2018年2月10日、東京ディズニーリゾートで、ディズニーファン向けに開催されているイベント“D23 Expo Japan 2018”にて、“キングダム ハーツ プレミアム シアター 2018”が開催。同ステージでは、既報の通り、『キングダム ハーツ III』のテーマソングが宇多田ヒカルさん書き下ろしの『誓い』に決定したことや、新ワールドにピクサーの『モンスターズ・インク』のワールドが登場することも併せて発表された。
それ以外にも2018年発売予定の『キングダム ハーツ III』の開発状況や現在配信中のスマホゲーム『キングダム ハーツ ユニオン クロス』のコラボ情報などが明らかにされたので、それら情報をまとめてお届けしよう。
橋本氏の挨拶に続いて、『キングダム ハーツ』シリーズのディレクター・野村哲也氏が登壇。本ステージは“プレミアム シアター”と銘打っているだけに、映像中心の内容となり、野村氏がそれぞれの映像に解説していく形で進められた。ちなみに、映像は“プレミアム シアター”だけで公開されたスペシャルなもので、映像の撮影は禁止。ここからは、ほぼテキストのみでお届けしますのでご了承ください。
まず、最初の映像は、ソラを演じる入野自由さんと、カイリとシオンを演じる内田莉紗さんからのビデオメッセージ。
ビデオメッセージの中で入野さんは、ソラを演じることについて、自身もソラといっしょに成長してきているところがあるので、声の印象やしゃべりかたはおのずと変わってきているが、「変化という意味では、自分ではそこまで意識をしていなくて、いままで(の経験を経て)変わってきた部分が、自然とソラに乗ってきている」とコメント。また、『キングダム ハーツ III』を開発中の大阪のスクウェア・エニックスに行った際に、「膨大な情報量とデザインと、いろいろな試行錯誤、みんなの努力が、ああいう形になっているんだなと改めて感じて、いっそう『KH』をいいものにしたい」と、気持ちがより高まったという。現在のお気に入りのワールドは『トイ・ストーリー』の世界。「ソラがついに『トイ・ストーリー』の世界に入ることができたという喜びと興奮は、完全ファンの皆さんと同じ気持ちでした」。最後に「ソラの持つ好奇心とか冒険心とか、そういうものといっしょに僕自身も成長できて、この15年の道をいっしょに歩けて本当に幸せです、ありがとう……っていう言葉をかけたいですね」とソラへの感謝を述べた。
内田さんは、「『KH』のほかのキャラクターを演じるなら?」というトークテーマで、「強くてカッコいい。声優の豊口めぐみさんにもお会いして、本当に素敵な方だったので憧れます」という理由でアクアを挙げた。また、『キングダム ハーツ III』については、「いままで登場しなかったあの作品や、私が大好きなあの作品も登場するという噂を聞いているので、とても楽しみにしています。とにかくいまは、早くカイリに会いたい気持ちでいっぱいです。一生懸命がんばります」と意気込みを語った。
入野さんと内田さんのふたりで語り合うパートでは、『キングダム ハーツ』の第1作目の収録時に、いっしょに団子屋へ行ったり、役作りをしたという懐かしいエピソードや、最近も互いの舞台を観に行くなど、ソラ、リク、カイリのような仲のいい関係がいまも続いていることなどが語られた。また、入野さんはしばらく海外に行っていたが、当時はリュックひとつで行動していたのだとか。「語学の勉強と、世界のいろいろなお芝居を観たい」という理由で海外に行き、「ソラになった気分じゃないけど、いろいろなワールドを旅して、いろいろな人に会って話をして、ソラみたいな冒険をしている感覚」だったという。
そんなビデオメッセージを見た野村氏は、ふたりについて「最初に会ったころのまま、すごく素直で、何も問題も起こさず(笑)、大人になってくれてよかった」と、親心に近い心情からのコメントとなった。
『キングダム ハーツ ユニオン クロス』と『ファイナルファンタジー レコードキーパー』のコラボが決定
続いての映像は『キングダム ハーツ ユニオン クロス』の開発風景や神藤辰也氏などコアスタッフとの会議(?)を撮った動画が公開。同作で人気のストレリチアのパーツはほかのキャラクターより細やかなモーションが取れるようにパーツが増やされていることや、同作が海外で作っていると言われるが、ブラウザゲームのときから東京で制作していることなどが明らかに。「ストレリチアはあのままなのか!?」と神藤氏が野村氏に問うシーンでは、もちろん答えは明らかにされなかったものの、多くの『キングダム ハーツ ユニオン クロス』プレイヤーと同様に、開発スタッフも気になっていることがわかる。ストレリチア大人気。
以下は今後の予定をピックアップ。
・春頃に大きいアップデートを仕込んでおり、PVP(対人戦)コンテンツが実装される。
・『キングダム ハーツ ユニオン クロス』を遊んでいるユーザーに、「『キングダム ハーツ III』でお得になる感じの連動」を検討中。関連するそれらのプロジェクトは、“エクストレス”と総称されている。「『キングダム ハーツ III』と『キングダム ハーツ ユニオン クロス』は無関係じゃないんだな、というのがよりわかる。がっつりと絡んでいく感じかな」と野村氏。
・2月23日から『FFレコードキーパー』とコラボイベント開始。ケフカやギルガメッシュが『KH』風にハートレスとしてアレンジされて登場する。ドット絵のアバターも!
・『FFレコードキーパー』側もドット絵のソラやリクが登場するなど、すごく力を入れてやってもらっている。事前キャンペーンではグミシップをドット絵で再現しており、野村氏も「こっち(『キングダム ハーツ ユニオン クロス』)にもらえないかな(笑)」とお気に入りの様子。
・「ヴェントゥスはあのヴェントゥスなのか、ラーリアムはあの人物なのか」という質問に対し、「ヴェントゥスはあのヴェントゥス。ラーリアムはラーリアム」と野村氏。続けて「『キングダム ハーツ III』をやってもらえれば、そのへんがつながるので楽しめるかなと」。
・『キングダム ハーツ ユニオン クロス』でシリーズ初登場となる新ワールドもある。「そこでストーリーがガラッと変わっていく」(野村氏)のだとか。
レアハートレスが登場! グミシップがオープンワールドに!? LSIゲーム風のミニゲーム!? 『KHIII』情報盛りだくさん
そしていよいよ、『キングダム ハーツ III』の新情報公開のパートへ。まずは、新ワールドの『モンスターズ・インク』の世界や、『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルの華麗な動き、ド派手なバトルシーン、意外なキャラクターの登場などなど、見どころ満載の最新PVがお披露目された。
続いて、野村氏が「かなり順調です」という開発の模様が映像リポートの形で流された。この秘蔵メイキング映像から、どのように『キングダム ハーツ III』が作られているのか、そしてここで判明した新事実など、気になる内容をピックアップしてお届けしよう。
・カットシーンは、まずシナリオをもとに絵コンテを作り、それをもとにボイスを収録し、ボイスをもとにアニメーションを作成し、レイアウトを行うといった流れで進行。簡易モデルで調整を行いながら、カメラアングルやシーン切り換えのタイミングも決めていく。その手順が、『塔の上のラプンツェル』のワールド冒頭のシーンをモチーフに解説された。
・『キングダム ハーツ III』から新設されたライティング班は、リアルなライトでカットシーンやゲームプレイを引き立てる役割を担う。「ライトによって見た目がぜんぜん変わる」とCo.ディレクターの安江(泰)氏が言うように、実際に『トイ・ストーリー』のワールドでライトの有無や場所などを変化させて見せてくれた。「今回は、キャラクターをかわいらしく、美しく見せるというのを、ひとつの目標にしています」(安江氏)とのこと。
・フェイシャル専門で、アニメーションを制作するチームもある。ソラの眉や目、口角など、いくつものパーツを連動させつつ動かして、豊かな表情を実現している。
・これまでのシリーズ作では、モーションをひとつひとつ手作業で付けていたが、今回は物理制御を取り入れ、ラプンツェルの髪などはハード側で計算を行って動かしている。ラプンツェルの髪は、マップ上にさまざまなオブジェクトがあるため、それらに変に干渉しないようにしつつ動かすのが難しいとのこと。ちなみに、髪は風が吹いている場所であれば自然にそよいだりもする。また、ラプンツェルは髪を木に巻きつけて回転したりと、安江氏いわく「攻撃方法はバラエティーがあって、地形に対していろいろと反応します」。
・巨大プリン型のレアハートレスも公開。アクセサリのように頭に乗せているフルーツによって種類が違うらしく、遊びかたが変わるという。これはやり込み要素にあたるもので、「それぞれに専用のミッションがあります」(安江氏)。
・ワールド間の移動といえば、グミシップ。今回は戦闘フェーズと探索フェーズに分かれており、探索フェーズではマップを自由に移動しながら、ルートやお宝を探すことができる。「グミシップはオープンワールドな感じです」と、安江氏がイメージを語った。
・「詳しくは言えないんだけど」という野村氏の言葉とともに映し出されたのは……ゲームウォッチのようなシンプルなLSIゲーム風の画面。巨大な敵の攻撃を小さく表示されたソラが避けるミニゲーム風で、画面の枠やボタンの表示もあり、ゲーム内ゲームのようなおもむき。「長年の夢がついに実現する」という言葉から察するに、野村氏肝入りの企画らしい。
・『塔の上のラプンツェル』のマップも一部公開。城下町にはたくさんの人がおり、とてもにぎやか。シリーズ作でNPCが多数街にいるのは、かなり新鮮。また、水場に飛び込んで泳ぐソラのアクションや、編んで花をあしらった髪がかわいらしい、ラプンツェルのカットシーンも少しだけ公開。
・野村氏が“武器商人”と呼ぶ、キーブレードの制作スタッフの仕事もチラ見せ。『モンスターズ・インク』のキーブレードは、いろいろなパーツが寄り集まってできたような構造。デザインを行うにあたっては、実際に映画のシーンを細かく分析し、そこからパーツを抜き出して集約したとのこと。ハードの表現力が上がっているため、エフェクトを贅沢にといった提案も行うそうだ。
・グミシップでの移動時に登場する、「シャープで角ばった感じ」の敵のラフ画も公開。グミシップ用の敵は30体以上いるそうだ。ちなみに、グミシップにはオプション(装飾)をつけられるとのこと。そのモチーフには、野村氏の愛猫も!
『キングダム ハーツ III』はすべてがケタ違い
続いて、野村氏や安江氏を始めとする、開発のコアスタッフが集った進捗会議の模様も流された。こちらも、内容をピックアップしてお伝えしよう。
・キャラクターセクション
メインのキャラクターたちについてほぼ終わっている……と思っていたところ、ごく最近「キャラクター班はまだ余力がある」と聞いた野村氏によって、追加になったキャラクターがいる模様。「動かないやつだから」と言う野村氏に対し、「動かなくても、棒みたいな人じゃダメなわけでしょ? わかってるでしょ?」と、スタッフが詰め寄る場面も(笑)。
・背景セクション
背景は、十数個あるというワールドのうち、大きく前半ロケ(ロケーション)、中盤ロケ、後半ロケの3つに分けられている。前半ロケには『モンスターズ・インク』や『トイ・ストーリー』が含まれ、完成度は約90%。『塔の上のラプンツェル』を含む中盤ロケは、約60~70%。背景チームは恐らくスクウェア・エニックスで最大規模とのことで、大阪・東京のほか、海外の会社にも発注しているとのことだ。
・モーションセクション
着地点が見えてきてはいるものの、企画側が後から「あれをやりたい、こんなこともしたい」というオーダーを追加してくるため、まだまだ全力稼動中。とくに後半に追加された、「ゴーッて動くやつ」が、何がどうたいへんかはまったく謎だがたいへんらしい。「前から言ってた!」「聞いてない!」という、企画をぶち込む安江氏との攻防は日常茶飯事?
・安江氏いわく、「今回の『キングダム ハーツ』はケタ違い」。1個のワールドがひとつのゲームに相当し、ワールドごとにやることがまったく違ってくるという。「僕のお気に入りのワールドがまだ未発表なので、そこも楽しみにしてほしい」。
・ラストステージは、野村氏が「ずっとやってみたいと思っていた。今回はそれをやってもらおうとしているので、どこまで実現するか、どう動くのか楽しみ」と、長年温めていた企画と発言。「動く」ということは、何かしらの大掛かりなギミックがあるのだろうか?
動画では、互いの信頼関係があるからこそのやり取りが見られ、「現場が緊迫した感じじゃないのは伝わったかなと」という野村氏の言葉通り、スタッフ自身も楽しみながら制作に取り組んでいることがうかがえた。また、『キングダム ハーツ III』には、「メイキング動画でお見せした通り、表に出ていない部分がたくさんありますが、完成に向かっています」とのこと。
そして、本イベントの終盤にはサプライズゲストとして王様が登場! 客席を回って来場者とハイタッチしながら触れ合い、会場を大いに盛り上げた。
記念撮影も終わり、これでイベントも終了かと思われたが、野村氏は去り際に「最後にとっておきの情報を」とひと言。公開されたのは、『キングダム ハーツ III』のテーマソングをお披露目するPV。テーマソングは宇多田ヒカルさん書き下ろしの『誓い』だ。PVの冒頭でテーマソングを宇多田ヒカルさんが担当することが明らかになると、会場からはこの日いちばんの歓声と拍手が。また、こちらのPVには新衣装をまとったリクと王様が登場。「もうひとりの俺のために」と、欠けたキーブレードを闇の海岸に残すリク。もうひとりの彼とは……!?
新情報が出るたびに驚かされ、期待感が高まりまくる『キングダム ハーツ III』。PVの端々からケタ違いのゴージャスさと尋常じゃないおもしろさが伝わってくる。発売は2018年予定。まだまだ公開されていない驚きのネタも多々あるようなので、それらの情報にワクワクしながら、お祭り気分で発売までの日々を楽しもう。