2018年9月26日、都内にてセガの新作アーケードゲーム展示会“SEGA PRIVATE SHOW 2018 Autumn”が開催された。
こちらのプライベートショーは、報道関係者やオペレーターなどに向けて、いち早くアーケードタイトルの発表を行なうもの。会場にはほかにも現行の最新タイトルが展示され、セガのアミューズメントマシンの最先端を感じられる展示会となっていた。
今年は『WCCF FOOTISTA 2019』と『クロノレガリア』の2タイトルを中心に、試遊と展示、ならびにオペレーター向けのプレゼンテーションが行なわれた。
『FOOTISTA』では、驚くほどにプレイヤーが試合に関われる!
まずは『WCCF FOOTISTA 2019』(以下、『FOOTISTA』)をリポート。『WCCF』といえば、16年前の2002年に登場した、アーケードにおけるトレーディングカードゲームの先駆けとして知られている。
フットボールクラブの監督となり、集めた選手カードで自分だけのチームを育成して他プレイヤーと競い合っていく、いまなお人気を博しているサッカーゲームだ。
そんな16年間続いてきた人気シリーズが、新生を宣言した。今後さらに10年続くサッカー文化となるべく、“FOOTISTA”(蹴球狂)の名前を冠して生まれ変わったというのだ。
『FOOTISTA』で大きく変わった点は、おもに3つ。第1の変更点として、ドラマティックなストーリー仕立ての演出が追加された。ストーリーパートでは監督として就任したプレイヤーが、世界一のフットボールクラブを目指していく過程が描かれていく。
第2の大きな変更点は、プレイするたびにもらえる選手カードの輩出に、オンデマンド印刷(筐体のプリンターで、その場でカードを印刷するシステム)を採用している点だ。
いままでのようにピロー(カードを入れる袋)に入った状態で排出する形式ではなくなったわけだが、見たところ箔押しなどによる『WCCF』カード特有のリッチな外観は、まったく損なわれていないように感じた。
第3の要素はとくに注目してほしいポイント。「プレイヤーが試合にもっと関われるようにしてほしい」という声に応えた新システムだ。『FOOTISTA』では試合中、盤面に配置した選手カードをこすってから筐体右にある各種ボタンを押すことで、さまざまな指示を出せるようになっている。
筆者としては、新たな指示の中では“ホットライン”がいちばん使いやすかった。複数の選手をこすって選択してからホットラインボタンを押すと、選んだ選手たちの間に光るラインが表示され、チーム全体がそのラインを意識したボール回しをするようになる。
さらに、ホットラインで選択した選手にはパラメーターボーナスが加えられ、チーム戦略の主軸となってくれる。
従来の『WCCF』シリーズでは、お気に入りの選手や重点的に育成した選手がいるサイドへなかなかボールが回らず、やきもきしたプレイヤーも多かったはず。“ホットライン”を使ってみると、その記憶がウソのように、ボール回しをコントロールしやすくなった。
ホットラインは、プレイヤーの意図が試合に反映される気持ちよさに加え、実際の対戦では相手のラインを読んで妨害するなど、新たな頭脳戦も提供してくれる。
従来の「選手カードを配置して、あとはシュートとプレス、選手交代の場面でのみ指示を出す」というゲームのイメージは、一新されたと言っていいだろう。
『クロノレガリア』の頭脳戦が、想像以上に気持ちいい!
続いてリポートしたいタイトルが、『クロノレガリア』だ。
“ノンジャンルバトル”をうたうこちらの完全新規タイトルは、リアルタイムストラテジーのようなゲームでありながら、独特のプレイ感覚と戦略性を楽しめる作品となっていた。
全国対戦やCOM戦、ほかにもひとり用のストーリーモードのようなコンテンツなど、さまざまな遊びかたで“対戦の楽しさ”を凝縮しているのが本作だ。
コアとなる対戦のルールは単純明快。相手と自分の陣地を結ぶ数本のレーンにユニットを出撃させ、敵陣地に到達させることで陣地の耐久力を削り、ゼロにすれば勝利となる。
前述の通り、本作にアクション要素はほぼないが、戦略面の要素はかなり多岐に渡る。試遊できたバージョンでは6人のキャラクターから4人を選んで出撃でき、さらに各キャラクターに“武器カード”、“道具カード”、“魔法カード”を好きなようにセットできた。
キャラクターをレーンへ出撃させるには、そのキャラクターの手札から“武器カード”を使用する。デッキ編成次第では、武器カードがなかなか手札に来なくて負けてしまう展開もありうる。試遊の際に、筆者はそれで負けました……。
ユニットは撃破されたり敵陣地への攻撃が成功したりすると、いったん盤上から消滅し、また武器カードを使うことで再出撃できる。ただし、敵ユニットに撃破された場合は、そのキャラクターは一定時間、再出撃ができない。
また、すべてのカードは“MP”を一定量消費しないと使えない。MPは時間経過で溜まっていくが、これは各キャラクターではなくプレイヤーに溜まるリソースだ。どのキャラクターのカードに費やすか、分配に頭を使うことになる。
このように、カウント進行とともに出撃したキャラクターの移動と戦闘、MPの蓄積、各キャラクターへのカードの補充……などなど、あらゆる戦況が同時に進行していく。必要な操作が少ないシステムながら、プレイヤーの思考は忙しくなる。
本作ではユニット同士の戦闘にはランダム要素やアクション要素は一切なく、純粋に数値が高いほうが勝つ。負けている味方ユニットには、道具や魔法での援護が必須だ。刻一刻と進むカウントの中で、さまざまな采配を同時に考えていくと、頭がオーバーヒートしそうになる。
今回のショーでは時間の都合上、1回しか試遊できなかったが、極限まで思考を回転させる対戦には非常に興奮した。とくに相手の防衛を突破し、敵陣地へのダイレクトアタックが成功した瞬間には、ものすごい達成感と気持ちよさが押し寄せてくる。対戦終了後には、「あー、めっちゃゲームしたわー!」と充足感が満ち満ちてくる感じだ。
筆者としてはデッキ編成がダメダメだった今回のプレイを反省し、もう一度再挑戦してみたい気持ちでいっぱいだ。初プレイでもこれくらい熱くなれること請け合いの頭脳戦を、稼動開始後にはぜひ体験してみていただきたい。
※画面は開発中のものです。また、記事内で掲載されているカード画像につきましては、テストを目的としたものであり、製品版稼動時には変更となります。