すごくかっこいいノートPCをエムエスアイコンピュータージャパン(以下、MSI)が発表したので紹介したい。

2018年4月12日、MSIはゲーミングノートPC新製品のプレス発表会を開催した。
発表されたのは、2018年4月20日から順次発売となる5シリーズ18モデル。いずれもノートパソコン向け第8世代インテル Core プロセッサーを搭載しており、多くのモデルは筐体を改良。ゲームプレイをサポートするソフトウェアもアップデートされ、全体的に性能が向上している。


デザイン性と性能を両立した『GS65 Stealth Thin』
本来ならここらで各モデルの詳細スペックを書くべきだろうが、難しい話は置いておいて、まずはこの『GS65 Stealth Thin』を見てほしい。




14インチの17.9mm薄型ブラックボディに、ゴールドのロゴや縁取り装飾が映える。高級なナイトクラブを思わせるデザインだ。ゲーマーはもとより、エリートビジネスマンにも似合うだろう。室内にさりげなく置いてあってもかっこいい。
“小型で薄い”というのも重要なポイントである。ゲーミングノートPC(というかPC全般)に対して、大きい・厚い=高性能=メーカー一押しのフラッグシップモデルというイメージを持つPCユーザーは少なくないと思うが、MSIはそんな常識を打ち破ってきた。しかも、スタイリッシュに。
内蔵パーツは全体的に高性能(スペックは後述)。中でも特筆すべきは液晶パネルだ。縁が細い狭額面設計により、15.6インチ液晶パネルを搭載。それだけでもすごいのに、リフレッシュレートはなんと、

144Hzである。つい文字をでかくしてしまった。応答速度は7msで、視野角も広め(IPS相当)。要はデスクトップPC用のゲーミング液晶ディスプレーに匹敵する性能なのだ。
リフレッシュレートが高ければ画面はそれだけ滑らかに表示される。一瞬の判断が重視されるアクションやシューティング系のゲームではとくに有効だ。ノートPCの弱点のひとつ、液晶ディスプレーの弱さを克服してしまった。ちなみに、一般的な液晶ディスプレーは60Hz、ゲーミングノートPCの場合はだいたい120Hzである。
ハードウェア業界では、デザイン重視で性能が犠牲になることもある。たとえば、高性能パーツを積むと発熱量も多くなるため、強力な冷却システムを搭載しないと性能を十分に発揮できない。どうしても筐体サイズが大きくなってしまう。
それなのに、『GS65 Stealth Thin』は第8世代インテル Core i7-8750H、NVIDIA GeForce GTX 1070 8GB GDDR5などの高性能パーツ類を、厚さ17.9mmの本体内に収納。本シリーズ用に設計された冷却システム“Cooler Boost Trinity”により、しっかりと性能を引き出している。
筐体デザインにこだわり、性能面も申し分なし。そこに加えて144Hz液晶パネルを採用。MSIの本気が感じられる一台である。上記モデルの価格は35万円前後[税込]。
もう一度書く。何よりかっこいいのが最高。















『GS65 Stealth Thin』はかっこいいという話に続いてほかの製品を紹介する前に、いったんラインナップを整理する。
【シリーズ一覧】
GT:ウルトラハイエンドモデル
GS:超薄型・軽量 ハイパフォーマンスモデル
GE:多機能 ハイパフォーマンスモデル
GP・GF:メインストリームモデル
GL・GV:エントリーモデル

発表会の会場に展示されていたのは、『GS65 Stealth Thin』に加えて、『GE63 Raider RGB』、『GE73 Raider RGB』、『GT75 Titan』、『GP63 Leopard』の5台。それぞれの特徴を紹介する。
限界まで光らせるという選択『GE73 / GE63 Raider RGB』
かっこよさにもいろいろある。シックなデザインもいいものだが、「ゲーミングノートPC(デバイス)と言えばギラッギラのイルミネーションだ!」というアプローチもいい。
イルミネーション大好き派には『GE73 / GE63 Raider RGB』である。今回発表されたモデルのキーボードはすべてRGBバックライトを搭載していて、一部はキー単位で発光の色を設定できる“Per-Key RGB”にも対応。『GE73 / GE63 Raider RGB』にいたっては、天板パネルにRGBライト“Mystic Light”も搭載しているのだ。
Mystic Lightの発光ポイントは24ブロックに分かれており、光りかたを細かくコントロール可能。まさに光の魔術師である。
ちなみに、GE73とGE63の差は本体サイズとグラフィックボードだ。『GE73』は17.3インチでGeForce GTX 1070を、『GE63』は15.6インチでGeForce GTX 1060を搭載している。価格は『GE73』が30万円前後[税込]より、『GE63』は26万円前後[税込]。










でかくて高性能。正統進化系『GT75 Titan』
ある意味で真っ当に高性能を追求したのがGTシリーズだ。大きめの筐体に、これでもかとばかりに高性能パーツを投入。『GT75 Titan』の注目ポイントはCPUである。ゲーミングノートPCとしては初めてCore i9プロセッサーを搭載している。
2基の大型ファンと9本のヒートパイプを組み合わせた冷却システム“Cooler Boost Titan”を採用し、オーバークロックにも対応。高い冷却性能のおかげでグラフィックボードにGeForce GTX 1080を搭載可能となり、GS・GEシリーズよりランク上の性能を手にしている。価格は44万円前後[税込]より。






メインストリームモデルの『GP63 Leopard』をはじめ、幅広い選択肢に対応
メインストリームモデルの『GP63 Leopard』は、上位にあたるGE63(2017年モデル)がベースとなっている。
昨年までは上位モデル向けだった冷却システム“Cooler Boost 5”を装備し、CPUにCore i7-8750H、グラフィックボードにGeForce GTX 1060を搭載するなど、性能は十分。コストパフォーマンスにすぐれたモデルとなっている。価格は23万円前後[税込]より。






このほかにも、15.6インチの筐体にGeForce GTX 1080を搭載した『GT63 Titan』などのモデルも発表された。
GeForce GTX 1080のSLI構成(2枚挿し)モデル『GT83 Titan SLI』や薄型モデルの『GS63 / 73 Stealth』、GF、GVシリーズの第8世代CPU版も登場。ニューデザインのエントリーモデル『GL63 / GL73』も併せて、幅広い価格帯・性能から選択可能だ。










SunSisterのメインスポンサーに就任
発表会は京都コンピュータ学院で開催された。
同校は日本で最初のコンピューター系教育機関だ。今年で創立55周年を迎え、ゲーム関連の学科もおよそ20年の歴史を誇る。MSIとは2016年から協業の関係にあるとのこと。MSIは関東圏以外でのイベント開催にも力を入れており、今回の発表会も地方施策の一環なのかもしれない。
発表会には学生も参加し、司会進行は情報処理科IT声優コースの生徒が担当。製品紹介のほかに講演も行われるなど、授業のような雰囲気だった。







キリル・コシック氏は『Fusion Studio』というソフトウェアを使い、画像や映像を組み合わせていった。MSIのゲーミングノートPCは基本スペックが高いので、ゲームのみならず動画編集にも力を発揮する。
解説を挟みながら動画制作を進め、少しずつ完成が近づく。動画素材の中には、見たことのある男性が所信表明をする動画があった。

プロゲーミングチーム・SunSisterの『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)部門に所属するCrazySam、Sabrac_、gabha、Molisの4選手がスクリーンに映し出されたところで、サプライズ発表があった。
MSIがプロゲーミングチーム・SunSisterのスポンサーに就任したのだ。そういう演出かー! うおー!

SunSisterは5タイトルで活動しており、ここ最近はPC用バトルロイヤルシューター『PUBG』の日本代表チームとしても知られている。
MSIからはゲーミングノートPCの貸与やプレイ環境の構築、ブランディング&情報発信のサポートなどを受けるという。今後も国際大会に参戦する機会は多いはずなので、持ち運びやすく高性能なMSI製ゲーミングノートPCは大きな助けになるだろう。なお、情報発信サポートというと仰々しいが、要は共同でイベントを開催したりするそうだ。

さて。初耳っぽく書いたが、遅かれ早かれ何らかの協力関係を築くのかもなーとは思っていた。2018年4月1日にSunSister出演のMSI主催イベントが開催されているからだ。MSIスタッフからはSunSisterへの信頼が感じられた。
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個人的に、2018年はSunSisterにとって飛躍の年になる気がしている。
これまでは代表の太田桂氏にマネジメント業務(スポンサーとの交渉や外部窓口など、裏方全般を含む)の労力が集中していたが、今後は『Alliance of Valiant Arms』部門リーダー兼チームスタッフの鈴木悠太氏がもう1段階深くチーム運営に関わるらしい。
鈴木氏にはゲーム系専門学校講師のキャリアがある。プロゲーマーには人間的な魅力や大人としての一般常識も必要だ。教育の観点から若いプレイヤーをどう導くのか、興味深い。
また、プロゲーミングチームとして存続するには、きちんと収益を上げることも大切だ。お金が動くと責任が強くなり、本気度も上がる。とは言うものの、これまでに太田氏と話した内容を総合すると、お金の話は苦手なんじゃないかなあと思っている。勝手ながら、鈴木氏の手腕に期待したい。



日本には“日出ずる国”という美称がある。太陽の名を冠したチームの活躍で日本のesportsが夜明けを迎えるのだとしたら、何とも洒落が利いている。MSIの力を借りたSunSisterの動向と成長に注目だ。