2018年1月14日、東京、JFAハウス 日本サッカーミュージアムにて、KONAMIのサッカーゲーム、『ウイニングイレブン2018』(以下、『ウイイレ2018』)の世界大会、“PES LEAGUE WORLD TOUR 2018”のアジアラウンドが行われた。ここではその模様をお届けする。
世界トップクラスの『ウイイレ』プレイヤー16名が東京に集結!
“PES LEAGUE”は毎年『ウイイレ』の最新作を用いて行なわれる世界大会。『ウイイレ』シリーズをやり込むプレイヤーにとってはもはや恒例になっているイベントだが、今年の“PES LEAGUE2018”は大会形式が大幅にリニューアル。オンライン予選や世界各地で行なわれるオフライン大会で好成績を残したプレイヤーがアジア、南北アメリカ、ヨーロッパで行なわれるラウンドに参戦。各大会での成績に応じて加算されるポイントを競い、今夏に行なわれる決勝大会を目指すツアー形式へとスケールアップした。そのため例年は日本を始めとしたアジアのプレイヤーが中心だった東京での大会から、世界各国の強豪選手が参戦。以下のような国籍の『ウイイレ』プレイヤー16名が4つのグループリーグに分かれ、決勝トーナメントへの進出を争った。
・PES LEAGUE WORLD TOUR 2018 参加選手
※カッコ内は選手の国籍/使用チーム
グループA
Neo_Kampfer(フランス/RBライプツィヒ)
oldboy10-(韓国/RBライプツィヒ)
josesg93(スペイン/リバプール)
GuiFera(ブラジル/PSG)
グループB
andry_pumas(メキシコ/ドルトムント)
Ettorito97(イタリア/バルセロナ)
Neo_Lotfi(フランス/ドルトムント)
SOFIA(日本/ドルトムント)
グループC
Alex Alguacil(スペイン/PSG)
INDOMINATOR(オランダ/アヤックス)
jhona_KRA(ペルー/バルセロナ)
mayageka(日本/PSG)
グループD
Oneill(フランス/リバプール)
TioMiit_PW(フランス/PSG)
Fmestre12(ブラジル/PSG)
Karaage(日本/リバプール)
ヨーロッパ、北中米、南米、そしてアジアと、プレイヤーの多様な国籍が目を引く本大会だが、『ウイイレ』プレイヤーにとっては“使用チームがバラけている”のも驚きのひとつではないだろうか。これは『ウイイレ2018』から導入された、お互いのチームの選手の総合能力値が互角になるように調整される大会モード独自の仕様によるもの。そのため参加プレイヤーによって重視する点(選手に設定された固有スキルの多さ、身長や足の速さといったフィジカル面の能力、自分のプレイスタイルに合ったチームetc……)に差ができ、使用チームがバラけたようだ。
そしてチームの多様性が増した影響か、ピッチ内で採られる戦術のバリエーションも広がった印象。具体的には後方からのビルドアップに足の速い選手に向けて放たれる縦への大きなパスが増加。サイドを一気に駆け上がって敵陣の最奥まで進入し、そこからショートパスに近いクロスを放つか、ドリブルで崩しに入るプレイが目立った。一方でショートパスを繋いで攻め上がっていくスタイルも健在。とくに敵陣バイタルエリア~ペナルティーエリア前に入ると、狭いスペースをテンポの速いワンツーで崩すシーンも多く見られた。
そんな近年のPES LEAGUEとは少し毛色の違った本大会のグループリーグから抜け出したのは以下の8名。前大会王者のGuiFera(3戦全勝)、アジアチャンピオンのmayageka(2連勝で早々に勝ち抜け)が危なげない試合内容で勝ちあがる一方、アディショナルタイムのラスト1プレーでの失点が響き前大会準優勝者のEttorito97選手が敗退するという波乱も起こった。
決勝トーナメント進出者
グループA
josesg93、GuiFera
グループB
andry_pumas、SOFIA
グループC
Alex Alguacil、mayageka
グループD
TioMiit_PW、Fmestre12
波乱と言えば、グループリーグから間を置かずに行なわれたトーナメント1回戦、準々決勝でも「オフライン大会の実績が少ない」と言われていたSOFIA選手が、前世界王者GuiFera選手を撃破するジャイアントキリングを達成(高い位置でのプレス、パスカットがハマり、試合内容的にも完勝の1-0)。準決勝にはSOFIA 、josesg93、TioMiit_PW 、mayagekaという、グループリーグでは2位だった面々が駒を進める形になった。
数時間のインターバルを置かれて行なわれた準決勝は、SOFIA(ドルトムント) 対TioMiit_PW(PSG) 、josesg93 (リバプール)対mayageka(PSG)という組み合わせ。
1試合目のSOFIA 対TioMiit_PWは、準々決勝と同様、SOFIA選手が積極的な守備でのボール奪取、そこからのショートカウンターという、クロップ時代のドルトムントのような攻守の切り替えの早さで試合を優位に展開。しかし得点を奪うまでには至らず、後半に入ると互角の展開、延長戦に入るころにはドルトムントの選手に疲れが見え始め、じょじょにTioMiit_PW選手がゲームを支配し始める。せめてPKには持ちこみたかったSOFIA選手だったが、試合時間116分ごろに守備が決壊。左サイドを突破され、最後はカバーニに流し込まれて試合終了。TioMiit_PW選手が1-0で勝利した。
準決勝2試合目、josesg93 対mayagekaは、1試合目とはうって変わり、開始早々にmayageka選手が立て続けにゴールを決めて0-2とする展開に。点差に加え中盤での攻防でもmayageka選手が優位だったため、勝敗はこれでほぼ決まり……と思いきや、ここから試合は荒れ模様に。2失点目の直後にjosesg93選手がフォーメーション変更を行なうと、これがすぐに機能。敵陣奥でスローインを獲得すると、そこからの流れで放ったミドルシュートがPSGの選手にぶつかり軌道が変わってゴール。これだけだとアンラッキーで片づけられたが、その後もjosesg93選手が押し込み、前半34分ごろにはコーナーキックから豪快なヘディングを決めて試合は振り出しに。その後しばらくは小康状態が続いていたが、後半60分過ぎ、josesg93選手が右サイドをほぼ完璧な形でぶち抜き、カットインからのパスを経てゴールをゲット。ここで逆転したjosesg93選手は幾度かのピンチはありつつも冷静なボール回しで試合のテンポをシフトダウンさせ、逃げ切りに成功。3-2という撃ち合いを制し、TioMiit_PW選手が待つ決勝に駒を進めた。
PES LEAGUE WORLD TOUR 2018アジアラウンド優勝者、TioMiit_PW選手ミニインタビュー
――まずは優勝した感想をお願いします。
TioMiit_PW 私のいたグループリーグは混戦で、試合自体も接戦ばかり(本大会唯一のPK戦も経験)だったので、いまは非常に達成感に浸っています。
――すべての試合を見られたわけではないのですが、つねに冷静にプレイされる姿が印象に残りました。たとえば準決勝なんかはあえて相手を攻めさせてスタミナ切れを狙っていた?
TioMiit_PW はい、そういう作戦を取りました……とかっこよく言えればいいのですが(笑)、とにかく最後まで戦おう、かじりついてでも接戦をモノにしようという気持ちだけで戦っていたのが正直なところです。
――本大会ではチームの能力がある程度均一化された状態での戦いでした。そこでPSGを選んだ理由は?
TioMiit_PW 一番は私がフランス人であるという単純な理由ですね。今年に入ってからPSGをずっと使っていましたし、チームそのものも完成度が高いですしね。しかし今回の変化(チームの能力均一化)は自分にとってものすごく大きなチャレンジになりました。練習できる期間も少なかったので、大会前はかなり心配でした。そこも気持ちで乗り越えられたのも大きかったと思います。
――今後も南北アメリカラウンド、ヨーロッパラウンドと戦いは続いていきます。そこへの意気込みを聞かせてください。
TioMiit_PW とくにすごい自信があるわけではないのですが、できるだけ上を目指したいです。
日本人選手が語る『ウイイレ2018』のトレンド
――今回チームの能力値が均等になって選択肢が増え、実際3人とも違うチームを選ばれています。いまのチームで戦おうと思った理由は?
mayageka PSGはスキルを持っている選手が多いと思って、今回は選びました。
SOFIA 運動能力と選手のスキルを組み合わせて考えるとドルトムントが一番かなと思って選びました。
Karaage 自分はほかのふたりと状況が違って、昨日の開催枠国決定戦で使えるチームが5チームと限られていて、その中でいいなと思ったのがリバプールでした。そこから1日でチームを変えることはできないなと判断して、今日もリバプールで戦いました。選んだ理由を強いて挙げるなら、(FW陣の)足の速さですね。
――ドルトムントにもオーバメヤンという足の速いストライカーがいます。『ウイイレ2018』では過去作以上に前線のスピードが重要なのでしょうか?
SOFIA そうですね、足が速い選手がいると相手がDFの裏をケアしなければいけない、さらに相手のラインが下がるとオーバメヤンの持ってるスキル、ワンタッチシュートが活きるのがいいかなと思いましたね。
――前作『ウイイレ2017』のアジア大会を見せてもらったときは、使用チームがバルセロナに偏っていたのもあるとは思うのですが、後方からつないでいくプレイがいまより多かったように思います。縦へのパスが増えた理由は?
mayageka 前作よりも低い位置でパスをつなぐのが難しくなったのが大きいですね。パスのスピードが遅くなったので、そこ(自陣ゴール前からのビルドアップ)は省略して、縦に長いボールを入れたりする工夫を各プレイヤーが行なって、去年とは違う試合展開になったのかなと自分は思います。
SOFIA オンラインでの試合もけっこう変わってきていて、×ボタンよりも○ボタンの長いパスが重要になってきてますね。
Karaage mayageka選手も言ってた通り、パスのスピードがだいぶ変わってゴロのパスを強く当てられなくなったので、浮き球のパスがより重要になっていると思います。
――相手として出てくるチームが増えた影響で、やりにくさを感じたり、個別の対策が必要と思ったことは?
mayageka 自分は今回ライプツィヒというふだんの対戦では絶対当たらないチームと当たりましたけど、そんなに気にはならなかったかな。対戦相手というよりは自分のプレイができれば。
――mayagekaさんは前作からレアな3バックを使っていて、どちらかというと対策”させる”側ですよね。
mayageka そうですね。対策するよりは相手に考えさせたいと思っています。
SOFIA 自分は相手チームではなく、“人”を見て作戦を考えます。準々決勝のGuiFera選手との試合なんかは、相手のFWにハードマークっていうコンセプトアレンジをつけて、FWへのパスをつぶすという作戦を立てました。
Karaage 今回から対戦相手が多様化するとは思っていたんですけど、逆にそこを対策していてもキリがないなと。なのでどちらかというと、自分の強みを出して相手に対策してもらおうと思っていたので、とくに気はならないですね。
――最後にすごい初歩的な質問で申し訳ないのですが、みなさんを含めて選手のほぼ全員があれだけミドルシュートを打たないのって、ふつうは入らないからですよね?
一同 (笑)
mayageka いや、ミドルは入りますよ(笑)。
Karaage あそこ(準決勝のjosesg93選手のシュート)は跳ね返ったボールを一旦受けてからのミドルだったので、何か起こる形かな? とは一瞬思いましたけど、ドリブルからのミドルシュートはほとんど入らないですね。
――josesg93さんとmayagekaさんの試合だけですよね、今日ミドルで点が入ったのは?
mayageka そうですね、ペナルティーエリアの外から点が入ったのはあの試合だけかも(笑)。
SOFIA ふつうは入らないですね、なかなか。見ている人は「もっとミドルを撃ったほうがいいんじゃないか?」と思うのかもしれないですけど……。
mayageka 入るシリーズだったらみんな迷わず撃つと思うんですけど。josesg93選手とは今日ので1勝1敗なんで、またやりたいですね。またああいう展開になっちゃうかもしれないですけど(笑)。