15年の時を経て、プレイステーション4とPC(Steam)にてリリースされるハイスピードロボットアクション『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』。4K解像度への対応や数々の新要素を加えて、大胆かつ多彩なリマスターが施されている。

 その中でも本作の大きな目玉となるのが、全編にわたってプレイステーションVRで遊べる“VRモード”だ。プレイヤーはジェフティのコックピットの視点から、通常プレイさながらの高速バトルが楽しめる。本記事ではVRモードの魅力をたっぷりと解説……したいところだが、どれだけ言葉を尽くしても“やらないとわからない魅力”があるのも事実。

 そこで今回は、本作でレオ・ステンバック役を務めている、声優の鈴村健一さんをお招きして、VRモードを体験していただいた。写真と動画の様子から、いかにこのVRモードがすばらしいのかを、ぜひ感じてほしい。また、記事の最後には鈴村さんへのミニインタビューもお届けする。

【動画あり】鈴村健一さん(レオ役)が、ジェフティに乗り込み「はいだらぁー!!」 『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』VRモード体験の様子をお届け_01
【動画あり】鈴村健一さん(レオ役)が、ジェフティに乗り込み「はいだらぁー!!」 『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』VRモード体験の様子をお届け_02
VRモード体験中、「すげー! すげー!」と連呼しまくっていた鈴村さん。ふと見上げると敵が頭上を通過して驚いたり、敵を掴んではコックピット内から目視してみたりと、その臨場感を堪能していた。

『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』声優・鈴村健一さんによるVRモード体験動画

『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』声優・鈴村健一さんインタビュー

子どものころに憧れていた体験がそこにある

 VRモード体験を終えた鈴村さんに、本作を実際に遊んでみての感想や、当時演じた思い出などをうかがったので、その模様をお届けしよう。

【動画あり】鈴村健一さん(レオ役)が、ジェフティに乗り込み「はいだらぁー!!」 『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS』VRモード体験の様子をお届け_03
鈴村健一氏
『おそ松さん(イヤミ役)』や『黒子のバスケ(紫原敦役)』といった話題のテレビアニメへの出演のほか、ラジオや舞台、アーティスト活動など、幅広く活躍する声優。『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』では、レオ・ステンバック役を務めた。

──鈴村さんは『ANUBIS』をプレイされたことはありますか?

鈴村 ありますね。前作にあたる『ZONE OF THE ENDERS Z.O.E』の主人公がレオだったのですが、それがゲーム化される前のパイロット版のレオ役を、じつは僕が演じていたんですよ。それは世の中には出ていなくて、社内用のものだったと思うのですが。そして、実際に発売された『ZONE OF THE ENDERS Z.O.E』のレオは、パイロット版よりも少年になっていたんですね。それもあってキャストが変わってしまい、当時すごいショックでした(苦笑)。そして、続編が出るとなった際に「レオが大人になって出てくるので、鈴村さんお願いします!」と言われたときには“帰ってきた!”と、すごい感動した思い出があります。楽しみだったので、発売日に買ってすぐに遊んだのを覚えています。

──では、本作のVRモードで遊んでみた、率直な感想をお聞かせください。

鈴村 いやぁ、単純にすごい時代が来たな、と思いましたよ。1人称視点で360度見回せるというのは、子どものころにすごい憧れていました。それがやりたくて、家でいろいろな細工をしたものです。弟といっしょに戦闘機に乗っているフリをして、ゲームをしていた時代がありましたから。あとは想像力で「こっちから敵が来てる!」とかやっていたのが、このゲームでは本当に敵が来ますからね(笑)。リアリティーがありつつもフィクションである空間にいられるというのは、本当のスゴいゲームだなと思いました。

──オリジナル版と、VRモードとの違いは感じられましたか?

鈴村 もともとドラマティックな作品で、ドラマパートとアクションパートの融合がすばらしかったのを覚えています。VRモードは、より没入感が上がっているのではないでしょうか。ドラマパートは、VR視点では大きなスクリーンを観ているような感覚で、まるでアニメ映画を観ているようでしたよ。そのスクリーンから美声の井上和彦さん(ディンゴ・イーグリット役)や、雪乃五月さん(ケン・マリネリス役)の声が聞こえてきて。映画を観ていると思ったらバトルが始まって、その途端、世界が自分のほうに引き寄せられるんです。昔よりも明確に、ゲームの世界に入り込めた気がします。同じ演出なのに、使うメディアが違うだけで劇的に変わるんだなと。

──実際に、鈴村さんはゲームの世界にどっぷりと没入していましたね。

鈴村 もう、その世界に自分がいるんですもん(笑)。イヤホンを付けてこの世界に入り込んだら、外の世界の声なんてもう聞こえないというか、聞く気がなくなりますね。広いフィールドでバトルするのと、戦艦の中で戦うのとはまた別で、より空間を認識できるので、いろいろなところが見たくなりました。昔は右スティックを動かして視点を動かしていたものが、VRモードは首を動かすだけでそこを見れるので、そりゃ没入しちゃいますよ。

──プレイ中には、鈴村さんは叫びながらプレイされていました(笑)。

鈴村 叫んじゃいますよ。ジェフティの能力が高いことが、すごく誇らしくなるんですよ。圧倒的な力を手に入れた感覚があって、「この雑魚どもが!」って感じになっちゃうんです(笑)。

──ちなみに、いわゆる“VR酔い”はありましたか?

鈴村 僕としては酔わなかったですね。操作と視点が一致している感覚が僕にはあって。レースゲームとかですと酔う場合があるのですが、不思議と連動している感じで、没入感のおかげなんでしょうね。あと、フィクションだからかもしれませんね。レースゲームはリアルな(想像できる範囲の)世界観の中で、実際に体は動いていないのに目に見えるものは動いているので、体がついてこないです。『ANUBIS』は存在しない(体験したことがない)世界ですから、だからこそ酔わないのかな、というのが個人的な感想です。

──個人的に、という部分では鈴村さんは本作をどう感じましたか?

鈴村 いやもう、買いますよね(笑)。だって、家でできるんですよ! そういう時代……それがすごい。昔、“Sega R-360”という体感ゲームがあって、子どものころそれがすごくやりたかったんです。でも、1回500円で子どものおこづかいではなかなかできないし、田舎に住んでいたので近所になくて。でも、VR機器さえあれば、田舎だろうが遊べるわけです。そりゃあ、やるでしょ!

──先にプレイされた先輩として、読者の方々にメッセージをお願いします。

鈴村 非常に没入できるゲームです。15年前にプレイされた方もいっぱいいると思いますし、根強い人気を誇るゲームです。この作品を、新たな時代に、新しい技術で表現するというのはすごいことだと思います。実際にプレイしてみて、自分の想像していたものより、100倍くらいすごかったです。ただ、それを僕がいくら語ろうが、“やらなきゃわからない”と思います。これはVRのいいところだと思いますよ。みんなが遊んでみたくなるんですから。ですが、ひとつだけ保障しましょう。触れたら、本当にすごい世界が待っています。ぜひ、プレイしてみてください。