、ノーマン・リーダスやマッツ・ミケルセンの収録が現在も続いているものの、そのほかは計画通りに進んでいるとのこと。

 その流れから収録時のディレクションをみずから行っているのかを問われた小島監督は「当然です。信頼関係を築くことが難しいので、そこから入ってお互いの意見を出し合って、いっしょに作っているという感じです。こちらから指示を出すだけだと俳優さんを雇う理由がないので。彼らの意見を聞きながら収録しています」と制作のこだわりを語った。

 ノーマン演じる本作の主人公サム・“ポーター”・ブリッジズの日本語版キャストについては、約2年間探していたそうで、「本人(ノーマン)の声って特徴的なんですよ。彼の特徴を捉えた俳優さん、声優さんじゃないと(ファンに)怒られるかなと」(小島監督)と理由を説明。

 そして、ここでサムの日本語音声を務める津田健次郎さんがステージに登場。津田さんは、小島監督の作品に出演するのは今回が初めてということで、「めっちゃテンションが上がってます!」と喜びを爆発させていた。

 続いて、大塚明夫さん、井上喜久子さん、水樹奈々さん、三上哲さんが登場し、大塚さんが「『DEATH STRANDING』待たせたな」、三上さんが「『DEATH STRANDING』いいセンスだ!」と挨拶すると会場は大歓声。さらに、井上さんの「井上喜久子、17歳です」というおなじみ自己紹介に対して、水樹さんが「17歳教に入りたい水樹奈々です」と挨拶し、観客を笑わせた。なお、三上さんのキャラクターはトレーラーに登場していないため、大塚さんから「なんで、ここにいるんだよ」とツッコミが入っていたが、小島監督が「後ほど明らかになる」とほのめかすシーンも。

 ここからは、キャスト陣とともにそれぞれが演じるキャラクターやトレーラーの収録時の思い出についてトークを展開。まずは津田さんがオファーがあったときの心境を聞かれ、「経緯がすごく不思議な感じだったんです」とコメント。というのも、ある日、津田さんのTwitterアカウントが小島監督にいきなりフォローされ、それを受けて津田さんがDMで挨拶をしたところ、その返信内容が出演オファーだったことが明かされた。小島監督によると、フォローをする前からどういう人なのかを見極めていたとのこと。

 そんな中で決定打になったのは、テレビドラマ『リーサル・ウェポン』で、津田さんの演技を見て「サムにピッタリ」と感じたのだという。また、もうひとつの理由として、津田さんの声は小島監督が大ファンの俳優、スティーブ・マックイーンの吹き替えを担当している宮部昭夫さんの声に聞こえることがあるらしく、「スティーブ・マックイーンとノーマン・リーダスは(声が)似ているので、これは津田さんしかない」と経緯を説明した。

 トレーラーの収録については、「(映像が)すごい重厚感だったので、ある種の重みや乾いた雰囲気は絶対に必要なんだろうなと思いました。ものすごく丁寧に時間を掛けて収録できたので、めちゃくちゃ楽しかったです」(津田さん)と当時を振り返った。

 小島監督は津田さんの演技について「間違いなかったです。ノーマンでありつつ、津田さんでもあって。それが重要なんですよ。それでいてサムでもある。ピッタリでした」と大絶賛。さらに大塚さんも「(アテレコでは)多くの人は無難なところを狙っていくんですが、彼はNGギリギリのところを攻めた芝居をするので、いつも感心しているんですよ。だから、ゲームが完成したときには魂をぶっこ抜かれると思うので、楽しみにしていてください」と太鼓判を押していた。

 なお、小島監督によると本編のセリフ収録は、年末ごろから開始される予定とのこと。

 続いて、リンゼイ・ワグナーをモデルにしたキャラクターを演じた井上さんは、「トレーラーの中で振り向くシーンが美しすぎて、声を入れさせていただくのも緊張しました」と感激の様子。さらに作中でリンゼイ・ワグナーが実際の年齢よりも若い姿で登場することについて、「私自身も時空の歪みを体現しているので、仲間感を感じてすごくうれしいです」とコメントしていた。また、ここでは小島監督から「(リンゼイ・ワグナーのキャラクターは)歳を取らないんです」という情報も明かされた。

 キャスティングの理由については、「『バイオニック・ジェミー』で(リンゼイさんの)声を担当していたのは、田島令子さんなんですけど、僕の中で井上さんは“平成の田島令子”なので」(小島監督)とアツい想いを語っていた。また、井上さんの演技に関して、「喜久子さんがしゃべると、自分が書いた脚本なのに、“これ書いたヤツ、天才じゃないか”と思ってしまう(笑)」と話し、会場を和ませた。

 逆に井上さんからは、「26年前ほど前からごいっしょさせていただいていますが、監督の現場に入ると感動することが多くて。“小島監督に付いていきたい”といつも思いながら演じています」と久しぶりに小島監督と仕事をした喜びが語られた。

 翌日に東京ドームでライブがあり、リハーサルを抜けてイベントに駆け付けたという水樹さんは、「絶対ここに来たかったんです。小島監督のためならどこへでも飛んで行きます」とアツい想いを語った。そんな水樹さんが演じるのは、レア・セドゥをモデルにしたキャラクター。収録前に届いた資料には、世界観やキャラクター設定など、セリフ以外の情報が一切書かれておらず、不安を抱えたまま収録に向かったそうだが、現場では小島監督から直接説明があり安心したというエピソードが披露された。

 「透明感がありつつ、壊れやすいけど、芯を持ったキャラクター」(小島監督)という、難しい役どころのようで、水樹さんは、「声の雰囲気や話しかたなど、キャラクターを構築していていくのに時間が掛かりました」と苦労したそうだ。しかし、収録はすごく楽しかったようで、たとえばトレーラー中に登場する「私のところ来ない?」というセリフに対して、小島監督が「俺なら行く!」(※トレーラーではサムに断られる)と冗談を言ったり、和気あいあいとした雰囲気であることを報告。

 ちなみに、特徴的な傘のようなアイテムは、雨の日に新橋駅周辺で見かける壊れた傘が発想のもとになっているという意外な事実も明らかに。

 トレーラーでは声だけの出演となっていた大塚さんは、今回のイベントで正式発表になったことについて、「すごく爽やかな気持ちです」とコメント。そして、ここで大塚さんが演じるキャラクターの設定画が初公開された。

 名前やマスクを付けている理由については、まだ秘密のようだが、主人公のサムが所属している組織の隊長であることが明かされた。なお、モデルになっているのは、俳優はトミー・アール・ジェンキンス。

 小島監督によると、セリフ量がかなり多いキャラクターらしく、「部隊の隊長ということで組織をまとめるキャラクターであると同時に、大塚さんにもこの現場をまとめてほしい」と想いを伝えた。

 逆に本作に期待することを聞かれ大塚さんからは「遊び始めたら寝られないというような、楽しいゲームになってくれさえすれば、ほかに望むことはありません」と激励の言葉が贈られた。

 続いて、すべてが謎に包まれていた三上さんの演じるキャラクターの情報がいよいよ公開。しかも、設定画だけではなく、世界初披露となる映像も流され、会場は大いに沸いた。

※三上さん演じるキャラクターの話題は46:50ごろから

 三上さん演じる“黄金仮面の男”のモデルとなっているのは、俳優のトロイ・ベイカー。三上さんとは『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』で、オセロットを演じていたという共通点があるが、小島監督によるとそれは“偶然”とのこと。

 演技については、小島監督のイメージの中では、もう少し悪役のイメージしていたそうだが、三上さんの声があまりにもカッコよかったため「男前でいきましょう」と方向性を変えたことも明かされた。

 なお、映像の中で“黄金仮面の男”が、「こいつに喰われず逃げ切ればOKだ」と発言しているが、ゲーム的には戦ってもいいし、逃げてもいいのだという。また、“黄金仮面の男”が地面に手を当てた際に登場する人影のようなものの中に小島監督がいるとのことなので、ぜひ探してみよう。

 登壇したキャスト陣が演じるキャラクター紹介が終わったところで、今度はマッツ・ミケルセンとギレルモ・デル・トロ監督がモデルのキャラクターの話題へ。

 マッツ・ミケルセンのキャラクターの日本語キャストは、2年間かけて探し、決定もしているそうだが、現時点では秘密とのこと。役どころについては、「マッツさんの役なので、説明はいらないと思います」(小島監督)とコメントしていた。

 友情出演となるギレルモ・デル・トロ監督は、ほかのキャストとは異なり、3Dスキャンと一部の動きだけを担当しているそう。デル・トロ監督がモデルということで、コミカルな雰囲気なキャラクターらしいが、セリフは本作でいちばん多いかもしれないとのこと。また、日本語版のキャストは石住昭彦さんが担当することが発表された。

 なお、小島監督によるとキャラクターはほかにもいっぱい登場するのだという。

 そして、ここから質問形式でトークを展開。まずは、「キャスティングの決め手は?」という質問。小島監督は、「演技とか、魅力とかありますけど、その人の人格というか、その人がどういう人なのかというのがすべてですね。そこの大きさや深さが重要で、僕たちはそれを引き出す役割です。それと皆さんとの信頼関係がいちばん重要だと思いますので、そこを築くのに時間を掛けます」と解説した。

 続いて、小島監督の現場については、キャスト全員が声を揃えて「楽しいです!」とコメント。さらに大塚さんは「僕たちが想像している“あと1歩先に行ってください”と言われるので、それが楽しいんですよね」と付け加えた。それに対し小島監督は「いっしょに作っている感じです。僕が当初イメージしたものをそのまま作ってもおもしろくないじゃないですか。俳優さんが持っているものや想いを聞いて、いっしょに作るからこそ、ひとりで作っているときとは違うものができるので」と作品に懸ける想いを語った。

 井上さんも「緊張感のあるハードなシーンでは情熱が伝わってきて、いっしょに作ってくださっている感じがします。あと、たいへんなシーンで苦しいときには、ジョークを言って笑わせてくれることもあるんです」と収録を振り返った。水樹さんもこの意見にはとても共感した様子で「心が救われる瞬間が何度もありました」とコメント。さらに、水樹さんは“いっしょに録るからこそ生まれるパッションや化学変化を大事にしたい”という小島監督の想いから、掛け合いのセリフはいっしょに収録を行うようにしてくれているということをうれしそうに話していた。

 改めて小島監督の作品に初めて出演することに感想を聞かれた津田さんは、「これだけ豪華の皆さんと共演できるのは本当にうれしくて。しかも、ゲームの収録ではほかのキャストさんといっしょに録るということはほとんどないので、“なんて贅沢なんだ”と思いました」と熱弁。また、井上さんからは、そんな津田さんがトレーラー収録時に悩んでいたところに、大塚さんがやさしく声を掛けている姿を見て、愛を感じたというエピソードが披露された。

 さらに井上さんからは、「杉田(智和)くんの役はありますか?」という質問が飛び出したが、「ずっと探していたんですけど、今回は杉田さんに合うキャラクターが出ないんです」と小島監督は残念そうにコメントしていた。

 また、気になる発売日については、2年前の東京ゲームショウで「(東京)オリンピックより早いですし、もっと言えば映画『AKIRA』の舞台より早いです」と発言したことに触れつつ、収録が少し遅れている以外は計画通りに進んでいることを報告。

 そして、ここで時間となってしまい、最後に登壇者から順番にメッセージが送られ、イベントは終了となった。

大塚さん
もう少し待たせるぜ!

井上さん
待ちに待った小島監督の『DEATH STRANDING』を、私自身もすごく楽しみにしています。まだトレーラーでしか声を入れさせていただいていないのですが、そのトレーラーの中からもいろいろなものを感じます。たとえば、サムさんが重い荷物を背負って、川を歩いたり、崖を登ったり、それを見るだけで涙が溢れるような気持ちでいっぱいです。皆さんもいろいろな荷物を背負って辛いときがあるかもしれません。それでも、“この荷物を届けるんだ!”というアツい気持ちを感じました。まだ、途中までしか映像を見せていただいていないですが、小島監督のアツい気持ちを胸に、私も精いっぱい演じさせていただきますので、これからもよろしくお願いします。

水樹さん
この座組みでしか生まれないものを私も楽しんで、自分でも感じたことのない感情を爆発させて、最高の作品を作れたらいいなと思っています。私もいちプレイヤーとして完成を楽しみにしていますので、ぜひ、これからも応援よろしくお願いします。

三上さん
コジマプロダクションのスタジオに見学に行った際に、ゲームを見せていただいたのですが、皆さんと繋がるような作品になるみたいです。我々も魂を込めて声を吹き込んでいきたいと思いますので、皆さん期待して待っていてください。

津田さん
世界の小島監督の作品、その日本語版で主人公のサムを演じさせていただくことになり、本当に光栄です。トレーラー収録のときに初めて映像を見て、“なんだこの映像!?”とテンションがブチ上がりました。サムは何を運んでいるのか、赤ちゃんは何なのか、大きい影のようなものは何なのか、僕もまだまだ知らないことだらけで、皆さんと同じ気持ちで作品が出来上がっていくのを待っています。そして出来上がってきたら、収録という形で皆さんよりひと足先にこの世界を楽しんで、皆さんの期待に添えるような演技を全力でやっていきたいなと思っています。

小島監督
『DEATH STRANDING』は以前からお伝えているいる通り、“縄”のゲームです。“棒”でお互い殴り合ったり、中傷し合ったりする世の中で、“縄”の繋がりを持ちたいという発想で制作しています。ソニーさんとの絆、キャストの皆さんとの絆、ゲームエンジン(を提供してくれている)のゲリラゲームズとの絆、事務所を貸してくれた人との絆……あらゆるものが作りながら絆で繋がっているというか、絆を作っている感があります。今日の皆さんとも繋がっていると思っていますし、まだゲームは完成していませんが、このまま皆さんと繋がったままゲーム開発を続けて、いいものを作りたいと思いますので、もうしばらくお待ちください。