エンハンスより2018年秋に配信予定のプレイステーション4用ソフト(プレイステーション VRにも対応)『Tetris Effect』。同作のプレイリポートをお届けする。

 エンハンスより2018年秋に配信予定のプレイステーション4用ソフト『Tetris Effect』。本作は水口哲也氏の新作として、世界最大規模のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2018に合わせて発表されたタイトルだ。

 『スペースチャンネル5』や『ルミネス』といった独創的なタイトルを手掛けてきた水口氏が、世界でもっとも有名なパズルゲーム『テトリス』をどのような作品に仕上げるのか、大きな注目が集まっている。

 また、本作がプレイステーション VR(以下、PS VR)にも対応しているのも見逃せない。その理由として、『テトリス』をVRでプレイするということだけでなく、水口氏は2016年に発売した『Rez Infinite』で、VR関連のアーワードを数多く受賞しているからだ。

 今回は、そんな『Tetris Effect』をPS VRでプレイさせていただいたので、その模様をお届けする。

週刊ファミ通の編集長 林克彦によるファーストインプレッション動画。こちらも、ぜひチェックしてほしい。

「こんな『テトリス』体験したことがない!?」

 これは記者がプレイを終えての最初の言葉だった。

 今回プレイさせていただいたストーリーモード(※モード名は開発中のため変更の可能性があるとのこと)は、テトリミノでラインを揃えて消していき、最上段までテトリミノを積み上げることなく、目標のライン数に到達すればクリアーとなるモード。

 基本的なルールや操作方法は、これまでの『テトリス』と同じだが、大きく異なる点がある。それは、ビジュアル、BGM、効果音など、ゲーム中のあらゆる要素がシンクロしていくということ。

 水口氏の手掛けた『ルミネス』をプレイしたことがある人には想像しやすいかもしれないが、テトリミノの移動や回転に合わせて心地よい効果音が鳴り、さらにそれに合わせて背景の演出も変化する。また、ラインを揃えたときには、美しいパーティクルになってテトリミノが消えていく。これがとにかく気持ちよく、「やっていることはこれまでの『テトリス』と同じなのに、ここまで感覚が変わるのか」と驚かされた。

 さらに、うまくプレイできていると、見た目が華やかになるだけでなく、テトリミノの移動や回転時の効果音がBGMみたいに聞こえるようになるため、音からも上達を実感できるのが個人的にお気に入りのポイント。

 また、規定数のライン消すとつぎのステージに進み、テトリミノや背景といったビジュアル、BGMや効果音などが変化するのだが、このときの「つぎのステージはどんな感じなんだろう?」というワクワク感が堪らない。今回プレイしたステージで言えば、深海、和風、インドネシアの舞踊劇“ケチャ”をイメージしたステージなど、どのステージも個性的。しかも、ビジュアルや音楽によって、深海のステージでは本当に海の中にいるような心地よさを感じたり、逆にケチャのステージではハイテンションになったり、『テトリス』をプレイして感情まで揺れ動くのは、初めてのことで興味深い体験だった。

 続いて、新システムのゾーンについて。これは、ラインを消していくことで溜まっていくゲージが満タンになったときに使用することで、時間とブロックの落下を止めることができる機能。発動中にラインを揃えてもブロックは消えずに下にスタックされていき、終了後にまとめて一気に消える。

 記者は体験中に18ラインを同時に消すことに成功したが、そのときの爽快感は格別だった。またゾーンは、一気にラインを消して高得点を獲得できるだけではなく、操作をしない限りはブロックが落下してこないので、ゲームオーバーになりそうな危うい状況を切り抜けるためにも使用可能。目的や状況に応じて使い分けることが重要となりそうだ。

 そして、PS VRでのプレイについては、記者はプレイするまで「VRで『テトリス』をプレイする意味はあるのか?」と懐疑的だったが、実際に体験してみるとそんな疑問は一気に消し飛んだ。視界がゲーム画面だけになるため、よりゲームの世界に没入できるのはもちろんのこと、パーティクルやエフェクトが目の前に迫ってくる迫力は圧巻のひと言。

 感覚的には、『Rez Infinite』のArea Xをプレイしているのに似ており、そういう意味では、本作は水口氏がこれまで手掛けてきた作品を凝縮したような内容になっているようにも感じられた。

 また、今回体験できたのはPS VRのみとなったが、モニターでは4Kでのプレイにも対応している。さらに、今回プレイできたストーリーモードのほかに、『テトリス』プレイヤーにはおなじみのモードやまったく新しいモードも収録予定ということで、続報と発売が楽しみで仕方がない。

 最後に水口氏のミニインタビューをお届けする。

――本作に込めた想いを聞かせてください。

水口 本作のタイトルでもある“Tetris Effect(テトリス効果)”という言葉 はご存知ですか? これは、2000年にハーバード大学が発表した研究のひとつで、『テトリス』を遊んだ人の多くが、その後の実生活でも『テトリス』の残像を見てしまう現象のことです。また、記憶障害を持った人で、なんのゲームを遊んだのか覚えていなくても、『テトリス』の光景ははっきりと覚えていたり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負った人でも、48時間以内に『テトリス』を遊ぶと、それが軽減されるというデータも出ています。

――そういうデータがあるんですね。

水口 『テトリス』は、ある意味もっともシンプルで完成されたゲームなので、「これのどこを変えるの?」という疑問が皆さんの中にあると思います。そんな『テトリス』のエフェクトを、いま最新技術でもっとエモーショナルに表現することで、「『テトリス』でこんな体験ができるんだ!」と驚いてもらえるんじゃないかなと。

――シンプルな『テトリス』を、自分たちのやりかたでどこまで表現できるか興味があって、制作をしようと思ったということですね。

水口 そうですね。あと、ザ・テトリス・カンパニーの代表のヘンク・ブラウアー・ロジャースさんが、『ルミネス』や『Rez』を好きでいてくれていて、お会いしたときに「『テトリス』を音楽とビジュアルで表現できないか?」と相談されたんです。

――そういう流れだったんですね。

水口 じつは、5年前くらいからプリプロダクションをやっていました。

――そんな前から! ザ・テトリス・カンパニーと具体的にお話をされたのは、いつごろのことですか?

水口 5~6年前にヘンクさんとお会いして、そこから『Tetris Effect』のディレクターをやっている石原くん(『Child Of Eden』のアートディレクター)と、ふたりでずっと構想を話し合いながら、彼が絵を作っていって。その絵から音楽を作っていって……というように、細く長くプリプロダクションを3年くらいやっていました。その中で、「これはいけるぞ!」となって、ザ・テトリス・カンパニーからライセンスを得て、いまに至ります。

――VRの対応を決めたのはいつですか?

水口 PS VRが発表されたタイミングで対応したいと思っていました。本作は、『Rez Infinite』のスタッフがそのまま携わっているので、『Rez Infinite』と同じ気持ちよさを『テトリス』でも体感できるように、がんばっています。

――対戦モードは予定されていますか?

水口 本作は「リラックスしてプレイしてほしい」という想いがあるので、対戦モードはいまのところ予定していません。ただ、何か別の形で人と繋がられる要素は入れたいと思っています。