AndroidのスマートフォンゲームをPCでもプレイできるサービスを提供しているプラットフォーム“BlueStacks”。2018年5月には、最新バージョンとして“BlueStacks 3N”がリリースされ、デベロッパーと連携してより快適なゲームプレイを可能にしたりするなど、ユーザーが喜ぶ施策をつぎつぎと打ち出してきた。

 そして、9月にはいよいよ“BlueStacks 4”へとバージョンアップを果たす。これに合わせて、BlueStacksのCEO ローゼン・シャルマ氏が来日し、BlueStacks 4の魅力や、現在力を入れている日本人向けのサービスについて直接紹介してくれた。なお、“BlueStacks 4”ベータ版は本日(8月13日)より公開されている。

※“BlueStacks 4”ベータ版ダウンロードページ

 “BlueStacks 4”の魅力をCEOのローゼン・シャルマ氏が直接解説。最新バージョンのコンセプトは“軽くて速い”_04

コンセプトは“軽くて速い”。BlueStacks 4の魅力的な5つの特徴

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 まず、新たにリリースされるBlueStacks 4について、アーキテクチャーとして完全に新しくなっているとローゼン氏は語る。そのうえで、BlueStacks 4の特徴を5つのポイントに分けて解説してくれた。ひとつめに紹介されたのは、BlueStacks 4のコンセプトでもある“軽くて速い”という点について。今回、オンデマンドシステムを導入したことで、動作するにあたって必要のないものは起ち上げず、必要なものだけ動作させるという仕組みになり、より軽くて速いBlueStacksが実現したそうだ。

 また、オンデマンドシステムを導入した背景のひとつとして、ローゼン氏によると、BlueStacksには複数のタイトルを同時にプレイする人もいれば、ひとつのタイトルのみを集中してプレイする人もおり、各ユーザーに合ったバランスのいいサービスの提供が難しかったとのこと。そのため、必要なリソースのみを活用する今回のシステムの導入で、より幅広いユーザーのプレイスタイルに合ったパフォーマンスの提供もできるようになったと話した。

 ふたつめのポイントは、株主の意見をしっかりと反映させたという点。BlueStacksではWindowsでAndroid動かす“仮想化”という技術が重要になるのだが、BlueStacks 4ではそこにより深みを持たせられるよう開発に注力し、クライアントから見ても最大の仮想化のプラットフォームになったと、ローゼン氏。

 3つめは、“グラフィック”部分について。スマートフォンはグラフィックスも日々進化しているのだが、BlueStacks 4ではAndroidにおける最新のグラフィックスにも対応。その例として、これまで低スペックのノートPCでは対応できていなかったGL3のグラフィックスでも、より快適にプレイできるようなサポートも盛り込まれているという。また、グラフィックス面の強化によりアプリとの互換性も高まったとのこと。その結果、これまでBlueStacksのダウンロードランキングでつねに上位に食い込んでいながら、プレイできなかったようなアプリの起ち上げにも成功し、これにはローゼン氏も非常に喜んでいた。

 続く4つめのポイントとして、各ユーザーに見合ったコンテンツを提供できるよう、BlueStacks 4では、ユーザー自身での“BlueStacksのカスタマイズ”が可能となっている。たとえば、遊ぶアプリがすでに決まっている人には、よりシンプルなUIでサービスが利用できるよう、BlueStacksのトップページである“アプリセンター”のタブを閉じることも可能だ。さらに、アプリセンターのタブを閉じれば、よりパフォーマンスも向上するそうで、そういう面でもユーザーがより快適に利用できるようになっている。

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オンデマンド型の最新アーキテクチャを採用し、必要なリソースのみを活用することにより、ユーザーひとりひとりのプレイスタイルに合ったパフォーマンスの最適化を実現。これまでは、ベーシックな機能のみを要望するライト層と、高度なゲームプレイにも対応した機能すべてを要望するコア層のニーズを同時に満たすことが難しい状況だったが、このオンデマンド型アーキテクチャにより、幅広いユーザーのニーズに応えることが可能に。さまざまなアプリがバナーやアイコンで表示されるアプリセンターは、お好みによってタブを閉じることが可能になった。このオンデマンド型構造は、目に見えるユーザー・インターフェイスのみならず、コアな技術の部分にまで取り入れられ、プロダクト全体の最適化が図られている。

 そして最後のポイントとして紹介されたのは、“キーボードのライトアップ機能”について。これは、ゲーミングPCなどを製造、販売しているMSIとの連携で実現した機能で、対応しているMSIモデルのキーボードを使ってBlueStacksのゲームをプレイすると、キーマッピングで割り当てられたキーがライトアップするというもの。なお、ローゼン氏はこの機能をとても気に入っているらしい。東京ゲームショウではMSIのブースで実際の端末を使ってデモを実施するそうで、「ぜひ触ってみてください」と話していた。

 そのほかの変更点として、FPSのタイトルに関して、いままではゲーム画面上で設定していたキーマッピングが、別画面でより詳細に設定することが可能に。より細かいところまで使いやすく改善されているようだ。

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よりゲームを楽しめるようにキーマッピングにも改良が加えられている。たとえばFPS系のタイトルでは、車両の操作など、ゲーム内の状況に応じた個別の操作が求められるが、これらを詳細に設定することが可能となった。スマートフォンゲームを、従来のPCゲームにより近い形で楽しめることになるのだ。

動画配信者との連携でより日本人向けのサービスに

 ローゼン氏によると、BlueStacksでは現在、動画配信者との連携にも力を入れているという。というのも、BlueStacksがこの1年間で日本人ユーザーのゲームの好みを調査した結果、日本では有名な動画配信者が紹介するゲームが人気になる傾向があるからだそう。これについて、ローゼン氏は「有名人がインスタグラムに投稿したお店に客が殺到するように、有名配信者がプレイするゲームを多くの人がプレイする傾向になってきました」と話す。

 また、そんな人気タイトルのなかでもBlueStacksのランキング上位タイトルはGoogle Playと少し異なるという。BlueStacksでは、スマートフォンよりも文字入力やボイスチャットがしやすい、PC向きならではタイトルが人気らしく、最近は『人狼殺』や『人狼 ジャッジメント』といった、チャットでやり取りをする“人狼”系ゲームや、非対称マルチプレイゲームの『Identity V』がより遊ばれているそうだ。

 そこでBlueStacksでは、YouTuberとしても有名な加藤純一さんとパートナーシップを提携。加藤さんを“BlueStacksの広報大使”に任命して、動画などで宣伝をしてもらい、BlueStacksでは加藤さんおすすめのゲームをピックアップしてもらうといった企画を実施している。さらに、その企画のひとつとして、現在は配信者が提案したものと同じキーマッピングで、ユーザーがプレイできるようなサービスも考えているとのこと。最後には、ローゼン氏も「配信者との連携で、ユーザーに配信者のゲームをプレイしてもらうきっかけを作りたいです」と語っており、今後は日本人向けのサービスにも期待できそうだ。