『Age of Empires:Definitive Edition』プレイインプレッション。負けるからこそハマるのが『AoE』!

2018年2月20日より配信された『Age of Empires:Definitive Edition』。RTSの金字塔にして、21年越しのリメイクを果たした本作を、当時もPCにかじりついて遊んでいたおっさんが改めてプレイしてみた。

 2018年2月20日より配信された『Age of Empires:Definitive Edition』。RTSの金字塔にして、21年越しのリメイクを果たした本作を、当時もPCにかじりついて遊んでいたおっさんが改めてプレイしてみた。

 『Age of Empires』。実際に遊んだことがない人でも、ゲーマーならばそれが有名なゲームタイトルであることをまず理解できるだろう。自分が選んだ文明を石器時代から進化させていき、他文明を圧倒していくという、世界史を題材としたリアルタイムストラテジー作品の金字塔シリーズとなっている。

 そんな『Age of Empires』シリーズに、近年驚くべき動きがあった。約10年ぶりとなる新作ナンバリングタイトル『Age of Empires IV』の発表。そしてそれに先駆け、2018年2月20日から、MicrosoftよりWindows 10専用リアルタイムストラテジーゲーム『Age of Empires:Definitive Edition』が発売となった。

まさかの初代作品のリメイクである。2017年の本作の制作発表で、度肝を抜かれた人も多かったことだろう。

 初代『Age of Empires』(『AoE』)といえば、1997年の作品である。つまり、21年前の作品だ。1999年には爆発的な人気を呼んだ続編『Age of Empires II』がリリースされたので、初代よりは『II』のほうが記憶に残っている人も多いだろう。

 かく言う筆者も、初代よりは『II』から本格的に『Age of Empires』にのめり込んだおっさんゲーマーである。学生時代にPCでレポートを書いていたはずが、いつの間にか朝までそのPCで『Age of Empires II』をプレイしていた……などといった思い出が、いまでも鮮明に思い出せる。

『Age of Empires:Definitive Edition』を見ると、「あれ、あの文明は使えないのか……」などなど、微妙な違和感を覚えたりもする。続編でかなりの新文明や新要素が盛り込まれたシリーズなだけに、仕方がない。

 今回、発売前からMicrosoftのご厚意により『Age of Empires:Definitive Edition』を先行プレイすることができたので、その模様をプレイリポートでお届けしていく。生まれ変わった部分と当時と変わらない部分、両方で驚きに満ちている本作の魅力を、ぜひ知っていただきたい。

生まれ変わった初代『AoE』に驚きつつも、最初の洗礼

 まずは『Age of Empires:Definitive Edition』が、どのようなリメイクを受けた作品なのかについて軽く解説していこう。

 一目で分かる一番の変化は、言わずもがなその解像度だ。全オブジェクトとユニットが、4K対応の美しいグラフィックで描かれている。さらに音楽もオーケストラの荘厳なものに生まれ変わり、歴史もののゲームにふさわしい雰囲気を生み出してくれている。

細かで生き生きとした動きをするユニットなどを見ていると、とても21年前のゲームだとは思えない。

ちなみに、昔のグラフィックをイメージした“クラシックモード”に切り替えることもできる。昔ながらの雰囲気とはいえ、こちらでも昔と比べて断然キレイ。

 また、UIの細かな変更などに加え、ゲーム設定にも変更が入っている。とくに顕著なのが“人口の上限”設定だ。デフォルトでは各文明ごとに作れるユニットは50体までなのだが、この上限を250まで解放することができる。

 さらにこの大規模化に伴い、カメラも従来よりも大きくズームアウトできるようになった。初代『AoE』ではできなかったより広い視点でのプレイが可能となっており、人数が増えても状況を把握しやすい。

ユニット上限を増やし、カメラワークが変わるとこの通り、初代『AoE』では考えられなかった(そもそも当時のPCの性能では確実にフリーズしていた)大規模な戦争も体験できるようになった。

 このようにUIとカメラワークが大きく改善されつつも、昔のゲーム内容はそのままとなっている『Age of Empires:Definitive Edition』。プレイしやすくなったうえに、21年前のシンプルな内容となれば、何年も『AoE』シリーズ作品に触れていなかった筆者でも無双できるだろう……と、意気揚々とプレイを開始してみた。

開始直後の模様。狩猟や採集、建設が行なえる本作の要である“町の人”と、その“町の人”を生み出したり文明を次の段階に進めたりと、文明の中核となる“町の中心”のみが与えられ、大地に放り出される。

 本作はリアルタイムストラテジーなので、ほかのプレイヤー(AI)も同じ状況から、同時に文明の発展に着手し始めている。まずは“食料”、“木”、“金”、“石”の4つの資源をひたすら集めつつ、さまざまな建造物を作っていく。

 町の人をクリックなどで選択し、対象のオブジェクトを右クリックで指定するだけで、採集やその地点への集合など、指示は一瞬で終わる。あとは近くの貯蔵庫などといった場所へと、集めた資源を自動で運び続けてくれるわけだ。

まずは優先して食料と木を集めるのが、シリーズを通しての定石。町の中心の近くにベリーの木があったのでひたすら採集し、さらに集めた食料で町の人を増やしていく。

人口の上限は、木を消費して家を建てることで増やせる。さらに町の人ではなく、戦闘を受け持つ基本的なユニット“戦士”や“投石戦士”を生み出せる、“戦士訓練所”も作る。

運がいいことに、そう遠くない場所に石と金が採れる場所もあった。これらもあとで必要になるので、採掘開始。

 リアルタイムストラテジーではこの最序盤からすでに、時間効率が非常に重要となる。町の人をどれだけ食料調達や木の伐採に回すのか、その割合をしっかり管理しないといけない。そしてあまり考えこみすぎて指示の手を止めてしまうと、その分発展が遅れていく。

 それならばひたすら町の人を生み出し、大量生産体制を築いてしまえばいいのでは……とも思われるかも知れないが、本作では町の人と戦闘用のユニットの合計が人口の上限となるため、町の人を作りすぎると戦力が圧迫されてしまう。さらに各採集ポイントは一定量の採集が終わるとなくなってしまうので、遠出がしにくい序盤の資源の量は限られている。無駄遣いは一切できないのだ。

ベリーの木はあっという間になくなってしまい、新たな食料調達の手段を別の場所で探す必要が出てきた。限られた人口と資源の中で、町の人を何人にするか、どれくらいの割合でどの採集に割り当てるかを、すばやく判断しないといけない。

 そして何より本作で問題なのが、ほかの文明とのスタート位置が意外と近く、あっという間に生活圏が被るという点だ。結果どうなるかというと、採集ポイントの奪い合いが起こる。そこで戦士などの戦闘ユニットの開発に遅れが出ていると、序盤から一方的に蹂躙されることも珍しくない。

さっそく隣の文明にケンカを売られることに。こちらがまだ棍棒で戦っているというのに、相手の主力は騎兵。勝てるわけがない!

 というわけで筆者の初プレイは、食料がないなぁとのんびり探しているあいだに騎兵に町の中心を破壊されたうえ、すべての町の人を失ったことで再起不能、敗北となった。

外交で解決するという手段もあるがあまり即効性はなく、何より貢ぎ物にする資源もないのでは話にならない。初回のプレイは、驚くほど早くゲームオーバーとなった。

負ければ負けるほどおもしろくなる、それが『AoE』!

 あまりに早くの敗北に唖然としていた筆者だが、そういえば、と昔の記憶がよみがえった。『AoE』を初めてプレイしたときも、何が何やら分からないうちに、他の文明の攻撃を受けて全滅していたものだ。

 『AoE』の魅力は、こうして敗北するたびに「あそこが遅かったのがいけなかった」などと、問題点がはっきり分かり、つぎにつなげることができる点にある。歴代シリーズ作品では大きな大会なども開かれてきたが、そこに出場していた猛者たちも、最初はこのように全滅させられていたのだ。

つぎこそはと、同じマップで再度挑戦開始。食料の迅速な回収と、町の中心で条件(いまの文明の建造物を一定数建てる)を満たすと行なえる、つぎの時代への進化を最優先で目指す。

 そもそも戦力で圧倒されたのは、“石の時代”、“道具の時代”、“青銅の時代”、“鉄の時代”の4つの時代ごとに生産できる建造物や、そこから生み出せるユニットの性能が違いすぎたためだ。時代を進めるには大量の資源が必要となるので、その確保にも骨を折らないといけない。

“道具の時代”へ進化完了し、すべての建物の見た目が変化! この時代になると木を消費して“畑”を作り、食料を確保できるようになるため、食料に悩まされることは少なくなる。その分、今度は木を大量に確保しなくてはならない。

 こうして畑もでき、食料も安定してきたところで、ではこちらも騎兵を作ってみようか……などと思っていたところに、今度は隣の文明から、騎兵ではなく早めに量産できる戦士が大量に押し寄せてきて、対処しきれずゲームオーバーにとなった。

 だが、間違いなくさっきよりは先へと進めている。つぎこそは、つぎこそは……!

せっかく作った畑を燃やされていくのは、なんとも悲しい。二度とこんなことは起こさせないと、固く誓ってつぎのゲームへ。

ちなみに設定で難易度を“簡単”にすれば、序盤に攻め込まれる頻度は下がる。ゲームの速度は、慣れるまでは“標準”にしておくのをオススメする。

 そうして誓ったはいいものの、つぎのゲーム、そのまたつぎのゲームも、やっぱり戦士や騎兵による突撃を受け、作ったばかりの畑が燃えるのを眺める時間が続く。

 ここで筆者は、やっとこさ昔学んだ基本を思い出した。こちらからケンカを売るつもりがないなら、あまり生活圏を広げず、とにかく引きこもるべきなのだと。

その基本を思い出すまで、このマップで何度も滅ぼされました。そもそも文明どうしをさえぎるものがないので、このマップだと攻められやすかったのも原因のひとつ。

 つぎのプレイではマップを変え、ひたすら引きこもって生活してみることに。すると攻め込まれることはまったくなく、畑も潤い、どんどん軍備も整っていったのだが……そもそも、戦闘そのものが起こらない。

国境間を遮る森が多いこのマップで、石壁まで建設してやりました。

 さすがに何も起こらず時間が過ぎていくのに違和感を感じ、港で船を作って周辺の海を探索してみると……なんとこのマップ、4つの文明それぞれが別の島にあったのだ。そりゃ序盤に攻め込まれないはずである。

 結果、独自の発展をしっかり遂げていた他文明が“民族の象徴”を建造し、そこから一定時間経過させることによる勝利条件を満たしたため、敗北。気付いたときにはもはや、手の出しようがなかった。

せっかく大軍を組織できたというのに、海の向こうへ慌てて派遣しても、民族の象徴の破壊は間に合わなかった。

 だが、これで石壁を作ったり、周辺を偵察することも非常に重要だということも学べた。そこからは転々とマップを変えつつ、プレイを重ねていく。

 そうして何度敗北したか数えるのも面倒になってきたころに、いよいよチャンスが巡ってきた。石壁で自分の文明の畑などを守りつつ、射程内に入った敵を自動で攻撃してくれる見張り台を、数多く設置していく。これがうまい具合に、攻撃と防衛の両方を兼ねてくれた。

このとき使用した文明は“シャン”。初代『AoE』の大会などでは禁止文明とされたこともあった、町の人の生産コストが少なく済むなど、非常に強力な能力を持つ文明だ。

 見張り台や石壁は強力だが、建造には大量の石を必要とする。そのため、文明の外郭部へも、積極的に採集のために乗り出していく。もちろん、そこにも見張り台を増設し、外敵から採集する町の人を守っていくわけだ。

見張り台は建造物なので、人口の上限には引っかからない。その場から動かせないが耐久力が高く、石があるかぎりいくらでも増やせる、頼もしい攻撃手段だ。 

 こうして周辺の資源を確保することは、周辺の文明の発展を遅らせることにもつながる。おかげで強力な騎兵ユニットをこちらが大量生産できたころには、周囲の文明はまだ満足な軍備ができていない模様だった。

 一部、投石機などの強力なユニットを生産していた文明もあったが、騎兵の機動力でたたき伏せれば問題ない。これまでの仕返しとばかりに、周辺の文明へと騎兵を中心にした戦力を送り込み、町の中心を破壊していく。

強力な敵ユニットも何体かいたが、“聖職者”を2、3人連れていけば味方ユニットの治療ができるうえに、敵ユニットをこちら側へ寝返らせることもできる。こうして運用が安定した騎兵隊により、各地の征服が進んだ。

 町の人が全滅するなど、再起できない状態になるのが本作での敗北条件だが、そこまで至らずとも、大打撃を受けてからの逆転は難しい。周辺の文明を壊滅できなくても逆転不能なところまで均等に追い込みつつ、ついに勝利を収めることができた。

 このときは時間が深夜だったにも関わらず、リアルなガッツポーズと歓声が漏れるのを止めることができなかった。それほどまでに、敗北を重ねた果てに得た勝利が嬉しいゲームなのだ。

資源を1000単位で使う民族の象徴の建造にすら着手できた、余裕の勝利である。ものすごいスコア差がついているので楽勝だったように見えるかも知れないが、これは序盤に資源回収の妨害に成功したからこそ。

シンプルだからこそ『AoE』のおもしろさが凝縮されている!

 そのあとのプレイも、勝ったり負けたりと浮き沈みが激しかったが、一度勝利できてコツを掴めてからは、一方的に負けることはまずなくなった。最初は難しいゲームという印象を受けたが、操作に慣れてくればそんな不安も、いつの間にか払拭されていた。

 加えて、選んだ文明ごとに与えられる特殊な能力や、独自のユニットなどにも目をやる余裕が生まれ、さらに本作を楽しめるようになっていった。

1997年当時に大会などで禁止扱いとなったいくつかの強力な文明や、拡張パックで追加された強力な文明“ローマ”など、文明間のパワーバランスは『Age of Empires:Definitive Edition』でもそのまま残されている。

 また、以降の『AoE』シリーズとの差異も、落ち着いてきたことでやっと見えてきた。とくに、石壁に“門”を付けられるようになったのが『II』以降だったということに気が付いたときには、本作の長い歴史と進化を実感したものだった。

石壁を作ったら外との出入りができなくなったので、あわてて隣接する森を伐採するハメに……。“門”が初代『AoE』にはないため、石壁の使いかたにはコツが必要なのだ。

 『AoE』の『II』以降の続編ではより文明の数や時代が増え、建造物やユニットの種類も増えた分、長時間、かつより深く楽しめるようになっている。だが、『AoE』の基本的な楽しさについては、この初代ですでに完成していたのだなぁと、何度もプレイする中で強く感じられた。負けるたびに、「つぎ!」と、またプレイしたくなる。そしてプレイするたびに自分の上達が感じられ、さらにつぎへのモチベーションが上がっていく。これぞ『AoE』の、シリーズを通して変わらない醍醐味なのだ。

 続編作品とは異なり、建造物や生産できるユニットが少なく、時代の数も少ない分、短時間で濃密な対戦を何度もくり返し楽しめる。そして何より、『AoE』に不慣れな人でも非常に分かりやすい内容となっている。『AoE』入門用としても、『AoE』の魅力をくり返し味わえる作品としても、広い層にオススメできる作品だ。

慣れてきたら、美しい文明の外観にこだわってみるのもいい。一回のプレイ時間が短めな分、数多くプレイできるため、思いもよらない展開やおもしろさに遭遇する頻度も高いはずだ。

 さらに本作は、Xbox Liveでのマルチプレイにも対応している。加えてシナリオエディタ機能の拡充によって、自作のシナリオキャンペーンを公式アップローダーを通じて、世界中に配信することもできる。ふつうの対戦とはまた異なるドラマチックなシナリオモードのデータが、全世界のユーザーの手によって無限に生み出されていくわけだ。

初代『AoE』で世界中のプレイヤーと遊べる日が来るとは、20年前のゲーマー諸兄は想像すらしていなかっただろう。

 通信対戦にシナリオモードと、初代『AoE』時代にはなかった楽しみかたも充実している『Age of Empires:Definitive Edition』。すでに発表されている『Age of Empires IV』までのつなぎとなるライトな作品、などと当初は考えていた筆者だったが、大きな間違いだった。

 負けるたびに不思議とモチベーションが上がり、プレイするたびにおもしろくなっていくこの感覚。ぜひ皆さんにも、実際に体験してみてもらいたい。 



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