『トラヴィス・ストライクス・アゲイン:ノーモア★ヒーローズ』最新デモプレイリポート&SUDA51インタビューをお届け【PAX EAST 18】

グラスホッパー・マニファクチュアが開発中のNintendo Switch用ソフト『トラヴィス・ストライクス・アゲイン:ノーモア★ヒーローズ』の最新デモをボストンでプレイ。須田剛一氏へのインタビューも行った。

 アメリカのマサチューセッツ州ボストンで、ゲームイベント“PAX EAST 2018”が開催中。任天堂ブースに出展されているNintendo Switch用ソフト『トラヴィス・ストライクス・アゲイン:ノーモア★ヒーローズ』をプレイし、ディレクターを務める須田剛一氏に取材を行ってきたので、その模様をお届けしよう。

 あらためて本作についておさらいしておくと、本作の舞台は架空のゲーム機“Death Drive Mk-II”(デスドライブ マークツー)用のゲームの世界。『ノーモア★ヒーローズ』シリーズの主人公トラヴィス・タッチダウンがさまざまなゲーム世界に入り込んで大暴れする。

 PAX用のデモは、先月末にサンフランシスコで行われたGDCで海外メディア向けに公開されたデモの発展形で、7本登場するとされているゲームのひとつ『エレクトリックサンダータイガーII』なるゲームの世界が舞台だ。

 ゲームのスタイルとしては、基本的にほぼ見下ろし型に近いアングル(やや斜め上からの視点で、シーンによってアングルが変化することも)の、アーケードライクなアクションゲームといった印象。架空のゲーム世界に登場する“バグ”たちを、シリーズおなじみのビーム・カタナで斬り捨てていく。

 アクションは通常攻撃・強攻撃以外に、ジャンプ、ドッジ(回避)、そして方向ボタンで選択してLボタンで出す各種スキルアクションや、Rボタンで出せる強力な技が存在。ちなみにビーム・カタナをぶん回し過ぎると再チャージしなければいけない(左スティック押し込み)という恒例の要素も。

 ボス戦では雑魚のバグが召喚されたり、広範囲の攻撃を放たれたりもするので、スキルで雑魚バグを一気に倒したり、防壁を張ったりといった作戦が有効になってくる。今回はボスの2段階目でマップギミックを破壊して倒すとクリアーだったのだが、他にどんなシチュエーションやボスバトルが待ち受けているのか気になるところだ。

R攻撃をパワーアップさせると、ドガーンと虎のオーラも出る。

 あくまでデモの範囲内でプレイした感覚としては、シリーズのスラッシングアクションをアーケードライクに楽しめるスピンオフ作品といった感じ。

 一方で、ゲーム内ゲームというメタ(入れ子)構造を抱えている本作、デモではGDCデモの内容を踏まえて「ここはPAXだから」と言及しだすような場面もあり、フリーダムでクレイジーな世界観を妙なノリの良さで「そういうもの」と説得されてしまうSUDA51節も健在だ。

 では、公式としての位置づけはどうなのか、そして日本のファンもそろそろ体験できるのか? グラスホッパー・マニファクチュアで開発チームを率いる須田剛一氏へのインタビューを引き続きお届けしよう。

プロフィール

須田剛一(すだごういち)

グラスホッパー・マニファクチュア代表取締役であると同時に、同社開発タイトルの多くでディレクターとしてゲームデザインや脚本を手掛ける。

「ナンバリングではできない冒険をさせたかった」

――『ノーモア★ヒーローズ』の1/2とはいろいろ異なる部分を感じるのですが、本作の位置づけについてお伺いしたいと思います。スピンオフとしてのトラヴィスの新しい冒険と考えればいいでしょうか?
SUDA51 まさにその通りですね。今回は(これまでの)殺し屋同士の戦いではなくて、ビデオゲームの世界に入るという、ナンバリングではできない冒険をトラヴィスにさせたかったんです。全く違う戦いを描きたいなと思ったので、それでタイトルを変えているという部分もあります。

 それと予算やチームのサイズ的にも、(旧作と比較して)今回はインディーサイズなんですよね。なので新IPとして“トラヴィス・ストライクス・アゲイン”という名前にして、これまでの『ノーモア★ヒーローズ』とは違うというのを明確にしたかったんです。

――今回のデモはアーケードアクション的な内容でしたが、カセット的にいろんなゲームの世界や要素が入ってきます。

SUDA51 そうですね、タイトルとしては今回の『エレクトリックサンダータイガーII』以外に、『キルマラソン』、『ライフイズデストロイ』、『コーヒーアンドドーナッツ』、その次が『ゴールドドラゴンGP』、最後が『シリアスムーンライト』。さらにもうひとつシークレット的なタイトルがあって、それらを順番に巡っていって“デスボール”を見つけていきます。

――ジャンル的に全部違ったりするのでしょうか?

SUDA51 基本のアクションは一緒なんですが、サイドビューだったりとか、さらにトップビューだったりとか。あとはもうちょっと特殊なもの、レースゲーム的なモノや、あっと驚くようなモノも用意しています。

――旧作にあった街パートのようなものはあるのでしょうか?

SUDA51 ないです。街の概念にあたるものが、今回はトレーラーハウスだと思ってもらえれば。めちゃくちゃ狭いですけど(笑)、あそこから常にいろんなものにアクセスしていく感じですかね。

公開されている画像には、アドベンチャーゲーム風のものも。ん、ウエハラカムイ?

――LとRのスキルについて説明していただいてもいいですか?

SUDA51 Lボタンのスキルは、ゲームを進めるに連れて集めていく形で、最大4つ好きなものをセットできます。順番に手に入れていくもので、結構な数を用意しようと考えていますが、最初は一個しかないです。(「では今回のデモで4つ入っていたのは?」)デモ用のサービスで、一般的なスキルを4つセットしておいて「こんなのを使えますよ」と遊んでもらいました。

SUDA51 Rの方は『Killer is Dead』のコンボシステムに近いんですけども、コンボを繋げていくとチャージが溜まっていって、レベル1/2/3の三段階で技を放つことができます。トラヴィスの場合はレベル3で虎(のオーラ)が出て、バッドマン(2P)だと龍が出ます。

――ビーム・カタナのチャージがやっぱりあるのに笑いました。

SUDA51 あれはもうお約束なので。ないと怒られますから(笑)。バッドマンの場合はこう(バットを縦に構えて)酒をぶわっと(吹いて)かけます。

ビーム・カタナと対をなすバットを持っているバッドマン。彼のチャージは“あぶさん”風?

――道中でコインを手に入れることができましたが、何に使うのでしょうか?

SUDA51 Tシャツを買ったり、いろんな活用ができます。大体Tシャツと思ってもらえればいいかと。

――『Hyper Light Drifter』とか、別タイトルのインディーゲームのシャツが出てくるのも面白いですね。

SUDA51 これは余力次第ですが、Tシャツによってパラメーターに影響したり、何か効果が出たりするのもシークレット的にやりたいなと考えていたりもします。

ゲーム内ゲーム、主役キャラ対主役キャラという形式から探る根源

――いろんなゲーム内ゲームがあるオムニバス的なスタイルにしようというのはどういった辺りから来ているんでしょうか?

SUDA51 それはいろんな要因があるんですけども、まず“ゲーム内ゲーム”という世界をちゃんと描こうと思ったのは、『LET IT DIE』で「“デスドライブ128”というゲーム機のゲームの中に入って遊ぶ」という仕組みを出してみて、ゲーム内ゲームとはなんなのか、その世界をもっと掘り下げたくなったんですよね。

 そこから「デスドライブ128には前身となるハードがあるはずだ」ということで、“デスドライブマークツー”という架空のゲーム機をイメージして、世界観が出来上がっていったんですけども。なので“デスドライブとは何か”ということについても今回ちゃんと描こうと考えています。

 それと実はボーンフェイスによるデザイン(今作のバッドマンのキャラクターデザインなどを手掛けている)なんかは、新企画のためのストックとして前からあげてもらっていたものだったんです。でもトラヴィスを復活させようという時に、ボーンフェイスのキャラが不思議とマッチしたんですよね。彼の絵から「これはビデオゲームのキャラクターに見えるな」といった着想も受けましたし、そこからの影響もあると思います。

――旧作と違う部分もありつつ、逆に変わらないコアの部分があるとすればなんでしょう? 例えば個性的なキャラクターかもしれないですし、スラッシングアクションとしての手触りなのかもしれないですが。

SUDA51 シリーズでトラヴィスを通じて描いてきた物語って……彼の周辺の殺し屋という存在の生き様みたいなものを、それぞれの死に様を通じて描こうと思っていたんですね。そして、死とは何なのか?

 それに対して、殺し屋ではなくて、それぞれのゲームの主役だったキャラクターたちと『ノーモア★ヒーローズ』というゲームの主役であるトラヴィスが対峙すると、それによって何が起こるのかなと。今度はゲームの主役同士としての対話になると思うんです。

――自分という存在と自分の世界のプライドをかけた戦いになるんでしょうか?

SUDA51 そういうのもあるだろうし、結局はそこから「ビデオゲームってなんなんだろう」ということを書きたいのかなと思うんですね。“デスドライブ”というハードの歴史を作って、ひとりひとりのキャラクターとそれに対応したゲームを作っていく中で、「ゲームや、ゲームの中のキャラクターたちって何のために存在しているんだろう」と思うんです。

 トラヴィスもキャラクターですし、それはメタかもしれないけど、トラヴィスならバカ正直に「ビデオゲームの存在意義ってなんなんだ」ってぶつかっていくだろうと。ビデオゲームとはなんなのか、それをトラヴィスを通じて書くのが、自分の中の今回のテーマでもありますかね。

――グラスホッパー・マニファクチュアの20周年ですし、何かシンクロする部分がありますね。

SUDA51 意外とシンクロしちゃうんですよ。自分もゲームデザイナーとして25周年ですし。いろんな意味で区切りの年なので。そこをトラヴィスを通じて面白いものが作れるといいなと。

グラスホッパー・マニファクチュア20周年&『シルバー2425』発売記念トーク&ライブイベント開催!『killer7』&『花と太陽と雨と』のリマスターをファンと約束!!

グラスホッパー・マニファクチュアは、2018年3月17日にスターパインズカフェ吉祥寺にて、グラスホッパー・マニファクチュア20周年と、3月15日にプレイステーション4向けにリリースされたアドベンチャーゲーム『シルバー2425』の発売を記念したトーク&ライブイベント“HOPPER'S Vol.5”を開催した。

日本でも触れる機会が?

――今回、GDC版のデモからなぜか体験できる量が増えているという。

SUDA51 元々は、デモに使うことにしたパートのテキストをそのまま使えなかったんで、入りと終わりだけGDCデモ用に書き換えることにしたんです。それで気が付いたら、いろんなこと(GDCに合わせたジョークなど)を書いちゃってましたね。そうなったら今度はそれをそのままPAX用に使うわけにもいかないので再度PAX用に書くことにしたら、今度はボスのフェーズ2が増えていたと(笑)。

――発売時期は2018年中ということですが、これから追い込みという感じでしょうか。

SUDA51 そうですね。今年中に発売したいです。チームのコンディションも良くなってきたので、回転を上げているところですね。GDCはメディア向けだったので、今回ようやく一般のゲーマーの皆さんに遊んでもらうことができて、実は来週もロンドンのEGXというイベントに出展させていただいて、その後も“日の出ジャパン”というロシアのイベントに出る予定なんです。

――フィードバックを得ながら詰めていくと。となると日本は……。

SUDA51 (急に意味深なトーンで)ひょっとしたら京都あたりで遊んで頂けるゲームイベントがあるかもしれないので、チェックしてみてほしいなと思います。

――詳しい人は大体察したと思いますが、グラスホッパー・マニファクチュアの公式サイトやSNSアカウントなどでそのあたりの告知が近々あるかも、ということですね。

SUDA51 よろしくおねがいします。もし京都でやるなら、またデモ用のシナリオの京都版を作りますので、そこでトラヴィスの新しい冒険を是非体感して欲しいです。ちなみにイギリス用はもう書きました。モスクワは行ったことないんで困ってますね(笑)。