3D Realmsが、PC/Linux用のFPS『Ion Maiden』アーリーアクセス版をSteamなどで配信開始。本作なんと、20年以上昔に『Duke Nukem 3D』や『Shadow Warrior』や『Blood』といったクレイジーなFPSに使われていたBuildエンジンを採用した新作なのである。
今回のアーリーアクセス版は複数のエリアから構成されたひとつのゾーンを遊べる有料のデモ版的な内容となっており、2018年第3四半期のフルの製品版リリースにかけてコンテンツがアップグレードされていく模様。
なおフル版には7つのゾーンが収録予定で、3D Realmsのプレスリリースに従えば現在のアーリーアクセス版にはないMacにも対応するようだ。
というわけで実際にプレイしてみたのだが、まずダウンロード容量が35メガバイト前後というのに驚く。35ギガバイトではなくて、メガバイト単位である。
内容的には、『Duke Nukem 3D』をメインに『Shadow Warrior』や『Blood』の要素をチョイチョイぶち込んだ感じ……と言っても何人に伝わるのかわからないが、要はギミックたっぷりのスプライトベースのFPS。
マップ構造自体は3Dで構築されているものの、キャラクターや爆発エフェクトなどが3Dモデルではなくスプライトで表現されていて、ローポリゴンのフル3Dとはまた違う、人工感と生々しさがミックスされた独特な雰囲気になるのが特徴。
そしてマップには仕掛けが盛りだくさんで、隠し通路やシークレットルーム、トラップとしょうもないジョークがそこら中に仕込まれている。
例えばトイレに行けば当然のように小便器は流せるし(特にゲーム的な意味はないがそういう仕様にするのがお約束なのだ)、個室を開けていくと敵がいたり、開かない扉の先にアイテムが置いてあったり。
というか、仕掛けやダクトをうまく見つけないと先に進めないことすらあるので、最近の1本道気味なFPSに慣れている人は最初は面食らうかもしれない。こっちのビルでキーを手に入れ、あっちに戻り……と、ひとつの大きなエリアの中を3次元的にぐるぐるめぐりながら進んでいくのが基本で、探索要素の比重は現代の作品と比べてかなり大きい。
ちなみに本作は本来、かつて3D Realmsがリリースした『Bombshell』という見下ろし型アクションシューティングのデラックスエディションに合わせて企画されたもの。要は“デラックスエディションのおまけにレトロな前日譚がついてくる”というネタだったのが、単体のフル作品に昇格されたのが今回の『Ion Maiden』となる。
実は主人公の設定などは『Bombshell』そのままで、タイトルも同作の武器名から来ていたりするのだが、『Bombshell』を知らなくてもプレイにはまったく支障がないのでご安心あれ。
開発するVoidpointは、『Duke Nukem 3D』などを現代のマシンで動作させるためのエンジンである“EDUKE32”の開発チームメンバーのTerminXことRichard Gobeille氏と、Hendricks266ことEvan Ramos氏によるスタジオ。
つまり本作が参照する当時のゲームの構造を現在もっとも知り尽くしている人々なわけで、本作の“再現度”はとてつもなく高い。ビジュアル、レベルデザイン、仕掛け、主人公が時折発するしょうもないモノローグに至るまで、非常にハイレベルに仕上がっていて、かつちゃんと面白い。今後の開発に期待したい。