2018年9月20日から9月23日(うち20日・21日はビジネスデイ)まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2018。

 開催2日目となる9月21日に、PUBGブースにて行われたカンファレンスで、PC用バトルロイヤルシューター『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の国内におけるesportsの取り組みに関する発表が行われた。

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 最初に、本作の開発元であるPUBG Corp.の代表取締役キム・チャンハン氏が登壇した。キム氏は『PUBG』をプレイして楽しむだけではなく、インターネット中継などを通じて“観て楽しむ”ことの重要性を強調。

 さまざまな大会を各国で成功させた実績を紹介したうえで、2018年の7月にドイツで行われた世界大会“PUBG GLOBAL INVITATIONAL(PGI)2018”において、試合のインターネット配信の世界同時視聴者数が大会を通じて最大1億人を超えたと説明した。

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本作はesportsの人気タイトルとして世界の国々で盛り上がりを見せている。
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キム・チャンハン氏は大会を視聴したファンにくり返し感謝の言葉を述べていた。

 続いて、パブリッシャーとして『PUBG』を展開する、DMM GAMES最高経営責任者の片岸憲一氏が登場。同社が力を入れている国内最大級の『PUBG』esportsリーグ、PUBG JAPAN SERIES(以下、PJS)関連の視聴者数が順調に伸びていることをアピールした。

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プロリーグのテスト段階に当たるαリーグとβリーグともに、視聴者が着実に増えているのがわかる。

 また、視聴者数の増加にともない、さまざまな企業から応援が得られている点も強調。片岸氏は「たくさんの方々のご協力があったからこそ、PJSはここまで来られたと思っています」と述べていた。

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全部で14の企業がPJSに賛同。今回のカンファレンスに、最高経営責任者の片岸氏が登壇していることそれ自体が、本作の未来にDMM GAMESが期待を寄せている何よりの証拠だろう。
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プロリーグ“PJS”が東京ゲームショウ2018の会場で本格始動。シーズン1のリーグ初戦が9月22日に開幕する。片岸氏は「世界を代表するリーグになることを目標に掲げ、邁進していきます」と意気込みを語った。

 加えて片岸氏は、PJSに参加するチームと、それを応援する企業どうしをマッチングすることで、選手の収入の安定化を図ることを表明。彼らが自立して活動できる環境を構築すべく、今後も努力が続けられていく。

esports展開の具体的な施策

 最後にPUBG Corp.の東京オフィス室長・井上洋一郎氏が登壇。『PUBG』が、日本のesportsシーンの新たなフォーマットになるためのプランを発表した。同氏がこの日に公表した計画は、以下の5つだ。

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【大会運営をサポート】
 PJSは、年間3シーズンで進行する予定。ファンに感動を提供するために、オンラインによる視聴だけでなく、選手たちのプレイを直接観戦できる環境も整えていく。

またPJS以外にも、トッププレイヤーたちが幅広く活動できる場を増やすべく、さまざまな大会の開催支援を行う。具体的には、公認大会にTier(規模に応じたランク)を付与したうえで、PUBG東京オフィスが運営をサポートをするといった感じだ。

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こちらは大会スケジュールのイメージ。今後は『PUBG』の大会が毎月のように開催されることになるのだろう。
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井上氏は「多様な形式の大会が開催される世界(の構築)を求めてまいります」と未来図を語った。

【ソロ/デュオの大会を実施】
 これまではスクワッド(4人チーム)大会が中心だったが、2019年よりトッププレイヤーによるソロ/デュオの大会を計画中。単なるエキシビションマッチではなく、PUBG東京オフィス公認の正式な大会として開催される予定。

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トップ選手たちがくり広げるソロ/デュオの戦いは、はたしてどのようなものに……?

【ランキングポイント制の導入】
“PUBG Ranking Point(仮称)”というシステムを2019年より導入。複数の公認大会で獲得したポイントの合計数で決められるランキングで上位に入った選手に対し、世界への挑戦権および機会を付与する。

 ちなみに、それぞれの公認大会のTier(格付け)は、PUBG東京オフィスの審査により決定される。Tierのランクが高いほど、“PUBG Ranking Point”がより多くもらえる仕組みだ。

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複数の大会に参加してより多くのポイントを獲得することで、ワールドチャンピオンシップへの扉が開かれる。

【コミュニティ大会の公認化】
 2019年より、各コミュニティー大会にTierを授けることで、開催を目指すオーガナイザー(主催者)を後押しする。PUBG東京オフィスの管理のもと、より多くのコミュニティ大会が開かれるよう支援を行っていく。

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今後は、草の根レベルの公認大会が増えていくことになるだろう。
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井上氏は「いい企画があればPUBGジャパンにご提案ください」と呼びかけていた。

【アイテムによる収益の共有化】
 先日開催された“PGI 2018”において、各チームのロゴ入りアイテムの販売で得られた収益が、各グループとPUBG Corp.のあいだで共有された。この先例にならい、日本国内で活躍しているチームの関連商品の製作・販売を来年から開始。得られた利益を、お互いでシェアする計画が現在進められている。

 加えて、インゲームアイテムだけでなく、『PUBG』のIP(知的財産およびブランド)を活用した各チームのマーチャンダイジング(商品化計画)についても積極的に展開していく。

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選手としての活動で生活が営める環境が構築できるよう、PUBG東京オフィスが後押ししてくれる。
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国内における『PUBG』のesportsシーンが今後どのように進化していくのか、目が離せない。
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選手とチーム、ファンとプレイヤー、オーガナイザーとパートナーがガッチリと手を携えることで『PUBG』が発展。それが、日本のesports隆盛へとつながっていく。
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2019年も“ドン勝”の1年になるのは間違いない!

『PUBG』の疑問をスタッフに直撃!

 カンファレンス終了後、短時間ではあるが質疑応答の時間が設けられたので、最後にそのやり取りをご紹介。回答者は、PUBG東京オフィスの井上洋一郎氏とキム・ソンファン氏だ。

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ここからキム・ソンファン氏(右)が登壇。メディア関係者の取材に、井上氏と並んで応じていた。

【Q.】9月22日から始まる大会の映像では3チームを注目するとのことですが(※)、その3チームの選考基準は何だったのでしょうか?

(※発表内で、今回の配信では特定の3チームにフォーカスするという話があった。最終的には全チームをしっかりフォーカスできるように、見せかたのノウハウを蓄積していきたいそうだ)

【A.】Day1(9月22日)に注目するチームは以前の大会の順位を参考に選考しました。Day2(9月23日)はDay1の上位3チームに注目したいと考えております。(井上氏)

【Q.】PC版とモバイル版の住み分けは、どのようになっていますか?

【A.】今回の発表はPC版のものとなります。PC版とモバイル版のそれぞれでこういった展開を加速していきたいと考えております。モバイル版につきましては、開発会社と協議すべき点が多いので、そこは切り分けるつもりです。(井上氏)

【Q.】ここ最近は、地方自治体や地方ユーザーとの協力関係が重視される流れがあるかと思います。そういった方面への展開は考えていますか?

【A.】地方に関しては、来年だけでなくそれ以降も含めて、今後の展開を慎重に考えております。この場で何かお知らせできることはありませんが、“慎重な考えを持っています”ということだけお伝えできればと思います。(キム氏)

 この日に行われたカンファレンスは以上の通り。より多くの人がesportsの存在を認知し、その魅力に触れることができれば、そのぶん“プロフェッショナル”が成立する余地が広がっていくいはず。井上氏が語った施策に賛同するとともに、その成功を願ってやまない。

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