『実況パワフルプロ野球2018』の新モード“LIVEシナリオ”。連日行われている全試合のシナリオを、試合終了後ほぼ1時間以内という短時間で配信するという驚異のモードはいかにして実現されているのか? その舞台裏に迫る!

 おなじみ『実況パワフルプロ野球』(以下、『パワプロ』)シリーズ最新作『2018』に、驚くべきモードが搭載されていることをご存じだろうか?
 その名は“LIVEシナリオ”。現実のプロ野球の試合における重要な場面をミッション形式で再現し、シナリオとして配信するというものだが、その特筆すべきところは、連日行われている試合すべてについて、試合終了後ほぼ1時間以内という短時間での配信を実現していることだ。この驚異的なスピードとクオリティーは、いかにして実現されているのか? 開発チームに取材した。

【POINT】
○LIVEシナリオ配信チームの毎日
○シナリオ制作の決め手は? 試合展開以上に重要なのが○○○○!

LIVEシナリオとは?
 現実のプロ野球の試合で勝敗を左右したシーンを、プレイできるシナリオとして再現。プレイヤーは現実の結果をみずからのプレイで再現したり、逆に結果を覆したりできる。プレイ内容に応じて算出されるスコアで競い合う、オンラインランキングも搭載。

 今回取材に対応してくださったのは、『パワプロ』開発チームからこちらのお三方。

ポップ氏

本作のプロデューサー。

TOY氏

本作のスーパーバイザー。

ぷいぷい氏

LIVEシナリオ担当プログラマー。

――まずは、LIVEシナリオを導入することになった経緯を教えてください。
TOYじつは、これに近い企画を、『プロ野球スピリッツ』で一度やったことがあるんです(※)。でもあのときは、なぜか思ったほど話題になってくれませんでしたが……(苦笑)。

※2015年発売の『プロ野球スピリッツ2015』では、その日の試合内容をもとにしたミッションを、試合終了後数時間で配信する“プロ野球速報プレイ”というモードを搭載していた。

――ああ、“プロ野球速報プレイ”、ありましたね! その後同様のモードが搭載されなくなったのは、やはりしんどかったのかな、などと想像していましたが……(笑)、なぜ今回、LIVEシナリオという形で導入することになったのでしょうか?
ポップ前作の『実況パワフルプロ野球2016』では、サクセス生誕20周年ということで、おもにオリジナルモードを充実させることをメインテーマにしたのですが、今回の『2018』では、プロ野球ゲームの楽しさの原点に立ち返ることをコンセプトにしようと。そこで、プロ野球の魅力をわかりやすく表現できるモードとして、プロ野球速報プレイみたいな方向はいいよね、となったんです。
――そういう狙いがあったんですね。では、さっそく具体的な運用について教えてください。やはりチームを組んで運営されているんですよね?
ポップはい。具体的な人数まではお話しできませんが、各試合に担当者がついてチェックしています。
――試合は、終了後にスコアをチェックするような形ですか? それとも試合を見ながら逐一、という感じでしょうか?
TOY試合そのものを見ています。やはり、今日のターニングポイントはここだろう、というのは、試合を見ていないとわかりませんからね。
――チェックする試合は、球団ごとに担当が決まっていたりするのでしょうか?
ポップそれはないですね。公平というか、フラットな目線でその試合のターニングポイントを見極められるように、とくにチーム担当は決めないでやっています。
――ときには4時間を超えるような試合もありますし、全試合をチェックするのはたいへんそうですね。プロ野球の試合って、土日もふつうに開催されますし……。
ポップローテーションを組んでこなしていますので。ローテーションによっては別の仕事をやっている日もありますよ。それにもちろん、ちゃんとお休みは取ってもらうようにしています。

LIVEシナリオ担当者の日常

 ではここで、取材から明らかになった、LIVEシナリオ担当者の一般的なタイムスケジュールをご紹介しよう。
 下図は、試合が午後6時からのナイトゲームで行われる平日のスケジュールを表したものだ。実作業は試合開始前の先発メンバー発表時点からスタート。試合中は各種データを収集し、随時開発ツールに入力していく。試合終了後、シナリオを決定&データ入力を完了し、リーダーが監修した後、サーバーにアップロード。ここでゲームとして問題なく動作するかがチェックされ、配信となる。

 徹底した効率化に加えて、サーバー等ハードウェアの刷新などあらゆる面を改善したことで、配信までの時間を“プロ野球速報プレイ”のときから約2~3時間短縮することに成功。LIVEシナリオでは、試合終了後ほぼ1時間以内で、終了した試合からの順次配信を実現している。

 また、プロ野球2018年シーズンが開幕した2018年3月30日から、本作が発売となった2018年4月26日までのあいだに、配信用のシナリオを作成しながら、開発チーム内でテスト運用を行えたことも大きかったのだとか。シナリオの作成基準についての基本ルールをスタッフ間で共有したり、配信で起こりうる問題を事前にシミュレートしたり、といった準備が十分だったからこそ、発売後に滞りなく配信を行うことができているというわけだ。
 ちなみに、“プロ野球速報プレイ”から進化したポイントとして、途中入団した選手が出場していた場合に、LIVEシナリオでは名前や利き腕、どんなタイプの選手なのかといった大まかな能力を再現したデータを用意して対応できるようになっている点も見逃せない。“プロ野球速報プレイ”では架空選手で処理していた部分だが、こうしたイレギュラーな事態にもフレキシブルに対応できるよう、あらかじめシステム面で準備がなされているわけだ。

――数字として明確に表れない部分、たとえば選手の調子などは自動で生成されるのでしょうか?
ポップ基本的には、ある程度ロジックに基づいてきまりますが、もちろん、印象が関わる部分もありますね。たとえば阪神-巨人戦(2018年5月25日)では、菅野選手が1本だけホームランを打たれて負けてしまいました。あの試合では、巨人は負けたとはいえ、菅野選手の投球はすばらしかったですよね。
TOYですので、あの試合のシナリオでは、菅野選手は絶好調になっています。
ポップそのため、阪神側のシナリオのクリアー条件は、絶好調状態の菅野選手から「ホームランを打て!」という……。
――おかげであのシナリオ、めっちゃ難しいですよ!(笑)
TOYあの試合は現地で観戦していたんですけど、そこまでノーヒットだった菅野選手から、糸井選手がホームランを打った瞬間に、「あ、ここだな」って(笑)。家に帰ってすぐにLIVEシナリオをやってみて、やっぱりそうだよな、と。
――あの日の菅野選手は、“1失点”といっても、“ふつう”とか“少しいい調子”どころではない抜群の内容だったから、基本の基準に少し調整を加えられたというわけですね。
ポップあの場面まではパーフェクトピッチングでしたからね。

――そういったターニングポイントを設定するにあたって、心掛けていることなどはありますか?
ポップ基本的には試合の流れの中からターニングポイントのあてをつけるのですが、節目の記録が出たりした場合は、そちらを優先することがあります。今年は、筒香選手の150号ホームランや、内川選手の2000本安打など節目の記録が達成された試合が多かったですよね。そういった場面は、ユーザーさんの印象に強く残っているでしょうから。
ぷいぷい柳田選手のサイクルヒットを達成した場面もシナリオになっていますね(2018年4月21日のソフトバンク-日本ハム戦)。最後の1本、“三塁打を打て”というのがミッションになっていて……。
――三塁打がクリアー条件なんですか!? それはしんどい!!
ポップでも、けっこう多くの方がクリアーされていますよ。難易度5でクリアーされている方も多いです。

――ユーザーのレベルも高いですね……! そうしたLIVEシナリオの難度については、どのように調整されているのですか?
ぷいぷい実際にプレイするときは、『パワプロ』の選手データでプレイすることになりますので、たとえば現実でホームランを打って試合を決めた場合に、それが『パワプロ』でゲーム的に実現可能なのか、ということは考慮します。さきほどの柳田選手の三塁打にしても、『パワプロ』で実現可能だからこそ、その内容で配信したんです。
ポップゲーム内で実現可能で、かつ難しくなりすぎないように、ですね。
――ああ、なるほど。劇的なホームランで決まった試合だとしても、『パワプロ』的には再現が難しい場合は、そのままミッションにはしない、といった配慮があるわけですね。
ぷいぷいそうですね。その試合における重要性と、実現可能性のバランスを見て決めています。たとえば、広島の野間選手が満塁ホームランを打った試合がありましたが(2018年5月19日の広島-ヤクルト戦)、シナリオでは、“ホームランを打て!”と限定するのではなく、“野間選手の打席で同点に追いつけ!”というシナリオにしています。

――『パワプロ』では、ホームランじゃないとクリアーできないとなると、ちょっときびしいかもしれませんね。
TOYたいていは、強振すれば打てなくはないんですけどね。やはり難しい場合もあるので。
ぷいぷいあとは、ひいきチームのシナリオだけを遊ばれるスタイルの方もいらっしゃいますので、ミッション内容が偏らないように注意していますね。
TOY「この球団のミッションは毎日守備ばっかりだな」などというふうにはならないように、ということですね。

 『パワプロ』チームが蓄積してきたノウハウと、入念な準備があってこそ実現したLIVEシナリオ。本当は、社外秘な苦労話もあるのかもしれないが……、野球愛に溢れた開発陣だから、きっと大丈夫。今後も楽しいシナリオに期待しています!

 最後に、LIVEシナリオのオンラインランキングをもっと楽しむための情報をひとつ。現在、パワプロチャンピオンシップス(『実況パワフルプロ野球』、『プロ野球スピリッツA』の最強プレイヤーを決める大会のこと)でも活躍しているような凄腕プレイヤーも参加し、かなりハイレベルな戦いがくり広げられているオンラインランキングだが、そこまでの実力がない人でも、ランキング入りを果たすためのコツがあるんだとか……。

ぷいぷいランキングは、シナリオごと、1日ごと、球団ごと、通算と4種類あるんですよ。自分が得意なタイプの1シナリオだけを集中的にやり込んで、「このシナリオだけは上位にいけるぞ!」といったところを狙ってみるのも楽しいと思いますよ。記録画面には、“過去最高順位”という記録も残りますので、それの1位を狙うのもいいかもしれません。
ポップ配信直後すぐにプレイすれば、上位を狙えます!(笑)
TOYだいたい1日12個のランキングがあって、シーズン通せば2000くらいのランキングがあるわけですから、狙い目はたくさんあるはずですよ。

 とのこと。ぜひ、自分に向いたシナリオを見つけて、ランキング上位を狙ってみてほしい!

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