既報の通り、バンダイナムコエンターテインメントのアミューズメント施設である新宿・VR ZONE SHINJUKUにて、新コンテンツ『大量破壊VRシューティング ギャラガフィーバー』が2018年3月9日より稼動を開始する。いち早く遊べた体験の模様は、別途記事をご確認いただくとして、『大量破壊VRシューティング ギャラガフィーバー』には注目すべきひとつのポイントがあった。そう、つい1月に発表されたばかりのHTC Viveの上位機種であるVIVE Proの国内初お披露目の場でもあったのだ。というか、現在“発売日未定”となっているVIVE Proをいち早く触れるというのは、なんとも貴重な機会と言える。とくにガジェット好きにとってはたまらないのではないかと推察される。
かように貴重な機会ということで、HTC NIPPONでは『大量破壊VRシューティング ギャラガフィーバー』の試遊に合わせてプレス向けの製品説明会を設定。内容は、1月にラスベガスのCESで初お披露目のプレゼントと同内容だとは言うものの、せっかくの機会だから……ということでうかがった次第。
当日プレゼンを担当したのはHTC NIPPONのディレクターである西川美優氏。HTC Viveの上位互換機種にあたるVIVE Proだが、設計にあたってまず重視したのは解像度。HTC Viveの2160x1200pxから2880x1600pxとなることで、解像度が78%向上。画面の「網目感がなくなった」(西川氏)という。さらに、VIVE Proでは音も進化。ハイレゾ対応のイヤフォンもビルドインしており(3万円~4万円相当だという)高品質な音でユーザーを没入感へと誘う。ノイズキャンセリングにも対応しているという。
VIVE Proはエルゴノミクス(人間工学)的にも進化。HTC Viveでは、長時間つけていると頬骨の上に機器の跡がついたようだが、VIVE Proでは全体の重量バランスを向上することでそれを解消。さらにフェイスクッション部分を従来から24%拡大することで、よりメガネが入りやすい構造になっているという。西川氏によると、VRチャットなどの利用者もあり、昨今VRのプレイ時間が増えているとのことで、装着時の“快適さ”というのは、上位互換機種にあって、ひとつの大きなテーマだったのであろう。ちなみに、重量に関してはヘッドマウントディスプレイ単体をとると、HTC Viveよりも重くなっているが、イヤフォン部分が追加されているので、全体の重量はやや重くなっているという。ただ、付け心地がよくなっているので、「軽くなった」と思う人が多いのだとか。
そして“スペース”。VIVE Proは従来からのSteamVR トラッキング1.0と、今後発売される2.0の両方に対応し、ベースステーションは4つまで設置可能だという。1.0がトラッキングする広さが対角5メートルだったのに対して、2.0は10メートルx10メートルをカバー。さすがに自宅で10メートルx10メートルというのは滅多にないかと思うが、HTC Viveがロケーションベースでの用途が多かったことから、業務用での利便性を想定したものと思われる。
ちなみに、西川氏のプレゼンでは、そのほかの変更点として、VIVE Proではマイクがふたつになったことやフロントカメラを2基搭載すること、接続端子がミニDPケーブルのみになることなどが告げられた。フロントカメラ2基は外部の映像対応とのことで、西川氏によると、「AR、MRコンテンツも作成可能です」というから、かなりワクワクしてしまう。
VIVE Proの販売形態としては、ヘッドマウントディスプレイのみのアップグレードキットと、SteamVR トラッキング2.0も付属したフルパッケージの2種類を予定。アップグレードキットとフルパケージ版は、基本あまりずれない時期に発売されるようだ。
さて、VIVE Proの発売時期および価格は未定。価格はどの程度になるか気になるところだが、「いまはお伝えできないのですが、いまのHTC Viveの価格と、(VIVE Proの)フルセットはHTC Viveのビジネスエディションの後継という位置づけですので、いまHTC Vive ビジネスエディションは16万円[税込]なので、そのあたりを参考にしていただくといいのかなと思います」(西川氏)とのこと。
これだけの機能ともなると、必要とされるパソコンのスペックも気になるところだが、こちらに対しても西川氏は「いま推奨スペックも最終調整中なのですが、いまのHTC Viveのいちばん下(の推奨環境)がGTX 970なのですが、それが切るか切らないかという検討をしています。GTX 1060以上であれば確実に動きます」という。
上位互換機種ということで、当然のことVIVE ProではHTC Vive用に作ったコンテンツもプレイできるわけだが、気になるのはどの程度変わるのか。この点について率直に聞いてみると、「それは既存のコンテンツがどれくらい高解像度出力に対応しているかによりますね。PCゲーム側が4Kに対応していれば、4Kディスプレイでキレイに見えるのといっしょです」と西川氏。たとえば、水口哲也氏の『Rez Infinite』は8Kまで対応しているらしいが、同作をVIVE Proで試すと、「ものすごく違いがわかります」(西川氏)とのこと。うーん、試してみたい!
ということで、プレゼンが終了したあとは、百聞は一見に如かずということでVIVE Proの試遊へ。後出しじゃんけんのようで申し訳ないが、じつは記者は午前中にすでに『大量破壊VRシューティング ギャラガフィーバー』は体験済みだったわけだが、とにかくまず驚かされたのが装着時の心地よさ。HTC Viveのネックのひとつとして、メガネユーザーによる装着感があると思っていたのだが、VIVE Proではメガネを付けたままヘッドマウントディスプレイを装着しても、一切気にならない。それは思わず「おおーっ」と声が漏れるほど。
映像は……とにかくきれい。直接HTC ViveとVIVE Proの映像を比較したわけではないので、定かなことは申せませんが、何はともあれ発色がきらびやか。『大量破壊VRシューティング ギャラガフィーバー』の華麗なビジュアルも、VIVE Proの性能を前提としてのことだと思われるが、3000体以上が登場してのきらびやかな映像美は一見の価値あり(一体験か)。
期待も高まるVIVE Pro。当然のこと、HTC NIPPONにはロケーションベース用途での問い合わせが相次いでいるという。さすがに気軽に購入できるデバイスではないが、VRの可能性を大いに広げるプロダクトであることは間違いない。まずは、VR ZONE SHINJUKUでお試しすることをおすすめしたい。