2018年2月13日(現地時間)よりカナダ・モントリオールで開催中のPC版『レインボーシックス シージ』のプロリーグ“Six Invitational 2018”。ここでは、現地で発表されたYear3についてのインタビューをお届け。新オペレーターの特殊ガジェット能力やCo-opモード“アウトブレイク”、eスポーツについて気になる点を直撃した。

Leroy Athanassoff

『レインボーシックス シージ 』リードデザイナー。リードデザイナーおよびプロジェクトマネージャーとしてビデオゲーム業界で10年以上の経験を有し、2016年以降は『レインボーシックス シージ 』チームに所属。デザイン、製造プロセス、eスポーツに関連するすべてのものに情熱を燃やし、ゲームデザインのさまざまな側面に創造力をもたらしている。

Francois Xavier Deniele

eスポーツディレクター。EMEA地域のブランドマネージャーとして『Rayman Legends』や『The Crew』、『Far Cry 』4まで、さまざまな製品ラインアップのマーケティングキャンペーンを展開し、『レインボーシックス シージ 』のキャンペーンを担当。2017年1月には、Ubisoft EMEAのエスポート部門を設立している。

新オペレーターや“アウトブレイク”について

『レインボーシックス シージ』eスポーツ、Year3“オペレーション キメラ”、Co-opモード“アウトブレイク”インタビュー_01

ーーYear3シーズン1で導入されるFINKAとLIONは両方ともにアタッカー(攻撃側オペレーター)ですが、このようにした理由は何でしょう? バランスが崩れないか心配です。

Leroy Co-opモード“アウトブレイク”を考えると、ディフェンダーよりアタッカーの方が理屈にあっていたからです。アウトブレイクを進めることで、寄生生物“Apex”のオリジンを見つけることになります。

ーーFINKAとLIONを導入することで、戦いはどのように変化するでしょうか。

Leroy ゲームプレイは大きく変わると思います。今回初めて、ボタンを押すとマップ全体に影響が及ぶアビリティを追加しました。また、現在のメタはディフェンス寄りなので、この二人が加わることで少しはアタッカー寄りにできると考えています。

ーーシーズン3で実施されるマップのリワークにおいて、とくに注意して修正した点はどこでしょう。

Leroy マップのリファレンス作業時は人質ルールを意識して作成し、現在は爆弾ルールを使ったものに完全にシフトしています。不具合があってはならないので、細心の注意を払っています。

ーーマップリワークで、現在プレイできないマップが復活する可能性はありますか?

Leroy すべてのオペレーターを登場させたいのと同様に、可能な限りすべてのマップを再登場させたいと考えています。“ヨット”をシーズン1で復活させ、“クラブハウス”についてはリワークして配信するる予定となっていますが、他のどのマップをいつリワークするかは、まだお話しできません。また、古いオペレーターたちもリワークする可能性もあります。

――各オペレーターの背景を描くことに注力するとのことですが?

Leroy 本作の世界観に対して、ファンがどれだけ魅力を感じているのかがわかりました。彼らは多くのファンアートやイラスト、コラージュやムービーを作成してくれています。オペレーターの背景についての情報は少ないのにも関わらず、彼らはゲームの最も細かい部分にまで注目して、オペレーターたちのストーリーや前後関係を作り出しており、その創造性に驚かされました。今後、私たちが各オペレーターの背景やパーソナリティーを掘り下げることで、ファンがどんな反応を見せてくれるのか、非常に楽しみにしています。

――その第1弾となるのが、アッシュですね。

Leroy アッシュのストーリーは、ファンの期待に応えられるものになると思います。彼女は仕事のできる強い女性で、そのリーダーシップにフォーカスしたストーリーを予定しています。

――将来的に100人ものオペレーターを実装するとのことですが、プレイヤーが管理するのは大変そうに思えます。1シーズンごとに使えるオペレーターを制限するのでしょうか?

Leroy いえ、そうではありません。100人は同時に使えるようになります。Pick & Banシステムによって、マッチごとにプレイヤーがどのオペレーターをBanするかを決める形ですね。

――本作は、カウンター・テロが題材なので、“アウトブレイク”が地球外生物によるものだというのは意外でした。

Leroy 幅広い層にプレイしてほしいものにしたかったので、政治的な題材、リアリズムのあるものから離れて、地球外生物のほうがしっくりくるのではと考えました。

――アウトブレイクでは、タチャンカのRP-46軽機関銃がすごく役立ちました! タチャンカのために作られたモードかと思うくらいです!!

Leroy そうですね! タチャンカに光を当てたい思いはありました。

――Year3シーズン1で追加されるオペレーターはどちらも攻撃側です。シーズン2で導入されるオペレーターはどちらも防衛側が登場するという認識であっていますか?

Leroy はい。シーズン2では、バランスを取るために新たに2名のディフェンダーを追加します。

――現状、ディフェンダーはトラップ系が多くて、おもしろみが薄いというユーザーの声もありますが?

Leroy ディフェンダーにトラップ系が多いことは認識していますが、LionとFinkaが入ることで新たな戦略性が生まれ、ディフェンダーの活躍のしかたが変化することを期待しています。

――それでは最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

Leroy eiNsのパフォーマンスには度肝を抜かれました。彼らの試合は非常にエキサイティングで、世界中が驚いたことだと思います。日本の皆さんにとって、彼らはとても誇りに思える存在になったと感じています。これからの活躍にも期待しています。


リーグやイベントについて

『レインボーシックス シージ』eスポーツ、Year3“オペレーション キメラ”、Co-opモード“アウトブレイク”インタビュー_02

――Six Invitationalのコンセプトをお聞かせください。

Francois Six Invitationalは『レインボーシックス シージ』を“真に祝福するもの”だと思います。世界中からチームが集まる究極のトーナメントであり、ファンが驚く新たな発表も用意しています。来年は競技のフォーマットを変更することを発表したばかりですし、ショーのクオリティーはつねに改善していきます。Six Invitationalは、今後もそのyearの最後を飾るメインイベントであり続けます。

――今回、モントリオールで開催した理由はなんでしょうか?

Francois モントリオールは、まさに本作が生まれた場所です。このイベントはゲームを祝福するものなので、そういった意味も込めて、今回はモントリオールが選ばれました。

――次回はパリでの開催となりますね。

Francois Ubisoftの本拠地がフランスだからということもありますが、フランスのeスポーツ市場も重要だと考えています。eスポーツタイトルとして、多くの場所でイベントを行うことは大事ですね。

――Year3では大会のルールやフォーマットを変更するとのことですが?

Francois 2018年6月(シーズン2)より、プロリーグにオペレーターのBANシステムを採用します。BANしたオペレーターは敵チームおよび自チームでも使用不可になるのですが、その状況に対して素早い判断や対応が必要になり、プレイヤーだけでなく観戦者にとっても試合ごとの印象が変わりますし、おもしろさが増すと思います(「ポーカーゲームのように」と表現)。攻守交代のフローを変更することも予定していますが、こちらもゲームの戦略性に変化をもたらすものになります。

本作は、数ヵ月おきにゲーム性に変化を与えることでも知られています。あらゆる部分に手を加えて、新たな楽しさを提供し続けるために、さまざまなことをテストし、改善できるところは改善していきます。こういった変化を加えることが、『レインボーシックス シージ』のDNAのひとつだと思っています。

――アジア地域の市場についてどうお考えでしょうか?

Francois アジア地域に対して我々はさまざまなアプローチをしており、またその内容には誇りを感じています。アジア市場にとってYear2は変革期と言えるものでした。Year2初頭にはAPACリーグ導入し、その中で日本のeiNsはメインイベントの試合で大きな活躍をしました。アジアチームにとって、それはとてもいい刺激になったと思いますし、彼らはさらに活躍の場を広げてくれると確信しています。アジア地域はeスポーツの大きな市場であり、今後は投資をするに十分な価値や必要があると考えていますので、日本や韓国で選手の成長を促すべく、ローカルなトーナメントを開催していく予定です。

――今回のSix InvitationalでもeiNsやMind Freaks(オーストラリア)の活躍が見られました。

Francois チームができたばかりの頃は、海外チームと対戦するのことは大変だったと思いますが、今回は両チームともいい結果を出していますね。eiNsのスキルは1年間で非常に高くなっていますし、プロリーグ・ファイナルに出場したときからチームのプロ精神に感心していました。自信を持って、今後も活躍してほしいですね。

――日本での盛り上がりについてはどんな印象でしょうか?

Francois 日本で本作の人気が高いことにはとてもうれしく思います。日本とブラジルの市場は、よく比較対象にしているのですが、ブラジルではeスポーツがひとつのムーブメントになっています。ですので、これから日本で展開していくことにも自信を持っています。日本の視聴数はいい数字で推移していますし、状況は今後ますますよくなると思いますね。

――APACファイナルを日本で開催する可能性はありますか?

Francois いまは「乞うご期待」とだけ……。日本は我々にとって大きな市場になりつつありますので、近いうちに何かやることは確かです。

――期待しています。日本のプロチームに向けてメッセージをお願いします。

Francois APACの中で日本のチームは大きな存在になれると思います。日本に根ざしたサポートや投資を続けていこうと考えていますので、ぜひともゲームをプレイし続けてください。