E3会場近くのホテルで、E-Line Mediaの『The Endless Mission』のプレゼンを受けてきたので、その内容を紹介しよう。

 本作はちょっとしたミニゲームをカジュアルに開発してシェアできるという、3Dゲームツクール的なゲーム開発ゲーム。今秋にSteamでアーリーアクセスを開始する。

 では一体どんな感じに動くのか? テンプレートから作る場合を例に紹介しよう。まずは現状のバージョンには、“擬人化された猫キャラのプラットフォームアクション”、“SFチックなレースゲーム”、“ボクセル(※)スタイルのストラテジーゲーム”という3種類のテンプレートが入っていて、そのまま遊べる(※『マインクラフト』的な立方体の積み重ねによる3D表現)。

テンプレのリミックスから、ビジュアルエディターでの改変、C#でコードを書いてもいいゲーム開発ゲーム『The Endless Mission』【E3 2018】_06
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 そして、これらのテンプレートに含まれる要素を適当に抜き出して組み合わせてもゲームとして成立するのだ。指定するのは“アバター”(キャラクター)、“ジャンル”、“シーン”(マップ)の3項目。

 記者はそれぞれテキトーに“擬人化された猫キャラ”、“レースゲーム”、“ボクセル世界”を選んでみたのだが、ローディングを経てプレイ画面に移ると、本当に“ボクセル世界の中でボクセルの敵を相手に猫キャラで戦うレース”が動いた。

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異なるゲームの要素を融合するマッシュアップの例。
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 これは本来異なるものの要素を組み合わせるマッシュアップの発想だ。本作のテンプレートのように元ネタありきだが、スタート地点としては悪くない。カーレースとサッカーを組み合わせた『ロケットリーグ』のように、マッシュアップ的なアイデアの延長上で成功するタイトルだってあるんだから。

 しかしプレイしてみると、猫キャラのベースが移動速度遅めの3Dプラットフォームアクション用の設定なこともあってか、滑るように動いていくRTSのボクセル敵キャラとレース勝負するのがなかなかつらいのに気がつく。

 となれば改変だ。今度はビジュアルエディターを起動して、移動速度やダッシュ時の移動距離、ジャンプの高さ、キャラのスケールなどの項目を適当に弄ってみる。市販のゲームだったらゲームバランスを崩壊させかねないチート行為にあたるが、これは自分のゲームなのだから、バランスがぶっ壊れようが何も問題はない。

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 もっと「こっちはこの要素、ここにあっちの要素」と言った具合にマッシュアップを細かくしたい場合もあるだろう。それも可能だ。今回のデモプレイでは試さなかったが、テンプレートに含まれるものじゃなく完全にゲーム外から3Dモデルをインポートして持ってくることもできるという(モーションの設定などいろいろやらなければならないだろうが)。

 それだけでなく、ゲームの動作を規定する部分をC#言語で記述することもできるそう。ここまで来たらUnityやUnreal Engineなどでゲーム開発するのとそんなに遠くないんじゃないだろうか。

 同じくカジュアルにミニゲームを作れる『リトルビッグプラネット』シリーズのように、作ったゲームは世界にシェア可能で、運営チームが選出する優秀作ともなれば、起動時のハブ部分となるホールに展示される。そのほか、Steamのユーザーコンテンツ共有機能であるSteam Workshopにも対応予定。

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 アーリーアクセス開始以降の展開としては、テンプレートの充実はもちろんのこと、チュートリアル的に順序だって開発テクを学んでいける“ストーリーモード”の搭載、Wiki形式のドキュメントの整備(恐らく英語)、ゲームのマルチプレイ対応、さらに開発作業自体のマルチプレイ化や、エクスポート機能などを検討しているとのこと(海外ゲームが陥りがちな、ゲーム内のテキスト要素の2バイト文字対応などはもうやっているらしい)。

 本作がツールとしての完成度をどれだけ高めていけるかはともかく、最近話題の“プログラミング教育の必修化”ってこういうんでいいんじゃないかなぁと思うのだが、いかがだろうか。